[ファイトクラブ]KYOKI参上SmackDownサミ・ゼイン「俺が眠れないなら、誰も眠らせない」

[週刊ファイト9月17日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼KYOKI参上SmackDownサミ・ゼイン「俺が眠れないなら、誰も眠らせない」
 (c) 2026 WWE, Inc. All Rights Reserved.
 by スープレックス豪
・パンク防衛 ナイア快勝 BAKUSAI初陣白星 シャーロット組が王者破る
・サミ・ゼイン「被害者は俺だ」9日で失った王座を取り返すための正義
・グンサー ベイラー オーエンス 王座は一つしかなく列は四人分ある
・箱の上で眠っていた男 CMパンクが地元クリーブランドで起こした
・気味が悪いと言われている選手が、実際リングの中でやっていること
・「友だちのために立ち上がるとこうなる」チェルシーを助け続けた代償
・BAKUSAIは勝った だが客席をまだ振り向かせるには至らない
・デビューから20年 ザ・ミズはいまも準メインで試合を成立させる
・金曜録画にしてまで日曜へ積む リングの外側まで作り込まれた一日
・眠れる虎と起き上がる獅子は誰だ? 9月11日メキシコシティで決まる


■ WWE SmackDown
日時:8月28日(録画収録回 現地放送9月4日)
会場:アメリカ・オハイオ州 クリーブランド ロケット・アリーナ

パンク防衛 ナイア快勝 BAKUSAI初陣白星 シャーロット組が王者破る

■ WWE SmackDown 9月4日 クリーブランド 全試合結果

<第1試合 女子タッグマッチ(ノンタイトル)>
○シャーロット・フレアー&テイタム・パクスリー
 セメタリー・ドライブ
●[女子タッグ王者]ファロン・ヘンリー&レイニー・リード

<第2試合 女子シングルマッチ>
○ナイア・ジャックス
 アナイアレイター
●ティファニー・ストラットン

<第3試合 タッグマッチ>
○BAKUSAI(中邑真輔&KYOKI)
 リバース・スタナー
●ザ・ミズ&キット・ウィルソン

<メインイベント アンディスピューテッドWWE選手権試合>
[王者]○CMパンク
 GTS
[挑戦者]●ジョニー・ガルガーノ

サミ・ゼイン「被害者は俺だ」9日で失った王座を取り返すための正義

「落ち着け。少し物事を見る目を持て」クリーブランドの会場に現れたサミ・ゼインは、いきなりグンサーを名指しした。「まるで自分が被害者みたいな口ぶりだな、グンサー」違う。「ここで被害者なのはお前じゃない。俺だ」この男が「被害者」という言葉を使うのには理由がある。ナイト・オブ・チャンピオンズでコディ・ローズとグンサーを相手にしたトリプルスレットを制し、キャリア初のアンディスピューテッドWWE王座を手にした。ところが、その王座は9日でCMパンクの腰へ移った。だからゼインは言う。「奪われたのは俺だ。いまもWWE王者であるべきなのは俺だ」

 そして、先週から続いている「正義」の話に話題は移る。先週、王座挑戦者決定戦にベルトを持ち込んで3人をなぎ倒し、「I’m justice」と叫んだゼイン。そのゼインにパンクは素手で殴りながら「This is justice, Sami」と返した。

 今週、ゼインはさらに踏み込んだ。「WWE王者は善人であるべきだ。ここに残った最後の本物の善人であるべきだ」ところが現在の王者は違う。「最大の詐欺師で、偽善者で、クズで、草むらの蛇」CMパンクをそう呼び、「俺と同じ空気を吸うべきじゃない」とまで言った。

 観客から「CMパンク」のコールが起きる。ゼインは笑わない。「お前らは妄想に取り憑かれている」それでも、要求は大きくないと言う。「世界を寄越せとは言ってない。多くを求めてない。盗まれたものを取り戻す機会が欲しいだけだ。俺のWWE王座を。それだけだ」だが、言葉とは裏腹に、ゼインが欲しがっているものは王座だけではなくなっている。

 先週、自分だけが挑戦者決定戦から締め出された。今週もそうだ。「毎週毎週、障害を飛び越えてきたのに締め出される。お前は先週トリプルスレットに入っていた。俺は入れてもらえなかった」その不公平を壊すためなら、誰が相手でもいい。「お前だろうと、フィン・ベイラーだろうと、世界一古い友人のケビン・オーエンスだろうと関係ない」

 そして最後に言った。「俺が眠れないなら、誰も眠らせない。俺が食えないなら、誰にも食わせない。俺が手にするまで、誰も手にできない」「No justice, no peace」先週の記事の最後に記した「誰も手にできない」「俺が手にできないなら、お前も手にできない」「俺が正義だ」という線が、ここで一本につながった。ゼインにとって「正義」は、もう抽象的な看板ではない。自分から奪われたベルトを取り返すための言葉になっている。ここで、ゼインの前に立った男たちを並べておきたい。

グンサー ベイラー オーエンス 王座は一つしかなく列は四人分ある

 グンサーは先週、王座挑戦者決定戦に出場した。それをゼインに潰された。だからこの日、自分から呼び出した。そして「まるで自分が被害者みたいな口ぶりだ」と返された側になった。フィン・ベイラーも同じ試合にいた。ゼインはこの日、「フィンのために正義を求めに来た」と言って襲っている。ベイラーは追いかけた。

 ケビン・オーエンスだけ、事情が違う。この男もかつて世界王座を巻き、ゴールドバーグに一瞬で失っている。そしてカナダのインディー時代から20年以上、ゼインの友人である。何度も組み、何度も裏切り合ってきた。そのオーエンスを、ゼインはこの日わざわざ名指しした。「世界一古い友人のケビン・オーエンスだろうと関係ない」オーエンスもこの日、ゼインに潰されている。実況は「先週のもう一人の被害者」と呼んだ。

 順番を潰された男。正義の名目で襲われた男。その正義を掲げる男の、一番古い友人。そして、9日で失った男。実況が試合中にこう言っていた。「フィン・ベイラー、サミ・ゼイン、ケビン・オーエンス、全員が順番を待っているように見える」王座は一つしかない。列は四人分ある。

 本誌は8月16日の回で、ひとつの絵を書いた。サミがコディに勝ち、翌週トロントでオーエンズがパンクを倒していたら、次に王座を懸けて向かい合うのはサミとオーエンズだった、と。二人は2002年にケベックで出会い、同じ高速道路を走り、同じ安宿に泊まってきた。あのときは実現しなかった。だが今週、ゼインはパンクとの王座戦を手にした。もしサミが勝てば、その先に立つのは20年来の友人かもしれない。ただこれは、あくまでも私の希望的な観測でしかない。

▼SmackDownボストン顔折られた女王チェルシー・グリーンに残る30日

[ファイトクラブ]SmackDownボストン顔折られた女王チェルシー・グリーンに残る30日

箱の上で眠っていた男 CMパンクが地元クリーブランドで起こした

 バックステージ。ジョニー・ガルガーノは箱の上で眠っていた。横には妻キャンディス・ルレイ。そこへパンクが現れた。「箱の上に寝転がるためにキャリアを戦い抜いたのか。それとも世界王者になるためか」キャンディスは「何ヶ月もやってる。無駄よ」と言う。

 パンクはガルガーノに問いかける。オハイオ州クリーブランドの湖のほとりで生まれ育った男。クリーブランドが誇る息子。「今夜CMパンクのWWE王座に挑まないか」返事はない。パンクは「考えてくれてありがとう」と言って去る。

 ところが、しばらくしてガルガーノが答えた。「やろう」会場は沸いた。地元のガルガーノが入場すると、観客は名前を合唱した。「ジョニー・レスリング」のチャントも試合前から起きている。6カ月、試合をしていない。

 実況は「眠っていた、打ちひしがれたジョニー・ガルガーノ」と表現した。「今夜は短い試合になるかもしれない」「ジョニー・ガルガーノがいま試合ができる状態のはずがない」「リングの錆は本物だ」

 ところが、試合が始まると話が変わる。パンクとガルガーノが対等に見える。ガルガーノは足元をふらつかせながら動く。それでも技を出す。パンクへのブーイングも起きた。実況は言った。「地元で、観客の前で、妻をリングサイドに置いて。ガルガーノはここで欲しがっている」
 ここで初めて、パンクがやったことの意味が見えてくる。王座戦を防衛するためだけなら、ガルガーノを選ぶ必要はなかった。クリーブランドで、6カ月試合をしていない地元の男を起こして、王座を懸ける。そして、その試合をサミ・ゼインが見ている。

 パンクはガルガーノとの王座戦をしながら、ゼインにもメッセージを送っていた。「フィン・ベイラー、サミ・ゼイン、ケビン・オーエンス、全員が順番を待っているように見える」だが、ゼインは待たなかった。

 パンクがガルガーノを担ぎ上げ、GTSの体勢に入ったところへ乱入。WWE王座のベルトでパンクの頭を殴った。

 試合は一度、盗まれかけた。しかしパンクはゼインを蹴り落とす。そしてガルガーノを担ぎ直した。GTS。3カウント。勝者、そしてアンディスピューテッドWWE王者、CMパンク。試合そのものより、その終わり方が今週のSmackDownを決定づけた。

 ゼインは王座を取り戻したい。パンクは王座を守る。その間に、地元で眠っていたガルガーノまで一度起き上がった。そしてパンクは試合後、今度はゼイン本人に王座戦を提示した。9月11日、メキシコシティ。CMパンク対サミ・ゼイン。逃げ道は消えた。

▼WWE日本侵略プロモーション始まる?SmackDownゆかりの選手続々

[ファイトクラブ]WWE日本侵略プロモーション始まる?SmackDownゆかりの選手続々

▼CMパンクがKオーエンズを返り討ちSmackDownベルトで殴られた夜

[ファイトクラブ]CMパンクがKオーエンズを返り討ちSmackDownベルトで殴られた夜

 

気味が悪いと言われている選手が、実際リングの中でやっていること

女子戦では、別の意味で「誰かのために動く」ことの代償が描かれた。シャーロット・フレアーのパートナーとしてリングに入ったのは、テイタム・パクスリー。アレクサ・ブリスから直前に伝えられた組み合わせだった。

 パクスリーは奇人として売り出されている。実況も今週、「社会的な合図を読むのが得意ではない」と言い、シャーロットとの関係について「だいたい一方通行」と表現した。先週は「変わった若い女性」「オールが両方水に入っていない」と紹介され、元NXT女子王者、元NXT北米王者、元パワーリフター、人形が友達 という情報まで並べられた。

 だが、リングに入ると話が違う。身体が柔らかい。受けこなしがうまい。試合開始早々、レイニー・リードに肩から膝へ落とされてフォールを取られてもキックアウトする。そこから場外へトップロープを飛び越えた。先週も場外からリング上の選手へ飛び蹴りも見せていた。身長が大きいわけではない。それでも届く。奇人として売られている選手が、実際のリングでは身体能力を使って試合を作っている。このズレが面白い。

 リードも印象に残った。筋肉質でグラマーな体つき。髪型にもフックがある。そして序盤、パクスリーを肩から膝へ落として攻勢に出た。海外の試合レビューでは、この技は名前で呼ばれず、「肩から」という動作の説明で処理されている。だがNXT時代の試合レポートでは「パンプハンドル・ウシゴロシ」と表記されている。

 日本のファンなら、後藤洋央紀の「牛殺し」を思い浮かべる。この技の名前をめぐっては、WWEの実況でも一時期、独特の事情があった。AJスタイルズが新日本時代に持ち帰り、WWEでシグネチャーにしていた技を、実況のマウロ・ラナロが「ウシゴロシ」と呼んでいた。しかし社内でその呼称を嫌う者がおり、実況で使われなくなった。今週のリードの技も、名前では呼ばれなかった。
 試合はパクスリーが丸め込みの応酬を制し、セメタリー・ドライブから3カウント。シャーロット&パクスリーが勝利した。しかし試合後はジェイド・カーギルとフェイタル・インフルエンス勢が場を制圧。ここでも、リングの中で誰が何をしたかとは別に、次の勢力が待っている。パクスリーには9月6日、アトランタでシャーロット、アレクサ・ブリスと組む試合が待っている。

「友だちのために立ち上がるとこうなる」チェルシーを助け続けた代償

 ティファニー・ストラットンとナイア・ジャックスのシングル戦は、もっと露骨だった。昨年、ジャックスからWWE女子王座を奪ったのがストラットン。そのストラットンが今週は敗れた。チェルシー・グリーンがリングサイドにいた。フェイスマスク姿だ。この日、医師から復帰を許可された。ただし条件はフェイスマスクの着用。

 ティファニーは最近、チェルシーを何度も助けに入っている。その行動によってUS王座をジェイシー・ジェーンに奪われた。そして今週も、チェルシーのために動いた。医師の診断が出たあと、ナイア・ジャックスとラッシュ・レジェンドはチェルシーに「そのマスクを外せ」と迫った。アルディスGMが来週メキシコシティでの王座戦を提示しても、二人は「待つのはもう終わりだ」と引かない。

 そこへティファニーが出てきた。アルディスはその場で、今夜クリーブランドでナイア対ティファニーをやると決めた。実況は「また友のために、自分を危険に晒した」と言った。ラッシュ・レジェンドがエプロンに上がって妨害。ストラットンが技を出そうとして遅れる。体勢を崩したところへナイアのサモアン・ドロップ。そのままコーナーへ引きずり込まれ、一撃。

 実況は言った。「友だちのために立ち上がるとこうなる」チェルシーのために動いたティファニーが、またコーナーで押し潰された。そして試合後、ナイアはチェルシーのマスクに手をかけた。実況が続ける。

「接着してあるわけじゃない。来週これだけ簡単に外せるなら、チェルシーは大変なことになる」そして9月11日、メキシコシティでチェルシーとナイアが対戦する。今度はチェルシー本人がリングに立つ。

BAKUSAIは勝った だが客席をまだ振り向かせるには至らない

 中邑真輔とKYOKIのBAKUSAIは、ザ・ミズ&キット・ウィルソンに勝った。実況はKYOKIを「これ以上ないほど風変わりだが、非常に達者」と評価。キット・ウィルソンがキックを思い知り、KYOKIはエネルギーを放って喜ぶ。

「何をしているのか分からないが、見ていて面白い。このリングで破壊的だ」さらに、最近のタッグ戦線にはMFTと伝説のハクがベルトを持ったことで危険度が増していると説明された。中邑にはMFTとの因縁があり、そのベルトを奪うために増援を呼んだ。ここまでは筋が通っている。

 ただ、客席の反応は薄かった。入場も、試合中も。試合そのものも、個人的には面白いとは言いにくかった。今週のBAKUSAIには、客席を振り向かせるところまで届いていなかった。

デビューから20年 ザ・ミズはいまも準メインで試合を成立させる

 それでもザ・ミズは残る。窮地に陥った場面で、実況は「ベテランの技術が絶妙のタイミングで出た」と言い、「迷ったときは、ただ叩きのめせ」と続けた。デビューから20年である。その20年の男が、いまも準メインで試合を成立させている。それが当たり前に見えることの方が、実は珍しい。最後にはRKOが出て、MFTが絡んだ。

金曜録画にしてまで日曜へ積む リングの外側まで作り込まれた一日

 この日のSmackDownは、リングだけで物語を進めてはいない。ウォー・レイダーズとダミアン・プリースト&R-トゥルースは、9月11日のメキシコシティでAAAタッグ王座を懸ける。「この茶番を終わらせる」「ルチャドールの称号もマスクも取り上げてやる」「世界中のルチャドールにとって恥だ」言葉は激しい。

 リル・ヨッティには専用映像が用意されていた。トリック・ウィリアムズ、バロン・コービンとのやり取りも、9月6日のアトランタへつながる。コービンは、トリックに対して「重りも持ってないし、ランニングマシンにも乗ってない。動かしてるのは尻だけじゃないか」と言い、さらに音楽キャリアまで攻撃。

 「日曜のメインイベントで俺がお前にやることは笑えないぞ。お前の地元で、友達と家族の目の前で」9月6日、リル・ヨッティが勝てばトリック・ウィリアムズへのUS王座挑戦権が与えられる。

そしてコディ・ローズとランディ・オートン。サマースラムでオートンが復帰し、RKOでコディのWWE王座奪取を潰した。その2人が9月6日のアトランタでメインを務める。ほかにもオバ・フェミ対ブロン・ブレイカー、女子6人タッグ。開幕ではアトランタ出身のクアヴォが未発表曲を披露する。番組は、リングの外側まで作り込まれている。

眠れる虎と起き上がる獅子は誰だ? 9月11日メキシコシティで決まる

 9月6日のアトランタを挟んで、9月11日はメキシコシティ。そこには4つのカードが並ぶ。CMパンク対サミ・ゼイン。ウォー・レイダーズ対ダミアン・プリースト&R-トゥルース。チェルシー・グリーン対ナイア・ジャックス。ペイジ対ニッキー・ベラ。

 なかでもCMパンク対サミ・ゼインは、今週のSmackDownを見れば単純な王座戦ではない。ゼインは「奪われた」と言った。パンクはそのゼインを待たせながら、クリーブランドで地元のガルガーノを起こした。

 ガルガーノは6カ月ぶりにリングへ戻り、観客の前でパンクと互角にやった。ゼインはその試合を壊した。王座ベルトでパンクを殴った。それでもパンクは勝った。そして試合後、今度はゼイン本人に王座戦を与えた。

 ゼインは先週、「俺が正義だ」と言った。今週はさらに言った。「俺が眠れないなら、誰も眠らせない」もう、誰が正しいかを説明する段階ではない。ゼインは自分から奪われたものを取り戻すために、他人の試合まで壊すところまで来た。

 パンクは王座を守るために、そのゼインへ王座戦を差し出した。その間に、クリーブランドでは6カ月眠っていたジョニー・ガルガーノが起き上がった。

 次に眠りから覚めるのは誰なのか。眠らせるのか目覚めるのか。それは9月11日、メキシコシティで決まる。