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現地時間11月4日(土)、ニューヨーク市内にあるマディソン・スクエア・ガーデンにて『UFC 217』が開催された。
2016年11月に初めてニューヨークでイベントを開催した聖地MSGを再び訪れた新生UFCは、今回タイトルマッチ3試合を組み、キャンペーンも派手にやって2017年最大級のイベントを主催した。王座戦の1試合目は女子ストロー級王座をかけて無敗の女王ヨアンナ・イェンドジェイチェク(ポーランド 14勝0敗)に、譜面を読んでのショパン曲のピアノの腕前をTwitterで披露していた氷の女王ローズ・ナマユナス(アメリカ 7勝3敗)が挑む。序盤から激しい打ち合いの展開となる中、ナマユナスがイェンドジェイチェクからダウンを奪い、一度はスタンディングの状態に戻ったものの、勢いをつけるナマユナスの左ストレートが決まり、ダウンを喫したイェンドジェイチェクがパウンドを数発食らった後にタップアウト。ノックアウト勝利を飾った頭髪を剃り上げたナマユナスが新王者に輝いた。
ポーランド系住民が少なくないマンハッタン客の声援を受けたイェンドジェイチェクを王座から引きずり下ろし、初めて土をつけたのはナマユナスだった。試合後、「まだ実感がわかない。3ラウンド目にフィニッシュすることをイメージしていたんだけど、でも、1ラウンド目の方がいいに決まっているわ! 今回の試合に向けては本当にたくさんのことがあった。いろんな意味で、ヨアンナはチャンピオンのあり方を示してくれたと思っているけど、チャンピオンとしてどういうことをしちゃいけないかも見せてくれた。今日で彼女の私に対する意見が変わってくれるといいんだけど。彼女のことはとても尊敬しているし、オクタゴンに入った人なら誰だってそうだと思う。今はとにかくうれしい。家に帰るのが待ち遠しいわ。庭でゆっくり過ごしながら、この気分を味わうつもり」と語っている。
なお、 父を統合失調症で亡くし、メンタル面の弱さを王者ヨアンナに攻撃されていたローズ・ナマユナスだが、集中力を発揮した時は強かった。ちなみに祖父がプロレスラーだという。これでUFC日本大会の激闘を制したジェシカ・アンドラージとの対戦がクローズアップされてこよう。
セミメインイベントではコーディ・ガーブラント(アメリカ 11勝0敗)がバンタム級チャンピオンとして初の防衛戦に挑み、かつてアルファメールのチームメイトだったT.J.ディラショー(アメリカ 15勝3敗)と因縁の対決に臨んだ。ディラショーがリラックスした様子を見せる一方、やや硬い表情のガーブラントは足を使って揺さぶりをかけ、第1ラウンド終了間際には右フックでディラショーをダウンさせたものの、抵抗されるうちに時間いっぱいとなって次のラウンドに移る。優位に立ったガーブラントが少し余裕を見せ始めたところ、ディラショーのヘッドキックをまともに食らって膝から崩れてしまい、すぐに体勢を立て直してリズムを作ったが、今度はディラショーの右フックがガーブラントのアゴを直撃し、パウンドの末にフィニッシュを決めたディラショーがノックアウトでバンタム級のベルト奪還を果たした。
「俺に“And New(新王者)”とは言えないし、自分としては一度もベルトを失ったつもりはないから“And Still(防衛)”だな。取り戻せて最高だし、今回の試合はものすごく楽しかった。あいつの拳に力があることは分かっていたし、試合中もやられたけど、俺が勝つのも分かっていた。もうすぐ子供が生まれるんだ。ベルトも取り戻した。生まれたらブロンソン(男の子)にベルトを巻かせる。チャンピオンの誕生だ!」と話したディラショーは「デメトリアス・ジョンソン、やろうぜ!」と、王座に復活した直後ながらフライ級王者に挑戦状をたたきつけている。
注目のメインイベントは4年ぶりにオクタゴンに復帰した“GSP”ことジョルジュ・サン・ピエール(カナダ 25勝2敗)が、階級を上げてミドル級王者マイケル・ビスピン(イギリス 31勝7敗)に挑戦するタイトルマッチが用意された。ビスピンも試合は1年ぶりだ。『ツインピークス The Return』のチョイ役はともかく、映画『トリプルX 再起動』では、悪役組からチームに寝返ったので続編への出演も決まっている。毎度の話術で今回もカードを盛り上げてきたが、戸外活動が主になりつつあったことは否めない。
開始直後から積極的に攻撃を仕掛けていったサン・ピエールはタックルからテイクダウンの流れを作りながら、要所でジャブをヒットさせる展開に持ち込んだものの、第2ラウンド終盤あたりから疲れを見せ始める。それでも果敢に攻めたサン・ピエールは第3ラウンドで早々にテイクダウンを成功させてマウントポジションを取るも、足を絡めて攻撃を防ぐビスピンの打撃を顔面に受けて流血し、両者が立ち上がった際には体力の消耗が激しく徐々にビスピンに詰められていく。しかしながら、相手の攻撃を退けた直後の左フックでビスピンをダウンさせ、猛烈なパウンドで追い詰めたサン・ピエールが背後に回りながら脇に一発を入れてリアネイキドチョークを決め締め落とした。一本勝ちでミドル級の新王者の称号を手に入れている。
ウェルター級に続いて2階級目のチャンピオンベルトを手に入れたサン・ピエールは試合を終えてコメントした。
「夢がかなった。言葉がないよ。確かに、ここは自分の階級ではない。今回の試合は自分自身の挑戦と思って受けたし、もう一度、チャンピオンになれたことを誇りに思う。トラップを仕掛ける、それをやったんだ。マイケル・ビスピンのことは尊敬している。かなりひどくやられてしまったから、それを隠さないといけなかった。この階級では自分は小さすぎると思ったこともあったけれど、今は筋力もつけたし、やっていけると思っている。みんな、ありがとう。本当に名誉なことだ」
『UFC 217』は11月11日(土)22時から『FOXスポーツ&エンターテイメント』にて録画放送される予定だ。DAZNでは見逃し配信中だ。
次回のUFCイベントは日本時間11月12日(日)に開催される『UFCファイトナイト・ノーフォーク』になる。メインイベントではフェザー級ランキング8位につけるダスティン・ポワリエがアンソニー・ペティスと対戦することになっている。
■ UFC 217 Bisping vs St.Pierre
日時:2017年11月4日(現地時間・放送日)
場所:アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン
<ミドル級王座タイトルマッチ/5分5R>
〇ジョルジュ・サンピエール(カナダ/挑戦者)
3R 4分20秒 リアネイキドチョーク
●マイケル・ビスピン(英国/王者)
<バンタム級王座タイトルマッチ/5分5R>
〇TJ・ディラショー(米国/挑戦者)
2R 2分41秒 KO
●コディ・ガーブラント(米国/王者)
<女子ストロー級王座タイトルマッチ/5分5R>
〇ローズ・ナマユナス(米国/挑戦者)
1R 3分3秒 TKO
●ヨアンナ・イェンドジェイチェク(ポーランド/王者)
<ウェルター級/5分3R>
〇スティーブン・トンプソン(米国)
判定 3-0
●ホルヘ・マスヴィダル(米国)
<ミドル級/5分3R>
〇パウロ・コスタ(ブラジル)
2R 1分23秒 TKO
●ジョニー・ヘンドリックス(米国)
プレ見むカード
<ライト級/5分3R>
〇ジェイムス・ヴィック(米国)
2R 4分59秒 TKO
●ジョー・ダフィー(アイルランド)
<ヘビー級/5分3R>
〇マーク・ゴッドビアー(英国)
2R 4分29秒 反則
●ウォルト・ハリス(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
〇オヴィンス・サン・プルー(米国)
3R 1分25秒 KO
●コーリー・アンダーソン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
〇ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
判定 3-0
●ミッキー・ガウ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
〇カーティス・ブレイズ(米国)
2R 1分56秒 TKO/ドクターストップ
●アレクセイ・オレイニク(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
〇ヒカルド・ハモス(ブラジル)
3R 1分58秒 KO
●エイマン・ザハビ(カナダ)
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