パンクラス大阪大会、最初の衝撃は稲垣組の長男格として知られてきた武重賢司の引退宣言から。
このフェザー級の第五試合は、総合格闘技道場コブラ会の手塚基伸が対戦相手。最初にタックルからのテイクダウンを奪ったのは手塚。しかし、武重もテイクダウンを奪い返し、一進一退の攻防が続く。
2Rは、武重のテイクダウンから。もっとも手塚も右フックの勢いのまま武重を倒し、パウンドを打ち込む場面もあったが、武重はのがれて逆にヒザ十字を仕掛けるなど甲乙つけがたし。判定もドローとなった。
マイクを握った武重は「体力の限界」を理由に引退宣言。そのとき胸に去来したものは何であったのだろうか?
武重のセコンド冨宅飛駈は純プロレスラーとして、大阪プロレス、そしてFU☆CK!プロモーションのレギュラーであり、特にFU☆CK!王者としての、はじけっぷりはマニアには喝采をもって迎えられている。
9月14日(日)娯楽格闘技を提唱する石倉正徳先生率いる石倉道場設立10周年記念&雪崩式コラボプロレスイベント『雪崩式石道』(18時・デルフィンアリーナ道頓堀)にも参戦する。対戦相手の田中祐樹は関西のプロレス興行ではおなじみの石倉道場期待のホープである。これはユニークな興行となるだろう。シュート興行と表現方法が違えど、こちらも必見である。
稲垣組の主力二人の引退に、稲垣親分は米国に出国した前田に同行して不在とあって、久し振りにパンクラスの功労者・冨宅がリングサイドから見守るなど、今大会はプレミアム回となった。
試合後のインタビューで武重は、「引退は試合前から決めていました。今日は勝敗に関係なく引退を発表するつもりでした」と、たんたんと振り返る。
「去年くらいからちょくちょく頭の中をよぎってまして、ヒザの状態も良くなくて騙し騙し練習していたんですけど、最終的に前回の負け(5月25日、対田辺宗右戦KO)で決意が固まりました」
すると、対戦相手の手塚基伸が控え室にやってきて、引退を発表した相手に労をねぎらった。今日始めて出会ったという、素晴らしい戦いを披露した両雄。
お互いの意地とプライドを賭けて闘った者同士の、不思議な友情がそこにはあった。
他に、稲垣組ということでは第三試合に長谷川孝司が登場。沖縄のパンクラスREALからやってきた合田隆宏とバンタム級戦をしたが、勝ちたいという合田の意欲が勝敗を分け、長谷川の手は上がらなかった。2Rに試合をリードしていたのは極めようとうする意思を見せた合田であった。
写真にある第四試合は記憶に残る激闘。茶髪の宝来弘富(KOコンバット)が和術慧舟會TEAM VAMOSの枝折優士と決着するウェルター級戦だったが、リベンジに燃える枝折が試合をコントロールして見せている。
大会の主役たち。コブラ会の三島☆ド根性ノ助は8月30日に京都のClubDEEPで池本誠知とエキシビション、DEEPのフェーザー級とウェルター級王者は、ともにプロレス参戦経験があるため、大いに客席を沸かせていた。
セミファイルを閉めたのは、コブラ会の花澤大介13だ。ヒクソン・グレイシー・カップ2008アダルト・メディオ級青帯優勝という経歴を持つグレイシー・ウマイタのレアンドロ・クサノを寄せ付けず、テイクダウンしてからのパウンド攻撃で隙を作り、1R3分52秒には肩固めで仕留めた。ライト級王座戦線に名乗りを上げている。
会場に最後まで残っていたのはさわやかな笑顔の藤原だった。
引退伝染病!? 武重賢司も「体力の限界」~稲垣組よ永遠なれ
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