[ファイトクラブ]現世代焦点当てた好企画『アメトーーク』女子プロレス芸人

[週刊ファイト5月29日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼現世代焦点当てた好企画『アメトーーク』女子プロレス芸人
 photo & text by 鈴木太郎
・「女子プロレスは話題になる」と判断された地上波1時間枠
・【見た目は可愛いけれど、試合内容がスゴい】という企画軸
・1時間枠でキャッチーさが勝つのは自明の理
・【見た目はカワイイ⇒試合スゴい】を満たす選手は少数
・”令和女子プロレス象徴”上谷沙弥大ブレイクのワケは・・・
・今ウケるのは、殺伐さよりもギャップ
・素を見せる現代版ヒール
・現代女子プロレス抱える【性的目線>試合内容】ジレンマ
・性的目線が根深い女子プロレスの闇
・試合内容より物販重視の本末転倒
・若年ファン取り込みが業界の課題
・新規ファン開拓は物販ではなく、試合
・現世代に還元されない『極悪女王』
・今が女子プロレスファン拡大のチャンス


 2025・5・15、テレビ朝日系列にて放送されているバラエティ番組『アメトーーク』において、女子プロレス特集が丸々1時間を使って組まれた。

 過去にもプロレス特集が組まれたことのある同番組において、今回筆者が印象に残っているのは、徹底して現世代の選手を特集していく姿勢だった。所謂、全日本女子プロレス出身で比較的世間にも名が知られているブル中野やダンプ松本、長与千種、北斗晶といった選手の名前は出ていたものの、あくまでも取り上げるのはスターダムを中心とした現世代の選手達が対象。それは、女子プロレスが注目を集めて金を生むコンテンツだと、少なくともテレビ局側から認識されていることの証左ではないかと筆者は考えている。
 『アメトーーク』では、地上波で扱いにくいニッチな話題に関して、番組独自の有料配信サービス『アメトーークCLUB』内で限定コンテンツとして取り上げている為、女子プロレスもそこに入る可能性は十分有り得た訳だ。しかし、その有料コンテンツではなく、地上波の1時間枠で取り上げる価値があると判断された事は非常に大きいのではないだろうか?

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大手偏重人選で浮かぶ【見た目はカワイイ⇒試合スゴい】の少なさ

 今回の女子プロレス特集で特集された団体・選手を見ていくと、半分以上はスターダムで、残りは東京女子プロレス、センダイガールズプロレスリング、マリーゴールドなどの一部団体に限られた。故に「大手しか取り上げていないではないか」という不満めいた指摘も放送後にネット上からは聞こえてきたのだが、今回の1時間枠で取り上げる内容としては真っ当だったと筆者は考えている。

 その論拠となるのは、女子プロレス芸人のリーダー格として番組の話題を回していた有田哲平(くりぃむしちゅー)が冒頭で発した一言である。
 令和の女子プロレスラーを紹介していく中で、なつぽい(スターダム)や荒井優希(東京女子プロレス)などの水着グラビア写真を出した際、「アイドルっぽくやっているからと言って、試合が下手とかじゃないっすよ。めっちゃ凄いですからね。(中略)こういう方達がガチで闘っている。」と発言したのだ。その後のVTRでも「きらびやかな選手入場シーン。アイドル顔負けのビジュアル。だが見た目だけじゃない。迫力満点の技に華麗な空中殺法も。これが進化する令和の女子プロレス!」というナレーションが挿入されるなど、【見た目は可愛いけれど、試合内容がスゴい】というギャップを主軸に置いて今の女子プロレスを取り上げていたのだ。

 ただ、ビジュアル面から伝えようとする時に、【試合内容の良さ】というギャップの大きさを軸に語れそうな現世代の存在が、女子プロレスだと意外に少ない。番組内でも触れられたように、グラビアアイドルとして活動していた愛川ゆず季のプロレスデビュー前後から、女子プロレス業界にも芸能関係の人材が流入するようになり、選手のビジュアル面は昔よりも格段に向上した。ただ、若手からトップまで試合内容の凄さを伝えやすいスターダムやセンダイガールズプロレスリング、SNSで360度回転するフライングボディアタック”渦飴”が話題となった瑞希やジャイアントスイングの使い手・渡辺未詩(共に東京女子プロレス)など、短時間で凄さが伝わるキャッチーな人選に偏ることは致し方ないだろう。

”令和女子プロレス象徴”上谷沙弥大ブレイクのワケは・・・

 この、今の女子プロレスに興味を持ってもらうキッカケになり得る存在こそが、スターダム所属の上谷沙弥である。

 2025・4・27横浜アリーナ大会で行われた中野たむとの【敗者引退マッチ】が大きな注目を集めた上谷だが、プロレス界でも2024年にキャリア初の他団体参戦(プロレスリングWAVE)や急転直下のヒールターンで既に話題となっていた。そんな彼女の存在が一躍知られるようになったのは、2025年2月に出演したフジテレビ系列のバラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』で行われた300m走企画だろう。フルマラソン経験者など芸能人が10名以上参加した300m走はレースの最下位1名が脱落するルールとなっており、そのレースは最後の4人が残るまでの間続けられるという過酷な企画だ。
 このレースに参加した上谷は、フルマラソンや陸上競技経験者が集うレースで生き残り、決勝の4枠に見事残った。最後は優勝を逃したものの、ヒールレスラーにもかかわらず涙を流して悔しがる模様や、事前インタビューで「女子プロレスを広めたい」という熱い思いを語る様がプロレスファン以外から話題となり、Xのトレンドにも【上谷さん】というワードがランクインした程だ。その後、試合の合間を縫う形で『スカパー!』が企画するイベントの記者会見や、テレビ・ラジオ番組出演、Webインタビューなどを精力的にこなし、今やスターダムの顔役としてリング外でも積極的に団体を牽引する存在となった。

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