■『2017英雄伝説アジアチャンピオンシップトーナメント総決戦&英雄伝説10週年記念祭典』
日時:2017年12月31日(日)
場所:中国遼寧省瀋陽市
会場:遼寧体育館
特別ゲスト:佐藤嘉洋
協力:CFP
■全試合結果
オープニングファイト
1. ○59kg級 ワン・シン(中国) VS ●ガオ・ボー(中国)判定3−0
2. 68kg級 ジュー・ジーチェン(中国) VS シャオ・ハイチェン(中国)1R1分4秒両者バッティングでの負傷によりノーコンテスト
第1部 アジアチャンピオンシップT総決戦
3. ● 60kg級 ホイ・フェイ(中国)VS ○Ryuki(日本/RKS顕修塾)0−3判定
4. ●64kg級 ヤオ・ハンドン(中国) VS ○ツイ・ジェンホイ (中国)0−3判定
5. ○68kg級 チャオ・ズーヤン(中国) VS ●ヤン・フェイファン(中国)3−0判定
6. ●72kg級 フー・ウェンドン(中国) VS ○シュー・ハイチャオ (中国)0−3判定
第2部 スーパーファイト
7. ●68kg級 ルー・イーチェン(中国) VS ○チンチャイ・プーケットトップチーム(タイ)0−2判定
8. ○80kg級 ジョー・ゴンイー(中国) VS ●フィリップ・エンゲロフ(ドイツ)3−0判定
9. ○65kg級 ハン・ジエ(中国) VS ●マリオ・トドロフ (ブルガリア)1R1分44秒TKO
10.○64kg級 リュウ・ウェイ(中国) VS ●川崎真一朗(日本/月心会ラスカルジム)2R2分50秒KO
11.○75kg級 シュー・イェン(中国) ●VS 廣虎(日本/ワイルドシーサー沖縄)3−0判定
第3部 英雄伝説−62.5kg級世界チャンピオン決定戦
12. ●62.5kg級 カン・エン(中国) VS ○ルートシラー・プーケットトップチーム (タイ)延長R9−0判定
■試合レポート(執筆:佐藤嘉洋)
第3試合 ホイ・フェイvsRyuki
2016年には島野浩太朗にも勝利している大阪の成長株Ryukiが英雄伝説大晦日興行第1試合目に登場。
得意のハイキックを駆使してアウェイでの勝利なるか。
サウスポーのRyuki。オーソドックスのウェイの構図。
1ラウンド序盤、互いにミドルで牽制し合う展開も、中盤から距離も近くなり、互いの技が交錯し始める。
中でもRyukiの膝が際立つ。
2ラウンドに入るとRyukiのジャブが非常に有効的で、2発、3発と小気味よく当てて主導権を握っていく。
フェイの表情には焦りが。
Ryukiの左ストレートから左ハイキックは、KOを狙える危ないタイミングで放たれる。
更に左ストレートでダウン気味のスリップも奪うが、これはダウンカウントされず。
フェイも時折パンチを返すが、このラウンドは完全にRyukiペース。
最終ラウンドに入ると、フェイも勝負を賭けて勇気を持って前に出る。
しかしそれをうまくいなして、Ryukiはカウンターのパンチからミドルやハイに繋げ、多彩な技を繰り出す。
フェイも最後まで前に出続ける気持ちがあったが、結果はRyukiの完勝。英雄伝説2017年-60kg級アジア王者に輝いた!
第10試合 リュウ・ウェイvs川崎真一朗
昨今、実力をメキメキつけてきて来日の待たれる英雄伝説の新鋭リュウに、昨年サラリーマンを退職し、キック一本に人生を懸けた川崎が挑む。
1ラウンド。リュウは左ストレート、左膝とサウスポーならではの技を中心に攻撃。川崎に対して有効打を当てる。しかし川崎も負けじといいパンチを返した。
2ラウンドに入ると、リュウが更にプレッシャーを強めて前に出る。
川崎は下がらされる場面もあるが、時折前に出てパンチを振るう。
しかし、リュウの膝で、川崎のボディが効いたか、腹に意識が行ったところに左ストレートをまともに食らって強烈なダウン!
ダメージも深く試合続行不可能かに思われたが、川崎は勝負に出てパンチを繰り出す。
だが、リュウも一枚上手で更に膝と右フックでダウンを重ね、リュウのKO勝利となった。
負けはしたものの、川崎の気持ちの見えるファイトに、川崎の健闘を称える関係者も多かった。
第11試合 シュー・イェンvs廣虎
「シュー・イェンとやれるなら」と、引退を先延ばしにし、この試合を最後にしようと決めた廣虎が、中国の英雄シュー・イェンとの対決に挑む。
この試合は75kg契約。3年前にシュー・イェンvs佐藤嘉洋が行われたときは72kgだったが、体重増加はシューの動きにどのような影響を与えたのか。
1ラウンド開始早々、廣虎はシューのハードパンチを殺すために距離を詰める。シューはやや面食らった様子だ。
プレッシャーでは廣虎がやや勝っている。
ラウンド終盤、シューがノーガードで挑発して両者のパンチが交錯する場面も。
2ラウンドに入ると、廣虎のプレッシャーをいなしたり、はねのけたりしながらシューがパンチからローの華麗なコンビネーションを放つ。
廣虎は右ストレートを返し、クリーンヒットさせる。
しかしシューのローが思いのほか切れ味を持っていて、廣虎の太ももにダメージを与えて優位に立つ。
最終ラウンドでは、シューが持ち前の強烈なパンチで廣虎を攻め込む。
廣虎も負けずに打ち返すが、クリーンヒットの数は明白で、打ち合いの中、終盤にはついにシューのパンチで廣虎がダウン!
シューが75kgという自身では未知の階級で判定勝利を収めた。
第12試合 カン・エンvsルートシラー
ローマ字ではリードシラーと読めたので、最初は誰かわからなかったが、煽り映像を観たら一発でわかった。
かつて超絶フィームーとして名を馳せたルートシラーだった。
まさか中国で、この最高クラスのムエタイテクニックが見れるとは。
カン・エンには少々荷が重すぎるような気もするが、その勇気には拍手を送りたい。
試合全体を通して、ほとんど一発も当てさせずに試合を終え、延長ラウンドで判定勝利したルートシラーだが、
ところどころでは素晴らしいテクニックを見せつけた。
前蹴りを打って、そのまま相手の腹に足を置いておくなんて芸当は、相当なバランス感覚がないと土台無理な話である。
ミドルのキレ、タイミングも、今大会に出ていた誰よりも抜群に秀でていた。
相手をおちょくるような戦い方は個人的には好きではないのだが、何しろ中国のトップファイター、カン・エンを相手にしても技術レベルが違い過ぎた。
上手すぎた。また、カン・エンは少々無策だったようにも見えた。
自分より上手い相手に、同じように見て戦っていては勝つ確率は限りなく低くなってしまう。
最後まで試合はコンタクトせずに終わってしまった。
今大会は英雄伝説10周年記念大会で、2007年から続く総決算的なイベントとなった。
途中には趣向を凝らした演出や懐かしい映像を映し出し、イベント創設当時のファンや関係者は感慨深いものがあったのではないだろうか。
英雄伝説自体も、回を追うごとにスポーツイベントとして成熟している。今ではあからさまなホームタウンデシジョンもほとんどなく、タイムキーパーに日本人を採用したりと、公平な運営となっている。
私自身は2014年に英雄伝説の世界タイトルをシュー・イェンと争い、紆余曲折はあったものの王座を獲得することができた。
それから引退式を行なってもらったり、日本代表のキャプテンとして帯同させてもらったり、今回は同イベントから功労賞までいただいてしまった。
引退してからも中国での仕事が多く続くのは、英雄伝説に出場して中国国内での知名度が高まったからに他ならない。
そのキッカケとなったのは、CFPの岩熊氏の尽力によるところが大きい。
「シュー・イェンvs佐藤嘉洋を組むことが私の夢だった」と2014年の参戦時に熱く語ってもらったことを昨日のことのように感じる。
昨今の中国格闘技界の発展は目覚しいものがある。
毎月、いや、毎週のように日本人選手が中国のリングで戦っているのは、CFPが日本と中国の架け橋になっているからだ。
海外遠征というのは、選手としても当然だが、人間としても大きく成長できる良い機会である。
厳しい環境での試合も多いが、CFPは選手やセコンドに対して最大限の配慮をして試合を組んでくれる。
今後も私はCFPの活動に全面的な協力をしていきたい。
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