ONEクアラルンプール第三弾!ヨードセングライ、竹中大地、新村優貴出撃!

【現地クアラルンプール発】

 引退を宣言していたムエタイ8冠王のヨードセングライ・フェアテックスがONEと契約。ムエタイ部門をけん引することになり、クアラルンプール決戦にはメインに登場する。ずっと日本人キラーとして知られ、K-1に出た時は確か谷川貞治プロデューサーが「強いタイ人選手ばかりになっても困る」と本音を漏らしたこともあった。しかし、旧タイ・ファイトが日本進出を果たし、有明コロシアムで2011年8月7日に『Extreme Japan』を開催した時は、ムエタイに付き合わず、あえてキックボクシングの間合いで挑んだ白須康仁に判定負け。同年の11月26日にはスウェーデンの大会でアルトゥール・キシェンコにも負け、ムエタイ8冠王の看板も過去になったのかと思われた時期もあったのだが、そこから再び復活して中国資本のクンルン・ファイトなどで連勝街道を驀進。宮越宗一郎にも中国大会で判定勝利している。そしてONEがキックもやるとなって、V.V MEIがアンジェラ・リーと再戦した5月18日のシンガポール大会でIT’S SHOWTIME世界王者にしてコンゴ出身、現オランダ在住のクリス・ナギンビを下している。

<メインイベント 第11試合 ONE Super Seriesムエタイ フェザー級>
ヨードセングライ・フェアテックス(タイ)
vs.
ルイス・レジス(オーストラリア)

 どういうわけか、本大会には中国メディアが大挙して乗り込んでおり、タイ語しかわからないヨードセングライには、ONEのクワン女史が英語を通訳する他、中国語も飛び交い、本誌が英語で質問した箇所を除き、中国人記者の質問はニュアンスがよくわからないものもあったのだが・・・。リングでなく金網でMMAグローブをつけての変則ルールに問題ない、No differenceだと断言。単にStage of fightが違うだけと答えている。また、中国人記者がやたらジョルジュオ・ペトロシアン戦の可能性を訪ねていたのが印象的だった。答えはもちろん、契約はまだないが、英語の通訳によるとpossibleとのこと。
 もちろんペトロシアンも研究はしているそうで、パンチがとても速いと称賛。但し、イタリア人はキックボクサーで、日本でもお馴染み、WBCムエタイ世界ウェルター級王者の古豪リアム・ハリソン(英国)はムエタイ式と、闘い方が違うと分析していたのが面白かった。そういえば、ムエタイをやらずにキックのスタイルを崩さなかった白須康仁が8冠王に勝った試合を思い出した次第である。

 中国人記者に負けたらもうファイト業界を40年やってる本誌としては終わりなので、日本陣営も食い下がり、MMAグローブになることでdistance距離が変わるかをしつこくやったが、タイ語が英語で戻って来たニュアンスではfasterで、よりdangerouceになるとのこと。間合いは近くなるとのことで、一発で倒すと言っていた。
 なんか最後にwin lossは関係ない、それはわからないみたいなことを口にしたが、昔からポーカーフェイスで表情からよくわからない選手だったので、ニュアンスは読み取れなかった。2011年の夏からあまり印象は変わってなかったのが記者の主観になる。


◆ONE契約の日本人選手としては先駆者になる元修斗元環太平洋バンタム級王者・竹中大地
<バンタム級 5分3R>
竹中大地(日本)
vs.
ケビン・チャン(韓国)

 元修斗元環太平洋バンタム級(61.2kg)王者の竹中大地は大阪弁の奴だった。パラエストラ和泉、パラエストラ東大阪、キックはM-BLOWに出稽古に行っているという。ONEとの契約は日本人選手としては最初のほう。6日の13時に先に尿酸値を計り、計量では65.8kgリミットのところ65.4kgでパスして2時のインタビューにトップであらわれた。
 2月のミャンマー大会は、対戦相手・韓国のキム・デフォンが頭から垂直に落とす投げ技を使用した為の反則による勝利。「一瞬、記憶が飛んだ」と振り返る。続く9月の上海大会は現地入りも、対戦相手のローマン・アルバレスが体調不良で失格に。「こんなこともあるんだなぁ」となった。

 今回は、テコンドーと柔術がベースのケビン・チャンだが、現バンタム級王者ケビン・ベリンゴンと判定まで行った試合を見て「気が強い選手」だと警戒する。そのベリゴンは、あのビビアーノ・ファルナンデスに辛勝した。微妙な判定だったが、ONEの判定優先順位は、ニアフィニッシュ、ダメージ、有効打・コンビネーション、グラウンドポジショニング、テイクダウンの攻撃と防御、アグレッシブという順番である。それでも「ベリンゴン選手の寝技のエスケープは純粋に凄いなぁと感じた」という。

 「個人的にはケージの方が好き、壁を蹴られる」と話す竹中。両国国技館大会も発表されているが、「とりあえず勝つ」と目先に集中しているようだった。


◆新村優貴「ビジュアル・トレーニングの成果を見せる」
<第7試合 ミドル級 3分5R>
新村優貴
vs.
ビタリー・ビッグダッシュ

 現パンクラスのミドル級王者(2017年11月12日、ロッキー川村から奪取)のままONEに転戦した新村優貴。日本では重量級扱いになるが、なかなか対戦相手見つかるものでもなく、本年8月「ちょうどいいタイミングでオファーあった」のだという。
 対戦相手はレアンドロ・アタイジとのミドル級王者決定戦に秒殺KO勝利して新王者になったイゴール・スヴィリッドに2015年9月1日、中国・上海で開催された大会で挑戦して、パウンドKOされてしまったロシアのProFCなどで活躍していたビタリー・ビッグダッシュだ。但し、この時がONE初参戦だったし、新村によれば「相手の弱いところを引き出さないと勝てない。フィジカルの強いロシア人に技で勝る必要がある。ディフェンスにせよ、下がっていたらどうしようもない。前で受けないと・・・達人にならないといけない」と気を引き締める。
 すでに3ヶ月前に同選手との対戦オファーがあったのだが、ビデオを見てこれでは準備しないと勝てないと判断。今回にしてくれと延ばしてもらったカードなのだという。

 その準備だが、ビジュアル・トレーニングを積んだとのことで、これはボクシングの村田選手らのやっている、アプリのメトロノームを見て目を動かす特訓のようで、最初は1分間に100-110追うのが限界だったのが、今は200ついていけるようになったとのこと。ロシア選手は空手出身の割りに組も強く、レベルチェンジも出来ると、研究を重ねてきたようだ。
 セコンドにはアニマル安西信昌ら、GENスポーツセンターに集う面々が帯同しており、足立区のワールドスポーツ・ボクシングジムにも通っているとのこと。エヌサンを倒して世界チャンピオンになることが目標ながら、最初は同じ階級に白人と黒人ばかりなのに面食らったという。ビタリーにはバックは取らせない作戦で、そこだけ警戒とのこと。

 ONEはスタッフも揃っていてメジャー。最初は細かいことも多くて面倒くさいなぁと思ったそうだが、2年契約でもうみんな30歳オーバーになっている。これからますます(体重)シンドクなると心配していたところだった。「前回、体重がキツかったんで、ONEのやり方は合っていて適正体重だ。猿田(洋祐)選手はキツそうだったけど・・・」とも。「この階級は自分らの台で日本のMMAは終わる。ロシア人超えないといけない。日本代表として闘う」と決意の覚悟だった。

◆ONEリングガールは強烈無比!


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▼ONEクアラルンプール12・7『DESTINY OF CHAMPIONS』現地取材詳細

[ファイトクラブ]ONEクアラルンプール12・7『DESTINY OF CHAMPIONS』現地取材詳細

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’18年12月16日号鷹の爪大賞 爆弾小僧Ray追悼 年内最終ONEクアラルンプール Jewels