NPB史上、稀に見る大混戦の優勝争いとなっているパシフィック・リーグ。激しい首位争いの真っ只中、2連覇を狙うディフェンディング・チャンピオンのオリックス・バファローズに強力な助っ人が現れた。
9月17日(土)、京セラドーム大阪でのオリックス・バファローズvs.福岡ソフトバンク ホークスの首位攻防戦で、スタン・ハンセンが特別始球式を行ったのである。
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▼[Fightドキュメンタリー劇場 32]ハンセン・プロレスの原型!1977年9月「猪木vs.ハンセン」
スタン・ハンセンと野球の深い関係
スタン・ハンセンといえば、アメリカン・フットボールの元選手として有名だが、実は大の野球ファンでもある。少年時代、アメフトと共に野球もプレーしており(アメリカでは高校ぐらいまでは2つ以上のスポーツを掛け持ちするのは珍しくない)、ポジションはピッチャーやファーストを守っていたらしい。
ハンセンがプロレスラーとなり、頻繁に来日するようになってからは、阪神タイガースの“史上最強の助っ人”ランディ・バースと仲良くなった。ハンセンは甲子園に阪神の試合をよく観に行ったという。
元:阪神でバースとチームメイトだった野球解説者の掛布雅之が、日本テレビの『全日本プロレス中継』にゲスト出演したことがある。
その時、掛布はハンセンの控室を訪れ、こんな会話を交わしたそうだ。
「やあ、あなたがハンセンですか? 僕はハンシンです」
「ミーとバースはイー仲だったよネ。だけどカケフさん、ユーとも仲良くしたウィー」
これは福澤ジャストミート朗アナがアテレコしたものだから、本当にこんな会話をしたのかどうかは定かではない。
さらに、ハンセンの息子であるシェーバーさんとサミュエルさんも野球をやっていた。しかも2人は高校時代、アメリカ選抜チームの一員として来日している。
そしてなんと、現在は中日ドラゴンズの左のエース、大野雄大と対戦した。大野といえば今年、阪神を相手に9回までパーフェクト・ピッチングを演じている(延長10回にヒットを打たれて完全試合およびノーヒットノーランは逃したが、完封勝ち)。
ハンセン・ジュニアは高校時代の大野からヒットを打つことはできなかった。後に大野が阪神をイジメるピッチャーになるのならば、ハンセン・ジュニアには打ってもらいたかったなあ。
兄のシェーバーさんは、アメリカでプロ野球選手にもなった。だが、残念ながらマイナー・リーグ暮らしでメジャー・リーグには上がれず、引退後はサラリーマンに転身している。
どうでもいいことだが、口髭がトレードマークのハンセンがなぜ我が子に『シェーバー』と名付けたのだろう? シェーバーさんにとっては母親で、ハンセンにとっては2人目の妻であるユミさんの「パパみたいに髭を生やしたら剃っちゃうわよ」という意味が込められていたのかも知れない?
▼現:中日の大野と対戦するシェーバーさん。ちなみに兄弟揃ってスイッチ・ヒッター
オリックスの先発投手(?)、スタン・ハンセンの第1球!
試合前までのパ・リーグは、首位がソフトバンクでマジック9。追う2位のオリックスはソフトバンクに3ゲーム差を付けられているという崖っぷちの状況だ。崖っぷち!? そりゃ未練のある奴が言うことだよ! おっと、これは天龍源一郎か。それはともかく、この日からのオリックスvs.ソフトバンクの3連戦で優勝の行方が決まると言っても過言ではない。
そんなオリックスを救うべく(かどうかは知らないが)、スタン・ハンセンが京セラドーム大阪にやって来た。
なぜ、自身がファンだという阪神ではなくオリックスの試合なのか? 今日の阪神は東京ドームでの読売ジャイアンツ戦で、ハンセンは大阪でトークショーがあるからかも知れない。
もっともオリックスも、ハンセンが大好きだという大阪のチームだ。2連覇を果たすべく、オリックスにはハンセンのロングホーンでテキサス魂を注入してもらおう。ウィー! いやユース!
▼スタン・ハンセン笑顔 「久々大阪のファンとの交流を楽しみにしている」
さて、いよいよ本番。お馴染みのカウボーイ・ハットを被り、オリックスのユニフォームを着たハンセンは入場曲『サンライズ』のメロディに乗って、京セラドーム大阪のマウンドに上がった。
ハンセンの必殺技といえば左腕のウエスタン・ラリアットだが、実は右利き。ハンセンの右腕から投じられた第1球は……、見事なストライク! そりゃそうだ、始球式はバッターが空振りしてくれるのだから。
さすがに73歳とあっては剛速球とはいかず、ボールは2バウンドしてようやくホームに届く。ハンセンが英語で両チームにエールを送った後、決めのロングホーン「ユース!」の雄叫びが京セラドーム大阪の屋根に響き渡った。
試合の方はオリックスの『本当の先発投手』エース山本由伸が、6連勝中で絶好調のソフトバンクを見事に完封。ソフトバンクのマジックは9のままだが、ゲーム差は2に縮まり、いよいよペナントの行方は判らなくなった。
これはやはり、スタン・ハンセンの気迫が山本由伸に乗り移ったのだろう(かな?)。
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▼“不沈艦”スタン・ハンセン密着ラジオ番組~京セラドーム見事な始球式
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