[ファイトクラブ]RIZIN大晦日TV格闘技の終焉か始まりか? 私的ベストバウトRizin対HENZIN

[週刊ファイト1月12日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

 格闘技I記者考殺シリーズ2023
▼RIZIN大晦日TV格闘技の終焉か始まりか? 私的ベストバウトRizin対HENZIN
 by 格闘技I記者
・地上波からRIZINが消えた大晦日 TOKYO MXは映画『トラック野郎』って・・・
・5大サプライズの目玉マニー・パッキャオとの契約発表だったが・・・
・元旦の初大笑いRIZIN公式動画アンカー田中vs.榊原信行「腹立ちます」
・格闘技I記者「変人対決なら、全面対抗戦に持ち込んでも5-0で勝利する」
・星勘定だけ見たなら“RIZIN最弱”? 接戦はやはり日本格闘技界の盟主
・嫁に任天堂Switch買って貰えなかった健闘キム・スーチョルに愛の手を!
・新年のご挨拶に替えて


 2023年度初の考察ならぬ「考殺シリーズ」を記させて頂く。

 私は2022年のRIZIN大晦日大会に対して、シリーズ第5弾となる本作をやるべきか否か昨日まで悩んでいた。それは、あまりにも本大会ガヤから聞く噂話が乏しかったからに他ならない。

 いつもの大晦日なら、マニアならずとも不特定多数の視聴者はある程度の割合いるわけで、古くは曙vs.ボブ・サップ戦のように一般層にまで突き抜けたカードは別格としても、どのチャンネルを回しても、18:00には終わる井岡一翔のボクシング以外、格闘技が流されてない。惰性で毎週録画予約に設定していたTOKYO MXの『KNOCK OUT STYLE』なんか、「番組が見つからず同じ時間帯のを録画しました」と、映画『トラック野郎』が30分間入っていて、菅原文太に千葉真一が喧嘩していて笑ったものだ。今回、どうしても大会の存在自体が世間に認知が届きにくいのは否めない。

 日テレの大晦日ガキ使の『笑ってはいけない』シリーズがなくなり、ガキ使LOSSが話題となっていたが、それと同じように格闘技LOSS・RIZIN喪失がもっともっと叫ばれるようにならなければ、日本格闘技界のマーケットのこれ以上の進展は見込めない。

 ジムを数店舗経営している身として小さなパイを奪い合うのではなく広く格闘技に触れてもらいたいのが、私的な意見でもある。

 今回のRIZIN大晦日のサプライズ隠し玉は、マニー・パッキャオとの契約だった。会場に映画『ロッキー』のテーマ曲が流れた時は、何事なのかと思ったことだろう。とにかくスゲー選手であるのは確かに認めるが、フロイド・メイフェザーに大金を積んだボクシングルールで日本人選手を当て馬にするのは、既に視聴者にはお腹いっぱいになっている可能性も十分ある。


 前置きとして本当に彼の登壇が実現するまでの果てしない交渉労力は当然認めるが、それならパッキャオvs.メイフェザー再戦が日本で実現するのは難しいまでも、日本人選手との試合をマッチメイクして意味あるのかとは、業界にいる者なら冷静に疑問も湧いたに違いない。なにしろ我がキングダムエルガイツ興行には、マニー・パッキャオと戦った唯一の日本人・寺尾新が推進するナックルファイトも組み込まれている。同じプロモーションに関わる今、RIZIN榊原信行氏を「腹立たしい」とまで言わせた、我らがHENZIN田中アンカーの質問「ビジネスとして成り立つのか」の言い分のほうが万が一に賭ける夢もあるし、実現すればあの神興行となったTHE MATCH那須川天心vs.武尊をも超える伝説興行になることは間違いないのだが・・・。

 他にもパッキャオのMMAは無理だろうが、キック挑戦を表明しただけでも世界的な大事件となる。しかし、日本人の元ボクサー、キックボクサー、MMA選手とかで、ボクシングに色気のありそうな皇治はともかくとしても、あまり集客になるマッチメイクが提供できるのだろうか。タナカさんは多分そこを突きたかったのだろうが、前後の注釈なく「めっちゃ腹立ちますけど・・・」をYouTube動画のテロップにするのは誤った印象を与えかねない。しかしながら本人は、まず「週刊ファイトの田中です・・・」の部分がRIZIN公式動画からカットされているのを一番悔しがっていたが・・・(笑)。

 ま、とにもかくにも田中さんの質問はプレスルームを一瞬にして凍てつかせたようだ。波風立てない質問ばかりの記者が多いのも、国内マット界が底辺拡大しない一因だろう。それにしても、「パッキャオの相手はメイウェザーではない?」とは、そんなアホな質問はしてないのだが、悪意に満ちたテロップには元旦から大笑いである。あくまで「相手は日本人」をリング上の告知でもやたら念を押していたから、「だったらアテでもあるのか?」という突っ込みに他ならない。

 何しろ、公式動画の榊原氏はかなり嫌悪感をあらわにした表情が見てとれる。本当に悔やまれるのは、なぜその場に自分が居合わせ両名のRIZIN対HENZINツーショット写真をフィルム納められなかったのかというとてつもない後悔の念が先に立つ。

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