フロリダ解禁受け野外ホーム会場AEW中継!最後はジャガース本拠地へ

(C) Lee South/AEW

■ AEW Dynamite
日時:5月6日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス

 生中継とまで呼べるのかどうかはともかく、フロリダ州ジャクソンビルは営業中断だったホテルも宿泊可能となり、AEWがもともと野外会場であるデイリー・プレイスに戻ってきた。もちろん、まだ一般客はご法度なものの、間隔を空けながらにせよ選手やスタッフ関係者が声援を送るだけでも、随分と密閉されたWWEのフロリダ2拠点とは違った印象を受ける。

 絵的にもそこを逆手にとって、メインの試合はストリートファイトマッチということで、ケニー・オメガがマット・ハーディと組み、クリス・ジェリコ&サミー・ゲバラ組と闘うのだが、やがてはリングから場外へ。デイリー・プレイスは、そもそもNFLジャガースの本拠地エバーバンク・フィールドに隣接しているのだから、闘いはそのままスタジアムの方向に向かう趣向である。最後はインナーサークルがフォットボール会場を絵に勝ち誇り、会場の電光掲示板にはINNER CIRCLEという表示が出るエンディングだった。日本でも半分以上の県が解除になったニュースが流れた日、いよいよアメリカも経済再開が始まったようだ。

 もっともデイリー・プレイスに隣接しているのはスタジアムだけでなく、駐車場が大規模なコロナのテストが出来る環境にあることも大きい。AEWだけでなくUFCも早くからジャクソンビル入りして、選手だけでなく関与者全員が日本よりはるかに結果がスグわかる検査を全員させたのだと。ただ、建前上は10人とも、緩和されて60人までとも言われているものの、いくら野外会場とはいえ、AEWの客席は選手の家族までいたのかもにせよ結構な多人数いたような。

 とりあえずこの集合日、(予定が変わるかもにせよ)2回分を収録したようで、今回分にせよ野外のデイリー・プレイス、最初の試合はCodyとジョーイ・ジャネーラからなんだが、第二試合の巨漢ナイラ・ローズの久しぶりのリング復帰は、野外会場の外が明るいなどチグハグな箇所もある。最後の試合は明らかに編集してある凶器使用ありのハードコア戦(隣接といっても、歩いていくにはスタジアムへは簡単ではない)だったが、固いことを言ってもしょうがない。客がいたら出来ない選手の移動に使う大型のゴルフカート車を使うなど、かなり危ないことがやれたのも、無観客を逆手に取ったのだからそこは評価すべきだろう。アイデアを考えてCreativeにやってくれたということだ。


 順番に振り返るなら、実況がジョーイ・ジャネーラのことを、言われた通りにやらないからBAD BOYなんだとか、際どい裏ネタに突っ込んでいたのが笑える。今回からJRジム・ロス、エクスカリバーも実況席に復活。後半には、先日亡くなった(日本のファンには米国で最初の本格的な女子だけの団体だったLPWAの実況者にして裏方だった)ジョー・ぺディシー(相方はジム・コーネット)の追悼も話している。これはJRがやらないと世代的には恰好がつかないものだった。


 Codyにはメリットのないカードで、負けたら大変だし、勝っても株が上がるわけではないとは、ちゃんと解説が言ってしまうところがAEWなのか。ただ、アイデアマンのジョーイがそれで終わるわけがない。非情に面白い組み立ての試合を作り上げたのだった。ケツはクロス・ローズが決まるのだが、ジョーイはなんも落ちていない。むしろ評価は上がっただろう。これが底なし沼たるプロレスである。


 ナイラ・ローズは「メディカル・クリア」にならなかったからこのところ出てなかったと説明されていた。AEWはそれ以上の余計な情報は公開していない。MJFも、あの左手を吊っていたり、ネックブレイス姿のビデオ登場はなんだったのかと突っ込みしたくなるが、しゃべりが面白いので許そう。ナイラの試合は無名jobber相手のスクワッシュだった。


 AEW王者ジョン・モクスリーはSCUのフランキー・カザリアンとシングル戦。なぜか二人がやたら日本式プロレスをやっていたのが注目点か。アメリカの客にはいつもと違って「うむ?」だったかも。


 パラダイムシフトが決まってから、実況では7人とのことだが大勢の黒覆面ダークオーダー軍がなだれ込んできてMOXを袋叩きに。最後に背広姿のブロディ・リーがガツンとやって、5・23『Double or Nothing』ではMr.ブロディの王座挑戦が発表された。ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナは使えないが、予定通りPPV大会は無観客、非公開の会場で決行される。


 ランス・アーチャーが前週のダスティン・ローズ(日本表記ローデス)戦に続いて、まだまだアメリカのファンには知られてない一通りのレパートリーを披露。今回は、事前収録ビデオだけの出演を除けば1ヶ月以上の間隔で参謀役ジェイク・ロバーツも復帰。試合の受け役は、実況でも「フロント陣でもある」ことが触れられたQTマーシャルなんだが、道場師範としての教え方には定評あっても、肩から落ちてパンプしてたり、選手としてはどうなのか。


 ちなみにブランディ・ローズとはベビーフェイスに戻ったNATURAL NIGHTMARE同盟なんだが、そのブランディは、歯医者ブリット・ベイカーのハイヒールを奪って客席に投げたり、やっぱり本性はヒールなんじゃないかと(笑)。

 ということで、最後はお約束で本物の大蛇が出てきて、リングに寝かされたブランディに蛇がぐにょぐにょという卑猥な絵にしていた。これがお芝居のプロレスでなかったら、明らかなセクハラ行為で訴えられたであろう。つくづく、あんなおもちゃのスパイダー鳥籠を持って出てくるギミックで一時は破竹の快進撃だったエリック・ローワンが、偽物の大蜘蛛とわかった途端、結局WWEから解雇になったことを思い出したのは本誌だけではあるまい。やはり動物を使うなら、本物でないと成立しないということ。ちなみにハングマン・ペイジは本物の馬に乗って会場をわかせたが、コロナ期間を理由に参加してないままだ。


 最後がストリート・ファイト。まずはジェリコ様の入場曲♪Judasを凶器のバットをマイクに見立てたサミー・ゲバラの熱唱から。


 なんか試合の最初は「オメガとジェリコ&ゲバラの1対2マッチなのか?」というリングから始まり、実況では「Social Distanceを守っていたから」とフォローされ、必ずしもチームではない狂人マットがあとから闘いに加わるのだが・・・。


 デイリー・プレイスの通路でも闘い、マット・ハーディがアイスボックスに投げ入れられたりとか、あちこちでド派手に。もうそこからはジェイク・ヘイガーも闘いに加わって、面白ければ固いことは言わない。


 設置資材用のフォークリフトのようなのを上に上げて、そこからオメガが飛ぶなど、あとは車ではねるとこまで、アクション映画のスタントマンになってハチャメチャなメインに。トニー・カーン代表の親父シャヒド・カーンがジャガースのオーナーだから、壊してもなんでもありなんだろう。


 エンタメ度からも必見回であった。皆さんAEWを見ましょう。


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