[ファイトクラブ]AEW永田裕志MOX防衛、禿流血SCU解散、ミロTNT新王者Dアレン

(c) AEW

■ AEW Dynamite
日時:5月12日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス


 番組はジョン・モクスリーのIWGP US王座防衛戦から。永田裕志が「ゼァ!」と登場である。

 永田さんサービス全開だ。お約束の白目を剥くパフォーマンス、解説のエクスカリバーがSHIROMEとやるから、ありゃ、言葉がないのかと思ってわざわざ調べてみたが、確かにpeel one’s white eyesとかになってしまうようで、なるほどSHIROMEと実況するしかなかったんだと納得する(笑)。

 特筆すべきなのはMOXの入場曲が大仁田厚でお馴染みの♪ワイルドシングになったこと。ただ、現代のテリー・ファンクは新日本プロレスのストロングスタイルにも合わせられるところがミソなのだ。

 伊藤麻希は一人でジャクソンビルまで来たらしいが、永田さんにはLA道場から成田蓮がセコンドに付くだけでなく、客席にはロッキー・ロメロの姿もカメラが捉える。そしてパラダイム・シフト(日本ではデスライダー)が決まるとMOXがまず手を合わせ、日本の道場練習のような座礼をすると、永田さんも額をマットに着けてそれに応える。

 NAGATAさん、レパートリーを一通り披露出来てオープニングとして掴みはバッチりだった。会場には再びオリジナル盤の♪ワイルドシングが鳴り響いている。レトロやなぁ。


 たっぷり尺を貰ったCodyのプロモ時間は、分断社会のことや人種問題を取り上げたから正直、「へぇ~」と思った。まぁ誰もが知るように妻はブランディだから、生まれてくる子も混じることになるんだが、国内の話題偏重の日本の地上波のニュース番組しか見てないとビックリなんだろうが、米国はまだ暴動が続いている背景もある。すでにWWEと取引に応じて、コデイ・ローズ(日本の旧表記ローデス)を名乗る替わりに、親父の考えたWAR GAMESとかの登録商標をWWEに渡す和解がとっくに成立しているが、なんとCodyは、自分はもう「アメリカン・ナイトメアではない、アメリカン・ドリームなんだ!」と、歌舞伎役者の襲名披露口上をやったのは驚いた。このタイミングが最適と判断したんだろうなぁ。5・30『Double or Nothing』は元ボクシング五輪、腹パンチ一閃のアンソニー・アゴーゴーとの一騎打ちをブチ上げている。


 負けたら即解散を宣言していたクリストファー・ダニエルズとフランキー・ガザリアンのSCU。試合前に流された過去の写真からとかだと、ヤングバックスとはインディーやROHなどの巡業仲間だったことを詳しくない視聴者にもわからせる。つまり、これがどういう試合か、大人のファンは先に気が付いたのではなかろうか。

 恐らくは事実上の引退試合の覚悟で臨んだ元カレーマンのクリストファー・ダニエルズ、スーパーキックを受けて大流血になるんだが、ちょっとポタポタと激しいジュ―ス量になったこともあり、ガザリアンが一人で闘う羽目になったりもするんだが、これはLIVE中継にして全員がプロである。進行予定が変わろうが、セコンドのちょっかい役グッド・ブラザース含めて臨機応変に試合を作れるところがもの凄い。

 ガザリアンがスタイルズ・クラッシュやったりするんだが、もしかして「俺の方が先」は十分にありえることなのである。

 惜別のスーパーキックがパチン! 大流血で、本当にターンバックルで滑ったのかもだが、2度目のトライでダニエルズがコーナーから飛ぶ。みんなが泣いている。視聴者ももらい泣き。そしてダニエルズのポタポタ落ちる流血の顔に冷却スプレーの非情な場面へ。それでもカウントは2だ。


 日本語媒体である以上、永田さんをトップ画像にはしますが、感情移入度ではぴか一の「最後のダニエルズ」に泣け、泣け、泣け!
 BTEトリガーにダニエルズが沈む。タッグ史に輝くSCUは星となった。介錯人はヤングバックスでなければならなかったのだ。また、AEW創設以来のメンバーであるダニエルズの最後という一つのチャプターの終焉と、新日本プロレスの接近という新たな旅立ちの始まりが重なった。


 前週がBlood & Guts特番だったのでAEW平均視聴者数は約15万人減の936,000、前日NXTは約9万人減の761,000となったが、両方が素晴らしい内容だったことの方が重要なのである。グローバル目線でマット界を批評するなら、NXT-AEW競争がもっとも重要なプロレス番組であることにはなんの変更もない。

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