[ファイトクラブ]イチローよりも偉大だった馬場さん! ライバルABCで証明された!!

[週刊ファイト4月4日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼イチローよりも偉大だった馬場さん! ライバルABCで証明された!!
 by 安威川敏樹
・関西では新日本プロレスを中継しているABCが、ジャイアント馬場の特集を組んだ!
・ジャイアント馬場はカブトムシ? (aikoの歌ではありません)
・イチローの安打数を遙かに超える、ジャイアント馬場の16文キック
・ジャイアント馬場の代名詞、16文キックの誕生秘話
・ジャイアント馬場のIDプロレス、アイアン・クロー封じをハワイで考案!?
・イチローはジャイアント馬場ファンだった!


▼山本ヤマモ雅俊のジャイアント馬場没20年追善興行「ヤマモ式」リポート

[ファイトクラブ]山本ヤマモ雅俊のジャイアント馬場没20年追善興行「ヤマモ式」リポート

 先日、シアトル・マリナーズのイチロー(鈴木一朗)が引退を表明した。日本(東京ドーム)での引退試合が大々的に報道されたのは記憶に新しい。
 イチローは日本で輝かしい実績を残した後、野球の本場であるメジャー・リーグに日本人野手として初めて挑戦、次々と記録を打ち立てて、アメリカでもヒーローとなった。
 そして、国民栄誉賞の授与を検討されているという。日本のみならず、世界の舞台で大活躍したのだから、当然であろう。

 だが、忘れてはいないだろうか。プロレス界には、イチローに負けないほど世界で大活躍した選手がいたのだ。
 それが、ジャイアント馬場である。

 ジャイアント馬場は『日本のプロレスの父』こと力道山が亡くなった後、日本プロレス界の屋台骨を支え、日本のエースとして君臨した。
 それだけではなく、日本人として初めて世界最高峰とされるNWA世界ヘビー級チャンピオンになったばかりか、その王座に3度も君臨したのである。そして、アメリカのマット界でも『ビッグ・ババ』として大人気を博した。
 まさしくジャイアント馬場こそ、国民栄誉賞に相応しい人物ではないのか? (もっとも、村松友視は自著『私、プロレスの味方です』の中で、「国民栄誉賞こそ、プロレスラーがゼッタイ手にして欲しくない賞だ」と断言していたが)。

 そして、ジャイアント馬場の偉業を最も強く訴えたのは、馬場にとってライバル局だった朝日放送(ABC)である。ABCと言えば、馬場が率いていた全日本プロレスのライバル団体である新日本プロレスを中継していたテレビ局だ。
 とはいえ、新日本プロレスの番組を制作していたのはABCではなく、そのキー局だったテレビ朝日だが、関西ではABCで常に新日本プロレスの『ワールドプロレスリング』を放送していた。もっとも、腸捻転(※注)の頃には、関西では毎日放送(MBS)が『ワールドプロレスリング』を放送していたが。

 馬場は日本プロレス時代、日本テレビの独占中継だったため、NET(現在のテレビ朝日)には登場していなかったが、NETのエースだったアントニオ猪木が日本プロレス離脱後、馬場の試合を日本プロレスが日テレとの契約を破ってNETに売ってしまったため、日テレは日本プロレスの中継を打ち切ってしまう。
 そして馬場は、日テレの後押しにより全日本プロレスを設立した。以来、テレビ朝日の番組には全く出演しなかったという。それが、馬場にとっての『けじめ』だった。もっとも、馬場が亡くなる直前には、テレ朝の『徹子の部屋』や『ニュースステーション』に出演していたが。

▼プロレスのテレビ放送と、1局独占中継

[ファイトクラブ]プロレスのテレビ放送と、1局独占中継

 しかし、馬場が亡くなる遙か前、馬場にとって関西における最大のライバル局であるABCで、馬場の功績を称える番組が企画されていたのだ。

(※注)腸捻転……1975年以前には、関東のTBS(毎日新聞系)が制作するテレビ番組を関西ではABC(朝日新聞系)が、関東のNET(朝日新聞系)が制作するテレビ番組を関西ではMBS(毎日新聞系)が放送していた。この捻じれ現象を『腸捻転』と呼ぶ。したがって、NETテレビの『ワールドプロレスリング』は、1975年以前の関西ではMBSが放送していた。

ジャイアント馬場はカブトムシ? (aikoの歌ではありません)

 ABCでジャイアント馬場の特集が組まれたのは『人類学ウラ講座〜超ゴリオシズム宣言〜』という、1996~97年頃に放送されていた番組。もちろん、馬場は現役レスラーとしてリングに上がっていたし、当時の全日本プロレスは『四天王プロレス』として人気絶頂だった。
 この番組の司会者は浜村淳、そしてプロレスに詳しい北野誠、さらには熱烈な馬場信者として知られる円広志だった。円広志と言えば『とんでとんで♪』でお馴染みの曲『夢想花』で大ヒットを飛ばし、その後は鳴かず飛ばずの一発屋として有名だったが、関西ではタレントとしてしぶとく生き残っている。
 もう一人、レギュラーだったのは、後にスペル・デルフィンと結婚する早坂好恵。日テレの『全日本プロレス中継』にもゲスト出演していた。他の出演者は、白石まるみ、渡部哲、立河宣子、ひさうちみちおの4人。

 この番組でのジャイアント馬場特集は、当然のことながら円広志と早坂好恵が主導で展開していく。ジャイアント馬場こそ、世界最強のプロレスラーだ、と。しかし、プロレス・ファンである北野誠は、ジャイアント馬場の実力に関して懐疑的。白石まるみも「動きがスローモー」、立河宣子は「カブトムシみたい(体の割に腕が細いから)」と、散々の言われよう。
 だが、これらの意見に対して円広志は大反論。「馬場さんは体が大きいから、動きが遅く見えるだけ。リング・サイドで見ると、馬場さんの動きは残像が見えるぐらい速いんやから」「言うに事欠いて、カブトムシはイカンやろ、キミ!」と激怒する。
 北野誠が「我々は馬場“さん”と、さん付けで呼ばなければいけないんですか?」と言うと、早坂好恵は「当たり前じゃないですか!」と力説。円広志も「この番組が終わる頃には、みんな馬場“さん”と呼ぶようになる」と答えた。したがって、本稿でも以降は『馬場“さん”』と、さん付けで表記することにする。

イチローの安打数を遙かに超える、ジャイアント馬場の16文キック

 ここで番組では、馬場さんがいかに偉大かを、他のスポーツと比較して検証する。もちろん、円広志は馬場さんの凄さをアピールした。

◎衣笠祥雄(プロ野球)2215試合連続出場→ジャイアント馬場は3764試合連続出場
 あの世界の鉄人・衣笠をも超えたのが馬場さんである。

◎双葉山(大相撲)69連勝→ジャイアント馬場は70連勝
 馬場さんは僅か半年で70連勝を達成、双葉山の大記録をアッサリ超えてしまった。

◎具志堅用高(ボクシング)WBAジュニア・フライ級世界王座13回連続防衛→ジャイアント馬場はPWFヘビー級王座38回連続防衛
 具志堅の偉大な記録に比べ、馬場さんは約3倍だ。もっとも円広志は「PWFっていうのは、馬場さんが作ったタイトルですけども……」と、やや決まりが悪そうだった。

◎伊達公子(テニス)体力の限界で引退→ジャイアント馬場は体力の限界を越えても現役
 円広志によると、馬場さんの体力の限界とはスタン・ハンセンと試合をした43歳ぐらいの時で、北野誠は「それから15年もズルズルやってるんかいな」とツッコんだ。

◎伊藤みどり(フィギュア・スケート)小学校6年生で全日本優勝→ジャイアント馬場は小学校4年生で身長175cm

◎板東英二(元プロ野球選手)レコード大賞の司会→ジャイアント馬場は『ゆく年くる年』の総合司会

◎山口百恵(歌手)全盛期に引退して結婚→ジャイアント馬場は5年間の文通の末に結婚

◎有森裕子(マラソン)名言は「自分で自分を褒めてあげたい」→ジャイアント馬場の名言は「僕にも弾けた(ヤマハのキーボードのCM)」

 最後の方は、スポーツとは全く関係がない。北野誠は「これは馬場さんを最強のように見せかけた、馬場さんをけなしてる番組じゃないですか?」と疑問を呈した。
 さて、問題はイチローと馬場さんとの比較である。それがこちら。

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