トランプ、北のロケットマン、Ghost In the shell~鷹の爪2017番外編[ファイトクラブ]マクマホンWWE株高値売却

[週刊ファイト12月28日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼トランプ、北のロケットマン、Ghost In the shell~鷹の爪2017番外編~マクマホンWWE株高値売却
 タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・ヒール賞トランプ 流行語大賞フェイク・メディア 北のロケットマン脅威
・NETFLIX影響の『メイ・ヤング・クラシック』配信:草薙素子少佐に映画賞
・鷹の爪Hardrock/Heavy Metal大賞:5年ぶり再結成Doll$ Boxx最強
・ベビーフェイス賞セクハラ告発!日本一のマジシャンYouTuberポンチ
・ビンス・マクマホンWWE株高値売却で原資確保!フットボール新事業


 週刊ファイト!ミルホンネットが他の年間大賞に対抗して価値観の転覆を問う鷹の爪大賞、例年締め切り守れない記者が必ず出てくることもあり、2017年度は筆者が最初にプロレス格闘技編を先行発表してから4週に跨ぐリレー連載になってしまった。巌流島プロデューサー谷川貞治が毎年好評の笑える「世間とプロレスした人物」を遅れて選出したことを受けて、グローバル視点、全体像といったキーワードを頻繁に使う本誌としては、最後に総括編を兼ねた社会情勢や個人の趣味の観点から本年の世相を斬ってみたい。
 一見関係なさそうなロック音楽や映画の話題にも踏み込むが、プロレスは社会を写す鏡なのだから、裏読みをするのは読者の感性に委ねることになる。

▼[ファイトクラブ]過小評価とは何か? 反トランプのアカデミー賞とマット界

[ファイトクラブ]過小評価とは何か? 反トランプのアカデミー賞とマット界

 現地時間12月15日、マンハッタンのハマースタイン・ボールルームで『ROH FINAL BATTLE 2017』が開催され、飯伏幸太戦を前にCodyがROH世界ヘビー級王座から陥落した。新王者となったのは孔雀のダルトン・キャッスルである。本誌はいつも余りに早すぎるため、読者の理解が追い付かないとお叱りを受けるが、定期購読者向けには何度も活字が残っている通り、ずっとプッシュしてきたカリスマを備えた逸材選手だ。新日本プロレスのリングでは田口ジャパン監督のもとで、タナー棚橋までもが下僕をやっていたが、ついにチャンピオンになったのかと感慨深い。

 年間総括は、要するに2018年の期待する選手を記事に残す作業でもある。ダルトン・キャッスルには注意して欲しいのだ。本誌ではすでに、散々誉めてきているのだが、毎度タイムラグがあるから、ようやく周囲が追いついてきたのかも知れない。

ヒール賞トランプ 流行語大賞フェイク・メディア 北のロケットマン脅威

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 本稿を出すことにした直接の発端は、トランプ米大統領の最側近だったスティーブン・バノン元首席戦略官が来日して、「NHKもフェイク・メディア」と名指し批判したことに触発されたからだ。これに関しては、まったくその通りだと賛同せざるを得ない。筆者のように合計17年アメリカで生活した、ある種のバイ・カルチャーになってしまっている少数派にとって、日本のテレビや新聞の報道だけ目にしていたら、どんでもない偏った考えになってしまうのではないかとの危惧が強くある。

 長年暮らしたマンハッタンでは、自分の交友関係は当然、反トランプ同盟であることもあり、例えばNBCの長寿番組『Saturday Night LIVE』のスキットで、俳優アレック・ボールドウィンのトランプ役のパロディが毎回最高で、いつもコキ下されているとの情報が瞬時に伝わる。残念ながら日本では、今週の音楽ゲストは大物の●●だったとかのみが伝えられ、お笑いが主の番組なので言葉の問題もあり日本では放送もされてないが、ネット時代なので見ようと思えばリアルタイム視聴は可能である。
 ニューヨーク時間的には、CNNの『ビジネスニュース』のあとに、『クロスファイアー』という政治討論番組があり、アレック・ボールドウィンは論客として参加していたくらいなので、もとから政治にやたら詳しい俳優なのだ。そんな彼がトランプを演じるのだから、どれだけ皮肉たっぷりに狂気のヒールを体現してくれているかであって、ニューヨーカーは留飲を下げているという構図になる。しかし我が国では、トランプは安倍首相とお友達のイイ人みたいに報道されているから、東海岸のテレビでの描かれ方と余りにも違う。
 @realDonaldTrump公式Twitterでは、平然と#FraudNewsCNN #FNNのハッシュタグをつけて、フェイク・メディア攻撃を止めていない。NFL批判から誰も居ない国歌吹奏もアチコチで起きた。世界で最も影響力のある大統領のSNSが、堂々と報道機関批判以下をやっているリアルを、果たして我が国のお茶の間はどれだけ知っているのだろうか。日本だと失言で即刻「クビ」になっていると思うが、シュートとワークの境界線を、これほど巧妙に利用したプロレスラー出身の大統領が、主要閣僚の更迭が相次いで早期自滅の観測もあったのに、無事に1年目を終えようとしていることこそ、2017年最大のニュースなのではなかろうか。

 谷川貞治は「MVP最優秀選手賞 貴乃花親方」を選んでいたけれど、日馬富士の暴力事件に端を発する大相撲ネタは、どうにも関心が持てない。どちらかといえば、たまたま東京在住の海外メディアの日本特派員に恐らく視点が近いから、(格闘技も手掛ける)フジテレビはやっぱりオカシイんじゃないか、異常な時間、相撲協会がどうのに費やして、本来報道すべき重要な世界のニュースがごっそり抜けてしまっていると、違和感しかないのだ。
 よって、鷹の爪大賞リレー連載part4総括編としては、グローバル・スタンダードに則るなら、プロレス格闘技以外のヒール大賞=トランプ、流行語大賞=フェイク・メディアと、極めて順当で選ぶのがまっとうじゃないのか、と考えてしまう。バノン米元首席戦略官が「NHKもフェイク・メディア」とやったので、思わず万歳したのは果たして自分だけなのか、と・・・。

 そのトランプが、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだら、頭の中でエルトン・ジョンの曲が鳴り出してしまうロック世代なんだが、これは筆者だけではなかったようで、たちまちYouTubeにエルトンの曲を使ったパロディ動画が投稿されていたのも2017年の世相を象徴していた。
 もっとも筆者の予想が外れた項目としては、北朝鮮は一線を超えてしまい、年内に崩壊すると踏んでいて、株は売り時だとアドバイスしていたのがハズレた。但し、最近毎週書いているWWEの株が高値で売り推奨なのは、ディズニーがFOX買収したニュースと合わせて変更予定はない。

NETFLIX影響の『メイ・ヤング・クラシック』配信:草薙素子少佐に映画賞

 フェイク・ニュースからの連想になるが、2016年の鷹の爪映画大賞は森達也監督のドキュメンタリー『FAKE』であり、プロレスとは何か?論に深くかかわる内容だけに、本誌で2017年に何度記事に繰り返し出てきたことか、というのも書き残す必要を感じた。

 では2017年はと問われれば、残念ながら評論家受けはよくなかった、大ヒットにはならなかった『Ghost In The Shell』が、個人としてはどうしてもイチバン印象が深い。アニメSF映画の金字塔『攻殻機動隊』をハリウッドで実写映画化した作品だが、北米ではちゃんと中身を見ずに、ホワイトウォシュ(アジア人俳優に演じさせず、白人主役にした)の非難にさらされ、日本ではビートたけしが浮いているとの文句が残念だった。
 Motoko Kusanagi(草薙素子)少佐役がスカーレット・ヨハンソンというのが大喜びだったし、エンディングへの持って行き方にヒロインのアイデンティティを巡る仕掛けがあった。この手があったのかという納得は大きい。『WWEレッスルマニア』とか『新日レッスルキングダム』などの大箱興行、どっちが勝つかとかのケツは事前にわかっている。でも、いざ聖なるLIVE空間で生身の激闘をこなすも、予想通りの試合をやっただけで、つまらなく感じるカードもあれば、驚きの発想と展開で、こりゃ凄いと評価する試合も出てくる。
 記憶とは何か? 百回の嘘が繰り返されることでもう真実になっていて、脳に事実として刷り込まれたりすることは、プロレス論やこのジャンルの報道の課題とリンクしてくるテーマになる。「プロレスを考えるゆえに、我あり」だから、映画『Ghost In The Shell』は2017年に本誌でもっとも多く、アチコチのプロレス論に絡めて取り上げた以上、鷹の爪映画大賞とせざるを得ない。
 ちなみにWOWOWで1月に放送するようだから、プロレス者でまだ見てないなら録画予約を忘れずに。

 2017年ロードショー公開作品としては、映画『メッセージ』(原題Arrival、別名ばかうけ)が、映画館に何度も足を運ばせたから、それだけ考えさせられたということになる。もっとも、フレンチ・カナディアン、同じドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『ブレードランナー 2049』は、バティスタ(俳優としてはデイヴ・バウティスタ表記)も出演してるんだけど、見事にコケたなぁ(笑)。

▼[ファイトクラブ]鷹の爪大賞2017~新日一強~メイマク興行爆発Knock Out~ターザン山本

[ファイトクラブ]鷹の爪大賞2017~新日一強~メイマク興行爆発Knock Out~ターザン山本

 プロレス格闘技編の冒頭で、WWEネットワーク、新日ワールド、DAZN、AbemaTVなどネット配信を抜きに2017年のマット界は語れないと記したが、映画好きにとってはNETFLIXが必携ということになる。
 特に、独自のドキュメンタリー番組に秀作が多く、意識的なプロレスファンには是非見てもらいたいのが『ジム&アンディ THE GREAT BEYOND』だ。コメディアン、アンディ・カウフマンの生涯を、ジム・キャリーがなりきり熱演した1999年の傑作映画『Man On The Moon』舞台裏を、制作段階からは20年になろうかという今になって、当時未公開のままだった撮影現場の秘蔵フィルムを交えながら、主演のジム・キャリーが語りまくるという趣向の野心作である。
 筆者の場合、最初にマンハッタンに住み始めた時期の『Saturday Night Live』、アンディが「女とだけやるプロレス」というスキットで物議を醸していたから、リアルタイムでコメディアンを見てきたこともあり、フレッド・ブラッシー主演の本人が撮ったB級映画以下、関連DVDはすべて全部持っている。ジェリー・ローラーとの抗争でも、リアルとフェイクの境界線が内部者にもわからなくなるという、プロレス者には研究対象としても最適だった。それを今度は、ジム・キャリーが1999年の映画化に際して、シュートとワークが判然としなくなるのだから堪らない。

 写真家ミック・ロックの自叙伝ドキュメンタリー『SHOT!』もまた、同時代を生きたロック者には必見内容だけでなく、被写体ミュージシャン/アーティストたちと仕事の区別がつかなくなり、一緒にコカインやってしまう実録の歴史を見せてしまう。NETFLIXの世界での加入者数がすさまじいおかげで、こうした一般商業作品としては制作不可能であろう題材のものが、次々と資金がついて一本になり公開されていったのも2017年に特に感じた世相の筆頭になる。
 NETFLIXの影響はWWEネットワークにも顕著であり、カイリ・セインこと宝城カイリが優勝した『メイ・ヤング・クラッシック』は、4話ずつの配信だったのが記憶に新しい。NETFLIXの得意技はいわゆる海外ドラマのシリーズ一気見だ。その元祖である、デビット・リンチ監督の『ツインピークス』、25年後の続編は、昔のよしみでWOWOWで全部見たけど、はっきり言って失敗作に終わっている。今の時代にテンポが遅すぎて、『ブレイキング・バッド』や『ブラックリスト』の早い展開でないと、お茶の間はそっぽを向いてしまった。

鷹の爪Hardrock/Heavy Metal大賞:5年ぶり再結成Doll$ Boxx最強

 話題作は見てないでは済まされない、大賞だのを語る資格を問われるとばかり、一年遅れで『君の名は。』とかもWOWOWで見たけれど、映画趣味だとほとんどイコール洋画となるのに対して、同じくロック音楽はずっと洋楽偏重だったのを変えてくれたのが「BABYMETAL現象」ということになる。フー・ファイターズのデイブ・グロールが「誰だってBABYMETALは知っている」と地上波出演の際に話したのが、メタル界の2017年流行語大賞だった。
 本年のBABYMETALは、LIVEのBlu-ray/DVD発売を除けば新作を出したわけではないので対象外とさせていただくが、日本の文化は音楽に限らずなんであれ、なかなか世界には進出できないという殻を破った点でも、快進撃が続いた一年だった。SU-METALは広島で20歳になった聖誕祭を祝ったが、”ゆいちゃんまじゆいちゃん”YUI-METALが欠場というハプニングも、” 菊地プロ”と信頼されているMOA-METALのがんばりで乗り切った。もっとも、そのインテリMOA-METALが慶応大学に受かったため、来春からの活動がどうなるのかという不穏なオフレコ情報もある。
 ハードロック/ヘビィメタル大賞には、日本の誇る最強のガールズバンド、Doll’$ Boxxが5年ぶりに再結成されて、『high $pec』発売にこぎつけたことを評価したい。


♪Take My Chance

 Gacharic Spinの楽器隊と、一般向けに紹介される場合はアニソン・シンガーという肩書になるFUKIが合体したバンドであり、YouTubeのコメント欄で一目瞭然なように、海外でより圧倒的に支持されている。そもそも日本はガールズバンドが最強という歴史と伝統があるのに、国内での認知度が低いままなのは何とかしたい。
 WWE/PRIDE/UFCを語り出したら止まらないオスカー・ドロニャック率いるスウェーデンの鋼鉄神ハマーフォールが、デビュー作『Glory To The Brave』から20周年を迎えた2017年だったが、ホワイトスネイクが北米でもブレイクした『1987』からは30周年となり、豪華BOXセットが発売されたのも感慨深い。RATTロビン・クロスビーの元彼女タウニー・キテインが、デイヴィッド・カヴァデールと車でじゃれあうMTVが毎日しつこく流されたヘアメタル全盛期の郷愁は不滅だ。

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