全9カード、明日計量!出場選手インタビュー!11月8日(日)「REBELS.67」後楽園ホール大会!

2020年11月8日(日)に後楽園ホールで開催される「REBELS.67」の全カードおよび試合順が発表された。メインは女子肘なし3Rマッチで、ぱんちゃん璃奈 vs. MARI、REBELS-RED(肘あり) 55.5kg級王座決定トーナメント準決勝戦、COVID-19罹患から回復した久保政哉 vs. 与座優貴、COVID-19の為、大会停止中となっている伝統ラウェイ日本人選手の渡慶次幸平がプロキックボクシング2戦目に挑む。

■『REBELS.67』
日時:2020年11月8日(日) 17:00開場 18:00本戦開始
会場:後楽園ホール
主催:株式会社 Def Fellow
協賛:株式会社Tカンパニー 株式会社OFFICE MIRAI 備長炭焼き鳥・駅
【チケット価格】
SRS席:30,000円(30,500円)RS席:20,000円(20,500円)S席:15,000円(15,500円)A席:9,000(9,500円)B席:7,000円(7,500円)
 ※()当日500円アップ
 ※6歳未満は入場無料(小学生から有料、6歳未満でも座席を必要とする場合は有料
【チケット販売所】
 チケットぴあ
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 参加各ジム
 参加各選手

大会トレーラー

対戦カード
※「KNOCK OUT、REBELS」では、肘打ちありを「REDルール」に、肘打ちなしを「BLACKルール」としている。

<メインイベント 第9試合 47kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE/REBELS-BLACK 女子46kg級王者)
 vs.
MARI(ナックルズGYM/元ミネルヴァ ピン級王者王者)

REBELS選手インタビュー MARI、渡慶次幸平、小原俊之


ぱんちゃん璃奈(りな)/(STRUGGLE)
1994年3月17日、大阪府豊中市出身。26歳。
STRUGGLE所属。身長164cm。
REBELS-BLACK 女子46kg級王者
戦績:8戦全勝(1KO)
19年2月、「パンクラス・レベルス・リング」の地上波ゴールデンタイム生中継でデビュー。同年8月の「KNOCKOUT」では山手線巨大広告に登場し「ヤングアニマル」でグラビアデビュー。今年5月に「ぱんチャンネル」をスタートしてYouTuberに。最近では、アップアップガールズ(仮)と真剣勝負、さまぁ~ずチャンネル出演と、多方面で活躍中初タイトル獲得後の第1戦で初メイン!「まだまだ調子に乗りたいので負けないです。めっちゃ成長してるので明確な差を付けて勝ちます!」
取材・撮影 茂田浩司
(本文)
「もし、予定通り4月に試合してたら、MISAKI選手の圧にびっくりして負けちゃってたと思います」8月30日、「REBELS.65」でおこなわれた
REBELS-BLACK女子46kg級初代王座決定戦において、MISAKI(team Forest)に判定勝利を収めてプロ初のタイトルを獲得したぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)。 MISAKIのひたすら前進して押し込む「猪突猛進スタイル」は「予想通り」だった。「MISAKI選手の試合映像を全部見て、J-GIRLSでは打撃をやるんですけど、シュートボクシングでは打撃をあまりやらなくて、徹底して組んで相手を疲れさせるんです。今回
も私の体力が落ちるのを待って3Rに勝負に出るつもりだったのかもしれないですけど、私は全然疲れてなくて、延長でも大丈夫でした」
 MISAKIの圧に負けなかったのは、同じジムの「45歳の鉄人」松崎公則との特訓の成果だった。 REBELSを始め、数々のタイトルを獲得してきた松崎が「仮想MISAKI」となり、前に出て圧を掛け、ぱんちゃんは来る日も来る日も追い詰められて、首相撲で転がされた。「めっちゃパンチは当たるんですけど、松崎さんはそのまま前進してきて、押し込まれて、組むと1秒で転がされる(苦笑)。普段は優しいですけど、その期間は松崎さんが嫌いになりました(笑)。その練習のおかげでMISAKI選手が前に出てきた時『圧力が全然弱いな』って思ったし、開始10秒か15秒で『こんなものか。集中したら勝てる』って思いました。 松崎さんとの練習はコロナで試合が延期になってから始めたので、4月に試合してたらMISAKI選手の圧に押されて負けちゃってたと思います」 デビューから1年半で8連勝をマークして手にした初のベルト。傍目には、これ以上ないほど順調にステップアップしてきたように映るが、本人は毎日毎日が必死で、何とか乗り切ってきた。「あっという間でした。いつも『今日、もう試合なんだ』って思います(笑)。試合と試合の間の2か月がめちゃめちゃ早くて、毎日ジムと家を往復するだけなので自分の時間は全然ないです(苦笑)。練習は、毎日楽しいですけど、悔しさ4、楽しさ6くらいで
すね(笑)。私、めちゃめちゃ理想が高くて、本当に日本の女子軽量級のトップに行きたいので、理想のレベルに全然追いついてなくて。あと、普段は男子選手と練習してるのでスパーリングも大変です。たまに女子選手とスパーリングさせて貰うと、パンチで吹っ飛んでくれたりするのでびっくりします(笑)。体の強さが男子と女子だと全然違うので」 ハードな練習で揉まれて、経験を積み、実力を付けて上がってきたが、それと共に対戦相手のレベルも上がっている上に、試合に求められるハードルも高くなってきている。「今年2月の試合までは『勝てばOK』だったと思うんですけど、今、求められるのは『勝って当たり前。KOしなきゃ』ですよね。実力は上がってきているんですけど、さらに上を求められてるので、ここを越えたらもっと上に行けるんだと思います。まだまだ本物じゃないので(苦笑)」 REBELS王者となり、メイド服姿にREBELSのベルトを肩に掛けて、RIZINバンタム級新王者の朝倉海(トライフォース赤坂)扮する「オタクの海ぴょん」と格闘技雑誌の表紙を飾った。 ここまでは良かったが、インタビューで「RIZINに出たい」と発言すると、SNSにはアンチコメントが急増したという。「めっちゃコメントが来ました。『女子キックはいらない。RIZINはMMAの団体だから』とか。『KOがない選手は観たくない』『RIZINに出てもどうせ倒せない。塩試合』って(苦笑)。落ち込みましたね。 私的に大みそかに出たいわけじゃなくて、RIZINというイベントに出て、初めて女子キックの試合をRIZINでやってみたいんです。逆にプレッシャーが掛かるので(笑)、地上波に映らなくても、年末じゃなくてもいいので。女子キックをもっと見て欲しいです。多分、女子選手の中では一番目立ってると思うので」 かねてから「男子選手と女子選手に対するファンの目線」が違うことを感じているという。「男子選手に対しては尊敬の目で見てくれるんですけど、女子選手は『ファイター』として見られてない気がします。『凄い』って言ってくれる人もいますけど『戦えば俺の方が強い』みたいな人も(苦笑)。浜崎(朱加)選手は男子選手と同じように尊敬されてると思いますけど、もし私が出たらめっちゃ叩かれるんでしょうね(苦笑)。だけど『見たくない』とか言われてムカつくから、絶対に出たいです。私、メンタルは強くないですけど、そういうところの負けん気はあるので、引き下がろうとは思ってないです。そういう風に言われるんだったら『絶対に出てやろう』って思ってます」 大舞台に上がるためにも、今度の試合が重要だとぱんちゃんは考えている。「次の試合はしっかりとした内容を見せたいって思ってます」 そこへ、対戦相手のMARI(ナックルズGYM)のインタ
ビューが公開された。「ぱんちゃん選手は無敗でチャンピオンなので美味しい相手」「私が勝てば知名度が上がるので、初黒星を付けるのは私です」 ぱんちゃんは苦笑する。「私、MISAKI選手にも何度も『美味しい』って言われて、今回もMARI選手に『美味しい』(苦笑)。でも、私が逆の立場でも、キャリアもなくて映像を見てもそんな強そうに見えないし、話題だけで弱い相手とやって勝ってるんだろうな、美味しいなって思うと思うんです(笑)。実際に戦った選手じゃない限り、映像だけ見ても分からないと思うし。私、来られたら負けないですけどね。最近『調子に乗ってる』とよく言われてます。ベルトを巻いて笑顔で焼き肉屋さんでポーズを取った写真を見るとムカつくんでしょうね(笑)。でも、まだまだ調子に乗りたいので負けないです。試合が終わったら、毎日、美味しい焼き肉を食べに行ったりしたいので、毎試合勝たないといけないんです(笑)」 MARIの試合映像を確認して、感想は「戦いやすいと思う」。「私が身長が高いのでみんなもぐりこもうとして、どうしても組みの展開が多くなるんですけど、同じくらいの身長の祥子選手とかだと攻防が出来るんです。MARI選手はパンチがすごく上手で、スピードはありますね。足を使って距離を取ってくれるので、攻防が出来て、私にとっては戦いやすいと思います。自分の中では久々に打撃が出来る試合。2月から9か月間でめっちゃ成長してるんですよ! 昔から蹴りはスムーズに出るのに、パンチを打つ時は力んでしまって。今は肩の力を抜いて打てるのでワンテンポ早く当てれますし、パンチ力も上がっているのでカウンターで当てられたらダウンを取れるレベルになってます。対戦相手も強くなってて、その分、難しくもなっているんですけど、まず確実にダウンを取って勝つ選手になっていきたいですね。フィジカルはめちゃめちゃ頑張ってきて、同じ階級なら誰にも負けないと思ってます。あと、リーチという武器があるので、そこにどうテクニックをプラスしていくか、っていう課題を持って練習してます」 前回はダブルメインイベントの第1試合だったが、今回はREBELSチャンピオンとして堂々の「メインイベント」で興行を締める。「めちゃめちゃびっくりしました(笑)。ポスターは真ん中ですけど、基本、試合順は早くてもポスターは大きく写して貰ってるので(笑)。チャンピオンが3人出場するから『私は後ろから3番目か。メインは安本(晴翔)君かな?』と思ってたら私なので『なんで?』って(笑)。さすがにメインを締めくくれる試合はまだ出来てないと思うので。でも順番のプレッシャーは掛からないです。それよりも試合内容です。相手も元チャンピオンなので、いきなりKOとかは思ってなくて、明確な差を付けて勝つ。ダウン、取りたいです。ダウンを取って勝つのが目標ですね。自分でもどれくらい強くなっているのか、とっても楽しみで、アグレッシブな気持ちで行きたいですね。『めちゃめちゃ強くなったぱんちゃん』を見せるので、ぜひ応援をよろしくお願いします」
(了)

<セミファイナル 第8試合 59kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
安本 晴翔(橋本道場/REBELS-RED フェザー級)
 vs.
BEN”侍”Y’ZD(Y’ZD GYM)


◇安本晴翔/ Haruto Yasumoto 「僕はREBELSチャンピオンだということをみんなに知ってもらいたい」
2000.5.27生/東京都東大和市出身/20歳/170cm/オーソドックス/20戦17勝(8KO)1敗2分
――前回、9月のKNOCK OUT、ウィサンレック(タイ)との試合ではヒジによるカットで2RTKO勝ちでした。試合を振り返っていかがですか。
「相手はヒジが得意な選手で、自分が切られるのは嫌なので切られる前に切ってやろうかなと。練習ではヒジで切るというよりもヒジで倒すというイメージでやっていて、ドクターチェックが入った時に試合が再開したら倒しにいこうと思ったらそこで試合が終わったので、ちゃんと倒しきりたかったですね。でも、ウィサンレック選手は今までに有名な日本のトップ選手と対戦してきて比較される試合だし、他の選手たちよりも短い試合タイムで終わらせられたのでやっと同じラインに立てられたかなと思います」
――謙虚ですね(笑)。今回は再びタイ人との対戦となりました。BEN”侍”Y’ZD選手の印象はどうですか?
「何も事前情報がなく、試合映像も見ていません。どこかの国内の団体のチャンピオンになったばかりだと聞いたので、僕はEBELSのチャンピオンとして負けるわけにはいきません。そういえば、僕って周りからREBELSチャンピオンだと認知されているのでしょうか……。チャンピオンって毎回会見では自分のベルトを持っていくじゃないですか。僕は持っていくべきものなのかを知らず、会見場に持って行ったことがないんです。もうこれからは必ず持っていって僕はREBELSチャンピオンだということをみんなに知ってもらいたいと思います(笑)」
――そうした方がいいかと思います(笑)。相手の映像を見ていないということですが、試合前は見て研究しないタイプですか?
「ウィサンレック選手との試合前は、相手がどういう勝ち方、負け方をしているのかが気になっていたので見ていました。ヒジで勝っている試合があったのでヒジを警戒しないといけないなと。今回の相手に関しては映像がありませんでした」
――タイ人には現在3連勝中ですが、もうご自身なりの攻略法はすでに見つかってますか?
「もう1年ぐらいずっとタイ人と戦ってきて段々と慣れてきました。独特なリズムですがやりやすさもやりにくくもありません。僕は相手が待ちのスタイルであっても前に来ても、どちらでも対応していけます。タイ人と対戦する時は相手のペースに巻き込まれないことが重要ですね。相手は自分の空間を作るのが巧くって、2月のKNOCK OUTで対戦したダウサヤーム選手はパンチで倒したかったんですが、なかなかパンチが入る距離に入らせてもらえなくて、パンチでいってもヒジを合わせるのが巧かったですね。次の試合では今までの試合のことを考慮して倒せる試合をしたいと思います」
――練習で強化していることはありますか?
倒すことを意識しています。最近はパンチの調子が良いと周りから言われていて自分もそれは感じています。昨年8月のKNOCK OUTで駿太選手にパンチでKO勝ちしたんですがそこからパンチに対する意識が変わりましたね。パンチは元々好きでしたがなかなか試
合では出せなくて、駿太選手のときはパンチを出すスイッチが急に入って僕はパンチで倒せるんだという自信が付いたんです。今練習では蹴りだけでなく、パンチも重点的にやっています。ちなみに蹴りは距離感が大事で実戦でやらないとうまくならないと思うので、シャドーの時はやらないようにしています」
――得意な蹴り技にプラスして最近ではパンチでの決着が増えてオールラウンダーになりつつありますね。
「今の僕はまだスピード、一発で倒せる威力がまだだと思うのでそこを補っていきたいですね。あと、試合運びが下手すぎて嫌になることがあるんです。他の選手はしっかりと重心を落としてどっしりと戦っているのですが、僕は試合になると何か身体がふわふわしていて蹴りも浮いている感じなんですよね。倒せると思ったら走って仕留めにいってしまうところもあるので、もっと冷静に戦えるようにもなりたいです」
――現在7連勝中ですが、好調の要因は?
「自分に自信を持って戦えているからです。自信はないですけど、自信を持つことで練習にも身が入るようになりました」
――逆に絶不調のマイクアピールの準備はどうでしょう?
「いつもそうなんですけど、記者会見の時とか何を言っていいのか、自分でも何を言っているのかわからなくなるんです。これからは文章に書いて用意しようかなと思います(笑)」
――今年最後の試合になると思いますが、来年の目標は?
「僕は特に誰とやりたいというのはなく、組まれたら誰とでもやります。RED、BLACKルールのどちからも関係なく、とにかく誰にも負けない選手になって、もっと有名になりたいですね。この前新宿を歩いていたら男性ファンから声を掛けられたんですよ(笑)。これからは女性ファンにも声をかけられる、拡散力のある男になりたいですね」


BEN“侍”Y’ZD(タイ/Y’ZD GYM) Ben “Samurai” Y’ZD
1993.5.5生/タイ・イサーン出身/27歳/164cm/オーソドックス/66戦50勝(11KO)11敗5分
スックワンキントーン・ライト級王者
――今回REBELS初参戦となります。ムエタイを始めたのは何歳からですか。ムエタイを始めた理由も教えて下さい。
「3歳下の弟がムエタイを先に始めていて、練習相手がいなかったので僕も10歳から一緒にムエタイをするようになりました。得意技はパンチで、ファイトスタイルは首相撲が嫌いなフィームー(ムエタイ用語でテクニシャンタイプのこと)です(笑)」
――ラジャダムナンとルンピニーの二大殿堂スタジアムでの戦歴、有名選手との対戦経験などがあれば教えて下さい。
「田舎での試合が多く、ラジャダムナンスタジアムでは10試合して6勝4敗でした。日本のファンがわかるような有名な選手との対戦経験はありません」
――戦績を見ると66戦50勝(11KO)11敗5分とありますが、タイ人にしては少ないのはなぜですか。
「練習が嫌いで遊んでいたからです……。というのは冗談で実は勉強が忙しくて試合が少なかったです。大学に進学したのですが、大好きな日本でムエタイトレーナーの仕事をしたくなり、大学を辞めて6年前に今のY’ZD GYMに来ました」
――リングネームに“侍”が付いているのはなぜですか。
「タイで日本の映画を見ていて、侍の姿を見てかっこいいと思ったから自分のリングネームに付けました」
――今回対戦する安本晴翔選手の印象を教えて下さい。
「テクニックもあって強いと思います。彼の攻撃で警戒しているものはハイキック。自分はパンチで負ける気がしないので問題はない相手です。安本選手は現在タイ人に3連勝中なんですよね? 僕には勝てないと思いますよ」
――どういう勝ち方をしたいですか?
「KO勝ちを狙います。絶対に勝つ自信があります」。
――ここで安本選手に勝てばかなり知名度が上がります。今後は日本でどういう戦いをしていきたいですか?
「BEN“侍”Y’ZDを日本のみんなに覚えてもらえるように戦っていきます。今年9月に日本でベルトを獲ったので、これからもベルトをいっぱい獲れるように頑張ります」
――日本で稼いだお金で夢はありますか? 将来的に使いたいことなどがあれば教えて下さい。
「子どもが生まれたばかりなので、子どもを幸せにしたいですね」

<第7試合 64kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
良太郎(池袋BLUE DOG GYM/REBELS-RED ライト級王者)
 vs.
北川“ハチマキ”和裕(PHOENIX/元REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者、元REBELS-MUAYTHAIライト級王者)

◇北川“ハチマキ”和裕(PHOENIX)
REBELSラストマッチで4年ぶりの勝利へ。
「負け続けても応援してくれた人たちの前で、燃え尽きる覚悟で戦って、勝つ姿を見せます」

 北川“ハチマキ”和裕がREBELSに帰ってきた。今年6月のNKBで引退試合をする予定が、コロナ禍により中止。来
年に延期されたことで、ハチマキが愛し、ハチマキが愛されたREBELSでの「REBELSラストマッチ」が実現。かつ
てハチマキが巻いたREBELSーMUAYTHAIライト級の現王者、良太郎(池袋BLUEDOG GYM)と対戦する。
 REBELSを初期から盛り上げたハチマキに聞いた。題して「REBELSと私」。

(プロフィール)
北川“ハチマキ”和裕(きたがわ・はちまき・かずひろ)
1986年6月19日、埼玉県さいたま市出身。34歳。
高校時代にボクシングを経験。法政大学2年の時に
PHOENIXに入門。07年プロデビュー。2013年7月「REBELS.17」でREBELSーMUAYTHAIライト級王座決定戦に勝利して初代王者に。15年1月「REBELS.33」でREBELSーMUAYTHAIスーパーライト級王座決定戦に勝利して初代王者に。2階級制覇達成。
戦績37戦16勝(2KO)17敗4敗。身長175㎝。

「ヒジなし」が主流になる中、「弱者」が戦えるヒジありルールで、華のあるREBELSはありがたかった。
 ハチマキは、REBELSを愛し、REBELSファンに愛された「REBELSの申し子」。今年6月の引退試合がコロ
ナ禍で中止となり「REBELSラストマッチ」が実現したのは必然だったのかもしれない。
「不思議ですよね。『辞める前にもう一度REBELSで試合したい』という気持ちはありましたけど、やれると思ってなか
ったですし、デビュー前から憧れてた全日本キックの、立役者の宮田(充)さんがREBELSのプロデューサーになって本
部席にいる。これが運命だったのかな、って」 ハチマキの所属するPHOENIXは特定の団体に所属しないフリーのジム。フリーは、どこのリングにも上がれる反面、どこからも声が掛からなければ試合の機会はない。そのため、実力の見合う相手とコンスタントに試合して経験を積み、力を付けていく「新人育成」が団体所属選手に比べて難しい。 ハチマキも、新人時代にフリージムの苦労と悲哀を味わった。
「僕は10戦目まで全部違うイベントに出ているんです。無名の新人で試合も地味なので、1度出ても『次もウチで』とならな
かったです(苦笑)。それで転々と、いろんなイベントに出ました」様々なイベントでヒジありもヒジなしも経験して、ハチマキは自分の適性が「ヒジありのキックボクシング」であることを知った。「RISEに出て『やっぱり首相撲があって、ヒジもあるルールの方が自分に向いてる』と思ったんです。僕は特別にムエタイが上手いわけではないですけど、選択肢のある方が『弱者』も戦える。相手が首相撲が出来なければ首相撲で行くし、パンチが出来なければパンチで行く。選択の幅がヒジありの方が広いです。 3Rで組みのないルールだと、瞬発力とか打ち合いに強い選手が有利です。採点傾向もパンチの方が印象が強くて、ガードしてもパパっとパンチをまとめられると相手にポイントを取られてしまう。 そういう意味でもヒジありなら弱者が戦えます。このルールで強い選手には失礼かもしれないけど、僕がここまで戦ってこれたのはこのルールだからだと思います」当時、キック界は「ヒジなしルール」が主流になっていた。「K-1MAXがあって、RISEがあって、Krushが出来て、全日本キックが無くなってしまって。キック界が『K-1風』にヒジなしルール主流になる中で『反逆して、従来のキックボクシングをやる』というコンセプトが『REBELS(反逆者)』だと僕はとらえてました。 REBELSの旗揚げ戦(2010年1月23日)で梅ちゃん(梅野源治)が『日本対タイ、5対5マッチ』に出て『こんなタイ人みたいな戦い方でタイ人に勝てる日本人がいるんだ』ってブレイクしたんですけど、僕は5対5マッチが『全日本キックっぽいな』と思いましたし(笑)、イベントを見て『いい感じになっていきそう』っていう雰囲気を感じました。 途中でSHOWTIMEと一緒にやったり、従来のキックボクシングルールが『REBELSーMUAYTHAIルール』になって『あれ?』と思ったんですけど(苦笑)。やっぱりムエタイというより『従来のキックボクシングルール』、首相撲もヒジもある昔の全日本キックにファンの頃から憧れもあって『従来のキックボクシングルールで華のあるイベント』のREBELSはありがたいイベントだと思ったんです」 同門の梅野源治が凄まじいスピードで上り詰めるのを横目に、ハチマキは新人育成が目的の「REBELS-EX」に出場して2連勝。晴れてREBELS本戦の常連となった。 13年7月の「REBELS.17」でREBELSーMUAYTHAIライト級王座決定戦に勝利してプロ初のタイトルを獲得。15年1月の「REBELS.33」でREBELSーMUAYTHAIスーパーライト級王座決定戦に勝利して初代王者となり2階級制覇を達成。当時、ハチマキは「もっとREBELSを盛り上げたい」という気持ちで燃えていた。「客観的に見て『勢いのある団体』と思われてたとは思うんですけど、当時はKrushがめちゃめちゃ盛り上がっていたんです。何とかKrushに負けないように盛り上げたいと思ってた時、山口さん(山口代表)は新しいことにチャレンするんですよね。『IKG(イケてない格闘家グループ)』だったり、YouTubeの『REBELS TV』だったり」 IKGは日菜太、町田光、ハチマキの3選手で結成。個性派キックボクサーのキャラクターに着目し、トークを
YouTubeチャンネルで配信した。「他の団体はどこもやってなくて、YouTube配信はKrushより早かったんです。 自分っていう選手を格闘技ファンに浸透させてくれたのがREBELSです。他の団体でチャンピオンになってそこそこ
の結果を出しても、いまだにこんなにたくさんの人に応援されてないと思いますし。6月のNKBで引退してたはずが、今回
『REBELSに出る』と発表したらみんなすごく喜んでくれて。それはREBELSだったからこそだと思うし、REBELSでよかったと思います」
・REBELSチャンピオンとしての野望と挫折。
その後に味わった連敗地獄の救いは「ファンの声援」 REBELSでタイトルを手にした時、ハチマキは「チャンピオン」としてタイトルの価値を上げるべく、ひそかな野望を抱いた。「キック界はタイトルを獲ったら終わりで『防衛しない風潮』があるじゃないですか。僕はそれはしたくなかったです。ライト級の時は減量がきつすぎて、絶対に真似したらダメですけど、水抜きを最大で1日7kgやって死ぬかと思いながらクリアしたり(苦笑)。でもタイトルを獲る前に階級を上げると減量を言い訳にするみたいで嫌で、ライト級タイトルを獲ってすぐ返上してしまったんです。だから、スーパーライト級ではどんどん防衛戦をやって、ベルトの価値を自分で上げよう、と。『他団体のチャンピオンを全員倒してやる』と思って、初防衛戦の相手は当時J-NETチャンピオンの鈴木真治選手。勝って、防衛出来ました」 他団体のリングに積極的に出場したのも価値を上げたい一心だった。「スック・ウィラサクレック」でゴンナパー・ウィラサクレックと、NJKFではテヨンとWBCムエタイ日本統一王座戦で対戦した。
「ゴンナパー選手は当時WMPFの世界チャンピオン。『俺が勝てば、世界チャンピオンよりREBELSのチャンピオンが
強い』となると思いましたし、テヨン選手とのWBCタイトルマッチもそうでした。どちらも負けてしまったんですけど」2連敗の後、REBELSに戻り、潘隆成とノンタイトル戦で戦って敗れた。 ハチマキには、1つの思いがあった。「ベルトを獲るまでは上の選手と『自分の名前を上げる試合』をやってきて、自分が上に行くと『ハイリスク・ローリターン』の試合を避ける選手がいますよね。気持ちはめちゃめちゃ分かるんです。『なんでうまみのない試合をやらないといけないんだ』って。だけど、自分が上の選手とやらせて貰ってきたんだから、何の得も無い試合でもちゃんとやって、ちゃんと勝つ選手こそ偉いと思うんです。僕は潘君に負けてしまいましたけど(苦笑)」 3連敗で後が無くなり、次の防衛戦はチャンピオンとしての実力と選手としての価値を問われる大勝負になる。 そう思った時、ハチマキは大胆な行動に出る。憧れの人、音楽家・プロデューサーの梶浦由記さんを試合に招待したのだ。「ちょうど30歳になる時で『いつまでもやれるものじゃない。これで終わりでもいいように覚悟を持ってやらないと』と思っていて。性格的に自分からどうこうは出来ないんですけど(苦笑)、あの時だけは『後悔したくない』と思ってお願いしたら、会場に来ていただけることになりました」 ハチマキにとって、梶浦由記さんに「自分の試合を観て貰う」のはずっと描いていた夢だった。「キックボクシングを始めた頃に梶浦由記さんを好きになって、デビューしても新人の頃は入場曲が使えないから『早く梶浦さんの曲で入場したい』というのもモチベーションだったんです。入場曲を使えるようになると、毎回『梶浦さんのどの曲で入場しようか』と考えて、選曲するのが楽しみでした」 16年6月1日、「REBELS.43」で渡辺理想に判定勝
利して2度目の防衛に成功。勝ち名乗りを受けて、試合後に憧れの梶浦さんに直接祝福して貰うという、人生で最高の瞬間を
迎えた。 ただ、この試合を最後に、ハチマキは勝利から遠ざかり、連敗街道を歩むことになる。 もしもあの試合で辞めていたら、と思うことはないか、と聞くと、ハチマキはきっぱりと否定した。「周りにも『夢がかなっちゃったじゃん。これ以上、やることはないでしょ』って言われたんです。確かに、一番観て貰いたい人に観て貰えて、それ以上はないんです。だけど、それで夢
がかなって満足して辞めたら、梶浦さんをガッカリさせてしまうんじゃないか。もっともっと頑張っていかないといけない、と思ったんです」 それに、とハチマキは付け加えた。「チャンピオンになったら、挑戦を受けて防衛戦をして、負けて獲られるまでが仕事だと思うんです」 ハチマキは、生真面目で、不器用で、誠実に「REBELSチャンピオン」の責任を果たそうと戦い続けた。思うような結果は出なかったが、その姿勢が伝わり、どんなに負けてもREBELSファンは応援することをやめなかった。
 体調不良で長くリングから遠ざかり、1年8か月ぶりの復帰戦が「REBELS.57」。 この時のことをハチマキは今も鮮明に覚えている。「入場曲が流れた時、会場の声援がもの凄くて、入場前に泣いてしまいました……。声援のありがたさというか『こんなに応援してくれるんだ』って。 その試合も負けてしまって、梶浦さんが観に来てくれた試合の後から6連敗してますけど、それでもずっと応援し続けてくれる人たちに、今回こそ勝つ姿を見せたい。見せないと……」コロナ禍は、6月のNKBで引退していたはずのハチマキに「REBELSラストマッチ」をもたらしただけではなく、もう1つの「追い風」を吹かせた。「僕は練習で追い込むことには自信があるんですけど、前回の試合も怪我が多くて全然追い込めなくて、思うように動けないと練習が本当につまらないです(苦笑)。それで『もういいかな』となったのもあるんですけど、6月のNKBの大会が中止になって、だましだましやってきた箇所を病院で検査して、リハビリもしました。今は練習でしっかりと追い込めるので、練習していても楽しいです」 対戦相手は現REBELSチャンピオンの良太郎。相手にとって不足はない。「知らない相手とやるよりもモチベーションが上がりますし『新旧王者対決』ですからやる意味があると思いますし、いい相手だと思います。僕は、油断したらダメだと思って、ずっと対戦相手を過大評価してきたんですけど、今回はフラットに良太郎選手を見て、今まで対戦してきた相手を考えても、選手としての実力は僕が上回ってて、劣るところはないかなと。自分の力を出せれば、差はあると思います。くよくよするタイプなので、連敗して期待を裏切るたびに本当に心が壊れるんじゃないか、と思うこともあったんですけど、結果で否定され続けても、応援して貰うことで自分という存在を肯定して貰えるのはありがたかったです。これだけ負け続けて、これだけ応援して貰える選手も珍しいと思います。これは上を目指してる選手なら絶対に言っちゃいけないと思いますけど(笑)、もう辞めるって言ってるから言っちゃいます。 引退試合は来年のNKBでやります。だけど僕は今回は今回で、燃え尽きるくらいの気持ちでやります。
 客席にずっと応援してきてくれた人たちがいて、その人たちの前で自分が迷いなくパフォーマンスを出して、とにかく勝つ。勝つ姿を見せます!」
(了)

REBELS.67 宮元啓介、KING強介、良太郎インタビュー

<第6試合 REBELS-RED 55.5kg級王座決定トーナメント準決勝 3分3回戦(延長1R) REDルール>
小笠原 瑛作(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
宮元 啓介(橋本道場)

◇宮元啓介(橋本道場) Miyamoto Keisuke
WPMF世界スーパーバンタム級王者
WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者
WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者
INNOVATIONスーパーバンタム級王者
INNOVATIONフェザー級王者
MA日本スーパーバンタム級王者
1992.12.16生/埼玉県入間市出身/27歳/168cm/オーソドックス/54戦34勝(11KO)13敗7分
「とりあえず強いメンバーの中で優勝するということだけしか考えていない」
――9月の「KNOCK OUT」栗秋祥梧戦では判定勝ちでした。試合を振り返っていただけますか。
「SNSを見ていると若い栗秋選手が勝って世代交代してしまうのでは? という雰囲気を感じていたのですが、自分はまだまだできるぞをいうところを見せたかったので何としてでも完勝したいと思っていました。試合前に栗秋選手の映像を見たところ、パンチ力があり飛びヒザなどの一瞬のスピードが早かったので結構警戒していたのですが、1R目に栗秋選手のパンチがしっかり見えていたので大丈夫だなと。ガードの上から受けても問題ないと思い、落ち着いて臨んだら練習通りの作戦がはまって自分がやりたい試合ができました」
――作戦はどういうものを?
「とりあえず三日月蹴りをばんばん蹴って中に入らせないようにすることや、相手のフックに合わせてヒジを出すことでした。1R目に三日月蹴りを入れたときに顔を見たら結構効いていた表情で、このまま続けて蹴れば行けるかと感じました」
――次が55戦目になりますが、未だに国内55kg戦線のトップ戦線を走っていられる秘訣は何でしょう。
「練習量は以前とは変わりませんが、結婚して子供が産まれて背負うものができたことで、より負けられないという気持ちが強くなり、練習に身が入るようになりました。あと、今までは試合が決まっても相手の映像を1~2回見るだけで倒したい技を磨いていただけでしたが、今は勝ちに近づけるかを真剣に考えて対策を立てて絶対に勝つという気持ちで臨んでいます。しっかり対策を立てることで、試合では頭で考えていなくても瞬時に身体が練習通りに動くので、やはりそういうのは大切だと思いました」
――それでは今回対戦する小笠原瑛作選手との対策もバッチリ?
「そうですね。映像を見て小笠原選手のパターン、癖もわかってきて作戦をしっかり決めているので、練習でそれをしっかり磨いて作戦に近づけるようにしている段階です」
――小笠原選手とは2016年12月の「KNOCK OUT」で一度対戦し3RKO負けしていますが、その時と比べて印象はどうでしょう。
「4年前の時よりも今はお互いに確実に強くなっているので、前回の試合のことは全く参考にしていません。逆に僕も前回よりも格段に強くなっているので向こうも参考にはならないでしょう。再戦ということは関係なく相手は前に出てくるんだろうなと思いますし、自分がやるべきことは決まっているので、それがうまくはまれば。今までに見せたことのないような技もあるので、楽しみにしていてください(笑)」
――反対ブロックで対戦する小笠原裕典選手とKING強介選手の二人のどちらが決勝戦にくると予想してますか? 宮元選手は両者とも対戦経験があり、裕典選手とは1勝1分、強介選手とは1分です。
「僕の中では気持ち的にはどちらが上がってきてもいいというのはあるのですが、強介選手だったら一発のパンチがありますし、裕典選手もリーチが長く一発で切り裂けるヒジがあるので正直どちらが来るかは分かりません。僕はどちらが来ても自分の中で勝ちパターンはいくつかあるので反対ブロックのことは特に意識していません」
――宮元選手はこれまでに6本のベルトを獲得していますが、トーナメントで優勝してベルトを獲得したいという欲はまだありますか?
「デビュー当時や一つ目のベルトを獲った時は、次はあのベルトを獲りたいといった欲が凄くありましたが、今はとにかく強い選手に勝ちたいなと。ぶっちゃけベルトは二の次で考えていて、とりあえず強いメンバーの中で優勝するということだけしか考えていないですね。優勝してリング上で子供と写真をぜひ撮りたいです」
――キャリア終盤ではあるかと思いますが、その先の目標はありますか?
「とりあえず誰にも負けないことです。決められた試合を一つずつ勝っていけばさらに違う景色が見えてくるのかなと思います。僕は先のことを考えると今のことが疎かになってしまうので、とりあえず目の前のことをクリアして次のことを考えるようにしています。キャリアも長くなってケガも多くなって歳を重ねるごとに治りも遅くなっているので、接骨院とかにいく頻度を多くしてしっかりケアするようにしています」
――安本晴翔選手、白幡裕星選手、花岡竜選手といった橋本道場の後輩たちの活躍が目立っていますが、プレッシャーはあります?
「みんな成長するスピードが早く凄く強くなっていて、焦っているわけではありませんが、自分も抜かされないように頑張らなきゃなと良いモチベーションになっています。階級関係なくいいライバルであって、仲間にも負けたくないという気持ちがみんなから伝わってきますね。そして、試合では誰かが勝てば、自分も負けないで上に行くぞという気持ちにもなって、切磋琢磨できるのでいいチームですよね。晴翔をはじめ後輩たちはパンチが強いのでスパーでも試合のような緊張感を持ってやらないと倒されてしまいます。そういう面でもパンチを見切る力が養えていて、試合でも落ち着いて戦えるようになりました。20代前半の時は勢いでガンガン行くだけでしたが、今だとテクニックで完全にいなすことができるので僕は全然強くなっています」
取材 安村発

<第5試合 REBELS-RED 55.5kg級王座決定トーナメント準決勝 3分3回戦(延長1R) REDルール>
小笠原 裕典(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
KING強介(team fightbull)

◇KING強介(team fightbull) King Kyosuke
元REBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者
1984.6.6生/兵庫県神戸市出身/36歳/163cm/オーソドックス/36戦17勝(9KO)17敗2分
KING強介「どんな環境であれ、本人次第でどうにかなるものなんです」
――2月のREBELS-RED 55.5kg級王座決定トーナメント一回戦を振り返っていただきたいと思います。右のカーフキックでタネヨシホ選手を2RKOしました。
「幸いKO勝ちできましたが、元々カーフキックでのKOは狙っていなかったんです。作戦としては、上下に散らして削っていき最後にパンチで倒すというものだったのですが、それがうまいことはまってああいう形で終わったのでラッキーでした。ちなみに練習ではカーフキックを使うのですが、あれでまさか倒れてくれるとは全く思っていませんでしたね。昨年に二連敗していた中でいいオファーをいただいて、僕でいいのかなと思っていましたが、こうやって主催者の期待通りの役割を果たすことができたので良かったです」
――今も練習環境は三重に?
「二連敗したぐらいの去年9月ぐらいに神戸から嫁の実家の三重に移住しました。今は4人の子供がいて、神戸にいた時に結果を残せずこのまま引退しようと思ったのですが、山口代表からいいお話をいただいて最後に一花咲かせようかなと。このままじゃアカン、家族が傍にいた方がより集中できて力を発揮できると思ったので三重に移住を決意しました。練習はほとんど自分一人だけなんですが、team fightbullというチーム名でボクシングジムを間借りして週一、二回の練習を続けています。それ以外は出稽古を中心に、京都の野口ジムや大阪の山口道場に行っています」
――最後に一花咲かせるということは、もう引退も考えてのトーナメント参戦であると。
「そうですね。トーナメントで負けた時点で引退しようと考えていて、家族にも伝えています。奥さんはこれ以上やるな、辞めないでとも言わず、『あんたが決めたことなんやろ?』というだけですね(笑)。子供たちは僕のやっている姿を見て喜んでくれますし、格闘技自体に興味を持って接してくれ、会場でも一生懸命応援してくれます」
――仕事もされているんですよね?
「神戸にいた時は大工の仕事を続けながら単身赴任でした。三重に来てどうせ環境が変わるなら全部挑戦していくものにしようと宮大工(神社仏閣の建築や補修に携わる大工)の仕事を1からスタートしたのですが、それが辛くて辛くて……(苦笑)。今までの大工の仕事とは全く別物で、周りは昔ながらの職人さんばかりで全くやり方を教えてくれませんし、見て習えという感じなので、見たことを元にやり始めても怒られるという負の連鎖なんです。毎日怒られて地獄の日々を送りながら『俺は何をやっているんだろ? もう投げ出したろかな』と思いながらも生きています。けれども、ここで投げだしたら終わりなので、クビになるまで頑張ろうかなと。練習と仕事の両立をしないといけないという凄く難しい状況下ではあるのですが、自分で決めてやり始めたことなので最後までやり切ろうと思います。負けて次がある若い選手たちとは違って、僕は負けても後がない年齢なので一戦一戦大事に戦うだけです。ちなみに、最後の挑戦ということでジム移籍を考えたことはありません。環境が良ければ堕落することもあるでしょうし、必ずいい結果が得られるとは言えません。どんな環境であれ、本人次第でどうにかなるものなんです。それが一回戦の結果につながったんだと思います。僕はどちらかというとエリートではありませんし、恵まれた環境ではないからこそ考えてやることに意味があるのかなと。這い上がっていくストーリーの方が自分には合っています」
――格闘技と今のお仕事と通じるものがあるんですね。ちなみに1日のスケジュールを教えて下さい。
「朝6時ぐらいに起きて仕事に行き、だいたい夜の8時ぐらいに終わります。そのまま練習に行き、夜中の1時ぐらいに帰宅するといった毎日です。宮大工の仕事は日曜休みなので、その時は時間をたっぷり使ってできる練習をしています。神戸に住んでいた時よりも家族といる時間が多いので今の環境の方がいいですね。僕自身が家族依存症なんですよ」
――試合の話に戻しますと、次に対戦する小笠原裕典選手の印象を教えて下さい。
「トータルバランスに凄く優れた選手だと思います。フィジカルが強くガードも硬い。相手の隙を見て、ヒジ、パンチ、ヒザと色んな攻撃をしてくるので凄く厄介な相手だと思います。僕は出入りが得意なのでそこで攪乱しようと思っていても、今までに小笠原瑛作選手、栗秋祥梧選手、炎出丸選手とクロスポイント勢と対戦経験が多いので色んな作戦を考えてくるでしょう。裕典選手は頭がいい選手なのでどういう作戦でくるのかが楽しみでもありますね。普通にやれば……僕の判定負けです(笑)」
――普通には戦わないと(笑)。決勝戦では宮元啓介選手と瑛作選手のどちらとやりたいですか? 過去に宮元選手とはドロー、瑛作選手には判定負けしています。
「そうですね。どちらにも因縁があるのでどちらでも構いませんし、どう転んでも僕にとってはやりがいがあります。僕は進化し続けているので、以前の僕とは違うイメージでいた方がいいですよ」
――ベルトを獲ったらその先のことも考えてますか?
「今回、REBELS-RED王者になって、KNOCK OUTチャンピオンの江幡塁選手へ挑戦したいですね。そこで江幡選手に勝ってエンドロールを迎えたいと思います」
取材 安村発

<第4試合 65kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
鈴木 千裕(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
康弘(ゴリラジム)

◇鈴木千裕「今回はバチバチ打ち合える相手。1RKOで終わる」

鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺) Chihiro Suzuki
1999.5.14生/東京都三鷹市出身/21歳/175cm/オーソドックス/7戦6勝(4KO)1敗
――今年9月の昇也戦で3RTKO勝ちして以来の試合が決まりました。試合に向けて強化していることを教えて下さい。
「昇也戦の後、それまでやっていなかった走り込みやミットで追い込んだりと、体力面を強化しています。自分は1R目からガンガン攻めるファイトスタイルで、3R、延長Rも含めてフルラウンド戦うことを考えたら、後半はどうしてもスタミナが落ちてしまう部分があるのでそうならないように体力を付けてきました。技に関しては、今のパンチだけの勝負ではいずれ倒せない相手が出てくると思うので、蹴りも強化しています」
――今回対戦する康弘選手の印象を教えて下さい。
「試合映像を見たところガンガン前に出てくるファイターで、僕との相性はいいと思います。格闘技は倒してなんぼ。下がったり判定狙いの選手と僕は戦いたくないし、今回の相手はKO率も高くてバチバチに打ち合えると思うので楽しみですね。1RKOという形で終わると思います」
――前回もそうでしたが、試合後の力強いマイクアピールが印象的です。内容はもうすでに考えています?
「勝った後は次の試合について言いたいのですが、今は先のことを考える余裕がないので目の前のことしか考えていません。試合後に言いたいことは、その時に出てきた感情が勝手に出てきます」
――今後、対戦したい相手としては、今年2月に初敗北を味わわされた西岡蓮太選手の存在もあったり?
「そうですね。西岡選手の防衛戦の相手に選んでもらえるように、勝って結果を残していくだけです。今すぐ西岡選手とやらせてくれと言っても、山口代表や宮田プロデューサーは納得いかないと思います。今は黙って、ひたすら勝ち続けるだけですね」
――今振り返ると、ご自身にとってあの初敗北はどういう意味がありました?
「負けて学ぶことは多いと言いますが、まさにその通りでした。体力、技術面も西岡選手に比べて足りていなかったところばかりで、偏った練習だけをするのではなく、ディフェンス、オフェンスと全体的に練習しないと勝てないと思いましたね。次に西岡選手とやるまでに、いかに自分の課題を埋められるか、西岡選手との差を埋められるるかが勝負になります」
――今年最後の試合になりますか?
「12月6日の『REBELS』にも出たいと思っています! ただ、その試合のために康弘戦でケガしないような試合をしたくはないので、もしケガしないで勝てたらリング上で出場表明をしたいと思います。連戦でもまったく問題ありません」
――凄くタフですね。見た目も凄く頑丈そうですが、これまでに大きなケガはありました?
「高校生ぐらいまでに車にぶつけられたり、轢かれたりしたことはありましたが、大きなケガをしたことはありません(苦笑)。小さい時はバイクにも轢かれていて、合計3回ぐらいありましたね。事故状況ですか? 信号が青になったので自転車を動かしたら、横から車にがっつりぶつけられて倒れたのですが、心配して出てきた運転手さんに『僕は大丈夫なので行ってください』と(笑)。自分は特に大きなケガはしてなかったですし、向こうにも家庭があると思ったので別にいいかなと思ってしまいました」
――それは凄いエピソードですね。話は変わりますが、『REBELS』と『KNOCK OUT』新プロデューサーに宮田充氏が就任しました。宮田氏は9月大会を観戦して一番印象的な選手として鈴木選手の名前を上げていました。さらにプロデビュー前から鈴木選手のことを注目されていたようです。宮田氏が作る今後の『REBELS』と『KNOCK OUT』にどういうことを期待しますか?
「僕は同じジムの渡慶次(幸平)先輩と、試合に対する考え方など似ているものがあります。格闘技で生きていくという想いもそうですし、僕も試合で相手がどうなってもしょうがないという考えで試合をしています。宮田さんには、クロスポイント吉祥寺には危ないやつが2人いるというのをどんどん売り出してもらいたいと思います。他の選手にはない色だと思うのでどうでしょうか」  
――リング上では何があるかはわらかないといった考えから、遺書を書いて毎回試合に臨む選手もいます。鈴木選手も書いていたりしますか?
「自分は書きません。自分は死ぬと思ってリングに上がっていませんし、ただ相手を倒すことが分かり切っているので遺書を書く必要はありません」

取材 安村発

◇“戦う車掌”康弘「負けるつもりで福岡から行くわけではない。一発どっちが先に当てるかの勝負だ」

康弘(ゴリラジム) Yasuhiro
1989.6.22生/福岡県みやま市出身/31歳/176cm/オーソドックス/7戦4勝(3KO)3敗
大和KICK 65kg級王者
――まずは、変わったお仕事をされていると伺いましたが?
「西日本鉄道の運転士兼車掌をやっています。基本泊まり勤務なので昨日の昼から本日の17時まで仕事して、今はジムで最終調整しています(取材日は11月5日)。明日から会社は休みを取っていて明後日は前日計量に臨みます」
――いつも試合直前まで勤務されてるんですね。
「だいたいそうですね。福岡で試合でも計量の前日まで仕事しています。余裕を持って休めるのですが、僕は毎試合に全てを懸けていて、試合後はどんな状況になっているかわからないので、できるだけ試合後に有給休暇を使うようにしています。ちなみに、土日関係なく休みが不規則な仕事なので、勤務前、勤務後と時間がある限りはジムで練習するようにしています」
――仕事との両立は大変では?
「人の命を預かっている仕事なので緊張感は物凄くあって大変ですが、仕事だけで人生終わりたくはないと思っていて、キックボクシングをやり始めてからは毎日が充実しているので、今はきつさよりも楽しさの方が上回っています」
――どうしてキックをやろうと思ったのでしょう。
「小中高と野球をやっていて、20歳で西日本鉄道に入社しました。その後に両親が離婚して、身内に女性が多くなって、自分が守らないといけない、強くないといけないと思って会社の拳法部に入りました。もともと格闘技は好きで、どうせやるならしっかりやってみようと思って家の近くにあったジムで25歳の時からキックをやり始めました。アマチュアの試合は8試合ぐらい経験しています」
――職場の方はプロキックボクサーだということをご存じですか?
「そうですね。会社にも報告して社報で取り上げてもらったりしています」
――今回『REBELS』初参戦となりました。
「福岡を拠点にしていて8戦目にしてやっと東京での試合になります。以前から東京で試合したいと思って練習していたので、まずひとつめの夢が叶いました。東京には全国の猛者が沢山集まるので、ここからがスタートになると思います」
――ご自身はどういうファイトスタイルですか。
「下がらず前に出て、相手の攻撃を耐えて後半に仕留めるファイトスタイルです。細かいテクニックはないので、根性で勝負するタイプですね」
――対戦相手の鈴木千裕選手の印象を教えて下さい。
「格上の選手なのは承知の上です。自分も負けるつもりで福岡から東京まで行くわけではありません。自分の名前を売るために負けられませんし、強い相手とやらないと意味がないと思うので光栄なことです。いま注目されている選手に勝つのはもちろんですが、この一戦は自分の成長につながると思うので人生の通過点に過ぎません」
――いきなり序盤から仕掛けてくる選手ですが、対策は?
「あの勢いに飲まれないで真っすぐに下がらないことを意識していて、下手に距離を取って逃げられる相手ではないので自分も打ち合っていいかなと思っています。僕は4勝のうち3KO勝ちしていて一発当たれば倒す自信があるし、一発どっちが先に当てるかの勝負になると思います」
――鈴木戦をクリアしたら、次の目標は何でしょう。
「『REBELS』の常連選手になって強い選手と戦っていきたいですね。1試合1試合が勝負になってくると思います。誰とやりたいというのは特になく、同じ階級であれば誰が相手でもいいです」

取材 安村発

<第3試合 65kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
与座 優貴(橋本道場)
 vs.
久保 政哉(フリー)

◇与座優貴(橋本道場) Yoza Yuki

1997.12.20生/茨城県土浦市出身/22歳/170cm/サウスポー/8戦7勝(3KO)1敗
与座優貴「この9カ月間で凄く成長できた。あの黒星が最後になるような進化ぶりを次で見せる」
――今年2月KNOCK OUTの無法島 GRAND PRIX 1回戦での鈴木千裕戦以来の試合が決まりました。
「そこから何試合か決まっていたのですが、結局コロナで流れてしまって9カ月も試合間隔が空いてしまいました。橋本道場のほかの選手は次々と試合をやっていて焦りはありませんでしたが、自分も早く試合をしたいという気持ちはありました」
――その鈴木戦では8戦目にして初敗北でしたが、今試合を振り返っていかがですか。
「負けた後は人生終わったなと思ってしまうぐらい落ち込んでしまいましたね。あの試合はいい意味でも悪い意味でも蹴りに頼りすぎていた部分がありましたし、常に相手の攻撃をもらう可能性のある距離感での試合だったのでそこで大きくスタミナをロスしてダウンを取られてしまいました。今の自分の状態から鈴木戦を振り返ると、逆によくあのレベルで7連勝していたなと。今はパンチをもらわない距離、もっと楽に戦える位置を確認できていて、あの時と今の動きを比べると一発の攻撃力、パンチに対する反応、基礎的な部分も全然違っています。この試合をしていない9カ月間で凄く成長ができている実感があるので、あの黒星が最後になるような進化ぶりを次で見せたいと思います。今は誰が相手でもやっちゃうんじゃないだろうかという自信がありますね。前までは悪い意味で空手の延長という形で戦ってましたが、今は完全にキックボクシングができている手応えはあります。周りからは蹴りがあるからこそのパンチ、パンチができるようになったからこそ今までの蹴りが入るようになったと言われるようになりました」
――空手で世界大会優勝、キック転向後に無敗でいたことに慢心はありませんでした?
「多少あったかと思います。同じ極真出身でキックでも活躍している選手はいますが、空手の実績でいえば僕の方が勝っています。でも、現状を比べると空手で世界一を取ったにもかかわらず今の位置にいることに凄く焦りを感じていますし、そういう選手にジェラシーを強く感じているので逆に今は燃えています。今の練習通りの動きができればトントン拍子で名前が上がっていくと思うのでこれからが凄く楽しみです。僕よりも目立っている選手は気にくわないですし、もう自分が一番目立ってやろうという気持ちです。同じ競技をやっているからには違う階級の選手であっても自分が一番目立ちたいという気持ちは空手時代から強いので、同じ道場の先輩、後輩たちにも負けたくはありません」
――今回対戦する久保選手についてはどのような印象がありますか?
「元々9月のKNOCK OUTで対戦予定だったので、その時に対策を立てていました。あれから自分のスタイルに変化があり、どういう戦いになるかは軽くイメージするだけで具体的な対策はしていません。久保選手は世界的に大きな団体のGLORYで活躍していた選手なので実力者だと思いますし、キック関係者からも評価が高く、自分はそういう強い選手と戦えることが凄く楽しみです。久保選手に勝てば、僕がGLORYと契約する権利はあるんじゃないかとは勝手に思ってます(笑)。最近、自分は『トップになる、チャンピオンになる』と周りに公言するようにしていて、そうしているからなのか戦うことに対して恐怖心がなくなり、楽しみが増えました」
――今回、左ミドル対決とも言われてますが、蹴り勝つ自信は?
「自分のことを蹴りの選手と言われるのはあまりいいとは思っておらず、自分は全部ができる選手になりたいと思っています。相手が蹴りの選手ということなので、蹴りでも勝った上に全局面で上回りたいと思います」
――ちなみに今格闘技界ではカーフキックが流行ってますが、どう思いますか?
「受けたら純粋に痛いですよね。ミドルキックの得意な選手には有効な技だと思うので、自分もそういう蹴りを使っていきたいと思います。空手時代はカーフキックという技の名前があるとは知らなかったのですが、自分はよくふくらはぎを蹴る試合をしていて、デカい相手と戦うことが多かったので効かせるというよりは重心を崩すという意味で使っていましたね。ここ最近主流の技になっていて、あ~あれはカーフキックというのかと(笑)」
――最先端の技術をすでに使われていたんですね。SNSでは、ご自身も出ていたKNOCKOUT無法島GPの優勝者・西岡連太選手の名前を出していましたが、今後は西岡選手との対戦につながる戦いになりますか?
「西岡選手と戦いたいというよりは、自分はチャンピオンになるために、今のチャンピオンである西岡選手とやりたいと思います。2月に負けている鈴木千裕選手とはリベンジの機会があれば、いずれしたいなと。あの時の強さでああいう内容だったので、今やれば普通に勝てる相手です。僕がチャンピオンになってその防衛戦の相手に鈴木選手を指名しても面白いかなと思います。とにかく現時点で強いやつと戦っていきたい。自分よりも強い選手をどんどん倒していく野望があり、そういう発言権を得るためにもベルトが必要なのでここで負けるわけにはいきません」

◇久保政哉(フリー) Masaya Kubo

1993.7.23生/広島県広島市出身/27歳/173cm/サウスポー/34戦17勝12敗5分
久保政哉「左ミドル対決? 蹴りの質が全然違うところを見せますよ」
――リングネームを付ける風潮のPHOENIX GYMに所属していた久保選手ですが、“久保政哉”というのもリングネームですか?
「そうですね、本名は佐伯政哉と言います(笑)。僕には、なかなかいいリングネームが見つかりませんでした。母親が再婚して久保になり、僕は養子縁組ではないので旧姓の佐伯のままなんです。母の再婚相手の方がめちゃくちゃ良い人で、僕が小学生の頃に学校に行けず引きこもりになっていた時期に格闘技を勧めてくれて、人生の軌道修正をしてくれた恩があります。それで前会長のスネーク加藤(加藤督朗)さんが感動のエピソードにまとめようと、『じゃあ久保政哉でいいじゃん?』と言い、そうなりました(笑)。海外では久保というのが発音しやすいらしく、KUBO! KUBO!とよく呼ばれて覚えられていたのでこのリングネームで良かったとは思います」
――久保選手はヨーロッパ最大のキックボクシング団体『GLORY(グローリー)』と専属選手契約を結んでおり、今回日本での試合は2018年6月のREBELSでの潘隆成戦以来となります。海外で試合経験を積んできたことは自信になっていますか?
「海外で応援してくれる人がいない中で試合をしてきたことは自信になっていますが、後楽園ホールだろうが新宿FACEだろうが、どの場所であっても僕がやるべきことは変わらず、常にベストなものを表現しようと練習しているので上がるリングは特に関係ありません。僕はGLORYの選手だと見られていると思いますが、だからといって強い選手に勝っているわけではなく(苦笑)、久々に日本で試合をするので、以前に見た時よりも強くなっているのを見てもらいたいですね。海外で試合をすること自体が好きなのですが、日本で試合をすることの良いところは調整がしやすいことと、日本食でリカバリーできて計量が終わったら自分の家で休めることだと思います。でも、海外で試合をすると楽しいことも多いです。海外の色んなところを周っている中で、GLORY専属選手やスタッフと何度も顔を合わせると同じチームのような感覚になって、スタッフからは『よく遠いところまで来たね』とリスペクトされながら迎えてくれるので、いい試合をしないといけないなと
気合いが入ります。フランスでの試合が僕は多かったのですが、中国にも行き、そこで何度かKO勝ちが続いた時は試合会場で現地のファンからよく声を掛けられたことがありました。今はコロナの影響で海外での試合は厳しいので、日本でいっぱい試合をして、落ち着いたらまた海外で試合をしたいと思います」
――今はフリーで活動されているということですが、練習環境を教えて下さい。
「以前に所属していたPHOENIX GYMのオーナーのご厚意で、PHOENIXで練習させてもらったり、大沢文也選手のJoker GYMに出稽古をしたり、フィジカルトレーニングの場所を借りてやっています。あと、僕は典型的なサウスポースタイルなのでスパーリングパートナーで呼ばれることが多く、そこで練習させてもらうことも多いですね」
――対戦する与座選手の印象をお願いします。
「身体が頑丈そうで、空手の世界チャンピオンなので左ミドルがめちゃくちゃ重たそうなイメージがあります。彼はキックの経験が少なくパンチの反応がまだ遅いのですが、若い選手なので試合を重ねるごとに慣れてくると思うのでそこは油断せずに行こうかなと。あと、僕の34戦と比べて与座選手はまだキックは8戦しかしていませんが、実戦の感覚でいうと空手の試合で場数を相当踏んでいるでしょうし、キックではベテランの選手がデビュー数戦の選手に負けることがあるのでキャリアの差は特に関係ないと思います。警戒しているのは空手特有の胴回し回転蹴りなどの技で、それを不意にもらってポカしなければいいなと。ファンからは左ミドル対決と見られているようですが、蹴りの質が全然違うところを見せられたらと思います。もらったら効くとは思いますが、そうさせないようにするのことも作戦の一つではあります」
――与座戦をクリアーしたら、REBELSでの目標はありますか?
「僕はまだタイトルを持っていないのでベルトは欲しいなと。とりあえずREBELS、KNOCK OUTに継続参戦してそこを狙える位置までいきたいと思います。現KNOCK OUTチャンピオンの西岡蓮太選手はめちゃくちゃ巧いなと思っていて、僕が勝ち続けて機運が高まればやることになるのではないでしょうか。REBELSだとチャンピオンはバズーカ巧樹選手ですよね。与座君が僕との試合は次期挑戦者決定戦だと言われてますが、僕が久々にREBELSのリングで勝って王座に挑戦するとなっても他の選手的には面白くないので、与座君が勝てばそれでいいのではないでしょうか(笑)。僕はちゃんと順番待ちをしてチャンスが来ればやるというぐらいです。あとREBELSで目立つ選手といえば、鈴木千裕選手。彼とは噛み合う試合になると思うので興味はありますね」
――来年の目標も教えて下さい。
「まずは日本で、経験を積む意味でたくさん試合をしたいですね。あと、過去にタイで2度練習したギャットムーガーオジムの環境が良くて、ジムの方に気に入ってもらえて『1年ぐらい面倒を見てやるよ』と言われたことがあるんですよ。そこで練習しながら試合にもたくさん出させてもらえるという話だったので僕もタイに行くつもりでしたけど、コロナでその話が止まっています。コロナが落ち着いたら、タイで1年ぐらい練習したいと思っています」

<第2試合 61kg契約 3分3回戦(延長1R) BLACKルール>
中澤 良介(TRY HARD GYM)
 vs.
麻火 佑太郎(PHOENIX)

◇中澤良介「僕はキック一本の生活。キックで成功してどんどん名前を上げていきたい」

中澤良介(TRY HARD GYM) Ryosuke Nakazawa
2001.3.23生/東京都町田市出身/19歳/170cm/オーソドックス/9戦5勝3敗1分
――格闘技はいつから始めたのですか?
「元々は母が格闘技好きで、僕も山本KID徳郁さんが好きになって、幼稚園の年中の時にレスリングを始めました。東日本の18kgで2位を取ったことがあります。その後、近所にTRY HARD GYMができたので小学5年生のときから通い始めました。アマチュアは10試合ぐらいやって戦績も負け越していたんですが、プロデビューしてからは新人王トーナメントで優勝して、だんだん自信がついてきました」
――キックボクサーでレスリングベースの選手はなかなかいませんが、レスリング経験がキックに活きていることはありますか?
「身体と身体をぶつける競技なので、身体が頑丈になった気がします。あと、レスリングをやっている人はバク転ができたり身体能力が高い人が多いですが、僕は特に何もできません(笑)。ちなみにレスリング時代の得意技は両足タックルでした」
――今回の対戦相手の麻火佑太郎選手についてはどういう印象がありますか?
「試合映像が1試合ぐらいしか見つからなくて、印象は特にありません。警戒すべきことも特にないですね。コロナの影響でずっと試合ができなかったと聞いたのでかわいそうだなと思ったぐらいです」
――REBELSでの目標はありますか?
「9月にKNOCK OUTで試合をさせてもらったとき、61.5kgのRED初代王座決定トーナメントで優勝したスアレック選手が、『61.5kgのBLACKルールのベルトが欲しい』と言われていた記事を読んだので、まだベルトはありませんがそこを目標にしたいと思います。今回の試合ではBLACKルールらしく打ち合いを見せた上で、倒して勝ってアピールしたいと思います」
――TRY HARD GYMは龍聖選手や宮崎姉妹など若手選手の活躍が目立っていますが、刺激になっていますか?
「僕も19歳で若手の部類に入ると思うので負けていられません。ライバルは、同じREBELSを主戦場にしている龍聖ですね。勢いで負けているので悔しい。彼は挑発キャラでも目立っていますが、僕は根が良いやつなのでああいうことはできません」
――今は現役大学生?
「いや、大学は行ってなくてキック一本の生活です。常にキックで強くなることを考えていて、僕はキックだけしかできない人間なのでここで生き残らないとなと強く思っています。キックで成功してどんどん名前を上げていきたいと思います」
――最後にファンにメッセージをお願いします。
「9月のKNOCK OUTでは負けたのですが、いい勉強になりました。その前にも負けていて今は2連敗なんです。きっと今回が、今年最後の試合になると思うので、最後は笑って終わりたいです」
取材 安村発

◇麻火佑太郎「僕と対戦した相手からはやりづらいと言われる。自分の独特なスタイルで魅せる」

麻火佑太郎(PHOENIX) Yutaro Asahi
1999.8.20生/長野県上田市出身/21歳/174cm/スイッチ/12戦7勝5敗
――選手に独特なリングネームを付ける風潮のPHOENIX GYMに所属しているだけに、“麻火佑太郎”というのは当然リングネームですよね?
「そうですね(笑)。本名は清水佑太郎と申しまして、リングネームはジム代表の前村さんが命名してくださいました。麻火にはどういう意味があるのかはわかりませんが、いくつか候補を頂いた中から選んで、個人的にはとても気に入っています。今回は改名して初の試合で、僕は長野から4月に上京してきてPHOENIX GYM所属としても初試合なので、どれだけのパフォーマンスができるのか凄くワクワクしています」
――なせ上京を?
「地元の長野では、まず6歳から12歳まで空手をやっていて、14歳のときにキックボクシングに興味を持ち始めて、近所にあったClub TOSHIというジムに入りました。そこでキックとテコンドーを学んで、アマチュアで30戦ぐらい行ってから、17歳でプロデビューしました。2017年のK-1甲子園では-60kgトーナメントでベスト4になっています。ただ、長野だとキックの競技人口が少ないし、東京で挑戦してみたい気持ちが湧いてきて、今年3月に上京しました。プロ選手が揃っているところに魅力を感じてPHOENIXに入って、今は仕事と両立しながらやっています」
――今回REBELS初参戦が決まりました。
「日本のトップ選手が集まっていて、個人的に凄く好きな小笠原瑛作選手が活躍されているし、憧れのリングでした。あと、ジムの先輩の雅駿介選手がタイトルマッチに挑戦したのを見ているので、自分もいつかベルトを獲りたいと思っています。3月から相手のケガやコロナの影響で5回も試合が流れていて、モチベーションが上がったり下がったりで大変でしたが、今回やっと試合ができます」
――対戦相手の中澤選手にはどのような印象がありますか?
「試合映像を何度か見たところ、パンチが凄くうまいなと感じました。強い選手が多いTRY HARD GYMで練習しているので、当然強いと思っています」
――試合ではご自身のどういう持ち味を活かして戦いますか?
「僕は空手時代から蹴り技が得意で、テコンドーもやって、さらに蹴りに磨きをかけました。回転蹴りもをたくさん練習していて、自分の独特なスタイルでお客さんに魅せる試合ができると思います。PHOENIX GYMではムエタイも学んでいるので、色んなものを融合した戦い方を今回どれだけ出せるのかワクワクしています。今までも、ガツガツくる印象があった対戦相手が、いざ試合になるとそうでもなかったことがありました。僕は独特な間合いには、相手の良さを消しつつ自分のペースに持っていく力があるのかなと思います」
――今後の目標を教えて下さい。
「REBELSのリングに上がるからには最終的にはベルトを巻きたいです。先輩のハチマキさんがライト級とスーパーライト級の二階級を制覇しているので、自分もそれに続くような選手になりたいです。あと、REBELSで一度も試合をしていない自分が言うのもなんですが、スアレック選手と試合がしたいです。そこまでの位置に行った時にスアレック選手がまだチャンピオンにいるかはわかりませんが、そこに辿り着くことも目標です」

取材 安村発

<第1試合 70.5kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール>
渡慶次 幸平(クロスポイント吉祥寺/第5回Air KBZミャンマーラウェイ75kg王者)
 vs.
小原 俊之(キング・ムエ)


渡慶次幸平/Kohei Tokeshi インタビュー
1988.6.4生/沖縄県豊見城市出身/32歳168cm/サウスポー/キックボクシング1戦1勝(1KO)
◇「試合中に死んでもいい。ルールに則った戦いの上で相手が死んでもしょうがない」
 11月8日(日)東京・後楽園ホールにて開催される「REBELS.67」の[70.5kg契約 3分3回戦(延長1R) REDルール]で小原俊之と対戦する渡慶次幸平のインタビューを公開!
――渡慶次選手はパンクラスを主戦場とするMMAファイターでしたが、その後、超過激なルールで戦う「ラウェイ」に参戦し、2018年12月にミャンマーで開催された国際大会の『KBZ グランドファイナル』でKO勝ちして日本人2人目の同大会王者に輝いた実績があり
ます。前回9月13日のKNOCK OUTでの釼田昌弘戦が初のキックルールでしたが、グローブをはめた試合はどうでした?
「凄く安全なルールだと思いました(笑)。試合が終わって物足りなさは特になかったのですが、試合のダメージがなかったのでまた試合がやりたくなりました」
――ご自身としては拳にバンテージだけを巻き、肘・膝・頭突きありの過激なルールのラウェイルールの試合の方がやり応えがありますか?
「やっぱりラウェイルールの試合の方が全然いいのですが、キックはキックの難しさ、楽しさがあります。ラウェイはコロナの影響もあってラウェイ日本大会が開催されない状況なので、KNOCK OUT、REBELSを盛り上げていくことがいいのかなと」
――キックの難しさはどこで感じました?
「グローブをはめているのでキックは安全ですが、ラウェイは素手なので目に当たったら痛いですし、一発一発の怖さはラウェイの方があります。でもグローブは重い分、当たれば脳が揺れるのでダメージを負いやすいとも思います」
――ご自身のSNSでは、拳を砂袋に打ち付けて鍛錬している練習動画を紹介していましたが、キックの試合でも拳を鍛錬することに効果を感じていますか?
「グローブをはめた打撃を受けると相手は骨折します。この前の試合では最後にダウンを奪った僕のパンチで釼田選手は顎の骨と歯が3本折れたみたいなので、グローブをはめても威力が出せるように拳を鍛えています」
――キックルールでもやっていける手応えは?
「キックは立ち技格闘技の王道ですし、ルールが違ってもラウェイの渡慶次は強いんだと証明するために、やりがいを感じています。うちのジムには、日菜太さん、T-98さん、不可思とキック業界のトップ選手がいるので一緒に練習をしていてもやられることはないのでイケるなと。練習で強くてもしょうがないですけど、前回試合をしたことでどういう感じかが掴めたので、今回もしっかり準備して臨めば相手は倒せると思います」
――ラウェイの日本人選手といえば、ラウェイの本場でベルトを獲得している金子大輝選手が他団体のリングに出ていて4戦4敗となかなかキックで結果を残せていません。
「それはそうでしょう。僕と元々のレベルが違います。僕が倒してきたラウェイの選手と彼が倒したラウェイの選手にもそもそも差があるんだと思います」
――渡慶次選手の打たれ強さはどういうふうに鍛えられたものですか?
「僕はスピードがなく身長も低く、パワーも特にあるわけではなく、センスも中ぐらいだと思うんです。メンタルの面では世界のトップクラスだと思うのでそれが打たれ強さにつながっているのかなと。ラウェイの試合では失神したことがありますし、失神しても2分間のタイムが与えられて試合を再開させられて逆転KO勝ちしたことがあったのでそういう経験からメンタルも鍛えられているのかなと思います。大袈裟な言い方をしたら、試合中に死んでもいいと思っていて、ルールに則った戦いの上で相手が死んでもしょうがないと思っています。そういう気持ちで戦っているので僕は強いんだなと」
――今回対戦する小原選手にはどういう印象がありますか?
「ムエタイの名門ジムの選手なので、ムエタイに関しては巧いのかなと思うのですが、問題なく倒せると思います。巧いと言っても日菜太さんよりは強くないと思うので問題ありません」
――SNSでは大晦日RIZINで松倉信太郎選手との対戦をアピールされてましたね。
「松倉選手ともやりたいのですが、RIZINはMMAの団体で僕はMMAの選手でもあったのでルールはMMAでも問題ないです。ここまで命を懸けて勝負している選手はいないので、面白い試合を見せられると思いますよ」
――今後、具体的な目標はありますか?
「ラウェイでやられている選手にやり返すこともそうですし、この70~73kgの階級で日本で強いと言われている選手を倒していけばラウェイが強いことを証明していけると思います。この階級だと同じジムに強い選手が多いですが、得する人が少ないですし喜ぶ人もいないので同門対決はしません」
――ミャンマーの子供たちのために学校を建てるプロジェクトを立ち上げていましたが、どういうきっかけでやられたのでしょう。
「元々僕が出ていたラウェイ日本大会がミャンマー子供教育支援で開催されていて、2018年に現地の学校を訪問したら、日本と少し離れた国なのに僕らとは違いすぎる教育の環境なんです。子供たちは親の仕事を継ぐことしかなく、夢を聞かれても答えられる子がいないんです。自分がやりたい職業をやっている人がたくさんいるのが日本で、一回しかない人生で夢に向かっていくエネルギーを持つことが大事だと思います。そういうのを現地の子供たちに経験してもらいたいですし、それがあればもっとミャンマーの国は発展すると思いました。そこで教育を見直してほしいと思っても、学校がボロボロの小屋だったりしてまだそこまで子供たちの教育に目が注がれていません。僕が訪問したことで『日本人でミャンマーの国技のチャンピオンが学校を訪問した』と国内でニュースになり、そうしたらミャンマーの富裕層の人たちがお金を出し合ってくれて“日本人が見つけた学校”と名付けられた学校を建てることができました。注目を集めることで子供たちの教育に割かれる国の予算も変わってきます。クラウドファンディングで2校目が建ち、今は3校目を建てている最中です。僕ができるから他の格闘家もできると思うんです。格闘技を通して社会に貢献できるので、他のキックボクサーも社会に対して貢献してもらえればキックの地位も向上しますし、そうすればREBELS、KNOCK OUTもいい形で世の中に広まるのでどんどん派生していければいいなと思います」
文・安村発


小原俊之/ Toshiyuki Obara インタビュー
1985.6.3生/愛知県清須市出身/35歳/183cm/サウスポー/15戦8勝(4KO)6敗1分
◇「もう少し自分のレベルを知った方がいい。キックとラウェイの違いを味わわせてやりますよ」
――REBELS初参戦が決まりました。まず格闘技を始めたのはいつですか?
「18歳ぐらいの時にラーメン屋でバイトしていた時に賄いが美味すぎて体重が100kgぐらいになり、友達から『そのままいったらやばいよ』と言われたのでダイエット目的で23歳からキックをやり始めました。今35歳なのでもう12年ぐらいやっていますね。最初は試合に出るつもりではなかったのですが、試合に出てみろと会長に言われてアマチュアの試合に出て20戦ぐらいやって1敗しかしていません。キックをやる前のスポーツ歴は小学生の時にサッカー、中学生の時に卓球をやっていました」
――アマチュア時代は好戦績ですね。格闘技のセンスは自分でもあると思っていました?
「自分はサウスポーなんですが、そこが一番良かったのかなと。183㎝の長身でサウスポーであることと相手がやりにくく感じたことがうまく噛み合って、勝ち星が多かったのかなと思います。でも佐藤孝也会長からは『練習にムラがある。調子に乗るな』と言われていて褒められたことがほとんどありません(苦笑)。佐藤会長もサウスポーでサウスポーの癖をよく知っているのでよくアドバイスしていただけます」
――プロデビュー後、数戦しか経験していない段階で他団体のリングでは、新日本キックの上位ランカー、NKBのチャンピオンクラスの選手との対戦が続いてますよね。
「新日本キックのリングで今野顕彰選手にKO勝ち(2017年11月19日)して以降はその試合が評価されたのか、急に対戦相手のレベルが上がって新日本キック、NKBのチャンピオンクラスと当てられようになりました。僕は今野選手と喜多村誠選手の新日本キックのタイトルマッチが好きでYouTubeのお気に入りリストに入れて何度も見ていました。自分の階級でこんな凄い選手がいるなんて凄いな~と思っていたら、まさか自分が二人と試合が決まるとは思っていませんでしたね。まだキャリアが浅いだけに怖かった反面、自分の実力はどうなのかな? と思っていたので憧れの2選手とやれて良かったです」
――格上の選手と試合をすることは自分にとってプラスになることは多いですか?
「そうですね。チャンピオンクラスと試合をすることは勝っても負けても身になることが凄く大きいです。試合に向けての準備、気持ちの入れ方はどの試合も変わりませんが、一戦一戦を無駄にしたくないのでどうせなら強い選手とやっていきたいですね。格下の選手とやっても楽しくないので、勝っても負けてもどうせなら格上の選手とやりたいです」
――最近の試合だと、昨年4月、NKBミドル級王者・西村清吾選手を1RKOした試合は衝撃的でした。
「ほぼ100%練習の成果が無意識に出た試合でした。西村選手はジャブ、ジャブ、ストレートを打つ癖があり、そのジャブとストレートに間があるので左ヒジを入れようと思って練習したらドンピシャでした」
――試合前は相手を凄く研究するタイプですか?
「相手の癖を見抜いてそのタイミングで打つことを研究しています。昔は相手が怖くて見ることが嫌だったのですが、最近は相手のことを研究して出せる技を用意しておけば、気持ち的に楽に戦えるようになりました。目で見るよりも先に身体が動くことを心掛けて練習しています」
――まるで精密機械ですね。
「今回もこれは入るんじゃないの? と思える技があるので、それが入ったら試合がすぐに終わるんじゃないかなと思います」
――今回REBELS初参戦が決まって心境はいかがですか?
「これまでに新日本キック、NKBといった老舗団体に上がっていたのですが、まさか自分が呼ばれるとは思っていなかった団体なのでかなり嬉しいです」
――対戦する渡慶次選手の印象を教えて下さい。
「ビッグマウスですよね。松倉(信太郎)選手とRIZINでやりたいなどとSNSで言っていますが、もう少し自分のレベルを知った方がいいのかなと思います。僕が一回倒して黙らせてやりますよ。ラウェイのチャンピオンなのでタフだとは思うのですが、特別にうまい選手ではないですし、そもそも攻撃が僕に当たるかどうか」
――煽りますね。
「ラウェイチャンピオンだからといって怖さはないですし、僕と打ち合いたいと言っているみたいですが、自分でそういう展開を作れるのか? という感じです。渡慶次選手は動きが遅いのでヒジを狙ったり、アウトボクシングに徹するなど、考えて戦おうと思います。ラウェイとキックは全然違うのでそこもわからせてやります。」
――ラウェイとキックは全く別物だと。
「渡慶次選手はラウェイで15戦の経験があり、キックは2戦目でルールがそもそもキックとラウェイでは違いますし、実力差も見せます。自分のレベルをもう一度再確認してもらって、キックとラウェイの違いを味わわせてやろうとも思います」
――かなり渡慶次戦に向けて自信が感じられます。ご自身としては完封勝利、KO勝利のどちらが理想の勝ち方ですか。
「KO勝利が華やかなんですが、完封+ヒジで切ってTKO勝ちするイメージができています」
――試合が楽しみになりました。練習ではどういうことを強化していますか?
「昨年7月、新日本キックでの斗吾戦以降1年4カ月空いていてだいぶフィジカルを中心に強化してきました。今までミドル級でやっていましたが、僕は元々身体の作りがミドル級の選手ではありません。今回はミドル級の体格でスーパーウェルター級の試合に挑むつもりでやってきました。今まではムエタイスタイルで足を使わずにリズムで戦っていたのですが、足腰の強化をしていたらアウトボクシング、インファイトができるようになったのでどういう試合ができるのかが楽しみですね」
――今回勝ってREBELSで目標としていることはありますか?
「渡慶次選手との試合はサウスポー同士の試合なので、綺麗な試合にならないと思うんです。次はオーソドックスの選手を用意していただいて綺麗に戦って完勝したいですね(笑)。何をしたいという具体的な目標はないので、次もREBELSに呼びたいと思っていただけるような試合をしたいと思います」
文・安村発

【2020年 REBELSスケジュール】
12/06(日) REBELS.68/REBELS.69 後楽園ホール
※運営都合により上記予定は変更または中止される場合がございます。

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