AEW志田光Tコンティ白熱攻防2大王座戦ジャングルボーイDアレン

(c) AEW

■ AEW Dynamite
日時:4月21日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス

 今回はLIVE放送回。作る側からAEWを分析する場合、冒頭、真ん中、トリの3つのカードをまず決めることから構成を始めて、最後のが始まる時間は毎週ほぼ一緒で台割りプロデュースされている。そもそもプロレス番組3時間は長すぎる問題はともかく、RAWは3時間目に視聴者数が必ず落ちてしまうので、2時間番組をライト層に飽きさせないで持続させるには、まず強力カードを3つ揃えるというのは順当だろう。また、TNT局に関するなら、今の期間だけのトライアルであるがDynamite終了後に『ONE on TNT』の編成となっており、番組中に解説席のエクスカリバーが「ワカマツvs.マクラーレンのフライ級・・・」と告知していた。確かに「ワカマツ」と発せられたのだ。但し、AEWはマスコミへの公式写真配布が現地の翌日以降であり、そのONEやWWEと比べて異常に遅い欠点があるのだが・・・。


 その重要な第1試合はハングマン・ペイジvs.リッキー・スタークスのキビキビとした展開から。変形のブルドック・チョークにリッキーがタップとなるが・・・。

 タズ軍団がなだれ込んできて、一方でダークオーダー軍も救出にと、この辺りは定番の流れとなる。


 ややこしくなるので本誌はペンタゴン(ペンタ・セロ・ミエド)にしておくが、スペイン語通訳兼マネージャーのアレックスが、復帰したトレント・バレッタ(テロップ上は「トレント?」なんだそう・・・)に「お前の母ちゃんでべそ!」とやるから、名物トレント・ママのスーさんのことが出てきたら試合は荒れるという・・・。

 危険度もある激しい攻防には違いない。ただ、作る側から辛口評するなら、そのアレックス含めて選手たちに試合デザインさせているからロジック的にオカシイ箇所もある。フィニッシュはパッケージ・ドライバーだった。

 クリス・ジェリコからはパイナップルとバカにされるMJFのピナクル軍が集合してイスに座ってインタビューに答えるセグメントがここで挿入。選手に任せるAEWの悪いところだが、一般視聴者にはわからない業界用語「マーク」を多用して、しゃべりは100点満点なんだがMJFが「俺がマークなのはジェリコのポジションに関してであって・・・」とやるのは、果たしてどこまでお茶の間に理解されたのであろうか? 「打倒!格・序列」は大人のファンには大笑いなんだが・・・なにしろLIVE中継だけで100万人以上が見ている一般向け番組なのである。


 剣道家vs.柔道家だからなのか、注目の志田光vs.タイ・コンティ女子王座戦は握手と見せかけて両者お辞儀から。礼に始まり礼に終わるんです。

 前出の重要な「真ん中」カードであり、NXTでは芽が出ずお払い箱にされたタイ・コンティの試金石カードだったわけだが、視聴率取ってるダービー・アレンのTNT王座戦がトリに回ったことで、大人のファンには防衛戦のケツはわかったかも。ただ、問われたのは内容であり、タイは十分にスターになれることを証明した白熱の試合に。期待通りに本誌認定ベストマッチ賞なのであった。

 クリスチャンとか、すでに名前のある選手を獲得しては後発団体の常とう手段だが、コンティがお茶の間にも認知されたとなると、それは本人の向上もあるがAEWのプロデュース能力が褒められることになる。

 回転してのヒザ蹴りKATANAをブチ込んでの志田の防衛。出てきたのはAEW Darkの勝率も含まれてのランキング1位Dr.ブリット・ベイカーD.M.D.である。次がこれで確定した。


 ピナクル軍のはバックステージ収録だったが、インナーサークルはクリス・ジェリコの入場曲合掌があるからリング上でのアピールに。AEWが『Blood & Guts』とテーマを決めた目玉番組は現地5月5日、日本的な表記だと両軍の「全面戦争」決行となった。


 QTマーシャルとビリー(・ガンと表記するとWWEから登録商標違反になる)のシングル戦も挿入。QTのダイアモンド・カッターがフィニッシュではあるが、先週回が実質デビューだった五輪ボクシングのアンソニー・アゴーゴー、ナイトメア・ファミリーだったがQTと仲間割れになったダスティン・ローズ、QT派閥コモロトらも絡む顔見世進行にしてあった。もっとも「冒頭、真ん中、トリ」の番組構成セオリーからは、専門記者の集中力も切れて中ダレしてしまう順番になる。


 外ロケ映像なんだが、ジョン・モクスリー&エディ・キングストンがエリート軍トレーラーを襲撃するも、間一髪で逃げていたというスキットも挿入。AEWにすれば「NXTと競争してるんじゃない、打倒SmackDown-RAW」なんだろうけど・・・。漫画のようなコントはやるんです。


 クリスチャン・ケイジがパワーハウスのウィル・ホッブスをキルスイッチで仕留めるカードは、クリスチャンの職人ぶりを魅せるデザインになる。ただ、3時間番組のRAWよりも、AEWの方が毎回、詰め込み気味に沢山の選手を登場させるやり方には批判もあるのだが、対比としては指摘してく必要があろう。


 トリがダービー・アレンのTNT王座防衛戦。ベビーフェイス対決になるが、ターザンボーイとの若手同士、元WWEとかに頼ってないところが大きなミソになる。中年女性客にも受けている二人の対決ケツはラストサパーでの防衛だ。

 重ねてAEWは多人数でごちゃごちゃやり過ぎの嫌いが残るが、今回はイーサン・ペイジとスコーピオ・スカイが乱入、救援にランス・アーチャー、もとからアレンのセコンドに付いていたスティングの出番となるんだが、どうやらアーチャーとスティングは組む方向のようだ。


 平均視聴者数NXTは先週比36000人増(+4.5%)の841,000に対して、AEWは1,104,000と先週より115,000減(-9.4%)となるも大台をキープしている。好調には違いない。


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