6月22日(金)、長州力の冠番組であるBSフジの<金曜+1>『次課・長州の力旅』の第3回が放送された。
この番組は23時からの1時間番組で、『次課』とはもちろん、お笑いコンビの次長課長(河本準一と井上聡)のこと。この3人と事情通の先生を合わせた4人で、街に潜む謎を究明する散策番組である。
6月1日に放送された第1回は狛犬と電線の事情通、6月15日放送の第2回は室外機とマンホールの事情通をお迎えして東京の街を散策した。いずれもマニアックなテーマで、長州力も全くついていけずお手上げ状態だった。
さて、第3回では長州を満足させることができるのだろうか?
▼<金曜+1>『次課・長州の力旅』第1回放送
最初のテーマ『高架下建築』で、偶然にも長州の天敵と遭遇!?
最初に3人がやって来たのは東京都台東区の浅草橋。ここで待ち受けていたのは『高架下建築』の事情通、八馬智先生(49歳)。高架下建築というのは、高架になっている鉄道の下の部分に、住居や店舗などが入っている建築物のことだ。
実は八馬先生、千葉工業大学で創造工学部教授という肩書を持っている人物。アカデミックなテーマとなりそうだ。
それにしても、上を電車が通る家に住んでいる人は、やかましくないのだろうか? 八馬先生によれば、長年住んでいると慣れるんだそうだ。さらに、ガード下の飲み屋のような味わいがあるという。
高架下の家には屋根がない。橋が屋根代わりになるので、橋にもたれかかっている建築物というわけだ。
そして、エアコンの室外機は普通、家の裏側に取り付けるものだが、高架下建築の場合は裏がないので室外機は玄関側に設置されている。これを八馬先生は『キュート』と表現した。
ここで思い出さないだろうか。そう、第2回のテーマが『室外機』だった。八馬先生も室外機マニアなのか?
▼<金曜+1>『次課・長州の力旅』第2回放送
ちなみに浅草橋の高架は、戦前の1932年に造られた。老朽化が進むため、耐震補強で高架下建築は次々と取り壊されているという。したがって高架下建築は、今のうちに見ておくべき貴重な風景なのだ。たしかに、筆者が住んでいる大阪も高架下建築は多いが、かなり古くなってきている。
八馬先生によると、戦争で焼け野原となった後に雨風をしのぐため、高架下に人々が移り住んだのではないかということだ。その高架下も次々と姿を消し、賑わいは失われつつある。
4人で高架下を散策しているとき、偶然にも長州と密接な関係のある人物と遭遇した。
そこにいたのは、なんと長州小力である。
「なぜ、ここにいるんだよ! お前は誰なんだよ!」
長州力が問い詰める。
「俺は長州力だぞ!」
長州小力が長州力のマネをして答える。
「その喋り方はやめろって言ってるだろ!」
長州力が、まるで長州力のモノマネをしているかのように言った。
本当に長州小力は偶然、この近くを歩いていたらしい。しかし、次長課長の河本は信用しない。長州力に訊いてみた。
「(長州小力を)呼んだんですか?」
「呼ぶわけないだろ」
長州力も答えるが、そもそも長州自身も信用していないようで、スタッフに言い放った。
「絶対に(仕込み)やってるだろ!」
▼偶然現れた長州小力(左端)
長州小力とは別れて、4人は高架下にある喫茶店を訪ねた。ここで、高架下建築の内部を見てみようと、喫茶店に入る。
この喫茶店は開店して51年。主人によると、電車の音は慣れてしまってほとんど気にならないそうだ。しかも、駅の近くでは電車が減速するので、音は思ったより静かだ。さらに、柱が頑丈なので揺れもほとんどないらしい。
実は耐震にも強くて、東日本大震災のときでも、周りの家はグラグラ揺れたが、この喫茶店では食器ひとつ落ちなかったそうだ。
気になる家賃は? JRに払うそうだが、周りに比べると家賃は半額以下らしい。しかも、契約更新は30年単位という長期契約だ。
これで高架下建築の旅は終了。恒例となった長州の一句。
高架下 はじめてふれる ガタンゴトン
「そのまんまですね」。詠んだ長州本人が呆れていた。
最後に登場するのは角打ちマニア。でも角打ちって何?
陽はとっくに落ちてすっかり夜となった。実は、この番組は3本録りだと河本が明かした。つまり、第1~3回まで全て同じ日に撮影している。マニアックな事情通と1日で6人も会うという、ほとんど罰ゲームだ。
その6人目の事情通はマンタスクール先生(年齢不詳)。この番組に登場する先生、男性はなぜかロン毛率が高い。
マンタスクール先生の担当は『角打ち』。でも角打ちって何だろう?
角打ちというのは、居酒屋などではなく酒屋さんの一角でお酒を呑む(打つ)文化なのだそうだ。おお、ようやく長州が興味を持てそうな企画になったぞ!
ただ、私事で恐縮だが、今月の筆者は禁酒月間としている。テレビで酒を旨そうに呑んでいる姿を見るのは、ほとんど拷問だ。
まず4人が寄ったのは浅草にある酒屋。立ち呑みスペースはビール・ケースの上に木の板を置いただけという、角打ちではオーソドックス・スタイル。
角打ちでの酒の呑み方は、冷蔵庫に並んでいる酒を取って、レジに持っていて金を払ってからテーブルで呑むというもの。居酒屋ではなく酒屋なのだから、金は先払いというわけだ。
冷蔵庫に入っていない日本酒や焼酎などは、一升瓶からの量り売りだという。
ここで長州は、マンタスクール先生から焼酎を炭酸水で割って呑む方法を教わる。まずは炭酸水を買って、そして焼酎をコップに入れてもらって買う。ただし、氷はない。
別の大きなコップをもらって、自分にとってちょうどいい配分で焼酎を割って呑むわけだ。
長州も試しに焼酎を割ってみる。まずは焼酎を大きなコップに全て入れた。その次に炭酸水だが、これがほんのちょっとだけ。ほぼ原液である。
マンタスクール先生によると、角打ちの魅力は飾り気のない店の空気感が心地いいそうだ。なるほど、長州には合いそうな雰囲気である。
酒屋の一”角”で酒を”打つ”(呑む)から『角打ち』だそうだが、もうひとつ語源の説があるという。かつての北九州で、炭鉱などの労働者が仕事へ行く前に酒を一杯ひっかけるが、当時の酒を呑む器は升なので『升の角で酒を打つ(呑む)』から来ているのではないか、ということだ。
それにしても、仕事の前に酒を呑むなんて、今ではほとんど考えられないことだろう。実に羨ましい時代だ。
次に4人が向かったのは新宿区・牛込神楽坂の酒屋。常連と思われる仕事帰りのサラリーマンが、立ち呑みでお酒を楽しんでいた。
次長課長の井上は「(常連ばかりなので)委縮してるんですけど」と言ったが、マンタスクール先生は「委縮している気持ちで突っ込むのが角打ちの醍醐味」と入店を促した。
そういえば筆者も、大阪市内にある友達の家に行ったとき、酒を買いに行こうと思って酒屋に行ったら立ち呑みしているサラリーマンがやたら多かったので、入店するのを躊躇したことがある。筆者は角打ちの経験がないので、立ち呑みしているサラリーマンの姿を見て酒屋で呑んでみたいと思ったものだ。
この店でマンタスクール先生が勧めたのが『シャリキン』。シャリキンとは焼酎を凍らせたシャーベット状のもので、パック詰めにして売られている。凍った焼酎をコップに入れ、好きな飲み物で割って呑むのだそうだ。氷そのものが焼酎なので、溶けても酒が薄まらず、夏にはピッタリだ。
長州はなんと、シャリキン2つをコップに入れて、炭酸で割って呑む。さすがは酒豪だ。
店にはおつまみも置いている。長州はおつまみを取って、レジへ持って行かずにいきなり袋を開けた。
「暴力的な開け方はダメですよ。やってることは山賊と一緒だからね」
「ギリギリ時間差でアウトだからね」
河本と井上が、自由気ままな長州に釘を刺した。角打ちは酒だけではなく、おつまみも前払いが基本だ。
長州が訊く。
「ここはどこになるの?」
「神楽坂ですよ」
「神楽坂の、どの辺り?」
「神楽坂から10分ぐらい歩いた所です」
ここで井上が感心したように言った。
「(長州が)場所がどこにあるのか訊いたの初めてですよ。気に入ってるんじゃないんですか?」
この番組では今まで興味が湧かないようなマニアックな話題ばかりだったが、ようやく長州にとって嬉しい情報となったようだ。
長州が熱く語る「アンドレの呑み方はハンパじゃないよ」
3軒目はまた台東区に戻り、かつては国技館があった蔵前。今度の酒屋はかなり広くて明るい。前2軒とは明らかに雰囲気が違う。
実はコンセプトが『女性も入りやすい角打ち』の酒屋だそうだ。この店は全国から厳選した日本酒を約40種類も取り揃えているということで、ここでは日本酒で乾杯。
さらにこの店はおつまみも充実しており、なんとラトビア産の缶詰なんていうのも置いている。しかもカップ麺やレトルト食品など、すぐに食べられる物が豊富だ。
長州が「煮込みはない?」と我が儘を言うと、店長は気持ちよく応じて、モツの煮込みを出した。
全員、かなり酒が入ったが、長州だけはまだまだ呑み足りない様子。長州がさらに注文した時、河本が訊いた。
「アンドレ(ザ・ジャイアント)よりも力さんの方が呑んでましたか?」
「アンドレの呑み方なんてハンパじゃないよ。パンナムの缶ビールが全部なくなるんだよ」
「パンナムってなんですか?」
「エアラインの」
「飛行機のビールが全部なくなった!? 1回のフライトで?? ウソだ、そんなの有り得ないでしょ!」
「メルシャン・ワインってあっただろ。あれを1ケース、控室に置いてあるんだよ。それをポンって開けてこうやって呑むんだよ」
そう言って長州は、タバコを吸うような仕草をした。アンドレはワイン・ボトルをまるでタバコのように指で挟み、グイグイ呑むというのだ。
爆笑する次長課長とマンタスクール先生。「それはウソでしょう」と次長課長は信用しない。
しかし、プロレス・ファンなら知っている。長州はウソを言っていないことを。
さらに、長州は畳みかける。「アンドレの食う太巻きは、消化器ぐらいあるんだよ」。
▼パンナム機のビールを全て呑み干したというアンドレ・ザ・ジャイアント
長州が酔っ払ったので、ここで角打ちの旅は終了。最後に長州の一句。
「これで次回があるかないか決まる」と井上が脅した。
又、出会う モツもの旨さが 又、出会う
「どう?」と長州はマンタスクール先生に訊くが、先生は失笑するだけ。長州は最初『モツも』と書いたが、その後に『モツの』と書き換えていた。
「『も』でも『の』でも、あんま変わらない」
最後に井上がキツいダメ出しをした。
これで<金曜+1>『次課・長州の力旅』全3回が全て終了した。
果たして、この長州力の冠番組は、また次回があるのだろうか?
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