[ファイトクラブ]プロレスと親子連れを繋ぐ、栃木プロレスが熱い!

 2021年より、道場と若手選手の拠点を神奈川県川崎市から栃木県に移したプロレスリングZERO1。
 そのZERO1が栃木で発足した別ブランド・『栃木プロレス』は、都心から離れた北関東の地で活況を呈していた。
 ZERO1の若手選手が在籍する栃木プロレスは、ただのZERO1若手ブランドではない。プロレスという枠を飛び越えて定着しつつある栃木プロレスは、既存のプロレス団体が獲得したいファン層を既に射止めていたのである・・・。


[週刊ファイト3月9日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼プロレスと親子連れを繋ぐ、栃木プロレスが熱い!
 photo & text by 鈴木太郎
・栃木プロレスは、ただの【ZERO1若手ブランド】ではない
・プロレスで成立させた、地域密着型のスポーツコンテンツ
・無料興行でも大盛況な物販
・子供や親が積極的に応援するプロスポーツ的気質
・子供の声援がこだまする会場内
・キャリア1年以内でも、子供のハートをつかむ若手選手達
・高橋ヒロムのサプライズ登場と、祭典に向けた北村の立候補


■栃木プロレス 『新春シリーズ』
■日時:2023年2月23日(木・祝) 12:00開始
■会場:栃木県総合文化センター
■観衆:未発表

 2021年に、栃木県で発足した『栃木プロレス』という団体がある。
 プロレスリングZERO1の若手選手が、川崎市より拠点を移した上で、ZERO1とは別の団体として活動している。

 これまでにも、栃木県内で無料プロレスを開催してきた実績のある団体なのだが、私は今回観戦するまでの間、ZERO1との主な違いをハッキリと見出せないままでいた。
 批判を承知の上で書くならば、拠点を変えた「ZERO1の若手興行・若手ブランド」ではないのか、と。

 しかし、観戦した後で、そのような認識は大きな誤解であり、間違いだった事に気付かされた。
 何故ならば、栃木プロレスはZERO1の若手興行という枠組みを飛び越え、地域密着型のスポーツコンテンツとして根差し、定着していたからである。
 その上、プロレスというコンテンツを人々に広めていける可能性すら感じたのだ。

従来のイベントプロレスには希薄だった、プロスポーツ的な気質。

 これまで、各団体が開催するイベントプロレスには、通常興行に比べて親子連れが多く訪れる印象があった。

 栃木プロレスもその例に当てはまるのだが、他団体と明確に異なっていたのは、子供や親が積極的にプロレスラーを応援するという、プロスポーツ的な気質だ。
 所謂「イベントでたまたまやっていたから」とかはなく、最初から、選手を応援するためにタオルやTシャツを身につける文化が形成されていたのである。

 私個人の経験談になるのだが、プロレスを初めて見に行く場合、中々好きでない限り、グッズに手を出しにくい。せいぜいタオルや小物類くらいだろうか。
 つまり、栃木プロレスは、親子連れをサポーターないしファンとして射止めているのだ。

 それは、栃木プロレスが無料開催という観戦ハードルの低さも大きいのかもしれないが、試合後の物販の大盛況ぶりはZERO1の有料興行を明らかに超えていた。
 イベントプロレスでしっかりお金を落としていくファンの存在がいるのは、無料という面だけで説明できない魅力があるからに他ならない。観衆未発表ながら、500人限定の会場には立ち見が出来る程の人気の高さこそが、その証左である。

 今大会が行われた宇都宮市では、Bリーグの強豪チームである宇都宮ブレックスのポスターや広告が至るところに貼られていたのだが、栃木プロレスもそのような未来が描けるのではないか、と私は感じた。
 これは、各地を巡業していく既存のプロレス団体では難しいものがある。栃木県内にホームを構え、看板を掲げているからこそ、地域の人々が愛着を抱き、応援したくなる存在になりつつあるのだ。

 実際に見てみないと分からなかった、栃木プロレスの持つ魅力と凄み。
 百聞は一見に如かず。是非、プロレスというコンテンツが地域に根差している現実を、会場で体感してほしい。

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