新日本プロレス『G1 CLIMAX 27』8・2福岡大会は、鹿児島から移動日無しの強行軍で開催、満員マークこそつかなかったが、キャパ3500に対して平日に3100人を集める大盛況。
試合の方は、前日、エルガンのフィニッシュに2カウントで肩をあげる失態を犯した北村はどこか元気なく第1試合に登場。試合は無難に終えたので、鹿児島での「やらかし」はうっかり、もしくはエルガンのパワーボムが効いたためか、いずれにせよ腹にイチモツあっての行動ではなかったようだ。
また、第3試合で登場、いつものファイトに終始したYOSHI-HASHIと違って今シリーズ暴れているのがタイチ。
この日も福岡の観客のほとんどには意味不明であろうイベントのチラシを掲げて入場すると、試合後はBUSHIのマスクに手をかける自己中ファイト。さらにリーグ戦にも介入して天山ともやり合い鈴木みのるの勝利をアシスト。お馴染み「タイチは帰れ」コールを何度も引き出して爪痕を遺した。
結局、Bブロックに関していえば、日程が発表された時点で誰もが「8・12両国のオカダ-ケニー戦が代表決定戦」と思ってしまうわけだし実際その通りに動いている。
この日の満員に足りなかった316人の原因もそこの辺りの消化試合感に求めることも可能で、だからこそ、レスラーには興行の煽りの役目が期待される。
鈴木みのると小島聡が、みんな忘れている6年も前の小島軍壊滅の遺恨を埃をぬぐって引っ張り出してきたのも、タマ・トンガの「スノウメイカー」も、その一環ではあるが、実際試合となってみるとなかなか厳しい内容だったことは否めない。
もっともタマにしてみれば「万が一オカダが怪我したら誰が責任を取るんだ?」という事になるだろうし、「7年もクソな日本にいる」事で生じた中間管理職的悲哀だと弁護してやる必要もあろう。
あるいは穿った見方としては、オカダに良い試合をさせてもバレットクラブとしてのメリットはないともいえる。
そういう意味では矢野のまさかの反則勝ち劇の方がエンタメとしては正解。
矢野に限らず反則行為が日常茶飯事のリングでいまさら金的一発で反則裁定というのもナンセンスだが、そこをいつものオーバーアクションとマイケル・エルガンの真面目な表情で笑いに昇華するのが矢野通ワールド。
そんな感じで淡々と進んだこの日の試合ではあったが、メーンのEVIL-ケニーオメガ戦がその弛緩した空気を一変させる試合となった。
序盤に場外戦でマットを剥がしたEVILが、逆に体育館の床にボディスラムで叩き付けられて俄然ヒートアップ。ケニーは追撃してさらに鉄柵越しに本部席の机に放り投げ、必要以上とも思える腰への攻撃。反撃しようと取り出した椅子ごとEVILをVトリガーで吹っ飛ばす。
さらに立てた椅子へのDDTを狙ったところをブレーンバスターに切り返したEVILが、ケニーの首に下げた椅子をフルスイング。しかし場外にダウンしたEVILに机を乗せたケニーは天板を踏み抜く衝撃のダイビングフットスタンプ。
机を展開し、喜色満面でエプロンからのタイガースープレックスを狙ったところを堪えたEVILが、ダイビングEVILを決めると机を完全破壊し、残骸の中で両者ダウン。EVILの目の上が内出血で膨らみそこから血が滲む壮絶な光景で場内をどよめかせる。
一進一退の攻防はVトリガーの連発から片翼の天使の必殺コースでケニーが振り切ったが、直後のリング上でEVILの口にレフェリーが水を含ませる珍しい光景が激闘を物語った。
エルガンとオカダの試合が正当派ストロングスタイルの名勝負とすれば、これはケニー・オメガならではのハードコア、邪の名勝負で、甲乙付けがたいベストバウト候補。
ケニー・オメガがその潜在能力を見出した眼力のおかげともいえるが、L.I.Jでは内藤の影に隠れがちなEVILにとってもベストバウトであろう。
こうなると、ここのところの内藤の冷遇も、SANADA、EVILの底上げでのL.I.Jの勢力拡大を狙ったものとの見方もできる。
今年は既になくなったが、来年のG1決勝でのL.I.J対決もあり得ると思わせるド迫力ファイトであった。
次戦は移動日を挟んで四国愛媛大会となる。
■ ローソンチケット Presents G1 CLIMAX 27
日時:8月2日(水) 17:30開場 18:30開始
会場:福岡・福岡市民体育館
観衆:3184人
<第1試合 20分1本勝負>
海野翔太 〇岡倫之
5分33秒 逆エビ固め
●成田蓮 北村克哉
<第2試合 20分1本勝負>
●川人拓来 永田裕志
7分49秒 雪崩式ダブルアームスープレックス⇒体固め
〇タイガーマスク 飯伏幸太
<第3試合 20分1本勝負>
〇YOSHI-HASHI 石井智宏 後藤洋央紀
7分44秒 バタフライロック※ギブアップ
●チェーズ・オーエンズ 高橋裕二郎 バッドラック・ファレ
<第4試合 20分1本勝負>
エル・デスペラード 〇タイチ ザック・セイバーJr.
6分10秒 タイチ式外道クラッチ
高橋ヒロム ●BUSHI 内藤哲也
<第5試合 20分1本勝負>
獣神サンダー・ライガー〇棚橋弘至
6分36秒 ハイフライフロー⇒片エビ固め
デビット・フィンレー 真壁刀義
<第6試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Bブロック公式戦>
(1勝5敗=2点)
●ジュース・ロビンソン
13分48秒 ラウンディングボディプレス⇒体固め
〇SANADA
(4勝2敗=8点)
<第7試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Bブロック公式戦>
(2勝4敗=4点)
●マイケル・エルガン
2分58秒 反則(矢野の偽装)
〇矢野通
(2勝4敗=4点)
<第8試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Bブロック公式戦>
(0勝6敗=0点)
小島聡
10分13秒 ゴッチ式パイルドライバー⇒体固め
鈴木みのる
(4勝2敗=8点)
<第9試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Bブロック公式戦>
(6勝0敗=12点)
オカダ・カズチカ
11分22秒 レインメーカー⇒片エビ固め
タマ・トンガ
(2勝4敗=4点)
<第10試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Bブロック公式戦>
(5勝1敗=10点)
ケニー・オメガ
23分33秒 片翼の天使⇒体固め
“キング・オブ・ダークネス”EVIL
(4勝2敗=8点)
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