[ファイトクラブ]『TEAM NOAH対抗戦1st ROUND』 苦戦も光明見た新装REAL ZERO1

 2023年末にZERO1のベテラン選手を中心に始動したユニット『REAL ZERO1』。2024年に入り、若手主体の『栃木プロレス』と異なる動きを見せる中、プロレスリング・ノアの潮崎豪率いる『TEAM NOAH』との対抗戦が勃発。本格開戦となった2024・2・16新宿FACE大会は、会場の熱量と試合の良さが随所に光るも動員に苦戦。船出の厳しさを感じつつあるタイミングで突如飛び込んできたのは、WRESTLE UNIVERSEとの”共闘”であった・・・。


[週刊ファイト2月29日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼『TEAM NOAH対抗戦1st ROUND』 苦戦も光明見た新装REAL ZERO1
 photo & text by 鈴木太郎
・栃木プロレス&REAL ZERO1二頭体制も説明無しの異様さ
・REAL ZERO1厳しい船出 配信WRESTLE UNIVERSE共闘カギか
・栃木プロレスではなくREAL ZERO1配信は客層にあり?
・ファミリー層主軸の栃プロと、コアファン軸のREAL ZERO1
・新規ファン獲得をUNIVERSE共闘で埋められるか
・栃木プロレス対抗戦 朱鷺裕基、対峙もヒデ久保田圧勝の第1試合から
・ジュニア二冠王者・馬場拓海が猛攻もヤス久保田、不覚の15分ドロー
・盛り上がり欠くハロチータCMLL提供ジュビアUNIVERSE未配信救い?
・永尾颯樹文句なしHi69正面突破!第4試合TEAM NOAH対抗戦先勝
・エルボー合戦満足度No.1! 齋藤彰俊スイクルデス横山佳和散る
・小峠篤と組んだ潮崎豪、敵地メイン勝利で堂々REAL ZERO1迎撃宣言


■ZERO1能登半島地震災害支援チャリティ KEEP ON RUNNING!! REALZERO1 新宿大会
■日時:2024年2月16日(金) 19:00開始
■会場:東京・新宿FACE
■観衆:204人

 2023年末、ZERO1で田中将斗を中心としたベテラン勢により結成されたユニット『REAL ZERO1』。栃木県内に拠点を構える若手中心の『栃木プロレス』とは対を成す同ユニットは、栃木プロレス勢との世代闘争を展開。2024年に入ると、ZERO1は『栃木プロレス』と『REAL ZERO1』の2ブランド制に近い形に分かれていく。

 厳密に言うと、ZERO1と栃木プロレスは運営元が異なる。しかし、これまでZERO1が回ってきた全国各地の興行を、2024年は若手が揃う栃木プロレスで回ることを栃プロ代表の臼井氏は宣言済。実際、毎年恒例となっている元日のZERO1後楽園ホール大会も2024年は栃木プロレスが主催している。使用するリングマットや煽りVTR、プレイガイドでの名義はZERO1扱いだったものの、2024年は『栃木プロレス』が全国進出して有料興行の開催も担う変化の年になりそうだ。

 一方、ベテラン勢が揃う『REAL ZERO1』は栃木プロレスと別で興行を運営。現在発表済の大会は、新木場1stRING、新宿FACE、ホテルオリエンタルベイ新浦安といった都内近郊がメインとなっている。それ故なのか、元日大会は田中将斗、菅原拓也、横山佳和、クリス・ヴァイスの4選手は当初からカードが組まれず不参戦という異例の事態に、ファンを中心に賛否が分かれたほどだ。同時期に『REAL ZERO1』が2024・1・28新木場1stRINGで第1回興行を開催したことで、今後は『栃木プロレス』と『REAL ZERO1』の2頭体制になる事が予想されるが、同じZERO1でも、元日後楽園ホールは栃木プロレス主催、毎年恒例の靖国神社奉納プロレスはREAL ZERO1主催と異なっている事や、ZERO1から「独立」や「2ブランド制」といった指針や説明が明確に示されぬまま現在に至る為、混乱を招いているのも事実ではあるのだが・・・。

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REAL ZERO1厳しい船出WRESTLE UNIVERSE共闘カギか

 記念すべき REAL ZERO1の初回興行では、『クリス・ヴァイスvs.横山佳和』による世界ヘビー級王座戦が行われたが、第2回となる2024・2・16新宿FACE大会では、CMLL提供試合を除いた5試合全てが対抗戦という布陣に。前半は栃木プロレス、後半はプロレスリング・ノアの『TEAM NOAH』との激しいバトルを繰り広げたものの、当日は観衆発表で204人と厳しい動員になった。前日の2024・2・15に行われたプロレスリング・ノア後楽園ホール大会の観衆は1,212人で、REAL ZERO1から同大会に参戦した田中将斗が『TEAM NOAH』との対抗戦を宣言したこともあり、流れに乗りたかったところだが・・・。新宿FACEのカウンター席の料金としては破格の5,500円(ノア主催なら10,000円!)を打ち出すなど、チケット代値上げというコロナ禍以降定番化しつつある流れに逆らう姿勢も実らなかった。

 ただ、会場の盛り上がりに関しては、204人という数を感じさせない勢いがあった。観客数の多寡だけに注目して、肝心の内容を吟味しないまま評価を付ける人間にとっては「つまらない興行」になるのかもしれないが、前夜のノアから団体を変えて続くストーリー展開と、当日の試合内容の良さは評価されてしかるべきだろう。とはいえ、栃木プロレスや『TEAM NOAH』との対抗戦路線による盛り上がりが、永遠に続いていくわけでもない。そうした熱が萎んだ時に、子供やファミリー層が観客層の中心を担う栃木プロレスと明確に差別化できる強みを、REAL ZERO1は選手のキャリアの深みや知名度以外で有しているのか? その強みが確立できるか否かは今後に懸かっているはずだ。

 その点で、REAL ZERO1にとって非常に大きなニュースが舞い込んできた。動画配信サービス・WRESTLE UNIVERSEでREAL ZERO1興行の配信が決定したのである。DDTプロレスリングやプロレスリング・ノアなどの大会を扱うWRESTLE UNIVERSEが2024・2・22に行った『サービス方針発表会』では、既存のDDTプロレスリング、プロレスリング・ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの4団体に加え、新たにセンダイガールズプロレスリング、みちのくプロレス、REAL ZERO1の大会配信を行うと発表した。REAL ZERO1は大会開催の数日後に動画配信という形式ではあるものの、ノアの配信を取り扱うプラットフォームに参画した事実は非常に意義深いと言える。

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