6・17 RISE 125白鳥大珠、篠塚辰樹、町田光、松倉信太郎、HIROYA、清水賢吾、“ブラックパンサー”ベイノア、那須川天、ロッタン、MOMOTAROインタビュー+ラウンドガール決定!

■ Cygames presents RISE 125
日時:6月17日 15:00~
会場: 幕張イベントホール
GAYO!生配信
対戦カード、大会概要

■ 那須川梨々インタビュー『練習では天心が私の対戦相手の動きをイメージして動いてくれました』
 
那須川天心が「自分より気は強い」と太鼓判を押す実妹・那須川梨々が『RISE125』(6月17日・幕張メッセ イベントホール)でついにプロデビューを果たす。
試合を直前に控えても梨々は「全然緊張していない。楽しみでしかない」とあっけらかんとしていた。
(取材・布施鋼治)

──プロデビュー戦が迫ってきました。
梨々 まだ全然緊張していなくて。楽しみしかないですね。
 
──アマチュア時代と比べて試合前の意識の違いは?
梨々 自分の試合を観るためにお金を出してくれる人がいるので、いい試合をしなきゃと思います。負けられません!
 
──プレッシャーはない?
梨々 結構注目されているみたいだけど、あんまりプレッシャーはないかな?
 
──お父さん(TEAM TEPPENの那須川弘幸代表)やお兄さん(天心)からのアドバイスは?
梨々 練習では天心が私の対戦相手(team AKATSUKIの佐藤レイナ)をイメージして動いてくれました。お父さんには作戦を立ててもらっています。
 
──那須川天心選手が佐藤選手のダミーを演じているわけですね。
梨々 そうですね。相手の特徴をとらえてやってくれています。いろいろ厳しくやってもらっているので、自分のためになっていると思います。
 
──プロデビュー発表会見の時、天心選手は「俺の妹ということでチヤホヤされているけど、同じには見られたくない」と突き放していました。
梨々 そうですね。天心は何でも負けず嫌いなので、そういうことを言うんじゃないですかね。
 
──兄より上回っていると思う部分は?
梨々 なんだろうないかな?(笑)。いや、私はダンスができるけど、天心は体が硬くてヘタクソなんですよ。バドミントンも天心は「俺の方が強い」と言い張っているけど、実際にやったら絶対勝てる自信があります。
 
──兄弟でも張り合っていますね(笑)。その兄は今春実家から独立しました。寂しくない?
梨々 あっ、ジムでは毎日会っているので。でも、家はちょっと静かになりましたね。天心は家でもちょっとチャラけた感じで明るい。以前は一緒にゲームとかやっていたけど、いまはラインとかでやりとりしています。
 
──兄弟仲はすこぶる良さそうですね。
梨々 たぶんみんな性格が似ているので、よくそんなふうに言われます。天心と梨々なんて、顔も性格もホントよく似ている。
 
──確かに(笑)。試合当日は自分のどんなところを見てほしい?
梨々 疲れた状況でも気持ちで前に出られるところですかね。気持ちには自信がある。お父さんからは「お前はスタミナがあるから大丈夫なんじゃない?」と言われています。
 
──計量が終わったら、まず何を食べたい?
梨々 お母さんが作ったおかゆを食べたい。とっても美味しいんですよ。あと計量の時、天心はいつもイチゴを買ってきてもらって食べているので自分も食べたい。
私、フルーツの中でもイチゴが大好きなので。いつも「天心だけズルい」と思っていたんですよ(笑)。

■ 白鳥大珠インタビュー 『僕が新しいスターになる』
 
RISE125ではTEAM TEPPENから4名の選手が出場する。その中のひとり白鳥大珠はかつてWPMF日本スーパーフェザー級王者として活躍しながらプロボクシングに転向。今回キックにUターン参戦を果たす異色のファイターだ。今年の目標を聞くと、期待のルーキーは「年末のビッグイベントに出たい」と吠えた。
(文・布施鋼治)
 
──ボクシングに対する思いは完全に断ち切ってキックに戻ってきた?
白鳥 もともと本当に自分がやりたいことではなかったので、未練は全くないですね。
 
──高校時代には元WPMF日本王座を奪取するなど白鳥選手の実力は折り紙付き。しかしながら4年間の空白を指摘する声もあります。
白鳥 最初にキックの練習を再開した時、ずっと蹴りを使っていなかったのですぐ疲れてしまった。ボクシングとキックでは使う筋肉が全然違う。
 
──さすがに焦った?
白鳥 でも何回かキックを練習するうちに体になじんできました。やっぱりミドルキックを打つのは気持ちがいい。最近は蹴りを打っても違和感はない。
 
──以前の白鳥選手は蹴り中心のムエタイ系というイメージがありました。もしかしてヒジ打ちが禁止のルールで闘うのは初めて?
白鳥 いや、ヒジなしは初めてではないけど、首相撲がないルールで闘うのは初めて。不安? 全くないです。
もともとそっちのルールでやりたかったので。むしろ僕はムエタイの方が苦手だと思いますね(苦笑)。
 
──意外な話ですね。ボクシングのキャリアはキックボクサーとしてプラスになる?
白鳥 プラスでしかない。以前キックをやっている頃はパンチで倒せなかった。でも、ボクシングはパンチだけじゃないですか。最初は打ち方から直されました。
 
──キックとボクシングでは基本的な重心も違うという話を聞きました。
白鳥 キックの頃はどちらかといえば後ろ重心でした。ボクシングに転向してから気持ち前重心になったんですけと、それでちょうどよくなった感じですね。キックに戻ってきてから完全な前重心でやってみたけど、それだと蹴りに対応できない。
 
──Uターン第1戦の対戦相手は一馬選手に決まりました。対策は?
白鳥 一切していないです。まわりから「ユーチューブで動画を出しているよ」という話を聞いたのでそれをチラッと見ただけ。自分で研究してやっているという印象でした。
 
──相手より自分の問題?
白鳥 そうですね。相手どうこうより自分をどれだけ出せるかが問題になってくると思います。
 
──どんな試合を予想する?
白鳥 自分としては1Rから見せたい。かつてやっていたキックの試合だと1~2Rはゆっくりゆっくりという感じだったけど、RISEは初参戦なので、1Rからわく試合をしたい。巷では「ボクシングから戻ってきた」と紹介されているので、もちろんパンチを見せたいという気持ちもあるけど、「蹴りもすごいじゃん」というところを見せたい。
 
──見どころ満載のRISEデビュー戦になりそうですね。現時点ではパンチとキック、どちらに重きを置く?
白鳥 相手のスタイルもあるのでやってみないとわからないけど、蹴り6、パンチ4くらいの割合がいいかもしれない。
 
──プロボクサー時代に大会場でファイトした経験は?
白鳥 デビュー戦が大田区(総合体育館)だったんですよ。前座だったので僕が試合をした時会場は満員ではなかったけど、大きい会場というだけで記憶に残っています。今回は入場する時から。いや、会場入りから楽しみですね。
 
──結構自分好き?
白鳥 そうです(微笑)。もともと自分に甘かったタイプだけど、歳を重ねるにつれ厳しい面も出てきたと思う。
 
──セコンドの声があるとはいえ、試合開始のゴングが鳴ったら、リング上ではひとりで闘わなければなりません。
白鳥 そうですね。以前は自分に負けることもあったので。試合では勝っていても途中で「このままでいいや」と勝手に流してしまったこともありました。プロで見せていく以上、そういうのはよくないので。
 
──年内にどこまで行きたい?
白鳥 キックボクサーとして年末のビッグイベントに出てみたい。そのためにも今回の一戦目をしっかりクリアしたい。2戦目はキック界で誰もが知っている人はやりたい。
 
──自信満々ですね。
白鳥 自分がいた時と比べたらキック界もだいぶ変わったと思う。今回幕張までRISEを見に来る人の中にも自分を知っている人はそんなにいないでしょう。そういう方々に「僕が新しいスターになる」ということを伝えたい。
 
──いいますね。
白鳥 いま練習している技があるんですよ。見てもらえればすぐわかると思うけど、出せば当たるでしょう。
 
──注目しています。これからは那須川選手に追いつき追い越せ?
白鳥 追い越したいですね。格闘技をやっている以上、自分が一番。天心には天心にしかできないものがある。僕は僕にしかできないことをやっていきたい。
 
 
 
■ 篠塚辰樹インタビュー 『今回ちょっと狙っている技があります(ニヤリ)』
 
RISE123では工藤政英を相手にRISE史上に残る激闘を繰り広げた篠塚辰樹(TEAM TEPPEN)。結果的に逆転KO負けを喫したとはいえ、この日はまだキック2戦目。のびしろだらけの20歳は幕張で再浮上を誓う(文・布施鋼治)
 
──3月24日の工藤政英戦は1R中盤まで篠塚選手が圧倒的に優勢な展開でした。
篠塚 なぜ倒れないんだろうと不思議に思っていました」
 
──しかし1R後半から工藤選手のローキックが効き始め、試合の流れはガラリと変わってしまいました。
篠塚 ローを一発もらった時、これを何回ももらったらヤバいなと思いました。案の定何回ももらったら、足が動かねえということになってしまって。絶対勝てると思っていたので(逆転KO負けは)現実だと思えなかったですね。
 
──KO負けからすぐ気持ちを切り換えることはできました?
篠塚 1カ月以上は曲がらなくて、足を全然使えませんでした。肉離れを起こしていました。
 
──そんなに大きなダメージを負っていたんですね。試合前の「3戦でチャンピオンになる」と宣言していました。目標の軌道修正は?
篠塚 次は狂犬を倒して、その次に工藤選手に挑戦したい。
 
──すでに工藤選手がチャンピオンになる青写真を描いている?
篠塚 ハイ。挑戦者としてリベンジを果たしたい。この間のRISEの会場で工藤さんと話をしました。「ヤバかったよ」と言っていたので、「自分がリベンジします」と伝えました。そうしたら工藤さんは「やらないよ」って(苦笑)。
 
──工藤選手らしい話だけど、そう思わせただけでもすごい。
篠塚 でも負けてしまったので…。
 
──ちなみに那須川天心選手は6戦目で初戴冠を成し遂げています。
篠塚 まあ天心と同じでもいいかな(微笑)。
 
──今回対戦するトイカツ道場の半澤信也選手の印象は?
篠塚 とくに、という感じですね。
 
──かつて物議を醸した女優のようなコメントですね(笑)。半澤選手には、篠塚選手同様ボクシングのキャリアもあるようです。
篠塚 そうみたいですね。でも、ボクシング技術はたぶん僕の方が上なので、しっかりとKOしたいと思います。
 
──自信満々ですね。試合映像は見ました?
篠塚 まだ見ていないです。トレーナーからは「今回絶対勝たないと、しっかりKOしないとダメ」とハッパをかけられています。
 
──ローキックに対するトラウマは?
篠塚 それはないですね。最近は練習でローをメチャクチャ打たれている。ブロックもできるようになったし、ローに対するカウンターの精度も上がっている。もう大丈夫だと思います。
 
──同門で同じボクシング出身の白鳥大珠選手の存在は?
篠塚 刺激になっています。ボクシング時代は同じ相手に負けているし。ボクシングの話もします。キックは白鳥君の方がキャリアは長いので、「単発で終わらないで」というアドバイスをもらいました。
 
──一緒に暮らす那須川選手の存在は?
篠塚 プライベートで練習の話はほとんどしない。たわいもない話ばかりです。食事は天心が作ったり、どこかに食べに行ったりという感じですね。
 
──那須川選手は何を作ってくれる?
篠塚 結構何でも作ってくれます。普通にハンバーグとか作ってくれるけど、めっちゃおいしいですよ。自分は高校時代一人暮しで結構作っていたけど、いまは全然作らない。天心食堂に任せっきりです。
 
──今回は幕張メッセという大会場での試合です。
篠塚 ボクサー時代は全部後楽園ホールだったので超楽しみですね。6000人くらい入ると聞いているけど、そんなにたくさんのお客さんの前で試合をするなんてちょっとヤバい。
 
──那須川選手からのアドバイスは?
篠塚「倒せ」と言われているだけで、とくにないですね。今回の試合ではちょっと狙っている攻撃がある。期待しておいてください。
 
 

■ 町田光インタビュー タイトル『殺気を出して怖い町田光を出す』
 
最近はKNOCK OUTを主戦場にしていた″居合いパンチャー″町田光(橋本道場/INOVATION)がRISEに初参戦。いきなりRISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーと対戦することになった。町田は「勝ったら美味しい」と鞘に収めた刀を研ぐ。
(構成◎FUSE)
 
――対戦相手チャンヒョン・リーについてはどのような印象がありますか。
町田 野辺(広大)選手、裕樹選手、梅野(源治)選手といった選手との映像を見て強いなと。僕が今までに対戦した相手と比べてもナンバーワンといえるぐらいのハードパンチャーですね。
 
――いつか対戦するのでは?と予想はしていたのでしょうか。
町田 あるかもな?というぐらいであっても、当分先のことなのかなと。ここでやるとは思ってもいませんでしたね。
秀樹選手には今年2月に敗れてますが、日本人トップ選手が次々倒されていて僕が勝ったら美味しいです。僕が勝つことで大きいものが得られるのでモチベーションはものすごく高いです。
 
――幕張メッセという大きな会場での試合となりますが、さらにモチベーションが高くなったりはします?
町田 そこは特に関係ないですね。僕は後楽園ホールだろうとどこであっても会場は気にしていなく、むしろビッグマッチということで試合数が多いことで自分の試合が埋もれないように頑張らないといけないなと思っています。
 
――今回の試合テーマはありますか?
町田 “殺気を出して怖い町田光を出す”です。ものすごく怖い相手ですが、逆に僕が怖い存在になっていかに下がらせるか。チャンヒョンを下がらせることが出来たら僕が勝てると思います。
 
――今までにそういうテーマで臨んだ試合はありました?
町田 似たような心境だと(2015年7月12日)REBELS 60kg級タイトルマッチで郷州力(=郷州征宜)選手と対戦した時と同じですね。
僕の殺気で郷州選手を後退させることがキーポイントでした。基本的に、今回の試合ではブロッキングが重要だと思います。いかに硬いブロッキングを作った上で僕の感情、想いを爆発させるかがキーポイントなんです。僕が試合で失敗したときは、相手を冷静によく見て戦ったり、自分のペースが作れなかったときです。もっと熱くなって、もっと自分の感情を爆発させて、今までの劣等感だとかのいろんな想いを全てパワーにして戦った時の方が人の心に届くと思います。
 
――ご自身のペースが作れなかった。まさに前戦、2月のKNOCK OUTでの高橋亮戦(町田が判定負け)がそうでしょうか。
町田 そうですね。正直、モチベーションを作れなったことも敗因のひとつです。新しい戦い方を見出して実験的な試合をしようと、何も感情を込めず、ただ冷静に力を抜いて戦ってみようと思いました。
そうしたら完全に相手のペースに飲まれてしまい、お客さんにも響かない、つまらない試合になってしまいました。それで今回は殺気を作ろうと。どうせやられるとしても、自分の全てを出したいなと。その上で負けるんでしたら納得いくのですが、2月の敗戦のようだとものすごく後味悪い感じになってしまいます。
 
――今回新たに用意した技はありますか?
町田 ないですね。僕の全てをぶつけるだけですね。
 
――昨年10月には、進退を懸けてKING OF KNOCK OUT ライト級王座決定トーナメント準決勝に臨み、森井洋介選手に負けてしまいました。今回復帰第三戦となりますが、まだ現役を続けようと思ったのはどういう理由からでしょう。
町田 簡単にいうと、まだ戦いたかった。引退するといって復帰することで人はいろいろと思うかもしれませんがどう思われても、後々後悔する人生は嫌だなと思いました。あの試合で負けても、まだまだ強くなれる自信も感じました。
 
――チャンヒョン戦をクリアーしたら、年内の目標はありますか。
町田 いつになるかはわかりませんが、ヨードレックペットを乗り越えたいですね。ヨードレックペットとやったら、勝率はまだ50%。ものすごく怖いですが、だからこそ乗り越えたいなと。乗り越えたらもっと自分のことが好きになれるなと思います。
 


■ 松倉信太郎インタビュー『大ケガをして初めてわかった「格闘技をやりたい」という気持ち』
 
松倉信太郎がRISE初参戦。前RISEライト級王者のイ・ソンヒョンと闘う。
久々に巡ってきたチャンスに26歳の帰国子女は「向こうのペースに巻き込まれないで、自分をちゃんと出していくことが大事」と語る。
 
──3月14日には中国・三亜(サンヤ)で開催されたクンルンファイトの70㎏級トーナメントでフー・ヤーフェイ (中国) と対戦し、3-1の判定負けに終わりました。
松倉 これまでにも中国の試合には3~4回出ています。そのあとクンルンに出場した大雅の試合を見て、「これだったら、自分が負けにされても仕方ない」と思いました。
 
──やはりアウェイでは2ポイントくらい勝っていないと勝ちにはならない?
松倉 もっとガツガツいかないとダメですね。結構コカされたこともマイナスだったと思う。今までは掴みなしでやってきたので、そういうところにまだ慣れていない。雰囲気に押されている部分もあったので勉強になりました。
 
──日本での試合は2017年2月25日の日菜太戦以来?
松倉 そうなんですよ。1年以上ぶりなので久しぶりすぎて(苦笑)。
 
──当初の予定では″闘う漫画家″森田崇文と対戦する予定でしたが、森田は4月15日のクンルンファイトで右尺骨を骨折したため欠場することに。代役として前RISEライト級王者のイ・ソンヒョンと闘うことになりました。
松倉 最初に名前を聞いた時は「ア~ッ!」と思いました。いま世界の70㎏級はあんまり派手じゃないけど、強い人が多い。ソンヒョンもそういうタイプだと思ったので。

──最近のソンヒョン情報は?
松倉 1年ちょっと前にクンルンファイトでジョムトーンに腕を折られたけど、復帰してから韓国で2~3試合やっているはずです。
 
──裕樹、鈴木博昭、麻原将平を撃破するなど日本でもソンヒョンの強さは証明済みです。
松倉 勝つしかないので、試合が楽しみで仕方ない。チャンスは結構もらっていたけど、だいたいこういうところでコケていた。今回もそのひとつだと思うので、勝たなければ。
 
──ソンヒョンの攻略法は?
松倉 相手は気持ちが強くてテクニックもあるので、厳しい試合にはなるでしょう。向こうのペースに巻き込まれないで、自分をちゃんと出していくことが大事だと思います。相手がガーッと出てきたところで崩れてしまったりするのが自分の弱点なので、そこを克服することも重要かな、と。
 
──今年になってからTRY HARD GYMはフリー宣言をするなど、結構周辺は慌ただしかったと思います。
松倉 実は昨年7月僕は練習中に拳を折ってしまい、今年2月まで試合はできないという感じだったんですよ。過去にも拳を骨折したことはあったけど、今回は骨がズレてしまたので手術しなければならなかった。
 
──大変でしたね。
松倉 完全に格闘技ができなくなるのは初めての経験でした。最近は試合をお金をもらう手段としてやっているような感じで楽しさを感じていなかった。でも、いざできなくなったら、心の底から「格闘技をやりたい」という気持ちがわいてきた。
 
──窮地に追い込まれた時に初めてピュアな感情が芽生えたわけですね。
松倉 なんか(プロとしては)何も達成していないし。以前はまわりの目を気にしたり、練習も言われてやるようなところがあったけど、いまは自分からやりたくてやっている。
──TRY HARD GYMは東京の郊外にあります。松倉選手は東京・恵比寿のバンゲリングベイからの移籍組ですが、こちらの生活にも慣れました?
松倉 はい。基本的にずっとこっちで生活しているけど、もう田舎の方がいいですね。東京と比べると、ゆったりしているというか空気の流れが違う。でも、最近強くなるかどうかは環境ではなく、自分の意志だと思うようになりました。

──大人になりましたね。試合になったら、自分のどんなところに注目してほしい?
松倉 まずソンヒョンの強さやプロフィールを知ってもらって、それを自分が乗り越えるすごさを知ってほしい。ソンヒョンは一見やさしそうで、体もちょっとなよってしているじゃないですか。
 
──確かに見た目とは大違い。
松倉 最近は自分の攻撃が消極的だったと思うので、思い切り攻撃することを意識しています。本当に基本的なことだと思うけど、そこが欠けていたと思うので。
 
 
 
■ HIROYAインタビュー『自分の人生のために闘いたい』
 
代表代行としてTRY HARD GYMが直面する問題の矢面に立ってきたHIROYAが1年2カ月ぶりの復帰を果たす。
抱負を求めると、かつてK-1甲子園をわかせた時代の寵児は「昔のHIROYAというフィルターを通してではなく、いまのHIROYAを通して見てもらいたい」と語気を強めた。(文・布施鋼治)
 
──5月中旬は実弟・大雅選手のセコンドを務めるため、中国済南市で開催のクンルンファイトに行っていたと聞きました。残念ながら試合の方はリン・チィアン・バン(中国)に3-1の判定負け。ホームダウンデシジョンで負けたという意見も多いようですが。
HIROYA ハイ。みなさんそう言ってくれるけど、大雅は動けていなかった。
 
──ブランク? それとも気持ちの問題?
HIROYA う~ん、気持ちの問題ですかね。今回の騒動があったからというわけではなく、前回の試合から大雅らしさが出ていない。それは僕やまわりも思っていたことだけど、それが試合に出てしまった気がします。でも、そういうことを日本ではなく、海外で気づけたことは本人にとっていい経験になったと思いますね。
 
──わかりました。復帰2戦目に期待したいと思います。ところで、試合まであと13日(※取材日は6月4日)。調整の方は順調ですか?
HIROYA ハイ。減量期間中は週に一回解放日を設けて、好きなだけ食べるようにしています。昨日がそうでした。タイ料理やギョーザなど5食くらい食べましたね(笑)。
解放日を作ったら、精神的に全然違う。おかげで普段は頑張ることができる。
 
──昔から解放日を設けている?
HIROYA 昔からというか、自分には「これがいい」という知識をいろいろなところから取り入れて作ってきた感じですね。
 
──4月24日の復帰会見の時にはまだ結構大きかったけど、もうかなり体も絞れてきた感じですね。
HIROYA 練習をやっていなかった時期もあるので、体を戻すのは結構大変でした。でも、練習を再開して積み重ねてきているので、いまはいい状態です。
 
──HIROYA選手にとって、今回の髙谷裕之戦は1年2カ月ぶりの一戦となります。ブランクの影響はあると思う?
HIROYA 練習していなかった時期にいろいろ感じることもあったので、試合に対する挑み方は変わったと思う。
 
──今回TRY HARD GYMがフリーになる時には会見も含め、HIROYA選手が矢面に立って活動していました。
HIROYA 最近何試合かジムメイトはいい結果を残していない。それでSNSで僕は「自分が絶対いい結果を出して流れを変えてやる」と書き込みました。
もちろんいまでもそういう気持ちを持っているけど、闘う舞台が変わって髙谷裕之という偉大な選手とやる。
自分の中で闘うということに対する気持ちに変化はないので、本当に目の前の相手を倒す。それだけですね。
 
──会見で高谷選手は「真正面からぶっ倒すだけ」というシンプルなコメントを残しています。どう受け止める?
HIROYA 高谷選手らしくて気持ちがいい。僕もズルい手を使ってということは絶対したくない。だからといって髙谷選手が打ち合ってきても真っ向勝負するかと聞かれたらそうではないかもしれない。まあそういうところも含めて面白い展開になるんじゃないですか。
 
──試合の組み立てはシミュレーションしている?
HIROYA 具体的にこんなふうに闘うというのはそんなに細かく考えていない。でも、どのパターンでも倒せるような状況を作って、最後はKOで仕留めたい。
 
──髙谷選手のように40歳を過ぎても路上の現実を体現する闘い方を具現化しているファイターは珍しい。
HIROYA 本当にそうですね。僕は今まで喧嘩屋みたいなタイプと闘った経験はない。でも、そういう選手を気持ちの部分でどうにもさせなくしたい。ローキックを効かせることができたら、いくら気持ちが強くても立ち続けることができない。
 
──心を折るということ?
HIROYA ハイ。髙谷選手の心を折ることはかなり難しいと思うけど、そこを目指したい。
 
──気持ちの面での充実ぶりは?
HIROYA これまでとは違いますね。僕は自分のために勝つと思ってやってきたけど、今回はそれだけではなく、自分の人生のために闘いたい。おかげで試合に向けて計画的に時間を過ごすことができると思います。
 
──最後に大会当日は自分のどんなところをアピールしたい?
HIROYA 自分が15歳の時から出ていたK-1に出ていたHIROYAの存在を知っている人もいると思うけど、今回いろいろあってRISEという新しい舞台で闘わせていただくことになりました。なので昔のHIROYAというフィルターを通してではなく、いまのHIROYAを通して見てもらいたい。そのつもりで1からのスタートのつもりでリングに上がります。
 

■ 清水賢吾インタビュー『しっかり準備しないとやられてしまうという危機感を感じている』
 
今大会では、唯一のヘビー級マッチに出場するRISE&シュートボクシング日本ヘビー級王者の清水賢吾(極真会館)。青コーナーから登場するのはピーター・アーツの愛弟子バダ・フェルダオス。26戦20勝(11KO)という強敵だが、清水は「アーツ選手のようなハイキックでKOするのが理想」と静かに吠える。(文・FUSE)。
 
――RISEビッグマッチ参戦が決まりました。
清水 今回の幕張大会の開催が発表されて、出たいと思っていたら実際に出場が決まり、今はやる気に満ちています。最初はジェロム・レ・バンナ選手と試合をするという話があり気持ちを高めていたのですが、別の選手に決まって少し気持ちが下がっていた部分もありました。
しかし、出ると決まったからにはモチベーションを上げて試合に向けた準備をするだけです。前回3月から試合間隔も詰まっているので、継続していい練習が出来ていると思います。
 
――どうしてバンナ選手とやりたかったのでしょう?
清水 ネームバリューがありますし、ずっと中学生ぐらいからテレビで見ていて憧れていた選手の1人でした。そういう選手と一度でも拳を交えてみたいという気持ちがあり、せっかくそういう機会を与えてもらえるならぜひやりたいと思っていました。
 
――今回の相手バダ・フェルダオス選手はピーター・アーツ選手の愛弟子ということです。
清水 旧K-1を見て最初にファンになったのがアーツ選手でした。94年のグランプリで優勝した時から好きで、自分のハイキックはアーツ選手のハイキックを参考にしたものです。もし出来るならアーツ選手とやりたいぐらいでした(笑)。アーツ選手もセコンドで来日すると思うので、自分が強いところを見せたいです。
 
――アーツ選手は引退しては復帰しての繰り返しなので、もし愛弟子に勝ったら対戦アピールも考えています?
清水 一応言ってみましょうか(笑)。

――フェルダオス選手についてはどのような印象がありますか? プロキャリア26戦20勝(11KO)4敗2分とKO率が高い選手です。
清水 若くて勢いがあってテクニックもあり、ここ最近戦った相手の中では一番強い選手ではないかと思います。
油断はしていませんが、しっかり準備しないとやられてしまうという危機感を感じています。相手の身長は186cmの自分より高い190cmですが、大きい選手とも自分は何度も試合をしていて勝率は悪くないのでその部分は気にしていません。
 
――前回3月の試合を振り返っていただきたいと思います。“Hitter”デビッド・トラレッロ選手のパンチ連打をもらって危ない場面もありました。
清水 いつも通り、パンチをもらいながら冷静にカウンターのタイミングを狙っていて、皆さんは危ないと思っていたかもしれませんが、自分の中では余裕がありました。
 
――清水選手はプロレス好きということなので、相手の得意技を受けた上で自分の技を返すというプロレスラー的な戦い方になっているのでしょうか。
清水 そういう試合をしようと思っているわけではないのですが(笑)、自分はディフェンスがうまくないので自然とそういう展開になってしまいます。結果的に会場も盛り上がってプロらしい試合が出来ているのかなとは思います。
 
――今回の試合に向けて特別に強化している技はありますか?
清水 以前は蹴りで倒してきたのですが、最近パンチでのKOが多くなっているので、また蹴りで倒せるように練習しています。アーツ選手のようなハイキックでKOするのが一番の理想ですね。
 
――パンチでのKO率が高かったのはパンチを強化していた時期もあったのでしょうか。
清水 足のケガでパンチしか練習出来ない時期が長く続いていたので、自然にパンチが得意になりました。
 
――重量級の選手は少ないだけにスパーリングパートナーはどうされているのですか?
清水 自分が所属している支部には無差別全日本大会でベスト8に入賞した南原健太(186cm)をはじめ大きな選手が何人かいるので、その選手とヘッドガードを付けて顔面ありスパーをすることもあります。極真会館もこの6月からセミコンタクトルールといって顔面への突き(寸止め)を認める競技を開始したので、その意味でもお互いに良い練習が出来ていると思います。また、後輩のベイノアなど、自分より軽量の選手とスパーをすることも多いです。
 
――軽い階級の選手とスパーをすることでメリットはどういうところにあります?
清水 重い選手とは攻撃の重さやリーチの長さが違うのですが、スピードが速いので重量級の選手と試合をした時にパンチや蹴りのスピードが遅く感じるというのはあります。また、相手に撹乱されないように自分も速く動かなければいけないので、戦う上でのスピード感を養える点がメリットになると思っています。
 
――そのベイノア選手と揃っての参戦となります。
清水 ベイノアは極真の試合でも結果を出して、キックも無敗ですから、先輩として負けられない気持ちが強いですね。場を盛り上げるエンターテイナーとしては向こうの方が上なので、試合内容では負けないようにしたいです。
 
――今大会では軽量級のカードが揃う中、唯一のヘビー級戦です。
清水 会場が大きい分、重量級の試合は見栄えがいいので数少ない重量級選手として盛り上げなければいけないという使命感はあります。
 
――今回の一戦をクリアーしたら、またバンナ戦もアピールしますか?
清水 諦めずにアピールしたい気持ちもありますが、自分は年齢も年齢なのでその先のことを見ている余裕はありません。一戦一戦を大事にして、決まった試合に向けて全力で準備して戦うだけです。
 
 
 
■ “ブラックパンサー”ベイノアインタビュー『今回の一戦をクリアーして、RISEウェルター級王座を狙う』
 
プロデビュー以来、9戦全勝と無敗街道を突き進むRISEウェルター級2位の“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)。
今回は初の国際戦(?)となるが、空手仕込みの華麗なテクニックと野性味溢れるパンサーぶりを見せたいと意気込む。(取材・FUSE)
 
――RISEビッグマッチ参戦が決まりました。
ベイノア 今まで後楽園ホールと新宿FACEでしかキックの試合をしたことがなく、今回は大きい会場だけに、いつもより長く入場できるのですごく楽しみです。8,000人入る会場で自分がどう存在感を示そうかなと。いい意味で爪跡を残そうと思います。僕は独特の入場曲なので、それを大音量で流してもらえるのも嬉しいです。でも曲の長さが後楽園ホールでちょうど良かったので、今回どうしましょう(笑)。
 
――楽しみはそこでしたか(笑)。対戦相手は韓国のヤン・ジンファン選手になりました
ベイノア RISEに出ている韓国の選手は、イ・ソンヒョン選手、チャンヒョン・リー選手とみんな強いですね。
ジンファン選手の試合動画は1試合だけ見ましたが、凄くタフな選手で打たれても打たれてもどんどん前に出てくるようなスタイル。キックでは今まで戦ったことのないタイプです。
 
――前に出てくる選手だけに、極真空手の試合で当たり慣れしている部分はないですか?
ベイノア 当たり慣れはしていますが、キックの試合ではどうなるんだろうと、やってみないとわからない部分はあります。国際戦も初めてですし。
 
――ん? ベイノア選手は国籍がアメリカですが、これまで戦ってきたのはみんな日本人選手なのでずっと国際戦だったのでは?
ベイノア そうですね(笑)。アメリカ・カリフォルニア州出身なので米国人としても、また子供の頃から日本で暮らしているので日本人としても今回の試合は負けられません。
 
――4月には極真会館『2018第35回全日本ウェイト制空手道選手権大会』の軽量級トーナメントで初優勝するなど、勢いもついていますね。
ベイノア ありがとうございます。このまま調子を上げて今回いい勝ち方で、プロデビュー以来の無敗記録を10に伸ばしたいですね。
 
――キックと空手を両立させている秘訣は何でしょう。
ベイノア 極真の看板を背負って戦うという意識は当然ありますが、そればかりを必要以上に意識せず、試合を楽しむというか、気負わずに戦えていることが一番大きいと思います。
今後、極真の軽量級チャンピオンがRISEのリングに上がるというふうに周りは見ると思うので気合いの入った練習が出来ているのですが、入場曲が流れると楽しい方のスイッチが入ってしまいます。
 
――ベイノア選手はハーフですが、身体能力が高いと思うときはありますか?
ベイノア 特に運動神経がいいわけではありません。フィジカルトレーニングのラダートレーニングは中学生と競い合うレベルですから。
でも、他の選手とは違うリズム感で戦っているのかもしれません。あと、特にウェイトトレーニングをやっているわけではありませんが、キックの試合でフィジカルで負けたことがないので、米国の血を持っている父に感謝しています(母は日本人)。
 
――試合に向けて強化している技はありますか?
ベイノア 今大会は1日にたくさんの試合がある中で、空手家は先輩の清水賢吾選手と自分だけなので、空手の華麗なテクニックを見せたいですね。あとは野性味溢れるパンサーぶりを見てもらいたいです。
 
――今回の一戦をクリアーしたら目標はありますか?
ベイノア ダニロ・ザノリニ選手が持っているRISEのウェルター級のベルトを狙います。ダニロ選手は日本で生活していて、もはや日本人みたいなので、異色の外国人対決を制して自分がチャンピオンになります。


■ 那須川天心インタビュー『今回は5Rマッチ。体力や体重的にはロッタンの方が有利だと思います』
 
世紀の大一番が近づいてきた。6・17Cygames presents RISE125で行われる那須川VSロッタンによる初代RISE世界フェザー級王座決定戦がそれだ。
先日、タイに滞在した那須川によれば、タイでもこの一戦は大きな話題になっているという(取材・文◎布施鋼治)
 
──目まぐるしい日々が続いていますね。
那須川 そうですね。いろいろなことがありすぎて、時間の経過がムチャクチャ速い。毎日が本当にあっという間ですね。
 
──ひとつひとつの試合の余韻に浸っている暇もないくらい?
那須川 一切ないです。絶対にクリアしなければならなかった中村優作戦が終わった瞬間から「よし、次だ」と思っていました。
 
──ちょっとは休んでからロッタン戦に臨もうという気持ちはなかった?
那須川 そういうんじゃなかった。試合翌日に福岡から戻ってきて、その翌日(8日)からは練習を再開しました。休まなかったですね。
 
──それがいつものスケジュール?
那須川 いや、いつも以上です。ロッタンは強敵なので、練習していも熱が入ります。
 
──今回は初めて生まれ育った千葉の会場で闘うことになりました。
那須川 ハイ。いま千葉県勢の活躍がすごいじゃないですか。RIZINだったら浅倉カンナ選手、そして7月大会で堀口恭司選手と闘う扇久保博正選手、ボクシングだったら世界王座を獲得した岩佐亮佑選手がいる。千葉はホントすごいと思いますね。
 
──今回会場となる幕張メッセの思い出は?
那須川 小さい頃、次世代ワールドホビーフェアなどで遊びに行きました。結構デカいというイメージがある。まさか、あそこで自分が試合をするとは夢にも思っていませんでした。緊張するなぁ。
 
──TEAM TEPPENからはこの大会にほか4名の選手が出場します。ジム全体の士気も高まっているのでは?
那須川(プロボクシングからキックにUターンしてきた)白鳥選手のようにTEPPENに来て初めて試合をする選手もいるし、なんか「全員で勝ってやるぞ」みたいな感じになっていますね。モチベーションや気持ちがひとつになっている。いい流れだと思います。
 
──先日、忙しい中タイに行っていたという話を聞きました。
那須川 ハイ、中学生の夏休みの頃1カ月ほどお世話になったゲォサムリットジムに行きました。最近はタイのムエタイジムもすごくきれいになって環境も整っているというイメージがあるけど、ゲォサムリットジムは違いますね。
 
──ジムの人たちは那須川選手の活躍を知っていた?
那須川 知っていたので、「また来てくれてありがとう」という感じで歓迎してくれました。ロッタンの話も聞きました。「ロッタンは左フックでリズムをとってくるから気をつけろ」というアドバイスをもらいました。
 
──ロッタンと闘うということにジムのトレーナーや選手は驚いていなかった?
那須川 タイだったら五本の指に入るほど強い選手ですからビックリしていました。いま一番勢いのある選手だと思います。
 
──心配する声はなかった?
那須川「天心だったら大丈夫」という感じでしたね。トレーナーからは具体的なアドバイスももらいました。TEPPEN GYMにいるタイ人トレーナーが言っていることとほぼ一緒でした。
 
──どんな試合になるとイメージする?
那須川 ぶっちゃけ、3Rだったら余裕で勝てると思います。でも、今回はタイトルマッチなので5R。体力や体重的にはロッタンの方が有利だと思います。
 
──タイでは普段スーパーフェザー級で闘っている選手ですからね。
那須川 自分は通常体重が61㎏くらいなので、まだ55㎏級の体だと思う。来年までにしっかりとフェザー級の体を作っていきたい。トレーナーからは「体では勝てないけど、それ以外で勝てるところがたくさんある」と指摘されています。
 
──ロッタンは左ミドルとヒザ蹴りがベースというわけではなく、場合によってはパンチやローキックを多用するいまのムエタイを体現するムエタイ戦士だと思います。
那須川 そうなんですよね。だから逆に波長は合う。自分の距離で闘うことが今回の課題かなと思います。
 
──ロッタンが仕掛けてきそうなことはだいたい予測できる?
那須川 まあまあできます。ロッタンへの対処は問題ない。自分はロッタンのフックに対してカウンターのストレートを合わせることを考えています。
 
──ロッタンはその裏、あるいは裏の裏をかいていることも想定できます。
那須川 どんなルールでもクセは出てしまうもの。しかも、ロッタンは左フックで試合を作っていくタイプじゃないですか。左フックを使わないということはできないでしょう。
 
──RISE初の世界王座がかかっているという部分は?
那須川(王座の権威は)あとからついてくるものだと思うけど、そこは意識せざるをえない。自分は最終的にはRISEのベルトさえあればいい。自分が初めてRISEの世界王座のベルトを巻くことで、RISEの価値がさらに上がればいいですね。
 
 
 
■ ロッタン インタビュー『天心のようにスピードが速いタイプは次にどこに動くかを見極めることが重要。その見極めには自信がある』
 
ついにロッタン・ジットムアンソンが初来日を果たす。那須川を相手にあわやという場面を作ったスアキムからダウンを奪った上に勝利を収めている超攻撃型ムエタイ戦士だ。タイの切り札として乗り込んでくる男はいったいどんな意気込みを抱いているのか。所属するタイ・バンコクのジットムアンソンジムでロッタンに話を聞いた。
(聞き手・根岸光太郎)
 
──ムエタイを始めたきっかけは?
ロッタン 僕は10人兄弟。実家が貧しく、毎日食事をとることも大変だったので、7歳の時ムエタイをやって稼ごうと決意しました。
始めたのは田舎のジムです。まだ子供だった自分にはきつい練習だったけど、家族に対する責任があったので乗り越えることができました。
小さい頃お母さんに育ててもらったという感謝があったので、今度は自分がムエタイでお金を稼いで両親に楽をさせてあげたかった。
 
──ムエタイはハングリーな格闘技。選手層も想像を絶するほど厚いので、強くなければ生きていけない。
ロッタン そうですね。きつい練習に耐えられなくて、辞めていく選手も多い。僕の場合、どんなハードな練習でも「きついなぁ」とため息をつくのではなく、「それでも楽しい」と思ってやることが大切です。僕にとって練習というのは、もう家族みたいなものですよ。
 
──誰よりも多く練習しているという噂も耳にしました。
ロッタン そうですね。確かに僕はハードな練習を続けている。例えば試合の3週間前に試合が決まれば、21日間毎日練習を続ける。日曜日も平日と比べたらリラックスする時間を作るけど、完全にオーバーホールするのではなく、簡単な練習はするようにしています。
 
──子供の頃に憧れていた選手は?
ロッタン この間、闘ったロートレックです(日本では昨年4月、KNOCK OUTで梅野源治から勝利を奪っている、ムエタイの生きる伝説)。最初に試合のオファーが来た時には自分が目標にしていた選手とは闘いたくなかったので、「やりたくない」と断りました。でも、ジムの代表から「ロートレックしかいない」と背中を押され、闘うことになりました(※タイではジムの代表やプロモーターの主張が通りやすい)。試合では僕が勝ったけど、複雑な気持ちになりましたね。
 
──これまでのキャリアは?
ロッタン 子供の時の試合から数えたら、たぶん400~500戦はやっていると思います。
 
──そんなにたくさん! やりたくないと思った時はなかった?
ロッタン そう思った時もあるけど、大きな試合になればスポンサーもついているのでそう簡単に断るわけにはいかない。
 
──リングネームのロッタンの意味は?
ロッタン 小さい時に入ったジムでつけられたニックネームで、タンク(戦車)という意味です。
 
──日本語ではバカを意味する「バー」というあだ名も。なぜ?
ロッタン 冗談でそう呼ぶ人もいるということです。クレイジーな試合をするからそう呼ばれることもあるのでしょう。
 
──那須川選手の試合映像は見ました?
ロッタン ハイ。ワンチャロン戦とスアキム戦の2試合を観ました。
 
──ワンチャローンとはロッタン選手も闘い、ダウンを奪った末に勝利を収めています。
ロッタン そうです。対策は対戦相手によって変えるようにしています。スアキムは僕より背が高いので、それに合わせた練習をしていました。天心と比べたら、僕は同じくらいかちょっと高いくらいだと思います。
 
──王座を争う那須川選手の印象は?
ロッタン とてつもなくスピードが速い選手だと思いました。
 
──天心対策は?
ロッタン スピードが速い選手は次にどこに動くかを見極めることが重要。その見極めに関していえば自信があります。
 
──過去那須川選手ほどのスピードを持った選手と闘ったことは?
ロッタン あります。なぜかスピードがある人は自分より体が大きいことが多かったですけど。
 
──那須川選手は攻防一体型でディフェンスやフェイントのうまさに定評があります。
ロッタン そのへんはリング上で闘いながら考えていくしかないですね。1ラウンドで失敗したとしても、次の第2ラウンドでは失敗しないように、ひとつずつ修正していくことが大切だと思う。
 
──今回は通常のムエタイルールではなく、スピーディーな攻防が求められるRISEルールです。
ロッタン 問題ありません。最近はタイでもヒジが禁止されたりするルールがあるので。現在はRISEルールに対応できるような練習をやっています。
 
──那須川選手のキックボクサーとしての通算戦績は25戦全勝。いまだ無敗の快進撃を続けているという部分は意識します?
ロッタン そういうこともあるので、今回のタイの国技ムエタイ戦士としての誇りをかけて闘いたい。僕は天心に勝ってRISE世界チャンピオンベルトを持ってタイに戻ることを誓います。
 
──周囲から「ワンチャローンやスアキムの仇を打て」というプレッシャーは感じる?
ロッタン そういったプレッシャーはないですね。リングに上がって精一杯試合をするだけです。あっ、ひとつだけ天心に「逃げてばかりでばなく、ちゃんと私と向き合った闘いをしよう」と伝えてもらえますか。よろしくお願いします(※タイでは相手の攻撃が当たらない距離をとり続けることをよしとしない傾向がある)。
 
──わかりました。最後にロッタン選手は21歳ですが、もう子供もいると聞きました。
ロッタン ハイ。20歳の時に結婚しました。ペイワンという名前の娘がいます(タイ語で花という意味)。妻や娘のためにも勝利を誓います。
 
 
 
■ MOMOTAROインタビュー『原口選手はDOAの時から気になっていました』
 
昨年11月のRISE DEAD OR ALIVE -57kg TOURNAMENTでは決勝まで進出。WBCムエタイ インターナショナルフェザー級王者の実力を如何なく発揮したMOMOTARO(OGUNI/NJKF)。7カ月のインターバルで再び出場するトーナメントの目標はもちろん優勝だ(文・FUSE)
 
 
──今回、RIZIN立ち技最強GPの出場権を懸けたワンデイトーナメントに出場することが決まりました。
MOMOTARO まさか自分がこのようなチャンスをいただけるとは思ってなかったので、このお話を聞いたときはすぐに参戦したい気持ちになりました。今まで以上にモチベーションが上がり、早く試合したいです。
 
──出場メンバーを見てどうですか?
MOMOTARO 昨年11月の(RISE DEAD OR ALIVE -57kg TOURNAMENT。以下DOA)一回戦で優勝した内藤(大樹)選手と対戦した原口選手はあの時から気になっていた選手でした。
自分も「いつが対戦するんじゃないか」というのは感じていました。お互いにトリッキーな選手なのですが、盛り上がる試合をしたいですね。
 
──インタビューで原口選手は「向こうもやりにくいと思うので、お互いに見合う試合になりそう」と言われてました。
MOMOTARO そうですね。噛み合うかどうかは別にしてお互いにいろんな技を出し合って会場を盛り上げられたらいいですね。
 
──反対ブロックの宮崎就斗選手、藤田大和選手の印象はどうでしょう。
MOMOTARO 宮崎選手とは昨年11月の(RISE DEAD OR ALIVE -57kg TOURNAMENT 2017)一回戦で対戦して気持ちが強い選手というのは感じました。
僕は30戦して初めてダウンを取られたのが宮崎選手でした。藤田選手は那須川天心君と戦って名前が売れてますし、立ち技でこれからやっていくというので興味はありました。3月のRISEデビュー戦も見ましたが、パンチがうまくて身体が強いですよね。立ち技でもブレない体幹の強さはあるのかなと思います。
どちらが勝ち上がっても対策はしっかり練ってあります。周りも言っているのですが、勝ち上がり予想としては藤田選手が勝ち上がってくるという意見の方が多いですね。
 
──ずばりトーナメント優勝する自信は!?
MOMOTARO DOAで準優勝だったのでその反省点を活かした対策を練りつつ、練習ができているので調子がすごくいいので優勝する自信もあります!
準優勝という結果に凄く悔しかったですし、RISEトーナメントへのリベンジの意味合いもあります。
トーナメントでの戦い方を学んだのでそれを活かして次はてっぺん取りたいですね。
 
──今一番強化していることは?
MOMOTARO 僕がやってきたヒジありルールとは違いますが、そこに捕らわれずに練習内容は変えずにやっています。
ヒジなしのルールの戦い方も試合を重ねることでどんどん慣れてきているので問題はないです。
 
──ここで勝てばその先には世界トーナメントが待っています。
MOMOTARO ものすごく出たいですね。テレビで放送されて知らない人にも僕の名前を覚えてもらえるチャンスです。
昔はそこまで有名になりたいとは思っていなかったのですが、今は名前を覚えてもらいたいという気持ちになりました。
 
──那須川天心選手、堀口恭司選手と対戦する可能性もあります。
MOMOTARO 何度か出稽古に行かせていただき、TEPPEN GYMで一緒に練習したことがあります。那須川君は今までにない選手ですよね。「このタイミングで攻撃が打てるのか!?」と思わされましたし、スピードも今までに見たことないものを持っていました。
さらに試合になればスピードが上がるんですから。そういう強い人と戦いたいと思うのが格闘家なので、チャレンジしたいですね。
あと、堀口選手とは同じ年なので活躍ぶりを見ていて凄く刺激を受けています。ぜひ拳を交えてみたいですね。
 
──2月にフランスで試合をしていますよね。早く勝ち星が欲しいところでしょうか。
MOMOTARO アウェー判定ではなく、首相撲で削られて負けてしまいました。海外で戦うと、言葉が通じなかったりでメンタル的にも鍛えられます。
他のメンバーよりも立ち技の経験が多く、いろんな経験を今までにもしているので経験値も活かしていきたいですね。
 
――フランスではリングネーム受けが良かったのでは?
MOMOTARO 海外の人は桃太郎のことを知らないみたいで、意外と食いつきが悪かったです(笑)。
プロデビュー前に、ジムの大先輩TOMONORIさんから『君、桃太郎っぽいね?』と言われたことで付いたリングネームなんですが、どんどん僕の名前を憶えていって欲しいです。

 
■ Cygames presents RISE125ラウンドガール7名が決定

今大会を彩るラウンドガール7名が決定しましたのでお知らせ致します。
また明日の公開計量で初お披露目となります。選手同様ラウンドガールの皆さんにも熱い声援をお願い致します。


椿原 愛(つばきはら あい)
Twitter @t_aiai
Instagram @ai.tsubakihara
 

三間 エレナ(みつま えれな)
Twitter @erena_mtm
Instagram @ern_mtm
 

薄井 美樹(うすい みき)
Twitter @MikiUsui_211
Instagram @mikiusui_211


菅原 樹里亜(すがわら じゅりあ)
Twitter @juria_sugawara
Instagram @juria_sugawara
 

栄木 明日香(えいき あすか)
Twitter @askaeiki
Instagram @askaeiki
 

森脇 亜紗紀(もりわき あさき)
Twitter @achaaan516
Instagram @asaki516
 

山本 成美(やまもと なるみ)
Twitter @a_narumin
 


※月額999円ファイトクラブで読む(クレジットカード、銀行振込対応)
▼5・6RIZIN視聴率6.1%、福岡マリンメッセ全6時間、RENA「フラれました!」

[ファイトクラブ]5・6RIZIN視聴率6.1%、福岡マリンメッセ全6時間、RENA「フラれました!」

▼国際式ボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチからみた直前の減量と最近主流の水抜き減量

[ファイトクラブ]国際式ボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチからみた直前の減量と最近主流の水抜き減量

※490円電子書籍e-bookで読む(カード決済ダウンロード即刻、銀行振込対応)
’18年06月07日号紫雷イオWWE株$60 新日北米 RISE かさいあみ 星野勘太郎 変態狙撃

’18年06月14日号BOSJ総括Dominion展望 新日北米ROH CMパンクUFC ラウェイ 原点回帰

’18年06月21日号新日大阪城 KnockOut Jewels Quintet 小川直也北原光騎引退 WWE裏