[ファイトクラブ]東京-名古屋350km昼夜大移動!後楽園で感じたダイニチの底力

 2023・5・28、大日本プロレスが昼に後楽園ホール、夜に名古屋ダイヤモンドホールで興行を開催するという、前代未聞の昼夜興行を敢行した。片道約350kmの大移動にもかかわらず、昼の後楽園ホール大会は夜の名古屋大会の存在を感じさせない、平常運転の大日本プロレスを見せてきた。アクシデントやピンチにも動じないダイニチの底力を見た、昼の後楽園ホール大会を特集する。


[週刊ファイト6月8日合併号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼東京-名古屋350km昼夜大移動!後楽園で感じたダイニチの底力
 photo & text by 鈴木太郎
・デスマッチは1試合のみも、不満を感じさせぬ面白さ
・「設営~撤収までが大日本」という矜持
・東名ダブルヘッダーでも変わらない、大日の活気溢れる姿
・完全決着戦!野村卓矢&阿部史典タッグ王座V7 岡林裕二&関本大介
・スウェーデン新鋭エンデル・カラ、梶トマト下しJr王座挑戦表明トリオ戦
・浜亮太ストロング王者青木優也圧殺!王者”逆指名”で次回防衛戦決定
・橋本大地&神谷英慶-加藤拓歩&鈴木敬喜 タッグ連携の妙で大地勝利
・今大会唯一のデスマッチ宮本裕向ムーンサルトプレス星野勘九郎下す
・負けても吉田和正の精悍さと身体つきに進歩見た後楽園オープニング


■大日本プロレス 『東京・後楽園ホール大会』
■日時:2023年5月28日(日) 11:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:未発表

 2023・5・28、大日本プロレスが前代未聞の興行を開催した。
 昼の後楽園ホールと夜の名古屋ダイヤモンドホールをダブルブッキングしてしまったという大日本プロレスは、どちらか片方をキャンセルするのではなく、両方の興行を開催するという、類を見ない試みを行ったのである。

 直近では、2021年12月に後楽園ホール大会と商店街プロレスを同時間帯に開催した実績を持つ大日本プロレスだが、今回は東京~名古屋の移動距離およそ350km(!?)。
 そんなタイトなスケジュールのせいか、大日本プロレスのアイデンティティとも言えるデスマッチは、第2試合に組まれた有刺鉄線ボードデスマッチのみ。
 レフェリーに関しても、主戦を任されるマック竹田レフェリーが名古屋の先発班を任された関係上、休業中だったフランク篤レフェリーが今大会に特別参戦。難なく2試合を裁いてみせた。

 極めつけはメインイベントである。夜の名古屋大会を控えているにもかかわらず、昼の後楽園ホール大会では、BJWタッグ王座戦『野村卓矢&阿部史典vs.関本大介&岡林裕二』の時間無制限完全決着戦が組まれたのだから。こんなルールになったのも、2023年の2月と4月に対戦した際、それぞれ両者KOと時間切れドローで決着がつかなかったという背景によるものである。
 今大会で完全決着と銘打たれた両者の激闘は、実に35分以上にも及んだ。完全決着だからこそ踏み入れた未知なる領域の結末は、阿部が岡林から変型アームバーでギブアップを奪い王座防衛。それでいて、夜の名古屋大会では『野村卓矢vs.関本大介』、『阿部史典vs.岡林裕二』というカードが組まれたのだから凄まじい。

 あまりにも過密な移動日程ではあったが、この状況を誰よりも前向きに捉えていたのは、他ならぬ大日本プロレスだったのではないだろうか?
 メインイベントを勝利で飾った阿部史典は、試合後にマイクを持つと、岡林裕二達に向かってこのように叫んだ。

 「何早く帰って、名古屋に行こうとしてるんだよ。設営から撤収までが大日本プロレスだろ?」

 その言葉通り、大会後は選手達が残ってリングを片付けた上で名古屋行きの新幹線に飛び乗り、道場を構えている鴨居までリングを戻したのは登坂栄児社長だったという。その上、昼の後楽園大会終了後の物販も通常通り開いたのだから、このバイタリティには敬服の念しかない。
 大会後、熊川悠司リングアナウンサーは「名古屋に来られる方はまたお会いしましょう! 来られない方はニコニコ生放送(有料配信)を見てください!」とアナウンスし、登坂栄児社長は「名古屋まで持っていけないこの商品!」と叫びながら精力的に物販へと立った。スタッフもチラシを配りながら「名古屋で待ってます!」と観客に声をかける。

 東名ダブルヘッダーでも、目の前に展開されていた光景は普段と変わらない、大日本プロレスの活気溢れる姿そのものだった。スタッフや選手、参戦選手の逞しさに、ダイニチの底力を見せつけられたのである。

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