(c) AEW 編集部編
■ AEW Dynamite
日時:4月14日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス
先週木曜夜に収録された録画番組。なので引き続きマイク・タイソンが出演、MJFが好きな金額書けとブランク・チェックを差し出し買収しようとするが、破って口に入れてとタイソンのキャラ全開に。終いにはなんと名誉職扱いながらインナーサークル入りも果たし、サービス満点で前週以上にアチコチのセグメントに登場したのが一般向き対策か。それにしても途中の会場花道入場の際の電光掲示板は「マイク・タイソン、ブルックリン」であり、もうとっくに住んでないよとも思うんだが、未だに世間的にはブルックリンなのだろうか。
番組としてはヤングバックス初心表明というか、AEWのロゴとか出る前にいきなりのしゃべり場面から始まり、内容は原点回帰宣言だった。試合の衣装としてもシルバーと白を基調としたコスチュームを新調、手の合うデストライアングル(フェニックス&PAC)とのタッグ王座戦から。
いやもう目まぐるしいハイスポット・フェスであり、Old Schoolの関係者や選手には批判もあるのだが、ヤングバックスは昔のようにやるとばかり開き直ってる。バックスはプロレスのシューズをはかずナイキであり、靴底にはDIORディオールと書いてあって、高級品なんだという強調なのか。それにしてもスピード全開の凄い試合になり、最後はフェニックスのマスクを剥ぎ取って、坊主頭が見えて顔を手で隠したところにダブルスーパーキックを決めての3カウント王座防衛! お見事と誉めるしかない。
シャキーラ・オニールと組んでの男女混合戦が実質デビューだったムキムキ女ジェイド・カーギルが、フェイスバスターでレッド・ヴェルベットを下すカードも。
ボクシングで五輪選手だったというアンソニー・アゴーゴーのデビュー戦が組まれ、知らない選手を腹パンチ一発でKO。そりゃそうなるわなぁ。なんでもボクシングではミドル級だったとかで、今はゴツいヘビー級のようなんだが・・・。
クリス・ジェリコとFTRダックス・ハーウッドのシングル戦が、マイク・タイソンの立会人というか、エンフォーサーという肩書でリングサイドにいて、FTRのキャッシュ・ウィラーがチェアやバットを持ち出しても、ダメだと奪い取る役割。AEWは以前から、マスコミに配る公式写真の選択が恣意的、意図的なことがあるんだが、先週はOKだったのに今回はこのカードごとナシに。
Tonight in one of the BIGGEST matches EVER on #AEWDynamite & a #BloodAndGuts preview, @IamJericho picked up a win for the #InnerCircle over @DaxFTR, & @CashWheelerFTR found out that the Special Ringside Enforcer Iron @MikeTyson, is STILL the #BaddestManOnThePlanet! pic.twitter.com/UKzmTIJZcE
— All Elite Wrestling (@AEW) April 15, 2021
まぁ試合内容は予想通りのもので、職人ダックス・ハーウッドのお仕事。ちょっかいを出すキャッシュ・ウィラーにタイソンが一発見舞うという・・・。フィニッシュはジェリコのジューダスエフェクトでした。
めでたく(?)鉄人のインナーサークル入りが祝われている。初めてAEWを見た方にはジェリコ軍との絵になって良かったかも。
ケガで欠場していたETポーズをやる異星人クリス・スタットランダーがちょこちょこ顔出し始めていたが、アンバー・ノヴァとかいう選手をひとでなしドライバーでスクワッシュする試合は、11ヶ月ぶりのリングなんだそうだ。ちなみにクリスはベストフレンズ軍である。
WWE名クリスチャン、AEWではクリスチャン・ケイジの次の相手はタズ軍のパワーハウスであるウィル・ホッブスのようだ。
番組トリがダービー・アレンのTNT王座防衛戦。相手が狂人マット・ハーディとなれば、ハチャメチャになるのはお約束だ。ハーディ軍のブッチャーが投げつけたスティール製ゴミ箱はモロにダービー君の頭を直撃していたし、当然にスティングも救援に駆けつける展開に。雑魚どもを蹴散らすのはともかく、例によってランス・アーチャーとはにらみ合いだけでお互いに手は出していない。
最後は照明の高台によじ登ってのコフィンドロップで王座防衛。危ないことをする若きチャンピオンなのだった。
マット界中心軸NXT-AEWシフト前兆!Dynamite大記録121.9万人
いよいよマット界の地殻変動がデータ数字にも顕著になってきた。AEW Dynamiteの平均視聴者数が100万人の大台突破だけでなく1,219,000を記録したからだ。先週比では53万人もの驚愕ジャンプ+77.2%である。また、18-49歳の最重要デモグラフィックスは視聴率で0.446%となり、先週比だと+57.1%となった。また予想されたことではあるが、WWEにロイヤルな信奉者が多い50歳以上のデモグラフィックとなると、現地水曜夜に裏番組がないとなればAEWを見てみようとなるのは自然の流れ。こちらはなんと+108.3%もの驚異的な倍増以上となった。
一方現地火曜夜に移行したNXTも、平均視聴者数805,000を出して約37万人増(+4.8%)となっている。『NXTテイクオーバー:スタンド&デリバー』2日間のあとを受けた回なので、こちらは驚きではない。
よくわかってない媒体が安易に「マイク・タイソン効果」を指摘しているが、それは違うと考える。なにしろタイソンは先週から出ているのだ。むしろ意外に思うかもだが裏番組の食い合い要因に加えて、『レッスルマニア』浸透効果なのである。例えば日本だと、松山英樹のマスターズ制覇の快挙はゴルフに興味なかろうが一般ニュースで自然と目に付く。米国だとプロレスはメジャーであり、レッスルマニアともなればニュースでアチコチに取り上げられるから、お茶の間の話題となったそのあとのタイミングで、一般家庭に普及している日本の感覚からは地上波と同じようなチャンネルをそのまま1から20台にフリップしていけば、簡単に見られるTNT局でプロレスやっていたら、そりゃ見てみようかとなる次第である。
まして番組が、ヤングバックスの倍増スピードで展開する試合からとなれば、年に一回『レッスルマニア』だけは見るといったライト層でも、選手の名前知らなくとも「なんだこれは?」と、新しいプロレスにびっくりするだろう。「こんなプロレス見たことない」となり、そのまま2時間最後まで見てしまうのではなかろうか。
NXT-AEWはレッスルマニアとは違う世界観のプロレスである。では、同じく直接的にレッスルマニアの結果を知りたいと、RAWを見た方が202.6万人に増えるのだが、専門媒体的には内容はお粗末だったと評さざるを得ない。比べてよい数字とそうでないものがあり、「いくらAEWが100万人突破だろうと、RAWはその倍あるじゃないか」と単純に思うのかもだが、それも違う。なにしろRAWはテレビ業界最長不倒のロングラン番組であり、そんな1年や2年ごときで、長年の月曜夜のテレビ習慣が変わるものではないからだ。ましてやプロレスファンは一般的に保守的な傾向なこともある。
本誌は『水曜TV戦争』開始から一貫して、「グローバルなマット界で最も重要なプロレス番組はNXT-AEWである」と繰り返してきたが、いよいよタイムラグを経てライト層も目覚めだしたことがデータに出てきたことになろう。また、安易な「曜日を変えて正解」論議も間違っている。同時刻に裏番組を意識しながら熾烈に競争したからこそ質の向上がなされたのであり、激突がなければ今の数字はなかった。
今回の数字結果を受けて、もっとも影響を受けるのは曜日が変わろうが競争の続くNXT-AEWではない、SmackDown-RAWなのだ。来週のRAW視聴者数は大幅に落ちるだろう。ファンがなにを求めているかを学習しないなら、長寿番組の伝統にあぐらをかくことは出来ないのだ。
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’21年04月22日号レッスルマニア特集 春姫スターダム開幕 新日本キック 新章NXT-AEW