パンクラス身売りへ 離脱者続出で格闘技ブームに乗れず

 1993年9月21日、東京ベイNKホールで旗揚げした格闘技団体パンクラスが身売り先を探していることが判明した。
 仲介者を通じて買収を持ちかけられた人物によると、パンクラス側は東京・横浜の2つの道場の経営権込みで売却したい意向。当然、負債もセットとなっているはずなので、買収額は億円単位になる。
 またその一方で、自主興行から売り興行に切り替えることで黒字転換を図りたい意向も持っているようだが、今のところ興行の買い手も現れていないもよう。
 パンクラスにはツキもなかった。旗揚げ後、年以上にわたって両国国技館、大阪府立などの大会場で頻繁にビッグマッチを開催したものの、当時は空前のプロレスバブル。PRIDEの出現によって格闘技ブームが到来した2000年代初めにはすでに興行体力をすり減らしており、ブームに乗りきれなかった。
 数多くの人材を輩出しながら離脱者が相次いだこともその要因。昨年には高橋義生のフリー宣言やGRABAKAの独立もあり、ますます窮地に陥っていた。
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15年目の新春挨拶風景 ismの新道場長は大石幸史
 いまや知名度の高い選手は近藤有己のみ。昨年暮れのディファ有明大会には超大物ジョシュ・バーネットを招へいしたものの相手が無名に近い選手の佐藤光留とあって爆発的な興行人気にはつながらなかった。
 その佐藤も3月10日付で、鈴木みのるや冨宅飛駈が所属する「パンクラスMission」に転属に。プロレスのリングにも戦場を求めることとなった。
 
 とはいえ、3月15日、横浜道場で新人入門テストを行い1人を採用しているパンクラス。8月までの興行日程も決まっていて、”いますぐ活動休止”という緊急事態ではない。旧新日本に㈱ユークスが現れたように、救世主が現れればパンクラスも団体存続はもちろん一気に巻き返すことも考えられる。
パンクラス今後の興行日程
   4月27日 ディファ有明(東京)
   5月25日 アゼリア大正ホール(大阪)
   6月 1日 後楽園ホール(東京)
   6月 8日 大森ゴールドジムサウス(東京)
   8月27日 後楽園ホール(東京 ネオブラッド・トーナメント決勝戦)