アントニオ猪木氏が5月22日、青森・十和田市の蔦温泉において、2019年亡くなった妻・田鶴子さんの納骨式とアントニオ猪木家の墓建立式が厳かに執り行われたとのニュースが流れてきた。そういえば一方の雄であるジャイアント馬場さんのお墓も兵庫県・明石市上ノ丸1に位置する慶長元（1958）年に開山した日蓮宗の本松寺にあると聞いてはいたので、五月晴れの日に思いきってお墓参りさせて頂く事とした。
事前にお寺に連絡すると、お墓参りなら特に境内敷地にお墓があるので自由にお参りして頂いてよいとの確認をした上で、お花を携え山陽明石駅よりお寺に向かう。歩くこと約10分、なだらかな坂の途中にお寺を発見、高台から見渡すと間近に瀬戸大橋がかかる美しい瀬戸内海が見渡せる。静寂な緑の綺麗な印象のお寺である。
新潟県三条市が生んだ世界のジャイアント馬場氏のお墓が明石市にある理由は、1955年（昭和30年）に巨人軍入りした馬場投手は、初の春の明石キャンプに参加。この地で先輩である千葉二塁手の誘いで連れていかれたのが、巨人の後援者であった伊藤氏のお宅であった。ここが馬場さんと結婚されることになる元子さんの実家であり、15歳と17歳の二人は出会いそして恋に落ちてゆく。
本松寺は元子さんの実家の菩提寺。父親を亡くし悲しみにくれる元子さんに、馬場さんがお父さんの横に二人で入る墓を建立しようと提案されて実現したとのことである。1999年に馬場さんが肝不全でお亡くなりになり、その遺骨を大切に自宅で保管されていた元子さんも2018年に肝硬変でお亡くなりになり、遺言通りお二人は仲良くこの地に納骨された。
馬場さんが亡くなり20年後にはお墓の墓前に、現役レスラーの時愛用されたリングシューズの実物大のモニュメントと、ジャイアントサービスのTシャツやバスタオルなどに印刷されたお馴染みの愛嬌のおる馬場さんのイラストが刻まれたプレートが両サイドに完成した。境内は広く正面階段を上がると右に墓地があるが、馬場夫妻のお墓は本堂を右に迂回した奥にあります。
一応、挨拶だけでもとチャイムを押すと、住職さんが馬場さんのお墓まで案内してくださいました。
まだ、時間も早いので県立明石公園にも足を延ばす。親子連れが憩う正面入り口奥の西芝生広場に、白御影石の大きな碑が立って入るのが目に入る。高さは2メートル9センチ。そうジャイアント馬場さんの背丈と同じ高さである。阪神・淡路大震災を忘れないようにと全日本プロレス代表だった馬場さんが、妻の出身地の縁もあり1998年に興行で募った震災義援金を明石ロータリークラブに寄付され、建立された。
明石でも死者26人、負傷者1745人の大きな被害があり、明石の震災を忘れないようにとの馬場さんの願いがこもった碑は永遠にこの地に記憶される。
今回の旅を通してジャイアント馬場さんの人間としての偉大さ優しさを痛感させられた。私自身、ゆうなら猪木派であり馬場さんとの接点は少なかった。昭和44年、初めてプロレス会場でみた馬場さんの後ろ姿の大きさに圧倒され、翌年の7月、ドリー・ファンク・ジュニア相手にインターナショナル選手権を賭けた試合では真夏の上に超満員の観衆、その上テレビの照明ライトの中でリング上は40度を超す中での52分35秒の大死闘を展開、試合中“お母さん、助けて・・・”と叫ぶほどの熱戦で試合後、控室に戻る手前の部屋でダウン、若手選手が馬場さんの体にホースで放水すると徐々に生気を取り戻す場面にも遭遇する。
昭和46年の年末には19度目のインター選手権においてジン・キニスキーに敗れ茫然とする馬場さん、初めて会話を交わしたのは羽田空港のロビーで友人の女の子が破れたジーンズを履いているのを馬場さんが見て、「そんなのお金だして買うのかい？」と色々問いかけられてきて、元子さんが「今のファッションなのよ！」と、馬場さんに悟らせていた場面などを思いだしながら明石の街を背にしました。
最後に元子さんが生まれ育った明石の町は播磨灘に面し、魚の棚商店街では新鮮な海産物を購入できます。そして、なんといっても市内に約70店舗はあるといわれるたこ焼きのルーツである玉子焼（明石焼）が大変美味しい明石の名産品です。
一度、プロレスファンならジャイアント馬場さんのお墓参りを兼ねて明石へいってみてはどうでしょうか！！
馬場、全盛時代の少年雑誌 控室でファンのサインに応じる馬場さん
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