[週刊ファイト4月24日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼ノーDQ前哨戦『OZAWA-KENTA』に見るNOAHの方向転換
photo & text by 鈴木太郎
・4ヶ月連続後楽園満員ならずも大健闘
・両国国技館はノア25周年上半期総決算
・OZAWA凱旋帰国後初黒星! KENTA両国決戦へ弾み
・ノーDQマッチ物足りなさはキャラクターへのシフト原因
・『OZAWA vs.征矢学』二冠戦からブレない今のノア
・エンタメ&ゲーム性で過激さ回避の妙
・YO-HEY因縁タダスケ撃破で悲願GHC Jr王座獲りへ
・ヨシタツ不在でも悪を体現したタダスケ
・宮脇純太&AMAKUSAタッグ防衛で強敵ベイン&ウルフ逆指名
・安牌取らぬ宮脇攻めの姿勢
・丸藤正道NOAH25周年シングル第2弾悩める清宮海斗指名
・苦難続く清宮に不安なしのワケ
・「プロレス分からない」期に無かった高支持率
■ プロレスリング・ノア『STAR NAVIGATION 2025』
日時:2025年04月14日(月) 18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,332人
2025年に入ってからOZAWA効果もあり、後楽園ホールが3ヶ月連続で超満員札止めとなっているプロレスリング・ノア。2025・5・3両国国技館ビッグマッチを目前に控えた4月は、関東圏内におけるノアの本興行が4・14後楽園ホールの1大会という状況ではあったものの、この日も1,458人の観衆をマーク。残念ながら4ヶ月連続の後楽園ホール前売り完売とはならなかったものの、平日月曜夜開催で翌日には拳王チャンネル後楽園ホール大会も控えており、更には主要カードも出揃いつつある両国ビッグマッチ直前という状況も加味すれば、この数字は大健闘したと言えるのではないだろうか?
ノアの旗揚げ25周年イヤーも早4ヶ月が経過したが、今後は5月の両国国技館ビッグマッチ、6月のエディオンアリーナ大阪第2競技場、7月の後楽園ホール2Daysと主要大会を消化していけば、例年通りだと8月にはシングルリーグ戦『N-1 VICTORY』が開幕する流れだ。そうなると、大阪大会があるとは言え、大規模会場で行われる5・3両国国技館では久々に5大GHC王座戦が揃うことから、ノアにとって2025年上半期の総決算という見方も出来る。
OZAWA凱旋帰国後初黒星! KENTA両国決戦へ弾み
<第8試合 メインイベント・ノーDQマッチ・タッグマッチ>
●OZAWA 遠藤哲哉
25分33秒 go 2 sleep⇒体固め
○KENTA 拳王
今大会のメインは、『OZAWA&遠藤哲哉 vs. KENTA&拳王』のノーDQタッグマッチだった。5・3両国国技館大会のGHCヘビー級王座戦『OZAWA vs. KENTA』の前哨戦は、凶器の使用や反則が認められる特殊ルールの下行われたのだが、挑戦者のKENTAがOZAWAをgo 2 sleepで沈めて勝利。2024年10月の凱旋帰国以降、欠場やヒールターンを挟んでから、2025年元日の凱旋試合でGHCヘビー級王座戴冠を果たしたOZAWAにとって、この試合が凱旋帰国後初黒星となった。
後楽園ホールの至るところで場外乱闘が繰り広げられた後、KENTAがローンバトルを強いられる時間帯が長く続いたのだが、最後は特大ラダー上の攻防を制したKENTAに軍配が上がった。
3・22後楽園ホール大会で今回の前哨戦が決まった際には、OZAWAがKENTAに向けて2022・1・5新日本プロレス東京ドーム大会で行われた棚橋弘至とのノーDQマッチを持ち出した上で「この試合でKENTAを引退させる」と意気込んでいたものの、試合自体は大ケガのリスクを抱えるような危険な攻防ではなく、時折コミカルやユーモアを交えながら会場全体に接近戦を観衆に見せつける内容だった。
KENTAの過去の負傷や【引退】というワードで煽るなど、危険性を増した形式を予告していたこともあってなのか、試合後はノーDQマッチに物足りなさを抱く観客の声も見受けられたのだが、危険や刺激を踏み越えるのではなく、選手のキャラクター性を活かす形で成立させたことは、今のノアの方向性とも非常に合致していると言えよう。
3・2横浜武道館大会で行われた『OZAWA vs. 征矢学』のGHCヘビー級王座&ナショナル王座のダブルタイトルマッチにも当てはまることだが、以前のノアならば「互いに死力を尽くして削り合う」方向性に進んでいた試合も、選手のキャラクターやカードのシチュエーション、特殊ルールを活かすことによるエンターテインメント性やゲーム性の向上で十二分にカバー出来ている。