“愛”と“哀しみ”☆どうしょうもなく卑怯で卑劣だった悪役が、死ぬ間際になって、実は「愛ゆえに」非道な道を歩み、死に際で優しさを取り戻して死んでいく。【三部作・完結編】兄弟は他人のはじまりという。『北斗の拳』の兄弟ゲンカは、北斗神拳という無形遺産の遺産相続争いであり、ユリアという女性を兄弟で取り合っている物語なのだ。

第四章　『北斗の拳』大ヒットの秘密
○そのテーマとケンシロウ生き様の魅力

【抜粋】
　『北斗の拳』の魅力は、情に訴えるストーリー展開と、バカバカしいほど涙腺を刺激するキザでクサいセリフ回しにあるといっていい。そのためなら、ストーリーなどどうでもいいのだ。その場その場で、いかに感情に訴えるキザなセリフをいうか、それにすべてがかかっているといっていい。
　ここで誤解をおそれずにいわせていただくと、『北斗の拳』を楽しめる人間は後先を考えず、その場その場のシーンを楽しめる人間か、矛盾を知りつつ深読みを楽しめる人間であろう。これと共通するのが「プロレス」である。プロレスファンもその場その場のエンタテイメントを楽しめる人間か、プロレスの試合以外のストーリーも読んで楽しむ人に分けられる。
　いまの格闘技界はリアルファイトが全盛であるが、一方でプロレスファンも相変わらず多くいる。それはプロレスにリアルファイトにはない夢と浪漫とファンタジーがあるからだ。『北斗の拳』もまた、夢と浪漫とファンタジー特盛りなのである。

○『北斗の拳』の女たちに悪女は存在しない。それはなぜか？
【抜粋】
　リンもまたパットに愛され、カイオウに迫られる。後半で天帝の双子の妹という“実は”特別な血統であることになっているが、姉妹とも心は美しく描かれている。
　他にもマミヤは女戦士でありながら優しさを失わない女性であったし、ラオウを想っていたという海のリハクの娘トウは、ラオウの前で自害して果てている。レイの妹アイリはか弱い女性であり、金色のファルコの妻は、旅立つ夫をけなげに待つ女性であった。ジャッカルの一味に村を襲われるバットのいた村のトヨというおばあさんも子ども思いのいいおばあさんであった。

○『北斗の拳』の女性たちは女神である

第五章　バーチャル・ファイト
もしケンシロウが他のヒーローと闘ったら？

○ケンシロウVSゴジラ

【抜粋】
　ケンシロウは南斗聖拳の聖帝サウザ―と闘ったときに、同じ人間であるにも関わらず、サウザーの体が普通の人と左右逆になっているというだけで、正確なひこう秘孔がわからず苦戦を強いられる事実がある。
　そのことを考えると、ケンシロウが秘孔の不明な怪獣王ゴジラに勝てる見込みはほとんどない。ケンシロウに勝ち目があるとすれば、ゴジラの秘孔を徹底的に研究し、なおかつ“一寸法師作戦”しかないと、筆者は考える。
　一寸法師作戦とは、一寸法師が大鬼と対決したとき、鬼の口から体内に侵入し、体内から攻撃して大鬼を退治した作戦だ。ただし、ゴジラと大鬼ではスケールが違いすぎる。例え体内に侵入し北斗神拳の奥義をつくしたとしても、どれだけのダメージを与えられるかは不明である。
　また、一寸法師のような口から侵入するというのは、放射能を噴くゴジラに対しては、あまりにも危険である。鼻からの侵入も同じく危険であることを考えれば、目、耳、尿道、肛門といったところから侵入を試みるしかあるまい。
　事実、アマゾンには人間の尿道や肛門から侵入し、人体を食い破り死に至らしめる魚がいるし、アニサキスのような寄生虫は、食べ物と一緒に体内に入り胃腸を食うものもいることから、この作戦はケンシロウであるならば不可能ではないと思われる。ただしゴジラはあまりに巨大であり、生命力の強い生物であるから、即死というわけにいくまい。
　また、例えそういった所から侵入が成功し、体内からゴジラへ致命的ダメージを与える事ができたとしても、放射能を体内に蓄積しているゴジラからの放射能汚染をまぬがれることはできないであろう。いかに北斗神拳を身につけていようと、放射能によって死病に苦しめられた兄トキの例もあるのだ。

○ケンシロウVSエヴァンゲリオン
○ケンシロウVS機動戦士ガンダム
○ケンシロウVS孫悟空（ドラゴンボール）
○ケンシロウVS仮面ライダー
○ケンシロウVSスーパーマン
○ケンシロウVSゲゲゲの鬼太郎

第六章 『北斗の拳』『蒼天の拳』名言集

北斗の拳研究序説part1 北斗神剣とはなにか?
北斗の拳研究序説part2 キャラ研究室〜なぜ人の心を掴むのか