CMパンクは変わった、でも本質は変わらない(それが“成長”だ)

(C)DominicDeAngelo.

 WWE「ナイト・オブ・チャンピオンズ」で、CMパンクの存在が改めて注目を集めている。数年前にThe Mizへ向けたサウジ批判ツイートをしていたにもかかわらず、本人は現地サウジアラビアに現れ、さらには公の場で謝罪を行った。

 「正直に言えば、あのツイートはサウジアラビアに向けたものじゃなかった。起きたら気分が悪くて、ムカついたままMizに嫌味なことを書いたんだ。でも彼にも謝ったし、あなたにも、そしてサウジアラビアにも心から謝罪したい。オレは完璧じゃないし、人間だから間違いもする。でもそこから学ぶことができる。今日はあなたの国に招かれて本当に感謝している。ありがとう。」
(情報提供:Jeremy Lambert of Fightful)

 その前日には、パンクとランディ・オートンがリヤドに到着した際の映像も流れており、短い映像の中で少年ファンがパンクに近づくと、パンクは「ハイズマン・ポーズ(突き放しジェスチャー)」で距離を取る場面も映っていた。

 これは“ワーク(演出)”だったのか?一瞬、「97年のブレット・ハートを意識してるのでは?」とも思えた。アメリカを批判したように、今度はサウジでヒール役を演じている可能性も。しかし、翌日の謝罪でその仮説は消えたとも言える。4秒の映像にどれほどの文脈があるかは定かではないが、判断は難しい(ちなみにオートンも無表情だった)。

【CMパンクは“偽善者”か?それとも“共感力”の持ち主か?】

 SNS上では「パンクは偽善者だ」と非難する声が多い。しかし、それを言うならサミ・ゼインやケビン・オーエンズはどうか? 彼らもかつてはサウジ遠征を拒否していたが、今ではリングに上がっている。

 WWEという巨大企業で働くということは、ある程度の妥協が必要になる。だからといって彼らがサウジの政策を支持しているわけではない。パンクやゼインは最近、パレスチナへの連帯を表す衣装で登場し、パンクはシカゴで「No Kings」抗議にも参加している。つまり、線引きの中で立場を貫く姿勢を示している。それは偽善ではなく、成熟(グロース)だ。

【“パンク的妥協”という進化の形】

 さらに、「ナイト・オブ・チャンピオンズ」直前のSmackDownでは、ジョン・シナの“パイプボム”パロディに続き、「Dr. of Punkanomics」としてラップ調プロモを披露。かつてのパンクなら絶対にやらなかったようなコミカルなセグメントだったが、これも一種の妥協であり、プロとしての柔軟性の表れだ。

 6年前のパンクは、過度な演出を嫌っていた。しかし今は、自分に割り振られたスクリプトをも楽しみながら取り組んでいるように見える。おそらくそれ自体がセラピー的であり、「締めすぎていたネクタイを、少しだけ緩めた」ような変化だろう。

【結論】

 CMパンクは昔と変わらず“自分の声”を持っている。ただし、それは以前とは違う形で発せられている。それは裏切りでも偽善でもなく、成長という名の進化だ。

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