鷹の爪大賞2020~安威川敏樹編・コロナの中の1年~

[週刊ファイト12月17日号]収録

▼鷹の爪大賞2020~安威川敏樹編・コロナの中の1年~
 by 安威川敏樹
・MVPはEVIL!(伊佐山大賞)
・敢闘賞は中嶋勝彦!(大和田賞)
・最強賞は那須川天心!(炭治郎賞)
・レディース賞は紫雷イオ!(禰󠄀豆子賞)
・ベスト・パフォーマンス賞には秋山準!(レコード大賞?)


 世界中が新型コロナウイルスに振り回された2020年だった。そんなコロナ禍の1年となった中での『鷹の爪大賞』である。
 もっとも、コロナがあろうがなかろうが、安威川敏樹が選ぶ鷹の爪大賞なんて、まともであるはずがないのだが。そこは毎年恒例なので許されたし。

photo by ARIKIN


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MVPはEVIL!(伊佐山大賞)

 今年のテーマは『裏切り』である。マット界でも様々な裏切りが起こった。
 中でも最大の裏切りは、新日本プロレスで起きたEVILのケースだろう。7月11日、ニュージャパンカップ決勝でEVILがオカダ・カズチカを破り、優勝した後にLIJ仲間の内藤哲也をリング上に呼び寄せるも、EVILは内藤にまさかのEVILを見舞う。
 EVILがLIJを裏切ってバレットクラブ入り。さらに、翌12日も内藤を破って二冠王に君臨した。

 しかし、悪いことはできぬもの。8月29日の東京・明治神宮球場では内藤の返り討ちに遭い、G1クライマックスでのEVILはLIJ時代のタッグ・パートナーだったSANADAに敗れ、決勝進出ならず。やはり『水戸黄門』と同じく、プロレス界に悪が栄えることはなかった!

▼EVILはLIJ仲間だった内藤哲也にEVILをお見舞いするという暴挙に出た

 筆者は今年、大ヒットしたドラマ『半沢直樹』の登場人物にプロレスラーを当てはめるという記事を書いたが、その際にEVILを伊佐山部長(市川猿之助)に例えた。
 伊佐山は、かつての親分だった大和田(香川照之)を裏切り、「土下座野郎!」と罵る。しかし、その後は不正がバレて、悪の巣窟である電脳雑伎集団へ飛ばされた。やはり悪は滅びるのだ。
 伊佐山は全10話中、半分に満たない4話しか登場していない。にもかかわらず、伊佐山のインパクトは強烈だった。伊佐山を演じた市川猿之助は、バラエティ番組に出演すると未だに「お前の負けぇーーー!」などと伊佐山のセリフを言ってくれる。

そのインパクト故に、EVILを2020年のMVPとし、さらに副賞として『伊佐山大賞』を贈ろう。

▼鷹の爪大賞2020のMVPはEVIL、副賞は伊佐山大賞!

敢闘賞は中嶋勝彦!(大和田賞)

 今年のテーマは『裏切り』と書いたが、プロレスリング・ノアでもそれが起きた。8月30日、中嶋勝彦がタッグ・パートナーの潮崎豪を裏切り、AXIZがタッグ解消となったのである。そして、中嶋は金剛の一員となった。
 中嶋が裏切ったのは潮崎だけではない。筆者をも裏切ったのだ。
 何しろ筆者は、去年の鷹の爪大賞で、AXIZをベスト・タッグ賞に選んだのである。これでは筆者のメンツは丸潰れではないか。AXIZのことを「『名タッグ屋』になる可能性」なんて書いたのだから、アホ丸出しである。

 これに似た状況は、『半沢直樹』で言えば大和田だろう。大和田は不俱戴天の敵である半沢直樹(堺雅人)と手を組むという、大裏切りをやってくれた。視聴者をも騙したのである。
 中嶋をMVPにしようかとも迷ったが、やはりEVILの方が裏切りの時期が早く、インパクトも絶大だったからMVPはEVILに譲った。
 よって、中嶋には敢闘賞として『大和田賞』を贈呈する。

▼敢闘賞は『大和田賞』として中嶋勝彦。AXIZの再結成は「死んでもヤダねー!」

最強賞は那須川天心!(炭治郎賞)

 今年も福岡ソフトバンク・ホークスは強かった。何しろ“球界の盟主”読売ジャイアンツに、2年続けて4タテの日本一である。ホークスこそ『鷹の爪大賞』に相応しいのではないか。残念なのは、能ある鷹は爪を隠すものだが、ホークスの場合は爪を見せびらかしているという点だ。

 格闘技界で、ホークス並みの強さを発揮したのが那須川天心である。今年の天心は3戦3勝(鷹の爪大賞の受賞範囲で言えば4戦4勝)、プロ入りしてからの連勝を42にまで伸ばした。もちろん無敗である。
 そんな天心が、遂にボクシング転向への希望を口にするようになった。その理由は「キック界には、なかなか敵がいないから」。このまま天心の独走状態が続いたら、格闘技界は最大のスターを失うことになる。もっとも、ボクシングだって格闘技なのだが、日本で『格闘技』というと、なぜかボクシングは含まないことが多い。

 天心がプロ入りしてから敗れた相手は、フロイド・メイウェザーJr.ただ一人。エキシビション・マッチのため、公式記録には含まれていないが、ボクシング・ルールだったとはいえ引退したボクサーに手も足も出なかったのは(まあ、足は出せないルールだったが)、天心にとってショックだっただろう。それがボクシング転向希望への引き金になったのかも知れない。

 しかし、キック界では無敵ということで、天心には最強賞として、漫画『鬼滅の刃』の主人公である竈門炭治郎にちなんで『炭治郎賞』を贈ろう。
 炭治郎のごとく、今はキックボクシングに『全集中』してもらいたい。

▼最強賞の那須川天心には『炭治郎賞』
(c)RISE

レディース賞は紫雷イオ!(禰󠄀豆子賞)

 女子部門では、紫雷イオを推したい。6月7日にはNXT女子王座にも就いた。本誌の表紙でも、紫雷イオが数多く起用されたのである。

 その容姿とは裏腹に、鬼のようなファイト。女性で鬼と言えば……、そうだ、竈門炭治郎の妹である竈門禰󠄀豆子だ! 『鬼滅の刃』で、心優しい美少女の禰󠄀豆子は鬼にされてしまう。
 紫雷イオこそプロレス界の禰󠄀豆子である。したがって、今年のレディース賞には紫雷イオ、副賞として禰󠄀豆子賞を贈りたい。

 それ故、今後ファイトする際には、禰󠄀豆子のように竹をくわえてもらおう。さもないと、鬼として相手レスラーを食らいかねない!?

▼レディース賞の紫雷イオは禰󠄀豆子賞も受賞
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ベスト・パフォーマンス賞には秋山準!(レコード大賞?)

 今年のベスト・パフォーマンス賞には秋山準を選ぼう。DDTプロレスリングにレンタル移籍した秋山は、スーパー戦闘ユニット『準烈』を結成した。そう、今年のNHK紅白歌合戦に3年連続出場予定のスーパー銭湯アイドル・グループ『純烈』をもじったユニット名である。

 準烈のリーダーは、秋山ではなく大石真翔で、秋山はリード・ボーカル。他のメンバーは、渡瀬瑞基が特攻隊長で岡谷英樹は鉄砲玉だ。なんだ、音楽に関係しているのは秋山だけじゃないか。

 しかし漢字が違うとは言え、読みは純烈と同じなのだから、これはパクリとも言える。そこで秋山は、承認を得るべく純烈の事務所に出向いた。本家の純烈は「紅白を目指すこと」を条件に、秋山らが『準烈』と名乗ることを許可。晴れて新ユニット『準烈』が誕生した。

 よって、秋山にはベスト・パフォーマンス賞を贈ると共に、『レコード大賞?』も授与する。準烈が解散した場合、本家の純烈は『訳あって』メンバーが1人脱退したから、秋山が新メンバーになる可能性があるかも!?

▼ベスト・パフォーマンス賞の秋山準が目指すのは紅白出場、そしてレコード大賞?

 以上、鷹の爪大賞2020の安威川敏樹編をご覧いただいた。異論はあるだろうが(というより異論だらけだろうが)、何にせよコロナのおかげで今年はまともに観戦できなかった人も多かったに違いない。
 来年はコロナが終息することを祈って、除夜の鐘を聴くことにしよう。


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