パンクラス藤原大地が辛勝後に突然の引退宣言!

 安田隆夫社長率いるドン・キホーテ、木下工務店、株式会社コモンウェルス・エンターテインメント(CWE)の3社が一億円ずつ出資するWorld Victory Roadの子会社となり、15周年以降も存続の決まったパンクラス。
 ミルホンネットがいちはやく身売り情報を伝えて以来、5月27日付で㈱ワールドパンクラスクリエイトから、新会社㈱パンクラスに事業が譲渡され、その上で戦極とは兄弟会社になったことを意味する。
 この情報が米国経由で公になって以来、初となるパンクラス大会が大阪のアゼリア大正ホールで満員の観客を前に開催された。
08.9.7pan3.jpg メインイベントには8月27日の後楽園ホール大会で、P’sLAB横浜の川原誠也から、「次は大阪の藤原大地さんとタイトルマッチやらせてください」と名指しされたばかりの藤原大地が登場。普段は交友関係にあるというコブラ会の”変態王子”ことパンチィー山内が必死の減量の末に挑んだが、レスリングで圧倒して終始アグレッシブに攻めた藤原が判定勝利をものにした。
 
 ただし、マイクを握った藤原は「今日の試合が僕の最後の試合になります」と、観客のみならず関係者をも驚かすラーメン屋への転職宣言を述べ始めたのだった。
 「自分でもまだまだいけると思いますし、まだ24歳やし30までやればある程度のところまでいけると思います。でも僕にはもう一つの夢があるんです。僕はどうしてもラーメン屋をやりたいんです」
 「京都に大好きなラーメン屋があるんですけど、そこにアポなしで弟子入りを申し込んだら『人は足りているけど、その心意気が気に入った』と言ってもらえまして、10月1日から弟子入りすることになりました。来月からその店で弟子として頑張ります。そしていずれは大阪で日本一、世界一、宇宙一旨いラーメン屋を出すのが夢なんです」
 「僕と武重(賢司)さんは引退しますけど、まだ(前田)吉朗さんもいますし、稲垣さんがいれば稲垣組は安泰なんで、今後も稲垣組の応援よろしくお願いします」
 こうしてバンタム級ランキング一位の逸材が、リングから去ってしまったのであった。
 大阪P’sLABのファンにはおなじみ、大国町・角田整骨院格の宣伝の入ったパンツでリングに登場、そしてもみくちゃにされ感動のフィナーレ胴上げ、さらに試合後まで、藤原は終始ニコニコ、さわやかな笑顔。格闘技の1つの星が本日をもって別れを告げた。藤原のリングでの最後の祝福時には、セコンドにいた者で涙したものもいた。 (写真:藤原のヒザ十字は極まったかに見えたが、レスリングでは圧倒した)
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 控え室で藤原は「川原誠也とやりたかったんですし、この試合をクリアしたらタイトル戦という話もあったんですけど、チャンピオンになって引退しますじゃ通用せんでしょう。なら今のうちにと思って決めました。川原が今泉選手と試合した日に、京都のラーメン屋に話をしに行きました」
 「悔い? いつ辞めても絶対に悔いは残りますからね。格闘技人生はケガだらけでしたね。骨折個所が20を超えましたから」
 「思い出の試合はみっちー(対砂辺光久)戦ですね。試合しながら、お互いのことが分かり合えたというか。(米国WECセコンド同行でこの日不在だった)稲垣さんには『よく正直に言ってくれた』と言われましたけど、(前田)吉朗さんにはまだ言ってません。言うと試合に集中できなくなると思ったんで。だから(新社長の)坂本(靖)さんにも、吉朗さんが飛行機に乗ってから言いました。最後に『ごめんなさい』と言って、どつかれたいと思います(笑)。みなさん、ありがとうございました。これからも稲垣組を、よろしくお願いします」
 ちなみに、前田出陣のWEC大会は、ハリケーンのため延期となっている。これもまた運命なのか!
 
★メインイベント バンタム級戦/5 分2 ラウンド★
○藤原 大地 (パンクラス稲垣組)
2R 判定 3-0
●パンチィー山内(総合格闘技道場コブラ会)
★セミファイナル ウェルター級戦/5 分2 ラウンド★
○花澤 大介13(総合格闘技道場コブラ会)
1R 3:52 肩固め
●レアンドロ・クサノ (グレイシー・ウマイタ/初参戦)
★第六試合 ウェルター級戦/5 分2 ラウンド★
△ストラッサー起一(総合格闘技道場コブラ会&フリースタイルアカデミー)
1R 2:10 ※偶然のバッティングによりノーコンテスト
△吉岡 宏高 (藤田柔術/初参戦)
★第五試合 フェザー級戦/5 分2 ラウンド★
△武重 賢司(パンクラス稲垣組)
2R 判定 ドロー
△手塚 基伸 (総合格闘技道場コブラ会)
★第四試合 ウェルター級戦/5 分2 ラウンド★
○枝折 優士(和術慧舟會 TEAM VAMOS)
2R 判定 2-0
●宝来 弘富 (KOコンバット/初参戦)
★第三試合 バンタム級戦/5 分2 ラウンド★
●長谷川 孝司(パンクラス稲垣組)
2R 判定 0-3
○合田 隆宏(パンクラスREAL)
★第ニ試合 フライ級戦/5 分2 ラウンド★
○平安 孝行(フリー)
1R 3:44 ギブアップ
●龍野 真一郎 (和術慧舟會 兵庫支部/本戦初出場)
★第一試合 フェザー級戦/5 分2 ラウンド★
●松井 英夫(空手道禅道会 長野県支部/初参戦)
2R 2:21 TKO ※レフリーストップ
○原井 徹(毛利道場/初参戦