[週刊ファイト3月21日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
全23ぺージ約1万字を費やして、シュート活字員会が読者が知りたい国内外の話題に徹底的に切り込む。まずは、マット界とも密接に関係する今週放送、米国の国民行事であるアカデミー賞から。
▼今週の肝:マット界と『鉄の爪』掠らずアカデミー賞-新日スターダム全日
WWE-出遅れAEW金額上乗せ:熾烈争奪戦全容オカダカズチカ値札徹底解析
タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・約1年前の週刊ファイト『エブエブ』旋風アカデミー賞とマット界の関係
・マット界より全裸のジョン・シナ、ロック様とバッド・バニーが授与に登壇
・ABC30秒CM2億8千万円アカデミー賞 音楽はライアン・ゴスリン驚愕
・『アイアンクロー』がノミネートされてない抗議記事アチコチ出ている件
・戦争と平和テーマと並びclose upされる近年の”カルト教団”題材映画
・ぽっちゃり体型堂々!乳首晒すフローレンス・ピュー今後賞嵐になるか
・2024年必見 オッペンハイマー、実録 マリウポリの20日間、関心領域
・LAタイムスもRゴスリンJシナ指摘!前年より4%増加1950万人視聴
・本誌取材による国内の話題:オカダ・カズチカの金額ミステリー計算式
・具体的な金額の裏付けとは本誌だけが踏み込めるWWE-AEW争奪戦
・裏が取れるまで静観なのはWWEのカウンターオファーがありうるから
・最後の対決望む中野たむ ジュリア「このブス!」と叩く+岡田太郎AEW
・NXT Japan化断念した全日プロ安齊勇馬、ライジングHAYATOに期待
・辻陽太をNew Japan Cup制覇にしないなら-明るい未来が見えません
約1年前の週刊ファイト『エブエブ』旋風アカデミー賞とマット界の関係
’23年03月16日号AEW革命MJFブライアン66分 スターダム代々木 ZERO1旗揚22周年 SSP会見
’23年03月23日号映画 岡林裕二BJW大門寺崇 後楽園ノア横浜 皇治Dジェイムス三州ツバ吉
―― 電子書籍ジャーナルの巻末には「いまから約1年前の週刊ファイト」として、販売ページを再紹介してあります。先週号はAEWの『REVOLUTION 2024』PPV大会が、やはりちょうど1年前も『REVOLUTION 2023』だったとの確認がありました。本稿収録の3月21日号だと、1年前は『エブエブ』旋風だったアカデミー賞の話題をマット界と絡めていました。
オフレコ それは当然や。なにしろアカデミー賞の週末は、PPVの歴史が始まった昔からWWEは大会やらない。当然今なら、UFCもAEWも他のLIVE番組もブツけたりはしない。これはもう不文律やから。それだけ映画娯楽というのは、米国一般庶民の生活に大きな地位を占める。どんだけ密接なものであるかというこっちゃ。
―― それにアカデミー賞は、家族全員が見る年間行事ですから、その裏でPPVやっても購入数はまったく期待出来ません。ということでアメプロはこの週末は大会がないんだから、週刊サイクルの本誌は「アカデミー賞とマット界」を”今週の要”として取り上げるしかありません(笑)。
オフレコ いや、どの作品が賞に輝くかにせよ、世相を色濃く映す鏡であり、マット界もまた、社会の情勢に大きく引っ張られるエンタメ番組なんだから、真面目な話、この週の本誌が取り上げるのは王道判断なんだよ。
―― ですよね。ただ、必ずしも本当の良作が選ばれているわけではありません。「黒人の割合が低すぎる」と批判された翌年は黒人受賞の割合が急激に増えるし、昨年はアジア焦点だったのか、『エブエブ』の大旋風となりました。
▼7冠アカデミー賞『エブエブ』から考える映画国際潮流とマット界at once
オフレコ なにしろジェイミー・リー・カーティスまで助演女優賞だったからな。本人が叫んでいたように”Together”なんであって、作品賞や、主演の夫婦役ミッシェル・ヨーに、キー・ホイ・クァンが助演男優賞だったんで、連れられて「一緒に」受賞となった。選考時点の世相や時代の空気感に左右される面は多々ある。
―― 良くも悪くも権威ありますが、誰もアカデミー賞が最も公平かつ公正だとは言ってません。
オフレコ エンニオ・モリコーネがずっと選ばれてなかったのはオカシイとか、『ゴジラ』はまだ見てないんでいい加減なことは言いたくないが・・・。あくまで過去の膨大な『ゴジラ』作品の蓄積から、今回たまたま視覚効果賞という、うまい具合に当てはまるカテゴリーがあっただけなんじゃないか? 「日本から2作品が・・・」の議論は本誌はやらない。
―― ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が日本映画枠なのかどうかはともかく、やっぱりルー・リードの曲♪PERFECT DAYなんですね。「これは見ないといけない」と、テレビ番組としてのアカデミー賞の啓蒙役割の意義はあります。
オフレコ うん。デュラン・デュラン版じゃないオリジナル音源なんだな。これは見ないといけなくなった。同じ日に、役所広司の出世作でもある『KAMIKAZE TAXI』(1995)が洋画チャンネルでやっていて、連想というかそのまま見てしまったからな。
―― シーザー武志がまたやくざ役の1本ですね。なら”マット界関連作”に入れられます(笑)。
マット界より全裸のジョン・シナ、ロック様とバッド・バニーが授与に登壇
オフレコ なんといっても、本年のアカデミー賞でイチバン目立ったのは裸のジョン・シナが衣装賞のプレゼンターだったこと。慌ててスマホでTV画面を撮ったよ。使うことになると踏んだからな。
―― もちろん世界でイチバン稼ぐ俳優ドゥエイン・ジョンソンことロック様と、プエルトリコのラッパーにしてグラミー賞受賞、レスラーになるのが夢だったのでWWEで試合もやっているバッド・バニーも呼ばれてました。『レッスルマニア』の宣伝はご法度ですが、実質は市民権を獲得しているプロレスの大きな宣伝にはなりましたね。
ABC30秒CM2億8千万円アカデミー賞 音楽はライアン・ゴスリン驚愕
オフレコ なにしろ、米国ABC地上波のCMは30秒で2億8000万円と、NFLの『スーパーボウル』と並ぶ高額広告料の象徴番組やからな。そこにタダでプロレスの宣伝なんだから、これは事情に謡い日本向けには強調しておかないといけない。
―― あと、なんといってもライアン・ゴスリンの♪I’m Just Kenが目立ったかと。作者の英国人マーク・ロンソンの印象的なベースから始まり、サントラ盤でもソロ弾いているスラッシュ、その背中ではさらに太ったウルフギャング・ヴァン・ヘイレンがリズムギター役と、ロックマニアには豪華なステージでした。
オフレコ ライアン・ゴスリン、LIVEステージでも歌える奴なんやなぁ。バックの演奏は音源だったけど、彼の唄は生やった。
―― 他の音楽関連は、ビリー・アイリッシュ以下、つまらんのばかりで余計に目立ってました。
オフレコ 諏訪魔&鈴木秀樹タッグ王者の「バカの時代」とも合ったからな(笑)。
オフレコ 要するに、いくらぶっちぎりで稼いでいようが、ロック様だの、『ワイルド・スピード』シリーズなりが作品賞とかにならないのがアカデミー賞なんや。
―― そもそも米国公開日が同じだったんで「バーベンハイマー Barbenheimer」なる流行語がアチコチに出てきて、配給会社は違うのに両社ともそれに乗っていた。それをネタに、あくまで興行収益のランキングなら『バービー』の方が上で、常に『オッペンハイマー』が後ろに追随しているので、流行語の順番が「オッペンバービーではない」というジョークにもされていた。
オフレコ それなのに監督のグレタ・ガーウィグがノミネーションすらされてないのはオカシイ。
―― そもそも、我々の好みからしたらサンダンスとかで高評価のART系作品を、無理やり”マット界関連作”にして本誌のマナ板に乗せることが多い。事実、『PERFECT DAYS』の役所広司は第76回カンヌ国際映画祭の男優賞なんです。
オフレコ だいたい女流監督グレタ・ガーウィグは、『レディ・バード』の時から何度、本誌にはアチコチで繰り返し出してきたことか。お気に入りの監督やからな。
―― 『つぐない』や『ラブリーボーン』の子役からシアーシャ・ローナンのファンなんでしょ?
オフレコ BDで全部揃えているからな。
―― それなら、なんで『アイアンクロー』がノミネーションすらされてないのかという議論があります。
『アイアンクロー』がノミネートされてない抗議記事アチコチ出ている件
オフレコ 1つや2つでなく声高になってきているからな。なにしろドキュメンタリー作品ならすでに沢山ある「エリック家の悲劇」が題材だけど、一般向けに映画として物語にしたらどうなるかなんであって、制作段階からアチコチの賞を狙うことは意識していた作品になる。
▼映画『アイアンクロー』4・5公開!ケビン軸に呪われたフォン・エリック家
―― ジョン・シナやドゥエイン・ジョンソンが呼ばれていたのは嬉しいことなんですが、『アイアンクロー』が無視されていたのは確かに違和感ありますね。プロレスファン向きではなく、そもそも実話を知らない、プロレス自体には興味がない一般にアピールするべく制作されました。
オフレコ フランク・ザッパじゃないが、「売れたものが優れているという考えは、くだらない」のであって、アカデミー賞が選んだからと追随はしないのが本誌のポリシーやからな。
―― スターダム騒動にしても、ロッシー小川派のトークライブまであったそうなんですが、行かれた方から、「やっぱり週刊ファイトの記事がもっとも深く冷静に分析、総括していたのをあらためて納得した」と言われました。
▼今週の要:事実上の解任ロッシー小川 スターダムお家騒動 オモテと裏
戦争と平和テーマと並びclose upされる近年の”カルト教団”題材映画
オフレコ その『アイアンクロー』評を出した段階では、[調べてみたら監督のショーン・ダーキン、デビュー作は”カルト教団による洗脳とトラウマ”を描いた『マーサ、あるいはマーシー・メイ』]とだけ触れたんだが、フォローも必要なんで入手して見た。面白かった。
―― カルト集団に入ると、名前が変えられるのでマーサがマーシー・メイになるんですね。
オフレコ 今回のアカデミー賞のテーマは間違いなく「戦争と平和」、あるいは「反戦」なんだから、戦争というのもまた、カルト洗脳から兵士が教育されていくわけで、カルトが裏テーマだったという総括も出来る。
―― 最近、カルトを扱っている映画が間違いなく増えていますね。『マーサ、あるいはマーシー・メイ』BDの裏ジャケには、「世界の映画祭で大絶賛された衝撃的サスペンス」とあり、さらに詳しく紹介するなら「サンダンス、カンヌを皮切りに世界の映画賞13部門で受賞。29歳の新人監督ショーン・ダーキン」とあります。
オフレコ アカデミー賞だけ見ていると網に引っかかってこない作品が多数ある例やな。正直、『アイアンクロー』を見て興味を持って『マーサ、あるいはマーシー・メイ』って、「そんな映画あったっけ?」だったんだが、映画賞を多数取ってることを裏ジャケで知った。ボクは他人の評なりネットを先に読むのは絶対に嫌なんで、予備知識なしのまま取り寄せたからな。
―― 『マーサ、あるいはマーシー・メイ』は、より商業的にも成功した、結構ヒットした『ミッドサマー』との比較がありですね。
▼『ファイティング・ファミリー』のペイジ役~『ミッドサマー』異教徒論と偏見
オフレコ 『ミッドサマー』は本誌では何度も取り上げてある。
―― 「プロレス信仰とは何か?」を考える上でも必見でしょう。あの身を投げる老人役が、1971年公開の『ベニスに死す』のビョルン・アンドレセン(現在69歳)だったとか、あとからも何度も見直す作品に昇華しています。
オフレコ そのあと2021年のドキュメンタリー作品『世界で一番美しい少年 The Most Beautiful Boy in the World』が、これまた衝撃内容で・・・。
―― マット界と絡めてのアカデミー賞に絞りましょう。脱線ばかりだと論旨がぼやけます。