テレ朝2で放送中『じゃりン子チエ』に見る、プロレスとの相関関係

 1970年代後半から連載を開始、大人気を博した漫画があった。『じゃりン子チエ(作:はるき悦巳)』である。この漫画はアニメ映画化され、さらにMBS(毎日放送)で定期放送していた。
 令和の時代になった今日でも『じゃりン子チエ』は根強い人気を誇り、現在ではCSのテレ朝2で放送されている。

 作品の内容は、大阪の下町に住む小学5年生の少女チエが、健気にホルモン焼き屋を経営し、様々な事件が起きるというものだ。舞台が大阪だけに、会話のほとんどが大阪弁。小学生が主人公なので子供向けの漫画のように思われるが、実は大人が読んでも非常に面白い作品だ。
 そして『じゃりン子チエ』は、プロレスと深い関係にある。それを今回は探ってみよう。

▼『じゃりン子チエ』のオープニング。背景が花札というところが教育上よろしくない?


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テツの頭はボボ・ブラジル以上!? おバァはんはブレーンバスター!

 物語上、欠かせないキャラクターがチエの父親であるテツだ。テツは一応、ホルモン焼き屋の店主であるが、仕事は全くせず、娘のチエに経営の一切を任せている。
 テツ自身はバクチに明け暮れ(ほとんどがオイチョカブ)、趣味はヤクザをどついて金を巻き上げること。つまり、テツのケンカは並外れて強い。テツは元キックボクシング西日本新人王のカルメラ兄(菊崎)をイジメ、ボクシング東洋チャンピオンのタイ人ボクサーでさえテツとのスパーリングでボコボコにされ、タイトルマッチをすっぽかして母国のタイに逃げ帰ったほどだ。

 そんなテツが、デコに鉄板を埋め込んだヤクザとケンカした。テツは鉄板男に頭突きを何発も叩き込み、鉄板男は遂にKO。
 鉄板男はテツのことを「ボボ・ブラジルよりも頭が固い」と完全にビビってしまった。

 こう書くと、テツが天下無敵のように思えるが、テツにとって全く敵わないのが母親(チエから見るとおバァはん。以下はおバァはんと呼ぶ)と、小学生時代の恩師である花井拳骨。花井拳骨はテツにしょっちゅう、逆エビ固め(ボストン・クラブ)を極めている。
 おバァはんなどは、我が息子のテツを懲らしめるために、ブレーンバスターで投げ捨てるほどだ。しかも、ここ一番ではテツにフリッツ・フォン・エリックばりのアイアン・クローを出している。総合格闘技ではプロレス技は役に立たないと言うが、案外実戦的なのかも知れない?

▼テツをブレーンバスターで投げ捨てるおバァはん。老婆にして、ケダモン的パワー!

YouTubeキャプチャー画像より https://www.youtube.com/watch?v=EwIWo1me_VM

小鉄、アントニオ、アントニオJr.など、猫の世界もプロレスだらけ

『じゃりン子チエ』の魅力は、チエやテツなど人間の世界だけではない。小鉄やアントニオ、アントニオJr.らによる猫の世界が、物語に奥行きを持たせているのだ。

 小鉄はひょんなことでチエに飼われるようになったが、そのときに「ウチのゆうこと、きかんとこはテツそっくりや!」とチエに『小鉄』と命名された(チエは我が父親を『テツ』と呼び捨てにしている)。
 しかし、プロレス・ファンなら誰でもわかるだろう。作者のはるき悦巳氏は、間違いなく小鉄の名前を『山本小鉄』から取っている。

▼猫の小鉄の元となった山本小鉄

 小鉄が『じゃりン子チエ』の中で初めて、その戦闘能力の高さが示されたのは、アントニオとの一戦だった。アントニオは、テツがいつも通っているバクチ屋の社長が飼っており、土佐犬すら噛み殺すほどの狂暴な猫である(闘牛に勝ったという噂もあるが、真偽は定かではない)。
 しかし小鉄は『必殺タマつぶし』という技で、アントニオのキ●タマを1つ取ってしまう。小鉄にキ●タマを1つ取られて、めっきり弱くなったアントニオは、近所の飼い犬に噛み殺された。

 アントニオを失ったバクチ屋の社長はショックでヤクザ稼業から足を洗い、お好み焼き屋を始める。お好み焼きはアントニオの大好物だったからだ。
 アントニオという名前は、闘うスタイルがローマの戦士を思わせることから名付けられた。しかし、これもプロレス・ファンならわかるだろう。当然、アントニオの名前はアントニオ猪木から作者のはるき悦巳氏が名付けたのだ。

 アントニオに勝った小鉄は、その技も多彩。少々品のない『必殺タマつぶし』以外でも、ドロップ・キックや肘打ち(エルボー)、そしておバァはんのようにアイアン・クローまで飛び出す。

▼アイアン・クローを繰り出す小鉄。猫の手(フツーは前足と呼ぶが)で額を掴めるのか!?

YouTubeキャプチャー画像より https://www.youtube.com/watch?v=3bM2I6brj-M

 アントニオの死後、父親の無念を晴らすべく息子のアントニオJr.(以下、ジュニア)が、お好み焼き屋にやって来る。ジュニアは小鉄に決闘を申し込んだ。
 小鉄とジュニアの決闘が始まったが、アントニオを溺愛するお好み焼き屋のオヤジの「息子まで殺さんでくれ」という必死の頼みに、小鉄はジュニアの猛攻を無抵抗で受け続ける。
 ボロボロになった小鉄の姿を見たジュニアは根負けし、二人(二匹?)は仲良くなった。もっとも、以降の小鉄とジュニアは下らないことで、しょっちゅうケンカしているが……。

 ジュニアの名前も、プロレス・ファンならピンと来るに違いない。これは恐らくドリー・ファンク・ジュニアから取った命名だ。はるき悦巳氏は、相当なプロレス・ファンだろう。

▼アントニオJr.の名付け親(?)、ドリー・ファンクJr.

 そもそも、小鉄が『小鉄』になったのはチエが命名してからで、それ以前の小鉄は様々な名前で呼ばれていた。最も有名なのは『月の輪の雷蔵』であろう。もっとも、それは猫仲間で呼ばれていた名前であって、チエら人間は全く知らないことだ。
 小鉄は『月の輪の雷蔵』以外でも『動くアルプス』とか『ドラ猫発電機』などという名前もあった。もちろんこれらは、小鉄自身が名乗ったわけではなく、他の猫たちが勝手に名付けたのだが。

 この『動くアルプス』なんていうのは、間違いなくプリモ・カルネラから名付けられたニックネームだ。『動くアルプス』と呼ばれたカルネラは、力道山と闘ったプロレスラーである。
『ドラ猫発電機』というのは、『人間発電所』と呼ばれたブルーノ・サンマルチノからの命名だろう。

▼小鉄は猫界のブルーノ・サンマルチノだった!?

 現在『じゃりン子チエ』はテレ朝2で、日曜夜の10時半から11時半までの時間帯で放送中である。プロレス・ファンなら『じゃりン子チエ』を観るべし!
 思わず「ふふふっ」と笑ってしまう瞬間があるはずだ。


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