AEW再建回RフェニックスMジャクソンからインナーサークル分裂まで

(c) AEW

■ AEW Dynamite
日時:3月10日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス


 PPV大会『REVOLUTION』のカジノ・バトルロイヤルで優勝したレイ・フェニックスが、滅多にシングル戦をやらないマット・ジャクソンとの一騎打ちから。

 あえてこの手の合う二人の目まぐるしい攻防から番組をスタートさせて、質の高いプロレスをアピールしてみせたのは大正解だろう。レイのファイアーサンダー・ドライバーが決まり、いよいよ次はPACとのデス・トライアングル組が、タッグ王者ヤングバックスに挑戦という流れのようだ。

 さて、かのPPV大会のエンディング、リング爆発が不発だったことをどうネタにするかなんだが、なんか焼き肉店?のようなところでガスコンロを鉄板ナシで目一杯の炎を出して、そこでエディ・キングストンが「爆発すると思ってジョン・モクスリーを守ることにしたんだ」とか、先に言い訳を始めると、隣で寝ていた(笑)MOXが起きてきて「しょうがない」みたいなことを言うスキットに。ふ~ん、こうしたかというのはあるが、なんといっても絵的に収録した場の設定が笑える。実況も指摘するように、ガキの頃からのバディ二人なのである。MOXのとぼけたような仕草がいかにも「らしい」のだ。


 Codyがセス・ガーギスとかいう知らない選手に足四の字でギブアップさせるのはスクワッシュ・マッチもいいところ。ただ、ケガした肩にテープ貼ってきていたんだが、そこにペンタゴンが通訳を連れて出てきてスペイン語で挑発、英語でというやり方に。最後に「もうその肩で生まれてくる娘を抱けないようにしてやる」とやったから怒ったCodyが客席にいるペンタゴンにつっかかりというセグメントになったが、近くこの二人のカードということのようだ。

 ゲームセンターからの映像セグメントでは、チャック・テイラーがミロへの報復を誓う。オレンジ・キャシディ君はレースゲームかなにかの席に座ったまま寝てたんじゃないかと思うが・・・。チャックは「今度また負けたら一生、お前の執事になってやる」とまで毒づいていた。


 PPV後に新たなチャプター開始だから、今後の展開のアングルが次々と仕込まれる回なんだが、スティングがリスク・テイカーであるダービー・アレンとのタッグでの勝利を祝っていると、ランス・アーチャーが(PPVのカードだった)「ラダーマッチなんか俺には要らない。お前ともやっている」と、ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツとともにスティングのセグメントに横槍で出てきていた。『REVOLUTION』のは撮り直しで長時間作り込んだ映画仕様マッチだったからいいが、ランス・アーチャーと通常のプロレス試合をやるのだろうか?


 カジノ・バトルロイヤルでは途中で試合放棄、自ら帰ってしまっていた道場主のQTマーシャルはどうなるか。弟子のリー・ジョンソンが、いきなりそのバトルロイヤルでAEWデビューとなった元インパクト・レスリングのイーサン・ペイジに、レーザーズ・エッジで負ける試合では、いよいよ不甲斐ない弟子に怒ってと親父のヒールターンが鮮明に。こちらはダスティン・ローズ(旧表記ローデス)とのナイトメア・ファミリー亀裂物語に移行のようだ。


 ケニー・オメガの登場は、電流爆破デスマッチの時はあえて呼ばなかったのに、今回は4人のホウキ持ったチアガールズ出演での花道入場、しかもドン・キャリスだけでなくアンギャロのグッド・ブラザースも最初から一緒である。当然、リング爆破の不発にも触れないわけにはいかないのだが、そこは「MOXとキングストンの無様な姿を見れた」と、本当は裏方の責任者なのにうまくごまかしていた。
 ここではバカにされたキングストンの扱いが焦点のスキットになり、キャリスが「お前はチャンスやっても肝心のところでしくじるから、インパクトでは解雇したんだ」とガチ話に持っていく。「10数えるウチにここから出ていけ」とやって、花道上のスクリーンにもカウントダウンが始まる。どうするのかと思っていたら、0になってもキングストンは動かないから、キャリスは例のMOXにかぶさって身を挺する、今となってはお笑い場面を再現してみせてさらにコケにするんだが、ありゃ?いつの間にキングストンが悪いということになっているのか。

 そうこうしていると、新リングネーム、クリスチャン・ケイジの音楽が鳴ってとなり、ケニーと一触即発となるが、キャリスがケニーの足を引っ張ってリング下に降ろしてしまう。リングに残ったのはクリスチャンとAEW世界王座のベルトとなり、クリスチャンがベルトを持ってと、どうやら近く、ケニーとの対戦ということのようだ。


 予告されていた女子6人タッグ、伊藤麻希の入場に時間が与えられて例の日本語の歌をやりながらをそのまま米国でやったのは、AEWのファンは日本マニアも多いということなんだろうが・・・。その伊藤とナイラ・ローズ w/ビッキー・ゲレロ、ブリット・ベイカー w/レバのヒール組と、志田光&サンダー・ロサ&水波綾のカード、なんかイマイチ噛み合ってなかったような。本間朋晃のこけしは最初のがよけられ、二度目は命中なんだが、ちゃんと実況エクスカリバーは「KOKESHI~」と叫んでいた。

 水波は小島聡のチョップ連発や、ロープ引っ張るパントマイム芸を再度披露。志田はあまり出番ナシという試合構成に。東京女子プロレスで伊藤とロサが王座賭けて闘っていたから、この二人の絡みでファイアー・サンダードライバーが伊藤に決まるケツだったが、綺麗にはフィニッシュ出来ていない。勝ったロサには、Dr.ベイカーD.M.D.がロックジョーを見舞っていたから、次はこのカードなんだろう。


 スコーピオ・スカイはラダーマッチ金輪ゲットのご褒美で、さっそくダービー・アレンのTNT王座に挑戦。途中、アレンの「足ケガしてます」セールが始まるが、この試合ではなく、かの映画仕様マッチで痛めたのをここでやっているのだろうか? 中身は良くて、アレンの得意のコフィンドロップを、そのままスカイがパワーボムにするなど、練られた構成にはなっている。

 最後はTKOを切り返してアレンが丸め込んでのフォール勝ち防衛に。但し、終わってからその痛めている足にスカイがヒールフックをかまして、複数の役員らが止めに入っても離さないというヒール全開モードをアピールしていた。番組最初の試合中、客席のSCU(フランキー・ガザリアン&クリストファー・ダニエルズ)が「タッグ部門1位」と実況が繰り返していたが、スカイはSCUから離脱なんだろう。


 番組トリは、インナーサークルの作戦会議というお題目である。PPV含めてマメに見てない限り、ライト層にはやや複雑だったんじゃないかと思うのだが、まずはクリス・ジェリコ親分が「最近のインナーサークルは下降気味!」との自嘲マイクから。だから「新たなメンバーを加えるか、誰かをクビにするか」とやるんだが、インパクト・レスリングの収録に参加しながら出ないままになったサミー・ゲバラが戻ってきて、控室に仕掛けた秘密の録画テープで、MJFがサンタナ&オルティーズたちと、ジェリコ親分を追い出す相談をしている映像を暴露する展開に。

 そこはいったんMJF側に付くと思われたサンタナ、オルティーズ、ジェイク・ヘイガーが、あっさりジェリコ側に寝返って、親分も「俺たちは毎日連絡取り合っているんだゾ」と、すべてお見通しだったとMJFを追い詰める。しかし、策士のMJFは、そんなこともあろうかと別の派閥を造っていたとやり返し、出てきたのはFTRにウォードロウ&ショーン・スピアーズ w/タリー・ブランチャードという新たな軍団が入ってきて、ジェリコたちを襲撃する。

 これでジェリコ組はべビーフェイス・ターンに。MJFはダイアモンド・リングをはめた拳でジェリコの額を叩き割り、流血のジェリコは花道上段に連れていかれ、ウォードロウのパワーボムで下の黒幕で覆われたテーブルに叩きつけられた。
 もっともそのテーブル、明らかにクッションのパッドが入ってるのがわかってしまうシロモノで、そりゃ50歳になったレジェンドに配慮なんだろうが、やや興ざめだったかも。いずれにせよ、インナーサークル分裂となる幕切れであった。


※月額999円ファイトクラブで読む(クレジットカード、銀行振込対応)
▼AEWなんじゃこりゃ?爆破デスマッチ他課題露呈REVOLUTION失策回

[ファイトクラブ]AEWなんじゃこりゃ?爆破デスマッチ他課題露呈REVOLUTION失策回

▼Commandジュリア!NJCUP-鈴川真一逮捕-映画『グラディエーター』

[ファイトクラブ]Commandジュリア!NJCUP-鈴川真一逮捕-映画『グラディエーター』

※500円電子書籍e-bookで読む(カード決済ダウンロード即刻、銀行振込対応)
’21年03月18日号NJcup鷹木SANADA 戦士ジュリア Assemble 不発AEW革命 ノア Jewels