冒頭もトリもアスカxシャーロット軸で引っ張る『バックラッシュ』前RAW

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 事前告知では「アスカvs.シャーロットやります」と煽っておいて、サーシャ・バンクス&ベイリーのタッグ王者組にアイコニックスは出てくるはと、なんだよ、またうやむやにするのかと心配から始まったRAWなんだが・・・。なんでアスカとシャーロットが組んでの3 wayタッグ戦になるのかと、ブツブツ独り言を吐いていた冒頭ではあるが、蓋を開けて見ないとわからないものだ。むしろ充実の内容かつ注目点ありになったのだからPPV大会前の煽り回との偏見こそ禁物ということになった。

 但し3時間番組、すべてが合格品質だった訳ではない。もういい加減に止めて欲しいとも思うが、ストリート・プロフィッツとバイキング・レイダースの他競技対決コントとか、こんなの誰が見るのだろうというセグメントも挿入されてはいた。ただ、結果的にはなかなか見ごたえのある番組になったのは喜ばしい。なにしろ現地の裏番組は、依然としてニュース番組一色なのである。

 レイ・ミステリオが引退するとかしないとかは、また今週も引っ張っていたが、マンデイナイト・メサイヤ御一行とアリスター・ブラック&ウンベルト・カリーヨのカードは魅せてくれてはいる。


 US王者アポロ・クルーズへの挑戦権を賭けた3 way戦では、ケビン・オーエンズとエンジェル・ガザがやりあったあと、いつものWWE流のケツで漁夫の利で元王者のアンドラデがガザをフォールしていた。


 なんといってもアスカがRAWの顔役というか、その冒頭にせよ、そして久しぶりにちゃんとした尺(なんと27分強!)をもらったトリのシャーロット戦といい、ちゃんとレスリングやるのだから素晴らしい。また、シャーロットなんか前日の『NXT:テイクオーバーIn Your House』から3試合やったことになり、やはり女王様なのである。
 例によってケツはナイア・ジャックスが絡んできてシャーロットがフォール取るから、NXT王座を失ったとはいえ”Raw is Charlotte”であることは動かない。『In Your House』で紫雷イオがリア・リプリーをピンフォールしたものだから、「私はなにも負けてない」は正論なんだし、ここはシャーロットのリハビリというか、アスカに二連勝でまた勝つことになると。一方のアスカは、これだけの激しい試合だから、ナイア戦の前に暗雲というハンディをつけたことになる・・・というお膳立てにしていた。


 もっとも、すでに収録が終わっているGreatest Wrestling Matchの前宣伝が吹聴されるランディ・オートンvs.エッジが『バックラッシュ』目玉なんだが、女子の頂上決戦の方が先に「史上最高のレスリング戦」を一般向きのRAW番組でやってしまったのかも。
 いずれにせよ、抗議デモのニュースがまだまだ続いていてニュース番組が視聴率の上位を独占する社会情勢の最中に、WWEの看板番組RAWが、冒頭もトリも女子カードで引っ張ったというのは画期的なことなのであった。

■ WWE RAW
日時:6月9日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド パフォーマンス・センター

◆女子戦:視聴率は冒頭セグメントになにを持ってくるかで決まる

 宿敵シャーロット・フレアーとの再戦を予定していたアスカがオープニングに登場すると、そこへ新WWE女子タッグ王者ベイリー&サーシャ・バンクス、“女王”ことシャーロット、PPV「バックラッシュ」でトリプルスレットWWE女子タッグ王座に挑戦するアイコニックスが次々に姿を現した。するとアスカが「どっかいけ!この野郎」と予定外の出来事に怒り出すとシャーロットも「どれだけベルトを持っていてもゴミみたいなものね」とベイリー&サーシャを挑発してトリプルスレットタッグ戦へと発展した。

 試合はタッグチームの2組があるから残った二人でタッグを組むことに。シャーロットと張り合いながらもアスカがアスカロックでビリー・ケイを仕留めて勝利を収めると、シャーロットが突如アスカを襲撃して2人はメイン戦で仕切り直しのシングル戦で闘うことになった。

◆オートンが自信を取り戻したエッジに「バックラッシュ」での因縁決着を宣言!

 PPV「バックラッシュ」でランディ・オートンと史上最高のレスリング戦として再戦に挑むエッジが盟友クリスチャンのコーナー「ピープショー」にゲスト出演した。長年の親友としてクリスチャンは「エッジが復帰してうれしいが、史上最大のレスリング戦との煽り期待に応えらるのか?」と疑問を投げかけると、エッジは「俺の気持ちがわかるか? 自分を疑うこともある」と自身が抱えるプレッシャーを告白した。するとクリスチャンは「信念はどうした。闘う気持ちがないなら家に帰れ! 俺は信じているぞ。オートンを倒すんだ!」と励ますと、エッジは自然と目つきが変わって自信を取り戻した。するとここで突如会場のビジョンにオートンが姿を現し、「可哀そうに。お前は屈辱を味わって家に帰ることになる」とPPV「バックラッシュ」での因縁決着を宣言すると、エッジは「そうはいかない」とオートンを否定して会場を後にした。

 エッジとオートンが史上最高のレスリング戦で激突するPPV「バックラッシュ」は日本時間6月15日にWWEネットワークで配信される。

◆アスカ、先週に続きナイアの妨害でシャーロットに黒星

 メイン戦ではアスカがミサイルキックやジャーマン・スープレックス、ヒップアタックと連続攻撃を繰り出すと、シャーロットもバリケードからのムーンサルトやスピアーを叩き込んで白熱の攻防を展開。しかし、先週に続きPPV「バックラッシュ」でアスカと対戦するナイア・ジャックスが突如妨害に現れるとアスカがナイアにヒップアタックを決めて返り討ちにしたが、その隙にシャーロットがビックブートをアスカの顔面に炸裂させて3カウント。アスカは2週連続でナイアの妨害によりシャーロットに敗れる結果となり、試合後にはアスカがナイアのサモアンドロップでKOされてPPV「バックラッシュ」でのRAW女子王座防衛戦に暗雲が立ち込めた。

 ナイアが試合を潰すというなら、なんで最後の最後になって出てくるんだとか、ロジックはオカシイのだがまぁ固いことを指摘してもしょうがない。ライバルがまたじっくりの試合を一般向きのRAW番組でやったという事件を評価しないでどうする、ということ。さらには、冒頭と合わせてどれだけアスカとシャーロットが番組時間を占拠したかはひょっとして記録に残る快挙なのかもなのだ。えてしてPPV大会前のGo Home Show(単なる仕込み回)だったと専門媒体は安易に評する嫌いがあるが、コロナ期間の中継において地殻変動の現場を目の当たりにした思いがある。結局はレスリングの質で勝負するしかない。これがパラダイムシフトなのだ。

 アスカ対ナイアのRAW女子王座戦、ベイリー&サーシャがアイコニックス、アレクサ・ブリス&ニッキー・クロスと対戦するトリプルスレットWWE女子タッグ王座戦が行なわれるPPV「バックラッシュ」は日本時間6月15日にWWEネットワークで配信される。


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