「征矢は甘い方向に逃げている。もっとわがままでいいから大胆にやってくれよ」かつてのパートナーから征矢に愛のあるメッセージ!〜AKIRA&タナカ岩石インタビュー
12月10日の後楽園大会で征矢学との一騎打ちに敗れたタナカ岩石だが、本人の「しつこく行くぞ!」という宣言通り、今度はタッグマッチでの対戦を要求。そして、今回自身のパートナーとして連れてきたのは、征矢がかつてnew Wild orderとしてタッグを組んでいたAKIRAだった。久々のW-1参戦が実現するAKIRA。変貌を遂げてしまったかつてのパートナーに、愛のある痛烈なるメッセージを送った。
──AKIRA選手がこうしてW-1の試合に出るのは久々なんですけど、征矢選手と会うこと自体、久々だったんですか?
AKIRA 久々ですね。会場ですれ違っても、あの男はやたらとシャイだから(笑)。
──征矢選手はシャイなんですか?(笑)・
AKIRA シャイですね。6月に大和選手がやった君津の興行でトークショーに出たんで、そこで会ったんだけど、近藤選手に「野上さんが来てるんだから挨拶しろよ」って言われないと挨拶に来ないというか、こっそり隠れているような男なんですよ。
──それで半年ぶりに会見で会ったら金髪になっていたという感じですか。
AKIRA そうですね。写真とかではちょろっと見ていたんですけど、似合わねえなあって思っていて。実際に本物を見たら案の定でしたよ。
──似合ってないと(笑)。今回タッグを結成する岩石選手はAKIRA選手の教え子に当たるわけですよね?
AKIRA プロレス総合学院の2期生ですからね。当時からとってもおもしろい子だなと思って高く評価していました。技術がいい、身体能力がある、身体ができているっていう選手がそれぞれいるんだけど、岩石選手は魂の爆発力があるタイプだったんだよね。闘魂型というか、そこがとっても目を引きましたね。
──魂の爆発力というものはレスラーにとって必要な要素なんですね。
AKIRA 僕はそこを一番評価しますね。何かの技ができるっていうよりも、なんかあった時にすぐに反応できて、観客を巻き込む熱を発散できる人間がプロレスラーだと思うんですよ。岩石選手はその素質を持っていたし、それをぐっと引き伸ばしたい、引き出したい、大きくしたいと思って指導に当たっていましたね。
──その教え子とこうして組むことになることについてはどのように思われますか?
AKIRA うれしいですね。ただ、僕もプロレスの第一線でやっているわけじゃないし、身体がちょっと落ちているのも悔しいんですけどね。それまでにコンディションを整えて試合に臨みたいと思っていますんで。
──なるほど。岩石選手にもお話をお聞きしたいんですけど、征矢選手と抗争を続ける中で、今回パートナーとしてAKIRA選手を連れてきたのはどういう理由があるんですか?
岩石 ずっと言ってるように、征矢さんを昔の熱い征矢学に戻したい。そう考えた時に、あの頃の熱い征矢さんを知っている人を連れてくるのがいいんじゃないかと。その人物こそ、new Wild orderで組んでいた野上さんだと思ったんですね。何よりも僕が学院生の頃に教わっていた方だったので、是非とも一度は組んでみたいなと思ってお願いしてみました。
──当時、AKIRA選手から教わったことは現在リング上で発揮できていますか?
岩石 そうですね。さっき野上さんもおっしゃってくださったんですけど、魂の爆発力というものを学院生の頃に評価していただいていたので、僕自身磨くじゃないですけど、そこをいかに武器にするかを考え、自分なりに伸ばしていくかを追求していくことで自信をつけさせてもらって、今年1年やってきました。
──タッグ王座に挑戦もしましたし、征矢選手たちと組んでUWA世界6人タッグも獲ったりと、結果も出すことができましたもんね。
岩石 学院生の当時に評価していただいたことが、今につながっていると思うんですね。僕は身体能力が高いわけでもないし、華がある人間でもないです。ただ、今回征矢さんに対して怒りをぶつけたのもそうですけど、そこが現在につながっているんだろうなと思っています。
──裏を返せば、お二人は今の征矢さんには魂の爆発力が欠けているとお考えなんでしょうか?
AKIRA うん。もちろんそれは彼も持っているんだけど、方向性の部分で甘いところに逃げちゃっているからね。お笑いのほうに走って、本来の自分を逆にさらけ出せてないよね。もっとわがままでいいから、大胆にやってくれよって思いますよ。周りに敵を作ってもいいじゃない。やっかみを買おうが、どう思われようがいいじゃない。自分の好きな道を進んでくれよって思うんですけどね。
──先程、征矢選手はシャイだというお話がありましたけど、照れ隠しの部分で笑いに走ってしまっているということですか?
AKIRA 僕はそう思いますね。
──岩石選手もそう感じますか?
岩石 なかなか言葉に出さないですよね。そういう部分でシャイなのかなと思うことはありますね。
──new Wild orderをやっていた当時は甘い方向に逃げそうな時、AKIRA選手がそこを巧くコントロールしていた感じなんですか?
AKIRA そうですね。葛西選手とかとやっていた時はやらなきゃみたいな空気になったし、周りが過度に笑いに走ることはなかったんで。それはやっちゃダメだっていうのはわかってましたよね。それが誰もコントロールする人がいなくなって、横道に逃げちゃってるなっていう感じがするんですよね。笑いなんて客を安心させるためっていうか、興味をこっちに向けるだけのエッセンスだけでいいんですよ。ずっとやっていることじゃないんで。
──征矢選手が今まで組んでいた人って、歳上の人たちばかりじゃないですか? そういう人がいなくなって、タガが外れてしまった部分もあるんですかね?
AKIRA それもあるかもしれない。多分、あいつ遠慮していると思うね。
──遠慮ですか。
AKIRA うん。自分が突っ走ったらやっかみを買うみたいに思ってんじゃないかな。プロレスラーはそういうことを考えなくていいんだよね。団体の中で折り合いをつけていこうとしたら、そのまま終わっちゃうから。浮かばれない存在になっちゃうよ。そっちのほうが怖いし、自分がいけるなと思ったら、それを押し通すぐらいのほうがいいんだよね。俺も長いことやってきたから、終わりのほうに近づいてきてわかってきたんだけどさ。確かに周りの奴らは押し潰してくるし、ちょっとでも遠慮したらドドドって食ってかかってくる。でも、プロレスラーって身体が続く限りは、ドンドン上向いていかなきゃいけないんですよ。
──遠慮することないと。そういう姿勢は岩石選手にも闘いを通して伝えていきたいと思っていらっしゃいますか?
AKIRA いや、すげえ頼もしく思います。マイクパフォーマンスにしろ大したもんですよ。
──岩石選手がデビューしてから試合はご覧になったりしていますか?
AKIRA YouTubeのダイジェストみたいなのは見たことあるんですけど、地方の会場で武藤さんの付き人としてやってきた時に一緒になったことがあって、そこでの試合を見たことがありますよ。先輩レスラーたちの細かい評価はあったと思うけど、俺が見た印象ではとっても良かったんで。だから、むしろ今回は俺が岩石選手に引けを取らないようにがんばらないとなって思いますね。
岩石 いや、僕こそ、野上さんが隣にいてくれるのは本当に心強いんですよね。そういう部分でも試合が楽しみでもありますし、対角線には征矢さんがいますけど、今回は一人じゃないし、とても心強いです。ただ、今回も全力でぶつかっていくというのは同じですからね。例え野上さんが隣にいようと、僕の気持ちはブレてないです。征矢さんと違って。
──お二人にしてみたら、征矢選手のそういうブレを修正してやりたいという気持ちが強いんですか?
AKIRA 僕としては純粋にプロレスをやるという意味で楽しみだけど、楽しみだけで終わりたくない。このメッセージは受け取ってもらわないといけねえなと思っています。
岩石 僕も以前にように強かった征矢さんに戻ってほしいんで。何度も言うようですけど、戻ってくれるまでは何度でもつきまといます!
──わかりました。このメッセージが果たして征矢選手に届くのか? 後楽園での試合を期待しています!
「『メインイベントはタッグチャンピオンシップだろう!』って主張を土肥熊あたりがしないとダメ」若手に奮起を促す副社長!〜近藤修司インタビュー
副社長として、カズ・ハヤシと共にWRESTLE-1を牽引する近藤修司。現在のカズにとってはリング内外の重要なパートナーだ。今回、近藤もカズのデビュー25周年記念試合に出場することが決定している。副社長という経営陣の立場で語る、このデビュー25周年記念試合の意味とは? そして、師匠であるウルティモ・ドラゴンとの久々の遭遇にも毒ガスをぶっ放す!
──近藤選手は、現在カズ選手のリング内外のパートナーとして一番身近にいる存在だと思うんですけど、今回、カズ選手がデビュー25周年記念試合を行なうことになったことについてお話を聞かせていただけますか?
近藤 多分、本人はそれどころじゃないと思いますよ。社長として1年目で『WRESTLE-1 AWARD 2017』で新人賞をもらっていましたけど、デビュー25周年を迎えたことなんか吹っ飛んでいる感じでしたからね。
──それは端から見ていてそう思われますか?
近藤 だって、僕はカズさんの仕事をお手伝いできないしね。副社長だけど、そこは分担作業だし、やっていることが違うんで。僕は副社長になってもそんなにやることは変わらないけど、カズさんはガラリと変わりましたからね。今までは他の人がやってきたことをカズさん自身でやらなきゃいけなかったりするんで、やばいと思いますよ。
──近藤選手の「やばい」という表現がプロレス団体の社長という仕事のやばさを物語っていますね(笑)。
近藤 だって、やばいとしか言いようがないし。
──かと言って、リング上のパフォーマンスが落ちてるわけじゃないですからね。しっかりとコンディションを整えて、以前と変わらぬ試合のクォリティーを見せてくれているし。
近藤 まあ今のW-1はそんなに試合数も多くないんでね。25年やってきた中で、今が一番少ないんじゃないですか? だから、カズさんの身体のことを考えたら、今の時点では逆に良かったのかなと思いますけどね。ただ、これからW-1も興行は増えていくでしょうし、そこは気をつけてほしいところではありますよね。
──なるほど。まあ、そういう中でのデビュー25周年記念試合に近藤選手も出場することになりましたけど。
近藤 光栄なことですけど、偉い人たちばっかり集まるから気を遣わなきゃいけないですよね。相手にサスケさんがいるし、この間トランプ大統領の格好で出てきたんでしょ? だったら、僕は貴乃花か太川陽介で出ていこうかなと思っています(笑)。
──冗談はさておき(笑)、W-1のリングでは若い選手を相手にすることが多い中で、自分が一番下のキャリアっていうシチュエーションも今の近藤選手にはないですよね。
近藤 ないですね。でも、僕は昔からキャリアとか考えてやらないんで。そんなに気にしてないというか、勝手に気にしないだけなんですけどね。
──ああ、性格的な問題ですね(笑)。
近藤 だから、そのへんは注意しなきゃいけないのはサスケさんだけですね。
──マスターは何をするのか想像がつかないですからね(笑)。
近藤 そうですね。あとはUDでしょうね。
──UDって(笑)。ウルティモ・ドラゴン選手ですね。
近藤 UDって基本的に触ったことがないので。
──カズ選手的には近藤選手とウルティモ選手の顔合わせを見たいという希望もあって、この組み合わせにしたそうですけどね。
近藤 そうでしょうね。まあ、だいぶ昔の話になっちゃうから、今のW-1のお客さんがどれぐらい知っているのかわからないですけど、僕の師匠なんでね。ちゃんと教わってます。ただ、何を教わったのか憶えてないんですけど(笑)。
──そんなことはないでしょう(笑)。
近藤 メキシコまで行ってスパーリングばっかりやってましたけどね。その時は夜が練習だったんですけど、スパーリングばっかりですよ。完全に関節の取り合い。ルチャを教わりに来たのに、なんでこんなことをやってるんだろうってずっと思っていましたけどね。
──やっぱりウルティモ選手も新日本プロレスの道場にいた時代の記憶がそうさせたんですかね。
近藤 そうでしょうね。嫌でしたね、あの練習は。
──試合では絡んだことはないんですか?
近藤 やってないですよ。メキシコでやっているかもしれないですけど、ほとんど触ってないですよ。メキシカンのジジイは触っていたような気がしますね。
──メキシカンのジジイ(笑)。
近藤 結構有名な偉い人です、ワハハハハ!
──名前は忘れたけど、多分有名(笑)。でも、ここで試合をするとなるとどうですか?
近藤 まあ、これと言った感傷的なものはないですけけど、あとはノリですよ。UDももう全盛期ではないし、知らない人にとってはただのトカゲのオッサンですからね(笑)。
──龍です、龍! でも、これは近藤選手流の挑発と受け止めて、当日の絡みに期待していてますよ。
近藤 まあそう解釈してもらっていいです。ただ、やっぱりカズさんの記念マッチだし、そこは楽しみというよりは僕自身は役割をまっとうしないとなっていう感じですよ。僕も東郷さんも、そして相手の3人もカズさんの周りでどう動くか? そこがこの試合の鍵でしょうね。
──副社長としてのお祝いを考えると。
近藤 いや、一番のお祝いは休ませてあげたいっていうことですよ(笑)。ぶっちゃけ言っちゃえば。一番のお祝いは1週間ぐらい何もしない日を作るっていうことじゃないですか?
──ただ、それはできないし、だったらリング上でもうちょっと働いてもらおうかと。
近藤 しょうがないでしょうね、レスラーだから(笑)。
──でも、逆に現役のレスラーとしてリングに上がって何かを発散できるからこそ、過酷な社長業をやれているという側面はないんですかね?
近藤 どうなんですかね? そのへんは言わないから。ただひたすらやってますよね。ひたすら進んでいる感じですよ。何があろうとひたすら歩いている。それを僕は客観的に見ている感じですよね。ただ、この試合がメインイベントではないなと思いますね。「メインイベントはタッグチャンピオンシップだろう!」って主張を土肥熊あたりがしないとダメなんですよ。「なんで記念試合がメインイベントで俺たちがセミなんだ!」って言わないと。チャンピオンなんだから。
──いくらお祝いのカードとはいえ。
近藤 今のW-1は未来志向なんだから。やっぱりチャンピオンがそのへんを訴えるようじゃないとダメなんですよ。
──まあ、今の若い選手が中心となっているW-1で、カズ選手や近藤選手の世代が高い壁であるというのを見せつけるいいきっかけだとも思うんですけどね。
近藤 いや、結局、経営する立場として今回の記念試合だって組んだわけで、それに対して若い奴らが「なんでだよ!」っていう主張を唱えられるようになったら、その時が本当の世代交代だということですね。
──ということはまだまだ時代は変わらないということですか?
近藤 まだまだですね。がっかりですね(笑)。
──今後のカズ選手に選手として、あるいは社長として期待することってありますか?
近藤 期待はしないです。向こうもそんなに期待してほしくはないんじゃないですか?
──それは重荷になってしまうということですか?
近藤 期待をするしないの話じゃないのかもしれないですね。今のW-1は社長のカズさんも含めて、一人一人がやるしかないんですよ。短冊を作ってもしょうがないんですよ。
──短冊?
近藤 七夕で願いごとを書く短冊。願いごとを言っている場合じゃない。どうしたら前に進めるのかっていうのを一人一人が考えて実行していく。それが今のW-1に必要なことなんですよ。もう期待とか希望とか願いとか、その次元にはないんですよね、きっと。
──願いを言う前に実行をしてないとダメだと。
近藤 動かないとダメですよね。選手が団体を高みに持っていくとか、トップに持っていくとか言うけど、じゃあ具体的に何をしているのかって話なんですよ。もう短冊でうわ言を書いているようじゃ、僕もカズさんも信用しないんで。そんなことより動いてくれと。そのためにどうすべきか理論を構築して、動いてほしいですね。
──それぞれがやるべきことを考えて動けということですね。
近藤 そんな感じでしょう。
──わかりました。それでは、最後にカズ選手に25周年のお祝いのメッセージをいただけますか?
近藤 まあ社長になって一番大変な思いをしているのはカズさんなんですよね。だから、いい加減にやったほうがいいんじゃないかなと。あんまり根を詰めてやっちゃうとしんどいんでね。レスラーとしては25周年だけど、社長としてはまだ1年も経ってないし、いい加減にやりながら、一緒にがんばりましょう。
「大谷選手や竹田選手のように情熱のある選手をぶつけて気づかないなら、ACEの子たちもそれまでですよ」2018年も三富レボリューション続行ーッ!〜三富政行インタビュー
夏場からACEの選手を相手に抗争を開始した三富政行。11月5日の後楽園大会ではACEの皇壮馬をWRESTLE-1から追放し、この抗争にも一段落ついたかと思われたが、今度はガッツワールドの大谷譲二、そして666の竹田光珠を招聘。1月8日の後楽園大会では、自ら大谷&竹田を引き連れ、ACEの頓所隼&一&馬場拓海と対戦する。果たして、三富の目的はなんなのか? 2018年も引き続きW-1のリングをかき回す三富レボリューションの展望を聞いてみた。
──この間の12月の後楽園大会で、三富選手がもっとがんばっている奴を連れてくるって言っていましたけど、発表されたカードには大谷譲二選手と竹田光珠選手という選手の名前がありました。ACEとの抗争が続く中、今度はこの2人を連れてきた理由を教えていただけますか?
三富 前回の後楽園大会で頓所選手に僕自身が不覚を取ってしまったんですけど、前とは違うなという印象を抱いたんですね。技術も違うし、体力も違うし、気迫もありました。
──その部分では変化が感じられたということですね。
三富 でも、肝心のプロレスに対する情熱が感じられなかったんですよ。
──情熱ですか。それは気迫とはまた違うものなんですね。
三富 違いますね。厳しい練習にがんばって耐えて乗り切れば、気迫って出てくると思うんですよ。でも、以前から感じているし、言っていることでもあるんですけど、ACEの子たちからはプロレスでのし上がってやろうというハングリーな情熱が欠けている。僕もそうでしたけど、インディーの中にはプロレスだけで食っていきたいのに、練習環境すらままならず、一般の社会人として働きながらやっている選手もいる。練習をするのにもお金を払わなきゃいけなかったりする中で、試合のオファーがドンドン来るようにがんばっている姿を僕は目の当たりにしていたんです。ACEの子たちって、環境的には恵まれているじゃないですか?
──ちゃんと練習する道場もありますしね。
三富 立派なもんですよ。でも、情熱が感じられないし、レスラーとしてのアイデンティティを確立できてないと思うんですよ。それはなぜかと考えた時に、彼らには対立する何かがないんですよね。
──対立概念がないということですね。
三富 そうです。レスラーのアイデンティティというのは、対立する相手がいて、初めて形成されていくとものだと思うんですよ。ACEの子たちにはそれがない。僕と闘ったって彼らにはメリットがないし、W-1の先輩に食らいついていったとしても、W-1とACEは別の団体ですよって言われたら、元も子もないじゃないですか? だから、彼らが何と闘っているのかが見えてこない。でも、今回上がる大谷選手はガッツワールドの選手で、竹田選手は666の選手ですけど、お互いはもちろん、常に他の団体の選手を意識してやっていますよ。それは前に出たASUKA PROJECTの瀧澤選手や佐山選手もそうです。俺のほうが上に行ってやる、いつか大きな団体に上がってやる。そういう意識のもとで闘っているはずなんですよね。でも、ACEの子たちはエスカレーター式でW-1の試合に出られる。その現状を僕はぬるま湯って表現したんですけどね。
──まあ、後楽園のリングや横浜文体のリングにも上がれてしまうわけですもんね。
三富 そうなんですよ。でも、大谷選手や竹田選手にとって後楽園で試合をするということは、もの凄く貴重な機会だし、それに対して懸けている部分もあると思うんですよ。僕もDDT傘下のユニオンプロレスでやっていた時は後楽園大会なんて年に1〜2回だったし、やる時はみんなで注力して、絶対に成功させて、これでプロレス界でのし上がってやろうという気持ちでしたからね。でも、ACEの子たちは毎月W-1の後楽園に出られる。これは恵まれすぎてますよ。しかも、バックステージで「次がんばります」みたいなコメントを残して帰るっていうルーティンワークをこなしているだけ。これではアイデンティティは確立されないし、情熱も生まれてこないと思いますね。
──まあ、確かに恵まれているとハングリーさは生まれづらいですよね。
三富 将来のビジョンがないからですよ。僕は一回討論したいですね。「君らはどういうビジョンを持っているの?」って。語れる子はいないと思います。
──その一方で、W-1の若手である佐藤選手と試合をする機会があったじゃないですか? その時に佐藤選手とACEの子たちは違うとおっしゃっていました。ただ、佐藤選手もW-1所属とはいえ、ある部分ではACEの選手と同じような環境でやっているわけじゃないですか?
三富 そうですね。彼は総合学院を卒業した時に「ACEには入りたくない」って言ったんですよ。その感覚ってセンスがあると思いません? おそらくACEに入ってもその先のビジョンが見えなかったと思うんですよね。だから、W-1に入って下積みを積む。そうすればその先が見えてくると思ったんでしょう。そこは彼の中にプロレスに懸けている情熱があるからだと思うんですよね。そういう根本の部分が違うんですよ。
──確かに1期生、2期生がそのままACEに所属していくのを見ているわけですから、普通ならそうなってもおかしくないところを、自分の意思でW-1所属にしてもらったわけですからね。
三富 そう考えて自分で動いたわけですよ。これは凄いことですよね。もしかしたら、佐藤選手にとってはACEという対立構造があったからこそ、W-1所属になりたいと思ったんじゃないですか?だからこそ、彼のアイデンティティが確立されていくわけですよ。そういう部分では佐藤選手には凄く情熱を感じますね。
──なるほど。だから、ACEの選手にも大谷選手や竹田選手のような対立構造になりそうな選手を連れてきたということですね。
三富 彼らの後楽園に懸ける気持ちをACEの子たちがふっかけられたなら、さすがに気づくと思うんですよ。僕もACEの子たちに厳しいことを言っていましたけど、それは気づいてほしかったからなんで。
──でも、現状では気づいてもらえてないと。
三富 まったく感じられないですね。だから、今回大谷選手や竹田選手のように情熱のある選手をぶつけて、後楽園に来るお客さんが彼らのほうがACEの選手よりも凄いと感じたなら、それまでですよ。W-1よりガッツワールドや666のほうがおもしろいじゃんってなっちゃう。それじゃダメじゃないですか? そうならないためにも今回対戦するACEの頓所選手や一選手、馬場選手もがんばるんじゃないかなと。そうすればプロレスに対する情熱も生まれてくるんじゃないかなと思うんですよね。何しろ、実を言うと2人とももう26歳でACEの選手たちに比べれば若くはない。危機感がめちゃくちゃありますからね。
──その危機感が情熱を生み出しているということなんですね。ところで、それぞれどういう選手なんですか?
三富 まず大谷選手ですけど、彼は僕の学生プロレスの後輩です。ギャル男コレクションA.G.っていうリングネームでやっていて、YouTubeで潮吹豪vsギャル男コレクションA.G.で検索すると僕の引退のときにした試合の映像が出てきます。2万回ぐらい再生されていますからね。
──それは凄い(笑)。
三富 彼はガッツワールドという学生プロレス出身者が集まる団体でデビューしてやっているんですけども、私生活がトンパチなんですよね。それがプロレスにも出てくる。あともの凄く身体の柔軟性が高くて、ジャーマンとかノーザンライトスープレックスは他の誰もできないぐらいの弧を描きますよ。ミサイルキックもハイアングルで放つし、何よりも相手に向かっていく気迫やハートが凄く強い選手ですね。ただガッツワールドが解散してしまうんで、彼にとって一戦一戦が生き残りを懸けた闘いでもあるんですよ。
──なるほど。もう一人の竹田選手はどういう選手なんですか?
三富 彼はとにかくルックスがいい。身体もグッドシェイプだし、身体つきを見ただけで人目を引くものがありますね。666って宮本裕向選手を輩出した団体なんですけど、インディーの王子を生み出せる団体なんですよね。竹田選手も既に売れっ子で、まだデビューして1年ぐらいなんですけど、月に10試合以上やっているんですよ。だからACEの子たちよりも経験を積んでいるし、DNAなんかでもいいポジションにいくと思うんで、是非とも注目してもらいたいですね。
──三富選手がACEの選手たちに是非ぶつけたいと思った選手たちですから、注目しましょう。一方で、ご自身は2018年はどのように動いていこうと思われているんですか?
三富 僕は前から言っているW-1のレコンキスタ。国土回復運動を引き続きやっていきます。現状、W-1にはツッコミどころが多すぎる。ACEの件もそうですけど、しれっといなくなる選手もいれば、あるのかないのかわからないユニットもあるし、ツッコミどころ満載ですよね。こういったものを一つずつ是正していきます。ACEにしても、プロレス総合学院を作った当初の大義名分から外れてしまったのが問題だったし、ACEを見直して定義付けすることで、総合学院もいろいろな団体にレスラーを輩出する養成所になっていくという本来目指していた姿になっていくと思うんですよね。だって、この間の後楽園でも頓所選手への声援が聞こえたし、それはある意味、ACEという存在がお客様に認知されてきたからだと思うんですよね。
──三富レボリューションの効果が出始めているということですね。それでは2018年も引き続き三富レボリューションに期待しています!
「私は未だ『カズ・ハヤシ=獅龍』説というのを信じてない。ロズウェル事件と同じぐらい永遠の謎です」〜ザ・グレート・サスケインタビュー
1月8日(月・祝)の後楽園ホール大会で行なわれるカズ・ハヤシデビュー25周年記念試合。ユニバーサルプロレス、みちのくプロレスで共に闘ってきたザ・グレート・サスケの参戦も決定した。カズにとってターニングポイントとなったというこのザ・マスターは、「カズ・ハヤシ=獅龍」説を否定。さらに「私を昔のザ・グレート・サスケだと思っていたら大間違いだ」と、試合に向けて意気込んでいる。
──サスケ選手はカズ選手と初めて会った時のことは憶えていらっしゃいますか?
サスケ え〜っと、あれは確か2000年ですね。
──え、2000年?
サスケ はい。2000年の第3回『SUPER J-CUP』ですね。
──みちのくプロレス主催で行なわれた『SUPER J-CUP』ですよね。サスケ選手はその時どのような印象を受けられたんですか?
サスケ あれは仙台でやった1回戦だったと思うんですよね。私が勝ったんだと思うんですけど、非常にアグレッシブな選手で、よく動き回るし、グラウンドレスリングでもしっかり攻めてくるし、なおかつ場外にもガーンと飛んでくるし、凄い選手だなと思いましたよね。まあ、のちに彼の正体が実は獅龍だったと聞いたんですけど、信じられなかったですね。
──あ、そこで初めてカズ選手が獅龍の正体だと知ったわけですか。
サスケ いや、その話を聞いても、どうも同一人物とは思えないような別人のような選手でしたね。
──それだけアメリカやメキシコでガラリと印象を変えてきたということですか?
サスケ う〜ん、私は未だ「カズ・ハヤシ=獅龍」説というのを信じてないんですよ。私の中ではある意味超常現象の一つであり、それを信じていいものかどうか非常に迷っていますね。
──サスケ選手の中で、2人が同一人物だという確証が得られてないということなんですね。
サスケ これはまるでアメリカのニューメキシコ州のロズウェルにUFOが墜落した事件、いわゆるロズウェル事件が真実なのかどうなのかというのと同じぐらい、私にとっては永久的かつ恒久的なテーマですね。永遠の謎と言ってもいいかもしれないです。まさか、その2人が同一人物だったなんてってね、私には未だに信じられない!
──ロズウェル事件級の謎(笑)。
サスケ 私は未だに違うと思っているんですけどね。
──ちなみに獅龍という選手がユニバーサルに入ってきた時のことを憶えていますか?
サスケ 鮮明に憶えていますね。非常に謎のベールに包まれた若い選手というイメージでしたね。あんまりプライベートの深い話はしなかったんで。それは現在に至るまでそうなんですけど、彼がどういう生い立ちで、もっと具体的に言うならどこ出身でどの辺に住んでいてっていうのも一切謎でした。
──そこまで謎の男でしたか。
サスケ 謎だらけでしたね。まあ練習熱心ではありましたよね。練習熱心でどんな過酷なトレーニングにも音を上げないでついてきてましたから。あとはやはり印象に残っているのは私とグラウンドのスパーリングをやって、根性でもの凄く食らいついてきたっていうことですね。いわゆるガッツのある青年という印象が残ってます。
──そのガッツのある青年の成長した姿がカズ・ハヤシというレスラーに結びつきませんか?
サスケ なかなかそこが交わらないですね。現在に至るまで私の中ではずっと平行線のままなんですよ。
──ちなみに獅龍選手がみちのくプロレスを辞めて海外に行ってしまった時はどのような感情を持ったんですか?
サスケ これは記憶が定かじゃないんですが、彼はディック東郷たちと平成海援隊、そして海援隊☆DXのメンバーとなっていくんですけど、1997年頃だったですかね? TAKAみちのくがWWF(現WWE)と契約して、海援隊のメンバーもあとを追うようにWWFと契約したんですよね。
──でも、獅龍選手だけはメキシコに行って、それからWCWと契約したんですよね。
サスケ ああ、別行動だったんですね。だから、なぜ別行動だったのか? その細かいところをその当時は憶えてないんですよ。ただ、海外に行ってしまったという事実だけが残っていますね。当時は敵対していましたけど、敵対しながらもちょっとした寂しさはありましたよね。ライバルが……当時は完全にライバルでしたからね、獅龍は。ライバルがいなくなってしまったっていう寂しさがあったのを憶えてますね。
──サスケ選手がIWGPジュニア王者だった時代に、ベルトを懸けて闘いましたよね。
サスケ ああ、やりました! よく憶えてらっしゃいますね。1996年に私が初めてIWGPジュニアのベルトを獲った時代に、岩手の矢巾町体育館大会で獅龍と防衛戦をやった記憶がありますよ(1996年7月21日)。
──IWGPは新日本プロレスのタイトルですけど、この試合は唯一のみちのくプロレスの選手同士のIWGP戦だったんですよね。その相手が獅龍選手だったということは、それだけライバルとして実力を買っていた選手だったということですかね?
サスケ 完全に互角でしたよ、実力的には。もう記憶が曖昧になってしまったんですが、いろいろな場面でバチバチとやり合ってましたからね。
──なるほど。サスケ選手はこの「獅龍=カズ・ハヤシ」別人説を取られているということなんですけども、カズ選手にとってはターニングポイントとなった選手ということなんですね。そういうことで、デビュー25周年記念試合への参戦が決まりまして、サスケ選手は武藤選手&ウルティモ・ドラゴン選手と組んで、カズ&近藤&ディック東郷組と対戦することになりました。こちらのカードについてはどのような印象を受けましたか?
サスケ 本当におもしろいカードを組まれましたね。だから、彼にとって私と校長と武藤さんは師匠という位置づけで、東郷だったり近藤選手だったりっていうのはやはりパートナーという位置づけなんですかね?
──そんな感じですね。特にサスケ選手とは『SUPER J-CUP』で対戦したことで、日本でも名前を売るきっかけを作ってくれた人ということで、今回対戦したかったということをおっしゃっていましたね。
サスケ ほほう。カード編成は非常に興味深いですし、そうやって指名してくれたことは光栄に思いますけど、25周年ということでお祝い試合にしようというつもりもさらさらないですから。当時を思い出して、あの時のことを思い出してバチバチとやり合いたいと思いますね。
──顔合わせの妙でサスケ選手vs近藤選手とか、普段あまり対戦機会のない人との対戦も面白いだろうとおっしゃっていましたね。
サスケ そうですね。実は近藤選手が全日本プロレス時代だったと思うんですけど、『世界最強タッグ決定リーグ戦』で対戦しているんですよね。
──KENSO選手と組んで出た時ですね。昨年のW-1の横浜文体大会でも対戦されてますよね。
サスケ ああ、そうです、そうです! でも、それほど対戦する機会もないですから、楽しみですね、近藤選手と闘うのは。あとディック東郷も最近は組む機会が多いんで、対戦するのは久しぶりですし、これもまた楽しみですよね。ただ、カズ・ハヤシには、私のことを昔のザ・グレート・サスケだと思ったら大間違いだということは言っておきたいですね。私は今や、ムーの太陽のザ・マスターですから。私の攻撃パターンはさらに多様性を増して、プロレス技だけに留まらないぞ、というところを是非彼にはわかってほしいですね。
──こちらもかつてのグレート・サスケとはまったく別人だということですね。
サスケ そういうことです。
──それではカズ選手に25周年のメッセージをいただけますか?
サスケ まずは25周年おめでとうございます。私の説によるとどう考えても25周年は計算が合わないんですが、それはさておいて、これを機会によりカズ・ハヤシ自身に磨きをかけて、もっともっと強くなってもらいたいし、私自身もまだまだ強くなるつもりでいるので、お互いに永遠のライバルとしてがんばりましょうということを言いたいですね。
──あとカズ選手は現在W-1の社長をやられているんですけど、社長レスラーの先輩として何かアドバイスはありますか?
サスケ まあ私は社長を卒業しちゃったんですけど、そんな私から言えるのは、日本の社長のあり方っていうことにこだわらないでほしいということですね。カズ・ハヤシというのはアメリカ生活を体験している人間ですから、アメリカ式のアメリカナイズされた社長になってほしいですね。これはある意味、私からの謎かけです。この謎を解くためにはリチャード・ギア主演の映画『キング・オブ・マンハッタン』、これを見るように。これを見ると答えが全てあります。これを伝えておいてほしいですね。
──わかりました。カズ選手に伝えておきます。それでは当日の試合を楽しみにしております!
「平成海援隊の頃、朝から晩までずっとプロレスのことを語っていたのが青春だった」平成海援隊&海援隊☆DX時代の同志!〜ディック東郷インタビュー
1月8日(月・祝)の後楽園ホール大会でデビュー25周年記念試合を行なうカズ・ハヤシのパートナーとして参戦することになったディック東郷。カズとは若き日にみちのくプロレスで一世を風靡した平成海援隊&海援隊☆DXを組み、共に海外へと飛び出すなど、同じような考えを持った同志的な存在であった。その東郷にカズとの思い出を語ってもらった。
──東郷選手はカズ選手とは長い付き合いだと思うんですけど、会った頃の印象を憶えていますか?
東郷 初めて会ったのはユニバーサル・プロレスリング時代に道場で会ったんじゃないかなと思いますけどね。ただ、カズだけじゃなくて、同じ時期に何人か入ってきたので、特別存在感があるっていう感じでもなかったんですよ。でも、あの当時は全日本女子プロレスの目黒の道場を借りて練習していたんですけど、練習を一緒にやっていくうちに「こいつルチャが好きなんだな」って思っていて、方向性も似てるなと思いながら練習していた記憶がありますね。とにかく練習に対する意欲っていうのは感じました。
──のちにみちのくプロレス時代に平成海援隊、海援隊☆DXというユニットを一緒にやられていたのは、方向性が同じだったからという部分もあるんですかね?
東郷 そうですね。ハヤシ的にもビデオとかいろいろ見て研究して、「こういうのをやりませんか?」とか提案してきたり、それを道場で一緒に試したりとか、受け身の練習をしたりとか、あの当時は常に一緒に試行錯誤していましたよね。
──レスラーとしての印象はどんなものがありましたか?
東郷 運動神経は当時の若い選手の中でも際立っていたと思いますよ。なんでもできたし、独特の感性も持っていたので、突然おもしろいことをやったりとか、そういう未知なる部分を持っていた印象はありますね。普段は見せないけど、突然パッと出すみたいな。
──インスピレーションでパッと出てきてしまうというか。
東郷 そうですね。それも頭の中で描いたものをすぐにできるんでしょうね。
──組んでいた時はやりやすい選手だったんですか?
東郷 やっぱりスタイルで似た部分があったし、ちょっと言えばだいたいわかってくれるし、こっちも彼のやりたいこともなんとなくわかったし、やりやすい選手でしたね。
──そうやって一緒にやりながらも、お互いに海外に行って、道が分かれていきましたね。
東郷 やっぱりプロレスを長くやっていくとお互いにやりたいことも出てくると思うんですよね。プロレスラーとしての分岐点だったんでしょうね。カズは自分の新しい方向性を見つけて行ったと思うし、僕は僕で自由人なんで(笑)。お互い海外に出て行ってしまったんですけけど、そういうところは彼も好きだったんでしょうね。ただ、同じ業界にいますからね。いつかは遭遇するだろうななんて思いながらやっていたし、たびたび会場で会ったりもできるし、今でもTwitterとかで情報を見ながら、がんばってるんだなって思ったりもしますしね。
──当時、一番思い出に残っていることってありますか?
東郷 海援隊☆DXの前の平成海援隊の頃って、なかなかみちのくのリングで支持されなかったんですよね。そういう中、俺とハヤシとテイオーは3人でバンで移動してたんで、朝から晩までずっとプロレスのことを語っていたのが青春だったなっていうのはありますね。
──試合だけではなくて、ずっと一緒に行動していたんですね。
東郷 本当に試行錯誤しながらやってたんで。試合が終わって反省して、ああしようこうしようかっていうのをずっと3人で考えていたような気がしますね。試合前も試合後も、ずっとプロレスのことを考えていましたよ。
──青春時代って感じですね。でも、同じような考えを持って、海外に飛び出しながらも、東郷選手は今でも自由に活動されているし、カズ選手は社長になるしで、それぞれ立場が変わったりするのも時の流れを感じますね。
東郷 TAKAにしても社長やってるし、みんな出世しちゃってね(笑)。
──そう考えると当時のユニバーサル、みちのくって凄い人材が揃っていたんですね。
東郷 いや、みんな凄いですよ。
──そして、カズ選手のデビュー25周年記念試合のカードとして東郷選手はカズ選手と近藤選手と組んで、武藤&ウルティモ&サスケ組と対戦することになりましたけど、どのような印象を受けられましたか?
東郷 凄いカードですよね。ウルティモさんやサスケさんとは何度も試合をさせてもらったことがあるんですけど、僕は武藤さんと試合するのは初めてなんですよ。凄い光栄だなと思って。
──これはカズ選手も東郷選手と武藤選手が交わったことがないのでおもしろそうだと思って、この組み合わせにしたそうです。
東郷 そうなんですね。武藤さんとは本当にないんで、おもしろそうですよね。ただ、相手の3人はずっと時代を築いてきた人たちだし、今でもレジェンドとして君臨しているんで、どう闘ったらいいのかなと(笑)。普段若い子とやっている闘いと全然変わってくるし、自然体で闘えばいいと思うんですけど、楽しみ半分、尻込み半分って感じですね。どうしたらいいのかなという戸惑いも若干ありますね。
──東郷選手もレジェンド的な立場だし、普段は若い選手たちが挑んでくるという感じじゃないですか?
東郷 僕のさらに上ですからね(笑)。特に武藤さんなんて子供の頃に見ていた人だし、海外に行くとその偉大さはわかりますよね。みんな武藤さんのことを言いますし、本当に天才だなあと思いますよ。
──でも、この豪華メンバーの中で存在感を見せたいという気持ちもあると思うんですけど。
東郷 そうですね。存在感を出さないとダメですね。ただ、試合はまったく想像がつかないですね。だから、下手に考えるよりも行き当たりばったりで会場の雰囲気とかを掴んでやりたいですね。6人タッグだし、常に目の前に武藤さんがいるとは限らないし、相手によって自分の経験を巧く使って変えていこうかなと思ってます。まあ、ちょっと楽しみたいですね。
──見るほうはもっと楽しみですよ。あと、近藤選手と組むのも珍しいと思うんですけど。
東郷 エルドラドの時に組んだりしていたんですよね、近藤くんとは。まあ、カズとは昔の連携もあるし、組むほうも楽しみですね。
──わかりました。では、最後にカズ選手に25周年のメッセージをいただければと思うんですけど。
東郷 25周年おめでとうございます。やっぱり今は立場上、責任とかいろいろあると思うんだけども、今までのように研究して、もっともっとおもしろいプロレスを続けていってほしいなと思います。見ていたらコンディションも良さそうだし、あと10年、20年やれそうだと思うんでね。まあがんばってください(笑)。
大会概要・対戦カード
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