[ファイトクラブ]井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル第71回 I編集長 部下への口グセは「おうちにいちゃダメ!」

[週刊ファイト5月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル第71回
 I編集長 部下への口グセは「おうちにいちゃダメ!」
・横着をかますと中身のない記事しか書けない
・山本氏はとりわけ、UWF勢に詳しかった
・山本氏は83年8月、大ホームランをかっ飛ばす
・『ファイト』にはいろんなハンディがあった


 キミたちは編集部にいちゃダメ! どんどん外へ出掛け取材をしなさい。それがI編集長の口グセだった。情報を集められるだけでなく、その方が記者としての成長を早めると考えたのだ。その当たり前のことを面倒臭がらずにやっていたのが、いち記者時代の私やターザン山本氏であり、後輩の金沢克彦氏である。プロレス記者に限らず、横着をかますと中身のない記事しか書けない。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、今や世界の“合言葉”になっているステイホーム(Stay Home)。

 もう数10年前になるが、その逆の言葉(Don’t Stay Home)を自分の部下に投げかけたのがI編集長(井上義啓氏)である。

 厳密に言えば、「記者は編集部にいるな! 試合会場や団体事務所、選手宿舎などに足を運んで取材してこい」というもの。私にしろ、『ファイト』時代の山本隆司氏にしろ、その方が性に合うこともあって、ほとんど出掛けていた。

 当時の山本氏はまだ『ファイト』の戦力になっていなかったが、関西地区で行われる新日プロ、全日プロ、国際プロの試合を精力的に取材。選手や興行関係者からコメント、情報を取るという役割りをきっちり果たしていた。

 彼は人一倍、好奇心旺盛。2年後、『月刊プロレス』(ベースボール・マガジン社)に転出してからは試合だけでなく、レスラーのトレーニングやプライベートも取材するようになった。

 新日プロや第1次UWFの道場に行けば、選手と一緒にチャンコも食って5時間以上、滞在。藤原喜明や藤波辰爾の自宅を訪れた際には終電近くまで取材を続けたという。

 山本氏はとりわけ、UWF勢に詳しかった。私が1番感心したのは、高田延彦から「子供の頃、非常に家庭が貧しく、1円玉をかき集めてインスタントラーメンを買ってそれだけで夕食を済ませたこともある」という話を聞き出したこと。

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