先週の本欄でもお伝えした「アマチュアプロレス団体・JWA関西の活動停止」が多くのマニアの間で話題を呼んでいる。当サイト以外にも、プロレス・格闘技系ブログなどでも取り上げられているのを目にした読者も多いのではないだろうか。
プロとアマチュアに厳然たる壁が存在した頃…昭和から平成初期にかけては、各プロレス雑誌で記事として掲載されることはもちろん無かったJWA関西だが、読者のページでのメンバー募集などでその名前をしばしば目にしたものだ。
いつからだったか、インディーの末端では、本来ならアマチュアや学生、社会人の団体として活動していたはずの団体でさえ、当たり前のようにマスコミに掲載される時代となり、良くも悪くも、プロレス界においては「プロとアマの境界線」は消滅してしまったのである。
そんな中、あくまで自分たちはアマチュアである、という立場を最後まで守り抜いたのがJWA関西だった。
JWA関西は自分たちがアマチュアを貫くことにより、あの頃憧れた”本物”のプロレスラーたちや、プロレスが本当にプロレスらしかった時代へのリスペクトを表現していたように思えてならない。
JWA関西では、創設者の
「アマチュアのJWAでこんなに凄いなら、プロはもっと凄いはず…そう思ってもらえるような活動を続けることで、我々なりにプロレス界へ貢献していきたい」
という考えが選手やスタッフに強く浸透していたようで、団体を”卒業”した選手がプロへ進むことはあっても、基本的に”プロ団体”との交流は行わず、言わば鎖国を守っていた。
一方で、スタッフの中には
「団体としてアマチュアにこだわり続けたことが、各選手が闘う舞台を広げていく可能性を摘んでいたとしたら、今の時代にその選択で良かったのかどうか」(松井元事務局長談)
という反省もあるそうで、選手への深い思いも感じられた。
時代が移り、プロレス団体や格闘技道場・ジムなどの受け皿が無限に広がる中、入門志願者の数も激減していたJWA関西では、創立30周年の今秋、活動停止を決定する。
10月26日の創立30周年記念大会(ファイナル大会)には、多くの観客はもちろん、巣立っていったOBやかつて同じ汗を流した”プロ団体”までもが一同に会し、大きな盛り上がりのうちに団体は終幕を迎えた。
ファイナル大会を前に、大きな宣伝を控えたのも、JWA関西らしさが見え隠れしていた…と言えば失礼か。
アマチュアとは言え、30年もの歴史を刻んだ男子団体が、こうしてファイナル大会を開催して終幕した例は、日本マット界では初めての出来事。いや、世界広しといえども例はないと言ってもいいだろう。
“アマチュア”のスタンスを最後まで崩さず、必要以上の自己主張をしなかったゆえに、表舞台で脚光を浴びることなく、知名度も認知度も決して高くなかったJWA関西。アマチュアを名乗ったがために、専門誌紙に取り上げられることもなく、ある意味では不幸な経緯をたどったことになるが、JWA関西が存在しなければ、現在のような多団体時代が実現したであろうか。
こうして振り返ると、その歴史はまさに「もうひとつのプロレス史」と言っても過言ではない。しかも、知られざる裏面史でありながらも、実際にマット界に与えた影響は絶大であり、それでいてこれまで文献や資料が広く出回ることもなかった嫌いがあった。
ファイナル大会全試合終了後、所属選手がマットに集結しての挨拶で団体が終幕する場面
JWA関西30周年記念大会~魔術の終焉
ミルホンネットでは今回、歴史と伝統を誇るJWA関西機関誌「ブルーマットFINAL」のダウンロード販売が実現。この「ブルーマットFINAL」は、1979年(昭和54年)に創刊され、29年にわたって一部の熱狂的な読者を得ていたJWA関西機関誌「ブルーマット」の最終特別号である。
ファイナル大会でもパンフレット扱いで販売され、実に200部以上の実売数を記録した一冊を、全21ページまるごと電子書籍化した。
30年史ダイジェストや、20周年以後の歩み、OBやファンからのメッセージetc、盛りだくさんの内容は、JWA関西の歩みを長く追っていたファンにはもちろん、今初めてJWA関西を知った方や、プロレス史に関心のあるマニアにもお勧めの完全保存版です。
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