[ファイトクラブ]令和に轟く格闘芸術! 懐古でなく復興だった『ぼくらは格闘探偵団』

 2011・11・5に格闘探偵団バトラーツが解散してから干支が一周しようとしている2023年秋、令和に格闘探偵団の系譜を継ぐ興行・『ぼくらは格闘探偵団』が行われた。興行を開催した阿部史典と野村卓矢はバトラーツの解散後にプロレスラーとしてのキャリアを始めた経緯故、本興行はバトラーツの同窓会ではなく、バトラーツを知らない若者がバトラーツルールを採用するという異色の興行となったが、会場も超満員で試合も全5試合が白熱の内容に。この熱狂空間を生み出したのは、バトラーツルールが持つ単純明快さに他ならないだろう。


[週刊ファイト10月26日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼令和に轟く格闘芸術! 懐古でなく復興だった『ぼくらは格闘探偵団』
 格闘を探偵するという事、すなわち求道者であろうとする決意表明
 photo & text by 鈴木太郎
・真裏にGCW後楽園も打ち勝った格闘探偵団
・組み合わせと内容で高めた満足度
・予備知識不要のバトラーツルール
・フリーダウン制で生まれた『阿部vs.野村』熱闘
・「格闘を探偵する」決意9・28大日新木場大会にアリ?
・GLEAT三羽烏・飯塚優攻めるも鈴木秀樹が凄惨TKO葬
・四者四様火花散らす熱戦!佐藤光留が日高郁人下す
・試合負けるも場の流れでスーパー・タイガー圧倒の矢野啓太
・バトラーツ懐古+現在進行形MIX石川雄規タッグで池田大輔撃破
・格闘探偵=求道者決意表明?阿部史典壮絶ギブアップで野村卓矢撃破
・”距離の長いジェットコースター”だったメイン
・若者2人が令和にバトラーツルールを戻した意義


■『ぼくらは格闘探偵団』
■日時:2023年10月12日(木) 19:00開始
■会場:東京都・新宿FACE
■観衆:452人(超満員札止め)

 令和に格闘芸術が復興するのかもしれない。そんな兆しを感じずにはいられなかったのが、10・12新宿FACEで行われた『ぼくらは格闘探偵団』である。この日は聖地初進出となったGCWによる後楽園ホールが真裏で行われるなど、インディーファンが絶妙に割れそうな予感を漂わせていたものの、フタを開けてみれば、急遽立ち見席を販売するほどの満員札止めを記録した。

 2011年に解散した『格闘探偵団バトラーツ』だが、今大会は元所属メンバーを集めた同窓会的な内容ではなく、澤宗紀とバトラーツを見てプロレスラーを志した阿部史典が、大日本プロレスの野村卓矢と共に開催した、バトラーツを知らない若手世代による自主興行だった。それ故、バトラーツに在籍していた選手達は顔を並べているものの、あくまでも【ギブアップ、KOのみによる決着】、【フリーノックダウン制】のバトラーツルールを令和に復活する為のワンピースに過ぎない。何より、目玉選手の参戦という要素に頼ることなく、カードの組み合わせと内容で大会満足度を高めた事実は大きい。ロストポイント制が導入されているUWFルールに比べ、バトラーツルールは単純明快。阿部の前説でも触れられていたが、ルールは設けられていても、観客は予備知識が不要で見たままの光景を楽しむ余地がそこにはあった。

 この日の象徴的な試合は、セミファイナルとメインイベントだった。セミファイナルではバトラーツに在籍していた石川雄規と池田大輔がタッグマッチで激突したのだが、怯まず相手に突っかかっていく二人の負けん気の強さはまさしく”バチバチ”そのもの。年齢による動きの衰えは見られたものの、積極果敢な姿勢でカバーするベテランの気迫に圧倒された。

 一方のメインイベントで組まれた『阿部史典vs.野村卓矢』は、序盤からダウンを奪い合う激しい展開で会場の盛り上がりはドンドン白熱していく。バトラーツルールによるフリーダウン制は、何度やられても立ち上がっていく両者の姿を鮮明なものにした。最後まで勝敗の読めない試合は、阿部が野村からギブアップを奪って勝利。今の野村卓矢がギブアップする姿を見た記憶は中々無い。この光景は、大日本プロレスのシングルリーグ『一騎当千』でも、阿部が2022年まで所属していたプロレスリングBASARAのシングルトーナメント『頂天』でも実現しないような一戦がそこにはあった。

 9・28大日本プロレス新木場1stRING大会にて加藤拓歩の引退試合の相手を務めた阿部史典と野村卓矢は、加藤に向けたコメントで「まだもっとプロレスやりたいから(阿部)」、「今止めたら後悔だらけだからもう少し続ける(野村)」と涙ながらに語っていたのだが、その理由の一端がハッキリと示されていた今大会のメインイベントだったように思う。格闘を探偵するという事は、すなわち求道者であろうとする決意表明に他ならないのだと・・・。

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GLEAT三羽烏・飯塚優攻めるも鈴木秀樹が凄惨TKO葬

<第1試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
○鈴木秀樹
(6分56秒 TKO)
●飯塚優

 GLEATではプロレス、LIDET UWF、MMAの3ブランドで試合を行う飯塚優が、オープニングで鈴木秀樹と激突した一戦。飯塚が鈴木の身体に絡みついて締め上げようと試みるも、鈴木は何とか回避に回る。中盤、飯塚が極めたサブミッション攻撃に一瞬鈴木の動きが止まったことで会場中から悲鳴にも似た歓声が漏れ出たものの、勝負を決するには至らず。最後は鈴木が首筋に肘を強烈に振り下ろしていくとレフェリーが試合をストップ。立ち上がれない飯塚の姿は、本興行におけるバトラーツルールのシンプルにして凄惨な一面を如実に映し出していたと言えよう。

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