プロレス界が泣いて喜ぶ人材が、ラグビー日本代表にはゴロゴロ!?

 ラグビー・ワールドカップは閉幕したが、国内の大学ラグビーは再開され、年明けにはトップリーグも開幕するということで、まだまだ興奮は冷めやらぬようだ。
 それにしても、ラグビー界はプロレス界がよだれを垂らして欲しがる人材が豊富である。アメリカのプロレスラーでは、スタン・ハンセンやブルーザー・ブロディ、ビッグバン・ベイダーなど、アメリカン・フットボールのNFLを経験した選手は多いが、日本ではアメフトの競技人口が少ない。やはり、日本のプロレス界がターゲットとするのは、球技ならラガーマンが最適だろう。

 先週、本誌でお伝えした通り、小橋建太が『笑わない男』ことラグビー日本代表の稲垣啓太について「(プロレス界に)スカウトしたいですね。色んな面からしても、凄く潜在能力があるんじゃないかと思いますし」とテレビで語っていた。小橋ほどの屈強な男から見ても、ラガーマンのフィジカルは魅力のようである。

 ただ、クラブ活動としてラグビーを経験したレスラーは日本でも多いが、日本代表を経験した選手ではグレート草津や阿修羅・原など、ほんの一握り。もしラグビー日本代表の選手がプロレスラーに転向すれば、単にフィジカル面だけではなく、ネーム・バリューも抜群なので相当な話題になるだろう。
 そこで今回は、今年のW杯に出場した日本代表の選手の中から、レスラーになれそうな選手をピックアップしてみた。

▼KENSOはラグビー日本A代表には選ばれたものの、惜しくも日本代表には届かなかった

▼小橋建太が『笑わない男』ラグビー稲垣の熱愛報道に言及!?

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▼[ファイトクラブ]出て来いや、ラガーメン! レスラーたちがラグビーW杯に乱入!?

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体格とパワーに優れたフォワードは逸材の宝庫

 ラグビーのポジションには大別してフォワード(FW)とバックス(BK)の2種類があるが、やはりプロレス界が欲しがる人材が集まっているのは、体の大きい選手が多いFWだろう。小橋が惚れ込んだプロップの稲垣(186cm、116kg)もFWだ。

 かつての日本人プロレスラーと言えばジャイアント馬場、アントニオ猪木、坂口征二、ジャンボ鶴田と、超ヘビー級の外国人レスラーに引けを取らない選手が目白押しだった。しかしレスラーの小型化が始まり、全体的に日本人レスラーはスケールが小さくなった感がある。他のスポーツはみな日本人選手も大型化しているのに、プロレス界だけが体格の小さい選手が主流になった。
 11月2日(土)に行われたGHCヘビー級選手権は清宮海斗(180cm、98kg)vs.拳王(174㎝、95kg)と、昭和プロレスなら間違いなくジュニア・ヘビー級同士の闘いだったのである。

 今回のラグビー日本代表で、プロレスラー候補№1はナンバーエイトおよびフランカーの姫野和樹(187cm、108kg)だろう。密集状態で相手のボールを奪いに行く『ジャッカル』というプレーが流行語大賞にノミネートされ、姫野の代名詞となった。
 それだけではなく、姫野の突進は大型外国人選手をも跳ね飛ばす、凄まじいパワーの持ち主である。フィジカル面では外国人と互角、というよりも上回っているぐらいだ。
 しかも、FWには珍しく(?)甘いマスク。女性から絶大な人気があり、プロレスラーになってもプ女子に騒がれること間違いなしである。

 フッカーの堀江翔太(180cm、104kg)もスター性は抜群だ。ドレッドヘアーがトレードマークで、稲垣とは対照的に(?)笑顔が可愛いのに、外国人選手に当たり負けしない突進力がある。
 FW第一列として、プロップの稲垣らと共に最前線でスクラムを組む。したがって、手術した経験があるとはいえ首は強い。「首の強さは世界を制す」とカール・ゴッチやエル・サントも言っていた(漫画『プロレススーパースター列伝(原作:梶原一騎、作画:原田久仁信)』参照)。
 また、FWとは思えないほどパスやキックも巧みで、器用な面もある。稲垣の初トライの起点となったのは、堀江が放った『オフロード・パス』という高度な技だ。最近のプロレスは、パワーだけでは通用しないので、堀江の順応力はレスラーとしてもうってつけと言える。

 今大会の日本代表で、最も身長が高かったのはロックのトンプソン ルーク(196cm、110kg)だ。既に日本国籍を取得しており、『トモさん』の愛称で親しまれる『ニュージーランド生まれの東大阪人』。普段の会話でも「ボチボチでんなあ」などと大阪弁が飛び出す。
 密集状態のラックでは『掃除役』に徹し、大柄な相手選手をどかして、味方にボールが出るように尽力した、まさしく縁の下の力持ちである。前回の2015年のW杯では、地味な存在ながらラグビー・ファンがMVPに選んだほどだ。
 難点は、38歳と高齢なこと。プロレスラーに転向しても、活躍できるのは10年程度だろう。
 その場合でも、引退後は通訳になるという選択肢もある。そうすれば、バルボン以来の『関西訛りの英語』を喋る通訳になるに違いない(※)。

▼FWとして日本代表のみならず、世界選抜にも選ばれた阿修羅・原(向かって右)

※ロベルト“チコ”・バルボン……キューバ出身の元プロ野球選手。来日して阪急ブレーブス(現:オリックス・バファローズ)などで活躍し、引退後は阪急の通訳に就任。外国人選手のヒーロー・インタビューでは「難しい球やったけど巧いこと打てた、ってゆうてますワ」と関西弁で通訳し、「ホンマにそんなこと、ゆうてたんかい」とファンからツッコまれるなど、大人気を博した。

スピード抜群、スター候補生が豊富なバックス

 それでは、BK陣はどうか。FWほどの大きさはないとはいえ、現在のラグビーではBKでもFW並みのパワーが求められる。何よりもスピード、そしてスター性という点ではFWよりも数段上だろう。
 前述したように、最近のプロレスラーは小型化しているので、BKにもスター候補生がゴロゴロいる。ジュニア・ヘビー級はもちろん、ヘビー級になってもおかしくない選手が豊富だ。

 そんな中で、最もプロレスラーの素養があると思われるのがフルバックの山中亮平(188cm、95kg)である。身長も高く、今のプロレス界ならヘビー級でも通用するに違いない。左足によるキックは、プロレスや格闘技でも破壊力抜群だろう。
 早稲田大学時代から『天才バックス』と謳われたほどの逸材だが、W杯出場は31歳となった今回が初めてという遅咲き。その理由は、大学卒業後に薬物検査で陽性反応が出たため、2年間の出場停止を食らったから。と言っても、ドーピングをしていたわけではなく、口髭を生やすために育毛剤を使用していたので、それが薬物検査に引っ掛かってしまったのだ。
 出場停止処分が解けてからも、何度も日本代表候補に選ばれるが、お調子者な面が災いし、惜しくもW杯メンバーには届かなかった。育毛剤エピソードといい、ちょっとドジな部分があるのもユーモラスで、プロレス向きと言える。
 そして何よりも、スコットランド戦で最後にベスト8進出を決めるタッチ・キックを蹴ったのが山中。このときの瞬間視聴率は53.7%(関東地区)を記録し、今年の全テレビ番組の中で最高となった。そのため山中は、いけしゃあしゃあと自らを『最高視聴率男』と呼ぶ。即ち、山中がプロレスラーに転向すれば、プロレスが地上波中継されて、最高視聴率を叩き出すに違いない!?

 もう一人のBKでのレスラー候補生は、驚くべき韋駄天ぶりでトライを量産し、世界を驚かせたウィングの福岡堅樹(175cm、83kg)だ。体はやや小さいが、そのスピードはジュニア・ヘビー級として充分に通用し、ルチャ・リブレにも対応できるだろう。
 それ以上に魅力なのは、福岡は来年の東京オリンピック(7人制ラグビー)を最後に引退を表明していること。2020年の時点では28歳と若く、プロレス界にとってこの逸材を逃す手はない。
 とはいえ、引退の理由は医者になるためであり、プロレス界がスカウトしてもそう簡単に首を縦には振らないだろう。そこでプロレス界としては、安心して医学部に進学できる環境を整えてやり、期限付きでプロレスラーになってもらうよう説得することだ。
 そもそも、福岡が医者を志す理由は、高校時代に靱帯損傷したが、膝の手術をしたことによってラグビーを続けることができたので、医者になって恩返ししようというものである。つまり福岡は、医者となってもスポーツ界に関わりたいと願っているのだ。
 それならば、プロレス界のバックアップによって医師免許を取得した後は、富家孝氏の後を継ぐリング・ドクターになってもらうのも悪くないだろう。

 ラグビー日本代表の選手は、プロレスに通用するような肉体があるだけではなく、高阪剛からタックル指導も受けている。ラグビーのタックルは、格闘技やレスリングのタックルとは多少違うが、体の大きな相手を倒すという点では同じだ。
 実はウェールズ代表の選手たちも、『蛇の穴』ことビリー・ライレー・ジムの流れを汲むレスラーから指導を受けたという。キャッチ・アズ・キャッチ・キャンの伝統が、ラグビーにも活きているのだ。

 これからはベイダーのようなアメフト出身者だけではなく、ラグビー出身のレスラーも世界中にドンドン増えるかも知れない。

▼ラグビー日本代表を指導し、世界に通用するタックルを教え込んだ高阪剛


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