[ファイトクラブ]来年のWBC地上波中継なし! テレビ・プロレス衰退との関連性

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[週刊ファイト10月23日期間]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼来年のWBC地上波中継なし! テレビ・プロレス衰退との関連性
 by 安威川敏樹
・今なお際立つ、オールド・メディアと言われる地上波テレビの底力
・ジャイアント馬場は推測した! 『このままではプロレスは滅びる』
・地上波テレビのゴールデン・タイム撤退が、プロレス氷河期を生む
・日本で地上波テレビが未だに多大な影響力を持つ理由


 野球界では日米ともにポスト・シーズンに突入、クライマックス真っ只中である。しかし、そんな中で決して明るくないニュースがあったのは周知の通りだ。
 来年に開催予定のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本国内での放映権が、NETFLIX(ネトフリ)による独占契約となった。これにより来年のWBCは、地上波中継が事実上なくなったのである。

 戦後の日本のスポーツを盛り上げてきたのは野球、そしてプロレスだった。この二つのスポーツが戦後に隆盛を極めたのは、テレビの力に他ならない。戦後日本の発展はテレビ抜きにしては語れず、その象徴である二大スポーツは野球とプロレスだった。
 しかし、WBC中継が地上波テレビなしというのは、テレビ時代の終焉と言えるのかも知れない。巷で言われている通り、地上波テレビは既にオワコンなのか?

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今なお際立つ、オールド・メディアと言われる地上波テレビの底力

 WBCを観たければ、ネトフリに加入すればいい。そういう意見が多いのも確かである。なぜなら、今の時代ではカネを払って見たいものを見るのが常識、という考え方が多数を占めるからだ。そして、その考えは間違いではない。
 だが、それでも野球界は危機感を募らせている。それは何故なのか。

 答えは簡単で、一般の人が野球を観る機会が激減するからである。たしかに、野球ファンはWBCを観たいので、ほとんどの人がネトフリの会員登録をするだろう。だが、それ以外の人は?
 野球にさほど興味がないのに、面倒くさい手続きをして、カネを払ってまでWBCを観たいと思う人はほとんどいないと思われる。侍ジャパンが躍進し世間的に話題になっていて、さらにテレビを点けると無料でもWBCを観ることができるので、野球が話題になるのだ。

 よく、地上波テレビはオールド・メディアと言われる。今から20年前ぐらいにも、もう地上波テレビはダメで、有料テレビやインターネットに食われてしまうと叫ばれてきた。
 だが、あれから20年経っても未だに東京キー局の地上波テレビのチャンネル数は減っていない。まだまだ地上波テレビの影響力は計り知れないぐらい大きいのだ。

 その理由は、地上波テレビの視聴者数の分母がデカ過ぎるからである。地上波テレビの全国的な視聴者数は推定で約1億1千6百万人。つまり、視聴率1%という不人気番組でも、視聴者数は約116万人と計算されるのだ。
 前回(2023年)のWBC決勝、日本vs.アメリカの視聴率は42.4%。しかもこれは、平日の午前中だったのだから、トンデモない数字である。関東地区の視聴率なので、全国ネットで仮に視聴率40%だとしても、視聴者数は4千6百40万人。ネトフリで4千万人も契約するはずがない。

 これがもし、休日の昼間や平日の夜だったら、視聴率は少なく見積もっても60%ぐらい稼いでいたのではないか。つまり、視聴者数は約7千万人となる。
 7千万人も視ているとなると、スポンサーにとっても魅力的なコンテンツだろう。

 つまり、地上波テレビでWBCが放送されないとなると、野球ファン以外の一般人がWBCを観ることがほとんどなくなってしまう。これは野球人気の低下に繋がりかねない。仮に1千万人がネトフリに加入しても、地上波テレビの視聴率で言えば10%未満に過ぎないのだ。
 似た例で言えば、ボクシングだろう。ボクシング界では井上尚弥というスーパースターを生みながら、放映権料が高騰し、ネットでの有料中継にシフトしてしまった。これにより、ボクシング界には多額のカネがもたらされたものの、一般人がボクシングに触れる機会が激減してしまう。今後、日本ではボクシングというスポーツが忘れ去られる運命になりかねない。

ジャイアント馬場は推測した! 『このままではプロレスは滅びる』

 プロレスも、テレビと共に発展してきたスポーツである。1953年に始まった日本でのテレビの黎明期、当時はまだVTRがなかったので、生放送が基本だった。舞台中継では間が持てないので、連続性のあるスポーツ中継が重宝されたのである。
 ボクシングも定期放送していた民放局が複数あったし、大相撲中継に至ってはNHKはもちろん全ての民放が生放送していたのだ。つまり本場所中に、中入り後の相撲をやっている時間帯は、テレビを点けるとどのチャンネルでも相撲しか視られなかったのである。

 テレビの恩恵を最も受けたのがプロレスだ。テレビ放送が始まった翌年の1954年からプロレス中継が始まり、日本中にプロレス・ブームが巻き起こったのである。
 力道山が1963年に急逝してからも、ジャイアント馬場やアントニオ猪木といったスーパースターが生まれ、プロレス人気は衰えなかった。馬場や猪木が所属していた日本プロレスは日本テレビとNETテレビ(現:テレビ朝日)がゴールデン・タイムで2局定期放送、ライバルの国際プロレスもTBS(後に東京12チャンネル=現:テレビ東京)が定期放送、さらには全日本女子プロレスをフジテレビで定期放送するという、1週間で4日もプロレスを地上波テレビで視られる夢のような時代だったのである。

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