現地日曜夜、単独NXTポートランド会場神興行!集大成大会の勝者はお客さん

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 ロイヤルランブルやレッスルマニアは通常、土曜夜がNXTで日曜がメガショーPPVだが、今回はこれまでの集大成として単独での日曜夜開催のテイクオーバーに。いつもの5試合でなく6試合になっても全3時間6分という台割りは称賛。そして第1試合からメインイベントの公約通り、すべての試合が素晴らしいという理想の大会がデリバーされた。
 We’re NXT – Defender of the Faith 選手も、裏方も、そしてユニバースも信念を持った全員がWe’re NXTなのだ。

■ NXTテイクオーバー:ポートランド
日時:2月16日(現地時間)
会場:米オレゴン州ポートランド モダ・センター

<第6試合 NXT王座戦>
○アダム・コール
 33分23秒 ピンフォール
●トマソ・チャンパ

 試合経緯をなぞることより、最初からお客さんは”アダム・コール”、”トマソ・チャンパ”とフルネームの合唱をやっていたことのほうが重要かも。そしてその順番が”トマソ・チャンパ”、”アダム・コール”に替わり、さらに”This is AWSOME”に昇華するのだ。

 ヒートを巻き起こしてナンボのプロレス芸術である。そしてアンディスピューティド・エラの介入にもカウント2.9が続きと思いきや、チャンパのフェアリーテール・エンディングが決まっても、場外に落ちたままのレフェリーはカウントできない。ジョニー・ガルガノが乱入してきて、チャンパを助けるかと思いきや、ベルトで殴って、そこにリカバーしたレフェリーがコールのフォールをカウントする。古典芸のフィニッシュではあるが、さすがにこの二人は堪能させてくれた。

<第5試合 NXTタッグ王座戦>
[王者]カイル・オライリー&●ボビー・フィッシュ
 16分58秒 ピートが顔面キック⇒マットがピンフォール
[ダスティ杯優勝]○マット・リドル&ピート・ダン

 最高に笑えたタンパからポートランドへの珍道中コントのオチが、小会場と同じゴルフカート入場というのはひねりがない不満を覚えたが、試合内容は良かったかと。試合中からもピートが涙目なのが見えて、もらい泣きしてしまう。映画『ファイティング・ファミリー』にも、気が付いたマニアはわかったようにチビ過ぎてトライアウトに落とされていた英国の職人が、ついにベルトを巻いた。やる側から見ていたなら感情移入に違いない。

 ご存じの二人とも変人にして、シングルプレイヤーと思われていて、特にマットはロッカールームでも孤立していたんだが、最初この組み合わせを聞いて誰もが「?」だったハズなのに、これがうまく機能して噛み合うと。会社が作り出したタッグチームの成功例がHappy Endingを迎えた。

<第4試合 NXT王座戦>
○リア・リプリー
 13分30秒 リップ・タイド
●ビアンカ・ブレア

 パフォーマンス・センターの体力測定会で脅威の記録を残したビアンカが、大会場の観衆を前に階段を駆け上がるり、チャンピオンと説得力のある互角の戦いを繰り広げる。ずっとNXTを見てきたユニバースは大舞台に歓喜する。ケツはわかっていることだが、真の真剣勝負は対お客さんなのだ。そして若い二人は堂々とやり遂げる。女子プロレスの本場は日本という神話を崩し、NXTが世界のJoshi頂点であることを証明した。
 
 お約束でシャーロットが出てきて痛めつけ、レッスルマニアのカードが正式に決まる。あとは名前だけの大物たちのカードを全部食ってしまえばイイ。時は来た。

<第3試合 シングル戦>
●ジョニー・ガルガノ
 27分22秒 クーデ・クラ⇒1916
○フィン・ベイラー

 お客さんの”ジョーニー・レスリング”とベイラーの両雄を称える合唱からして、ポートランド会場が出来上がってる。期待にたがわぬ好勝負で、フィンは公約通りRawやSmackDownでないNXTのキラー・ベイラーと化した。そしてもはや、アイルランドの誇りはNXTにとどまるだろう。なんか第二次世界大戦の難攻不落のドイツ軍暗号記エニグマを解読した数学者をベネディクト・カンバーバッチが演じた、映画『The Imitation Game』と被って見えたのは本誌だけなのだろうか?

<第2試合 遺恨戦ストリート・ファイト>
○ダコタ・カイ
 13分24秒 ピンフォール
●ティーガン・ノックス(ニクソン・ニューウェル)

 当然にゴング鳴る前から入場ゲートで急襲のカイは、また違うストリート・クローズというのか・・・。ゴミ缶、チェアー、チェーンが次々に出てきてハードヒットで痛め合う元親友同士。

 ティーガンがテーブルをリング上にセット、カイを乗せて顔をチェアに挟んで最終処刑されると思いきや、メイヤング・クラシックに出ていたラケル・ゴンザレスが乱入。むしろティーガンをテーブルに落とし、その機会にカイがフォールするという幕切れに。ラクエルがカイを助け味方した意図は? to be continued…

<第1試合 NXT北米王者戦>
[王者]○キース・リー
 20分20秒 ビッグバン・カタストロフィー(ジャックハマー)
[挑戦者]●ドミニク・ダイジャコビック

 PWG時代から延々と続く名勝負数え唄が大会場のお客さんを前に登場。実験ということで現地日曜夜のPPV大会だから、「今回見てみようか」というお客さんだっていたハズで、巨漢、長身が雪雪崩式スパニッシュ・フライまで披露する攻防を、初めて見て驚く方も多いだろう。実況マウロ・ラナーロの「マンマ、ミア~!」を最初から連発と。

<予告編おさらい復習>
 プリショーの驚きはサウジアラビア出身のマンターがコメント陣(ベビー役)で、母国語のように英語がスムーズだったことか。POPPYの会場到着には、ステージ衣装にすでに着替えてリムジンから出てきていた様子が紹介されていたが、本戦はそのPOPPYのステージからだった。音楽重視のNXTである。プリショー用の試合とかはあえてやらない30分間であった。


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