鷹の爪大賞2019~令和初・安威川敏樹編~

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[週刊ファイト12月12日号](12月6日発売)収録

▼鷹の爪大賞2019~令和初・安威川敏樹編~
 by 安威川敏樹
・MVPは中邑真輔!(どん兵衛大賞)
・ベスト・タッグ賞は中嶋勝彦&潮崎豪!(1+1=?賞)
・功労賞はザ・デストロイヤー!(足4の字固め賞)
・マルチタレント賞は藤波辰爾!(炎の飛龍賞)
・インディー部門MVPはBen-K!(ニュー・マッチョ・ドラゴン賞)


 今年も『鷹の爪大賞』の季節がやって来た。皆様も、この賞を目にするたびに「ああ、今年ももう終わりなのか」と感慨にふけるだろう(そんなに大層なものか?)
 本誌読者ならご存じの通り『鷹の爪大賞』は普通のプロレス大賞と違い、本誌ライターが各々独断と偏見で勝手に選ぶというコンセプトだ。したがって、ありきたりな選出とはならない。

 わたくし安威川敏樹も『鷹の爪大賞』を選ばせてもらった。異論もあると思うが(というより、異論がないとオカシイが)そこはご容赦いただきたい。


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▼[ファイトクラブ] 鷹の爪大賞2018 デザイン部門 BEST3 ~菊野克紀 自主興行 KAI 花月入場~

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MVPは中邑真輔!(どん兵衛大賞)

 筆者が選ぶ『鷹の爪大賞』MVPには中邑真輔を挙げよう。WWEに移籍して約3年半、今年の7月14日(現地時間)にはフィン・ベイラーを破り、WWEインターコンチネンタル王者に輝いた。同王座はWWE王座より1ランク下とはいえ、WWEにとって重要な選手になったと言っていいだろう。
 11月29日にはスマックダウン・タッグ王座の奪取はならず、残念ながらシングルとタッグの二冠王は逃したが、今後も活躍が見込まれる。

▼Black Friday SmackDown中邑真輔セザーロ組!シェイマス復帰

Black Friday SmackDown中邑真輔セザーロ組!シェイマス復帰

 2019年における中邑の日本での活躍と言えば、なんといっても日清『どん兵衛』のCMに出演したことだろう。中邑がどんぎつね(吉岡里帆)の尻尾に絡み、星野源に嫉妬されるという大役を演じた。さらに、どんぎつねに向かって「イヤァオ!」と叫んだのである。

▼中邑真輔が日清『どん兵衛』のCMに、どんぎつね(吉岡里帆)および星野源と共演

 よって中邑真輔にはMVPおよび副賞の『どん兵衛大賞』を贈ろう。さらに賞品として『どん兵衛』1年分……、は本人から日清食品に請求してください。

▼中邑真輔は日本テレビ『行列のできる法律相談所』にも出演した

ベスト・タッグ賞は中嶋勝彦&潮崎豪!(1+1=?賞)

 プロレスの特徴としてタッグ・マッチがある。テニスや卓球、バドミントンなどのダブルスに相当するが、他の格闘技ではあまり見られない試合形式だ。相撲のタッグ・マッチなんて、ややこしくて仕方がない。
 プロレスのタッグ・チームの中でも、ジャイアント馬場&アントニオ猪木の『BI砲』のようなエース同士が組むコンビではなく、実に味わいのある所謂『タッグ屋』と呼ばれるチームがある。1+1=2ではなく3にも4にもなるという、フェルマーの最終定理並みの超難問を有するタッグ・チームだ。
 日本で言えば、古くは山本小鉄&星野勘太郎の『ヤマハ・ブラザーズ』、グレート小鹿&大熊元司の『極道コンビ』、外国人タッグならミル・マスカラス&ドス・カラスの『マスカラス・ブラザーズ』、ダグ・ファーナス&ダニー・クロファットの『カンナム・エクスプレス』など。

 そんな『名タッグ屋』になる可能性を秘めたのが、プロレスリング・ノアの中嶋勝彦&潮崎豪の『AXIZ』だ。AXIZは今年の2月24日にGHCタッグ王座に返り咲き、その後は1度転落するも、現在は再び両者の腰にGHCタッグ・チャンピオン・ベルトが巻かれている。
 先日の12月3日には、中嶋勝彦vs.潮崎豪のパートナー対決が行われ、ムーンサルト・プレスにより潮崎が中嶋にピンフォール勝ちした。しかし昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友、AXIZはまた名タッグ・チームに戻ることだろう。

▼「おーいナカジマぁ! またAXIZ組もーぜ」(磯野カツオの声で読んでください)

功労賞はザ・デストロイヤー!(足4の字固め賞)

 今年も色々な名レスラーがこの世を去ったが、日本マット界に最も影響が大きかったのはザ・デストロイヤーことリチャード・ジョン・ベイヤーさんだろう。

 足4の字固めを武器に暴れまわり、力道山との対戦では平均視聴率64%を記録した。今年、日本中を沸かせたラグビー・ワールドカップの試合では、平均視聴率が最高で41.6%(関東地区)だったのだから、それよりも力道山vs.ザ・デストロイヤーの方が注目されたということになる。

 力道山の死後も、日本プロレスではジャイアント馬場やアントニオ猪木のライバルとなった。ワールド・リーグ戦の決勝でザ・デストロイヤーとアントニオ猪木が引き分け、ジャイアント馬場がアブドーラ・ザ・ブッチャーを破ったことにより馬場が優勝した。この優勝決定方法を不服とした猪木は、馬場の持つインターナショナル・ヘビー級王座への挑戦を表明、日本プロレス分裂の引き金となったのである。
 その後、馬場が日本プロレスから独立して全日本プロレスを興し、デストロイヤーは全日に定着、ミル・マスカラスと覆面世界一を争った。さらには次期エースのジャンボ鶴田にとって、高い壁として立ちはだかる。スタン・ハンセンの初来日時は色々と面倒を見て、その後は私生活でも交流を続けた。

 バラエティー番組でも、日本テレビ系『金曜10時!うわさのチャンネル!!』では和田アキ子にハリセンでどつかれ、徳光和夫に足4の字固めをかけるなど、お茶の間の人気者となった。
 レスラーとしてもタレントとしても、日本人に愛された稀有な存在と言えよう。

▼ザ・デストロイヤーがアントニオ猪木と引き分けたことが、日本プロレス分裂の原因!?

マルチタレント賞は藤波辰爾!(炎の飛龍賞)

 65歳になっても、まだまだリングに上がり続ける『炎の飛龍』こと藤波辰爾。ライバルの長州力は今年の6月26日に引退したが、藤波はその直前の5月19日までHEAT-UPユニバーサルタッグ王座に就いていたほどだ。長州の引退試合でも、6人タッグながら藤波は長州と対戦した。

 4月5日には大阪の『観光プロレス居酒屋リングサイド』で藤波のトークショーが行われ、筆者も参加したが、還暦を5年も過ぎたとは思えないほど元気。
「俺はねえ、滑舌が悪いというイメージから卒業したいよ。長州と天龍の2人はオカシイよ!」
 と、長州力や天龍源一郎と同じように見られることにいたくご立腹だった。

 そんな『世間から滑舌が悪いと思われている』藤波が今年、なんと声優にも挑戦した。テレビ東京の『テレビ野郎ナナーナ わくわく洞窟ランド』というアニメで、藤波はそのまま藤波辰爾の声を演じている。「お前、平田だろう!」など、藤波お馴染みの迷言も飛び出した。
 藤波の、声優としての実力はどうだったのか? 藤波の歌唱力並み、とだけ言っておこう。

▼あらゆる団体のリングに上がり、声優にも挑戦した藤波辰爾

インディー部門MVPはBen-K!(ニュー・マッチョ・ドラゴン賞)

 インディー部門のMVPは、DRAGON GATEからBen-Kを選出した。175cm、100kgという、新日本プロレスでもヘビー級として通用するマッチョな体。ルチャ系団体のドラゲーには珍しい、武骨なパワー・ファイターである。

 今年の5月6日には金網デスマッチの結果によりR・E・Dを追放されたBen-Kだったが、6月8日のキング・オブ・ゲートでは全勝優勝。しかも決勝の相手は、R・E・D リーダーのEitaだった。
 さらに、7月21日に行われたドラゲー20周年記念の神戸大会では、やはりR・E・D のPACを破ってオープン・ザ・ドリームゲート王者となり、R・E・D追放の屈辱を晴らした。デビューから3年3ヵ月での戴冠は、同王座の最短記録である。Ben-Kは12月4日現在、同王座を3回連続防衛。いよいよドラゲーの顔となってきた。

 千葉県佐倉市出身のBen-Kは、ご存じ“ミスター”長嶋茂雄や、新5千円紙幣の肖像に採用された津田梅子と同郷。天才の血が流れているのかも知れない。
 前項で藤波辰爾を挙げたからというわけではないが、ドラゲーを象徴するレスラーになることを期待し、Ben-Kには副賞として『ニュー・マッチョ・ドラゴン賞』を贈ろう。

▼DRAGON GATEのエースとなるか!? Ben-K

 以上が、安威川敏樹の選ぶ令和初の『鷹の爪大賞』である。東京オリンピック・イヤーとなる2020年は、どんなプロレスラーが飛び出すのだろうか。
 来年は新・国立競技場に負けない、熱い闘いがリングで繰り広げられることを期待する。


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’19年12月05日号WWEシカゴ4連戦 メイ社長 鷹の爪大賞1 スターダム会見 ペイジ映画