パンクラスより以下のリリースが発表された。
試合出場選手に於ける提出書類の改変について
平成29年12月吉日
パンクラス公認リングドクター
齊藤 直人
前略
予てより、パンクラスでは格闘家が試合へ臨みやすい体制、規定について模索し更改を続けてまいりました。このたび、格闘技界の感染症に対する意識の向上※1、国の政策による改訂※2などの側面に際し、今後、当興行団体では、試合に出場する格闘家の質の向上と、各方面(主には格闘家)の負担の軽減を目指し、格闘家のプロ意識の底上げとなる様、下記の通り改変を試みる事を通知いたします。
【試合出場選手の試合前提出書類/現行】
・健康診断書:必須 ・頭部CT/MRI検査診断書:必須
・眼科に関する診断書:必須 ・妊娠検査結果:女性は必須
・B型肝炎、C型肝炎、HIVに関する血液検査結果:必須
【試合出場選手の試合前提出書類/改変後】
・健康診断書:必須 ・頭部CT/MRI検査診断書:必須
・眼科に関する診断書:必須
・妊娠検査結果及び検査実施免除希望者は誓約書:女性はどちらか選択可能で必須
・B型肝炎に関する血液検査結果及び検査実施免除希望者は誓約書:どちらか選択可能で必須
上記の改変に至った背景を以下に示します。
◆格闘技界の感染症に対する意識の向上※1
プロ格闘技では競技の特性から、身体接触や出血も伴うスポーツであり、感染症を持っている選手は試合に出れないという決まりがある。選手は、競技規則を遵守し、自分自身と対戦相手の選手の安全に留意することが特に重要とされ、実質プロとして格闘技を行うには、感染症がない、もしくは完治が証明されているということが必要となる。選手は各個人が可能な限り定期的に検査を受け、問題があれば早期に治療することを心掛けることが格闘家としてのマナーである。それらを踏まえ多くの興行団体が、血液検査結果の提出を義務化し、現に当興行団体でも遂行して来た所である。感染症防止に対する認識は格闘技界では特に必然とされ、選手個人が覚悟をして臨んでいるものである為、各選手の自己責任の認識を高め、興行団体が検査実施を強制するのではなく、自己管理を前提とすることで格闘技界全体の質の底上げにつながると考える。
◆経済的側面
経済的に厳しいという選手が多い中で、試合前検査では実際に都度、数万円程度の費用が掛かっており、選手個人もしくは、医療機関、検査機関、興行団体などが好意で負担をするという限界を内包した体制が現状である。少しでも金銭的な負担軽減を考慮する策として、興行団体が選手に対し、血液検査の受検を強いることはせず、やはり選手各個人の自己管理、自己責任の認識を高め、プロ格闘家としての意識向上を前提とし尊重することに始まるのではないかと考える。
◆国の政策による改訂①※2
HBVの感染力は高く、HCVの10倍,HIVの100倍とも推定されているが、国の肝炎対策の動向により、B型肝炎に関して一般献血者のデータでは、全年齢でのHBキャリア率は約0.63%、50歳代で約1.5%、20歳代では0.52%と激減し、今や世界でも一番 HBV感染の少ない国となった。
C型肝炎ウイルスは約20年前に確認され、母子感染や性行為による感染はほとんどなく、献血の検査体制整備や注射針の使い捨てなどで、現在は国内の新たな感染は極めて少ないため、感染は40歳以上が中心であるとし、平成14年度から厚生労働省では「C型肝炎等緊急総合対策」、平成20年度からは、B型及びC型肝炎の治療等に対する医療費助成を開始、またHB感染の予防策として、平成27年より小児に対するB型肝炎ワクチンの定期接種を開始するなど肝炎総合対策を実施している。また、平成23年5月には肝炎ウイルス検査の基本的なガイドラインが発表され、すべての国民が少なくとも1回は検査を受けるべきであり、全国規模の検査体制と国民へ検査をはたらきかける仕組みの確立が必要であると示している。このように、肝炎ウイルス検査体制の強化、治療水準の向上、感染防止の徹底、普及啓発・相談事業等の施策が国を挙げて講じられている。
◆国の政策による改訂②
平成27年、個人情報保護法が改正され、不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する個人情報については新たに「要配慮個人情報」と定義された。同法の関係法令等によれば、病歴、身体障害、健康診断結果、診療録等は要配慮個人情報に該当するとみなされ、その取得や第三者提供においては「あらかじめ本人の同意を得ること」が原則とされ、一般の個人情報では認められている第三者提供の特例が禁止された。
個人情報保護法に関するガイドライン(平成28年11月30日公表)による要配慮個人情報とは、
・病歴・健康診断等の結果・健康診断等の結果に基づく指導、診療、調剤 である。
(厚生労働省HPより一部抜粋)
これらの国の施策を踏まえ、血液検査受検の強制、検査結果に触れる詳細の公表は慎重を喫するべきでありまた、選手個人が肝炎ウイルスの受検を行う背景を興行団体ではなく、自治体や職域へとスライドすることが妥当であると考える。
180度転換するようにも感じられる改変ではありますが、撤廃や制約を緩めることではなく、
格闘技という競技である以上、すべての選手を守る義務は変わらず、大会を運営していく興行団体として、事案に沿った措置は講じる必要があります。
【接触性スポーツ】禁止基準
1)非接触性スポーツの禁止項目に該当する場合。
2)HBs抗原陽性の場合は、必ずHBV・DNA値を測定し、HBV・DNA陽性の場合は禁止し、専門機関にて治療を行う。(注1)HBV・DNA陽性血液は、きわめて感染性が強いため。
3)HCV抗体陽性の場合は、HCV・RNA値を測定する。(注2)HCV・RNA陽性血液は、感染性はHBV・DNA陽性血液に比べ著しく弱いことから、接触性スポーツ参加に際しては現場での出血に対する処置を十分に行うこと。(日本臨床スポーツ医学会学術委員会内部会より一部抜粋)
格闘技選手は、練習を重ねることで体力が落ち、免疫力も低下します。興行を行うにあたり関係者それぞれ立場は違っても、正しい知識を持ちそれぞれが安全性の意識を高め予防策を実行し、感染リスクを遠ざける努力が、選手のパフォーマンス向上、また安心して臨める大会開催につながるものと考えます。
関係者各位には上記の背景をご理解いただき、ご協力いただければ幸甚であります。
以上
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