[週刊ファイト5月28日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼新宿FACE閉館発表で急浮上した”令和プロレス会場問題”
photo & text by 鈴木太郎
・アクセス、キャパシティ、見やすさ三拍子揃った専用会場有難み
・閉館情報リークしたファン出身者の失態
・「震度6強以上で倒壊の危険性」指摘された耐震問題
・同じ運営会社の新宿⇒五反田BLAZE移転事例
・新宿FACE閉館で起こる深刻な代替地問題
・セーラームーン開催で閉鎖が痛いクラブeX
・アクセス、キャパシティ、見やすさの2点を押さえるだけでも強い
・すみだ産業会館は新宿FACEの代替地となり得るか?
・都内平日興行が今後減少する可能性アリ?
・キャパシティを下げるか、上げるか
プロレス・格闘技専用会場として20年以上にわたり稼働してきた新宿FACEが、2026・9・30を以て閉館することが決定した。
同会場が入居している東京都新宿区歌舞伎町のヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町ビルの目の前には、『トー横キッズ』が社会問題として話題になったシネシティ広場があり、近くにはゴジラのモニュメントでお馴染みのTOHOシネマズや、ライブハウスや飲食店に舞台も入居する歌舞伎町タワーも並び立つなど、主要都市の中心部に位置している会場と言っても過言ではない。
2005年にオープンして以降、後楽園ホールや新木場1stRINGと共に都内のプロレス興行を支えたプロレス・格闘技専用会場の閉館は、2026年のプロレス界における重大な話題の1つになるだろう。何故ならば、都内で行われるプロレス興行や各団体の興行スケジュールに多大な影響を及ぼすことは避けられないからである。
アクセス、キャパシティ、見やすさ三拍子揃った専用会場有難み
2004年に恵比寿へと移転したライブハウス・LIQUIDROOMのフロアを改修後、2005年7月にオープンしたのが新宿FACEの始まりである。格闘技専用会場としてオープンした背景には、経済企画庁長官も務めた堺屋太一の推挙があった事は広く知られている。
新宿FACEの強みは、何と言ってもアクセス面、キャパシティ、会場内設計に優れている点だろう。JR新宿駅から徒歩5分圏内という立地や、プロレス・格闘技使用で最大511席(座席 467+立ち見 42+車椅子 2) を擁するキャパシティに加え、2方向にカウンター席が設置され、南北には雛壇席も設けられるなど、専用会場ならではの強みが発揮されている。過去にライブや舞台で使用された実績もあるが、基本的にはプロレス興行の利用がメインとなっている新宿FACEは、正にプロレス界にとって欠かせぬ存在と言っても過言ではない。
都内の主要プロレス会場である新木場1stRINGが284席(椅子席150+雛壇席134)、後楽園ホールが1,403席(立見を除く)のキャパシティを誇る中、その中間に位置する511席の新宿FACEは、メジャー団体の平日興行からインディー団体のビッグマッチ、果てはプロレスラーによる自主興行まで幅広く開催されてきた。新木場1stRINGから新宿FACE、新宿FACEから後楽園ホールを目指す流れも確立されるなど、団体規模やステップアップを量る物差しとしても機能していた。
2025年には開業20周年を記念した特別興行も開催されるなど、今後もプロレス界と切り離せない存在になると思われた新宿FACEの閉館。その噂を筆者が耳にしたのは、2026年に入ってからのことだ。プロレス関係者を経由する形で「2026年9月までしか(新宿FACEを)利用できない」、「(閉館する)2026年9月は予定が既に埋まっていて借りられない」という話題がまことしやかに囁かれるようになったのである。
その後、女子プロレス団体・マリーゴールドが、錦糸町マルイ8階の『すみだ産業会館』で初のプロレス興行開催を発表した際、マリーゴールド公式アカウントの投稿を直接引用する形で、某地方プロレスバー店主のSNSアカウントが新宿FACE閉館の話題を投稿。その噂をプロレスファンが運営するメディアによって大々的に報じられたことから、新宿FACE側が後を追う形で閉館を正式発表せざるを得なくなった。団体関係者や選手においては、会場を押さえるスケジュールの都合上、閉館の情報を知り得ていたと思われるだけに、口の堅い関係者と、口の軽いファン出身者による対比が際立つ出来事になってしまった感は否めない。
一方で、新宿FACEの閉館は時間の問題だったとの指摘もある。東京都が2018年3月に発表した『耐震診断結果』リストにおいて、新宿FACEが入居するヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町5~8Fは、安全性評価が最も低く震度6強以上で倒壊の危険性が高い「I」に設定された事も報じられている。