NXT金網戦ダコタ・カイ-ティーガン・ノックス、Vドリーム-ロドリック・ストロング

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■ WWE NXT
日時:3月4日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 フルセイル大学スタジオ

 ダコタ・カイvs.ティーガン・ノックスの遺恨戦は、面白いから手を変え品を変えてもやってくれなのであって、今回の番組はフルセイル大学スタジオに、やや小さい特製金網を設置しての試合から。それにしても、ダコタ・カイのコスチュームは毎回違うというのは素晴らしいことだ。

 ラテン系の大女ラクウェル・ゴンザレスがカイ側なのでどうなるかは読めるのだが、WWEは伝統の「出た方が勝ち」ルールなので、そこはいつも引っかかる。試合に勝とうとしてないというロジックの破綻がライト層にもわかってしまうと思うのだが・・・。
 ただ、そのドアがカイのギブスの足をガツンもあれば、ノックスが外側に脱出寸前も、ドアを反対側にゴンザレスが開いて叩き金網サンドイッチにして動けなくするとか、アイデアは練ってあったのでそこは良かったかと。但し、二人とも足に爆弾を抱える選手なのだから、ティーガンが望んだという金網決着戦にする意義においてはイマイチ企画者の意図を疑う場面も。とことんやり合う金網戦なのに、なんで外部のセコンドがケツにも絡むのか。もっとも、こういうのは長くやると見にくいことも含めてダレるんだが、ちょうどいいくらいでまとめてあったのは高評価だろう。ティーガンのやられる際の表情もいい。スターダムでのニクソン・ニューウェルの時は、まだまだ少女ぽかったが、ここでは大人の女性に見えるのだ。

 ジョーン・ジェットのファンだからショーツィ・ブラックハートというリングネームの緑髪は、ミニ戦車をこいで登場。但し、チェルシー・グリーンの生贄役だった。グリーンはレッスルマニア前日の『NXTテイクオーバー:タンパ』で、次期NXT王座挑戦者決定ラダーマッチにエントリーとなる。

 NXT王者リア・リプリーが、『レッスルマニア』会場となる巨大なタンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムを訪れ決意を新たにする映像も挿入されていた。但し、フロリダ州でも新型コロナウイルスが発生しており、ステファニー・マクマホンがわざわざ「予定通りです」と声明を出さざるをえなくなっているのが最新情勢だ。


 キース・リーのプロモ・セグメントには、本誌が高評価を続けているキャメロン・グライムスが登場。次週がNXT北米王座戦となり、これは楽しみだろう。


 カイル・オライリー&ボビー・フィッシュに、NXT UKのオニー・ローカン&ダニー・バーチは、職人同志だからレスリングを魅せる定番となった。今回の実況は、RAWでべス・フェニックスがランディ・オートンにRKOされたことをセールしたのか、マウロ・ラナーロとナイジェル・マクギネスだけだったが、苦労人ダニー・バーチに関してパンクラス参戦も持ち出していた。2007年4月27日の前田吉朗戦であり、当時のリングネームは「ロンドンから来たダニー・バッテン」である。本名はマーティン・ハリスなんだが、英国プロレス通ならマーティン・ストーンがイチバン覚えられていると思う。ピンされる役だった長身オニー・ローカンもよく動いていた。

 マウロが叫ぶUEはアンディスピューティド・エラなんだが、花道に現タッグ王者ブルーザーウェイト(ピート・ダン&マット・リドル)が現れて「ちょっと待て!」とやり合うだけでなく、強いリバプール訛りでGYV(グリズルド・ヤング・ベテランズ)も襲撃参加と、タッグ戦線は駒が充実しているNXTであった。


 元EVOLVE王者オースティン・セオリーは、まだ22歳というのを知ったが、「俺こそGreatestだ!」とYouTubeのプロモが流されて、アイゼヤ”SWERVE”スコットと対戦と。トマソ・チャンパ親父にはやられ役だったが、ここではATL(オースチン・セオリー・ラウンチ)で勝利だ。

 もっとも、番組の真のハイライトは、マウロ・ラナーロのジョニー・ガルガノへのインタビュー・セグメントになる。『NXTテイクオーバー:ポートランド』で、なぜにトマソ・チャンパを裏切ったのかと詰め寄るのだが、「アンタだってなぜかわかっているだろう」と、最後は激しくマウロに詰め寄り、これ以上は無理とマウロが席を立つのであった。なんでJBL (ジョン・ブラッドショー・レイフィールド)がWWE殿堂入りなのかと、デタラメな基準に大人のファンは怒っているが、そのJBLにマウロがいじめられたせいでSmackDownからNXTの実況になったことこそNXT躍進の原点と考えるなら、実に印象深いスキッドなのであった。


 トリは再び金網戦で、これまた遺恨戦のベルベティーン・ドリームvs.ロデリック・ストロングなんだが、タイツにスプレーペイントで顔を描かれたマリーナ・シャフィール夫人が竹刀を渡すだけでなく、お約束でUEも全員絡むから、ややごちゃごちゃになって長いと感じたのはマイナスかも。冒頭試合じゃないが、長すぎると金網戦はダレるのだ。それに決着戦が金網の主旨なのに、なんで外部の選手が絡んでぐちゃぐちゃにするのか。正直、女子カードの方が良かったと思う。

 ケツは、恐らくはドリームがストロングを場外に投げたから、試合上はストロングの勝利だとは思うのだが、ドリームが自分で金網内側から鍵をかけて、アダム・コールにドリーム・バレー・ドライバーを見舞い、金網の頂上でNXT王者のベルトを持つ勝ち誇ったかのような絵が番組の終了だった。いくらプロレスは格闘演劇であっても、特に金網戦なんだから勝ち負けをはっきりさせるべきだろう。ぼ~っと見ている一般の視聴者は、ドリームが勝ったとなっているに違いない。

 今週の「水曜生TV戦争」、AEWが好評だった『REVOLUTION』大会のリキャップや、マット・ハーディ投入の噂もありライト層の関心を惹き付けたのか、平均視聴者は906,000人と前週より4.7%の上昇に。NXTのほうは先週とほぼ同一の平均718,000人となっている。


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