[ファイトクラブ]過小評価とは何か? 反トランプのアカデミー賞とマット界

[週刊マット界舞台裏3月9日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼過小評価とは何か? 反トランプのアカデミー賞とマット界
 by タダシ☆タナカ
・ケニー・オメガ新日復帰と2009年1・12高島平九丁目プロレス惨劇
・本当にプロレスを支えているショーマン派が過小評価されている
・タイガーマスクWの視聴率不振とプロレス復興が実現してない理由
・トランプ語録「フェイク媒体」とプロレス専門誌~見極め判断力を磨け!

 第89回アカデミー賞授賞式は、トリの作品賞が間違って読まれるという混乱と、反トランプ大統領を鮮明にした印象が長く語られるのであろうか。すでにゴールデン・グローブ賞の受賞式で反トランプを鮮明にしたメリル・ストリープが、司会のジミー・キンメルから(トランプ発言の)「過大評価」だと散々からかわれる展開が前半戦だったが、これはもちろん、元プロレスラーの肩書もあると記してなんらおかしくないトランプ自身に跳ね返る。投票場にわざわざ向かったいわゆるミドル・アメリカの過激な支持者たちに、過剰評価されたためにハリウッドが不幸に見舞われているという警鐘である。メリルはMMAを「ARTではない」と、ゴールデン・グローブ賞にて卑下した件で本誌は叩いているので、過大評価についてはトランプと同罪になってしまったが、それにしてもプロレスで学んだアングル手法でマジに合衆国大統領に昇りつめてしまったトランプが、媒体をフェイクだとこき下ろすパラドックスは、本誌3月2日号で斬り込んだばかりだ。

▼プロレスはフェイクか?佐村河内守ゴーストライター騒動とメディア虚像
[週刊ファイト3月2日号]新春マット界百花繚乱と総括~【easypay電子書籍】移行記念

[週刊ファイト3月2日号]新春マット界百花繚乱と総括~【easypay電子書籍】移行記念

ケニー・オメガ新日復帰と2009年1・12高島平九丁目プロレス惨劇

 1・4東京ドームで年間最高試合をやってのけたばかりのケニー・オメガが、2月26日、新日本プロレスに復帰した。新日とか、日本の話をしているのではない。世界のうるさ型のマニアが、現在No.1だと絶賛しているケニー・オメガを、今、評価しないでどうするのかという考察に繋げなければいけない。ちょうど本誌、電子書籍ジャーナル移行の第一弾として、『別冊110アーカイヴ厳選集10 2009A(1月8日号~4月2日号)』が好評発売中だ。読み返してみて、あらためて圧巻だったのが”路上王”ケニー・オメガと、ドブ板戦士・ドラゴンソルジャーLAW(DSL)の死闘を、26ページを費やして一部始終をグラフ再現した「1・12高島平九丁目プロレス惨劇ルポ・完全版」である。本誌での”ド変態”オメガ絶賛は8年前から活字に残されていた。「折れる心、折れない体」TシャツのDSLしかりである。両雄を讃えない限り死闘の評価はない。

▼高島平団地に、掃き溜めどインディー伝説が生まれた!「高島平九丁目プロレス惨劇ルポ・完全版」

簡単便利easypay電子書籍移行!別冊110アーカイヴ厳選集10 2009A(1月8日号~4月2日号)第一弾1080円p534

 さらに『HONOR RISING』シリーズ、69%の実力を発揮し始めたタグチ・ジャパンの監督・田口隆祐は、ROHから来襲したダルトン・キャッスルの孔雀衣装と仮面でお客さんを惹きつけだした。昔のようになんでも出来た職人時代から、どんどんそぎ落とされてケツを使ったお笑いを軸に試合を組み立てるようになり、ようやく過小評価されていた選手にスポットライトが当たる。これもプロレスの面白いところ、底なし沼の醍醐味に違いない。
 デビュー3年目のドラゴン・リーは、過大評価でも過小評価でもない。最初から高橋ヒロムらと闘ってきたからメキシコ人選手なのにキックも使えれば、日本流の攻防が出来る。身体能力がずば抜けていることは誰もがわかっている。しかし、飯伏幸太以上になんでもできる○○○○が、スターになったかというとそうではない。「がばいじいちゃん」のキャラに変身してから、お客さんが試合に感情移入するようになった。プロレスは難しい。

本当にプロレスを支えているショーマン派が過小評価されている

 反トランプのアカデミー賞受賞式を見ていて、プロレス、あるいはプロレスラーにおける過小評価を考えてみた。検索してみると、「日本においては真剣勝負っぽく、ガチでも強いというギミックのレスラーが過剰評価され、本当にプロレスを支えているショーマン派が過小評価されている」と、2015年に“アメリカン・ドリーム”ダスティ・ローデスさんが亡くなった際の本誌の紹介文がヒットして、ぎょっとした。まず、日本に関してはファン成熟度の問題がある。数年で卒業してしまうファンばかりに頼る構造的欠陥の指摘を、繰り返せざるを得ない。
 3月2日号でちらっと触れただけになってしまったイワン・コロフさんの訃報にせよ、北米の専門誌がもの凄く詳しくやっているのをあとから知って、反省せざるを得ない。有料レスリング・オブザーバー紙では、敵役だったブルーノ・サンマルチノが、延々とコロフの素晴らしさを語っている。いかにケーフェィがアホらしいことか。そりゃ当然、リング上で抗争していた相手こそ、真の友情で結ばれていたのは自明であった。

 イワン・コロフは、カナダ・オンタリオ州出身。髪を剃り上げてコサック帽とブーツを身につけたロシア人ギミックで、「ロシアの怪豪」「ロシアの雷帝」に変身してからブレイクした。オモテの媒体には「1971年1月18日、マディソン・スクエア・ガーデンにてブルーノ・サンマルチノを破り、第3代のWWWF世界ヘビー級チャンピオンとなる」とあるが、もちろん裏は、サンマルチノが約8年間に渡るニューヨークの帝王から、そろそろ王座を譲りたいからとイワンを指名した経緯がある。トランプがプロレスを経験していなかったら、合衆国大統領などという人生の選択はなかった。これは間違いないことなのだ。

 トップ画像は2月25日、TSUTATA O-EASTを超満員札止めにしたガールズバンドDoll$Boxxのアンコール、ベースでリーダーのKOGAが、ボーカルのFukiにKISSする仕草を捉えた1枚だ。それだけうまくいった熱狂のコンサートだったゆえの絵になるが、このバンドは、ビデオに天龍源一郎やグレート・カブキを使うなど、プロレスネタを度々使うデビュー7周年のGacharic Spinと、ハイトーンが歌えるメタル界の至宝Fukiの合体プロジェクトだ。2014年に1枚アルバムを発表したまま幻の存在であったが、本年夏頃には待望の2作目を出す予定。しょせん、渋谷の修斗も使った会場を札止めにしただけとの冷ややかな受け止めもあろうが、2年半前にライブをしたきりのバンドの復活祭には、北欧他、世界中から密航者が多く参列した事実だけでなく、日本の誇るガールズバンドの最高峰であり、BABYMETALに続き世界を取れる逸材だと確信する。

 但し、ガールズバンドへの偏見や誤解、食わず嫌いもあって過小評価されている筆頭格でもある。昭和プロレスの根強い人気を引き合いに出すまでもなく、ロック界もまた、20年、30年たってから名盤レコードの全曲再現gigという公演が流行している。この日、Doll$Boxx は2014年のデビュー作を曲順通りに演奏したが、今、絶賛しないでどうするのかと問いたい。

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。