[ファイトクラブ]OZAWA-KENTA 5・4GHCヘビー級正式決定!勢い止まらぬノア後楽園

[週刊ファイト4月3日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼OZAWA-KENTA 5・4GHCヘビー級正式決定!勢い止まらぬノア後楽園
 photo &text by 鈴木太郎
・OZAWA支持を引っくりかえしたKENTA
・日付噛んだOZAWAに見た動揺
・OZAWA防衛ロード史上屈指の強敵KENTA現る
・OZAWA圧倒したKENTAの口喧嘩
・OZAWAの批判軸にハマらないKENTA
・マサ北宮8度目の正直ならずOZAWA文句なし完勝V3
・アレハンドロ好内容も流れ許さぬEita盤石JrヘビーV2
・ノアJr照らすニューヒーロー爆誕! 宮脇純太悲願のGHC初戴冠
・KENTA-憂流迦再戦go 2 sleep葬も試合後まさかの共闘宣言
・遠藤哲哉GHCナショナル新王者狙う杉浦貴撃破で決勝進出なんだが
・『情熱ラーテルズ』新メンバーX驚愕のサクソン・ハックスリー
・GHCタッグ王座”強奪”騒動終結へ清宮決意の王座挑戦
・小田嶋&藤田和之”日大レスリング部”タッグ勝利収める


■ プロレスリング・ノア『STAR NAVIGATION PREMIUM 2025』
日時:2025年03月22日(土) 18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,550人(札止め)

 文句無しの勝利だった。GHCヘビー級王座3度目の防衛戦でマサ北宮を迎え撃った王者OZAWAは、試合序盤からOZAWAコールで支配し続けた空気感と優位を最後まで崩すことなく王座防衛を果たした。試合終盤、王者陣営のTEAM 2000Xによる介入行為を1人で駆逐していったマサ北宮から、怒涛の攻撃を浴び続けるも、カウント2で回避。握った手綱は最後までOZAWAの掌中にあったと言えよう。
 試合後、3ヶ月連続で満員を記録したノア後楽園ホール大会の要因を自身のお陰だと口にした時、ヒールレスラーであるにも関わらず、会場からはOZAWAコールが多く飛んだ。そのセレブレーションにOZAWAも思わず口元を弛めてたじろぐほどだった。

▼観衆1,605人25周年記念ノア横浜武道館~吹き荒れるOZAWA旋風!

[ファイトクラブ]観衆1,605人25周年記念ノア横浜武道館~吹き荒れるOZAWA旋風!

 しかし、そのOZAWA支持一色に包まれた会場の雰囲気は、1人の男の登場によって一気に引っくり返されることになる。2025年2月にノア再入団を果たしたKENTAが、OZAWAの目の前に現れたのだ。

 再入団会見ではOZAWAに対する興味と関心を隠さなかったKENTAであるが、直後にOZAWAは「新日本プロレスの二軍・三軍」と意に介さない態度を示していた。そんなKENTAの登場により、会場は一転してKENTAコールに染め上がる。まるで、オセロで一気に盤面の色が変わる一手が打たれた時のような、形成の逆転・・・。
 2024年秋のヒールターンを機に、暴露を携えたマイクパフォーマンスと生え抜きを重用しないノアに対する批判で観衆の支持を得てきたOZAWAであったが、KENTAとの対峙で異変が起きる。言い淀むことの無かったマイクで、OZAWAは大会の日付を間違えて噛んでしまったのだ。言葉を噛むことの無い、自身に溢れたヒールターン後の態度を見てきただけに、普段と違う空気が流れていたことを筆者は悟ったのだ。それは果たして、KENTAという脅威に対する怯えなのか? それとも、KENTAというビッグネームに触れることへの興奮なのか?
 KENTAの挑戦表明直後には、現タッグパートナーの拳王も登場してOZAWAに怒りを顕にした流れもあり、2025年4月14日後楽園ホール大会で『OZAWA&遠藤哲哉vs. KENTA&拳王』によるノーDQタッグマッチ、2025年5月4日両国国技館大会でのGHCヘビー級王座戦『KENTA vs. OZAWA』が正式決定となった。

 大会終了後、筆者は北側の座席からエレベーターのある踊り場に出るまで5分以上の時間を要したのだが、その原因は、この日超満員となった観衆が訪れたことの現れだけでなく、かつてホール内に設けられていた喫煙所向かいのスペースで販売されている前売券を求めて、長い列が形成されていたからだ。KENTAというビッグネームの帰還は、ノアにとってこの上なく大きかったことが窺える。

OZAWA防衛ロード史上屈指の強敵KENTA現る

 かくして、KENTAのノア再入団から約1ヶ月後に訪れた両者の邂逅をキッカケに決定した『OZAWAvs.KENTA』のGHCヘビー級王座戦だったが、OZAWAが防衛ロードを歩んでいく中で対戦は必然的だったと言える。ただ、筆者にとって5月挑戦は予想外であった。少なくとも、今夏まではKENTA戦というカードを切らないと踏んでいたからだ。

 この予想をしていたのには筆者なりの理由がある。ノア再入団の前からKENTAを『思い人』と慕ってきた拳王とタッグを組む中で、まずは現在空位となっているGHCタッグ王座獲りに向けて照準を合わせてくると思われたからだ。当人達もタッグ王座獲得に向けて色気を出していただけに、タッグ王座よりも先にシングル王座に狙いを定めてきたのは意外であった。

 しかし、今のノアに関して言うと、GHCヘビー級王座の挑戦者候補に特段困っている状況ではない。今回挑戦表明したKENTAだけではなく、2025年1月11日のノア後楽園ホール大会でノンタイトルマッチながらシングルで激突している拳王(結果は無効試合)、OZAWAが度々「老害」と呼んで批判してきた丸藤正道や杉浦貴も25周年イヤーの挑戦者候補として控えている。その上、ジョーカーとして現在WWEで武者修行中の稲村愛輝も残っている状況なのだから、2025年の1年間をOZAWA政権で突き進むだけの手札は揃っていると言えよう。

 だが、今回のKENTA挑戦はOZAWAの防衛ロードにおいて、かつてない脅威であることは間違いない。OZAWAがヒールターン後に度々主張してきた「生え抜きの若手を大事にしない」、「ノアでは若手が育たない」という内容も、2014年にノアを退団しているKENTAには中々当てはまりにくいからだ。
 その上、KENTAには口喧嘩でも負け知らずなマイクパフォーマンスがある。ノア再入団会見後、OZAWAはSNS上で「新日本で2軍、3軍だった人間が今さらノアに帰ってきてもな。ノアでも中堅として「良い試合」することになるだろうな。あと、所属団体をコロコロ変える節操の無さはめちゃくちゃダサいな。KENTA、信念を持って生きなさい。」と批判を展開したのだが、それに対してKENTAは「うん。同じ事言ってあげて。」と、新日本プロレスやWWE、全日本プロレスを渡り歩き、今はOZAWAがいるヒールユニット『TEAN 2000X』のマネージャーを務めるヨシタツの画像を貼り付けて返答し、OZAWAによる元の投稿よりも多い反応をSNS上で獲得してみせた。

 思い返せば、近年のKENTAにとって象徴的出来事の一つとして挙げられるのが、2020年1月5日の新日本プロレス東京ドーム大会だろう。メインイベントで行われたオカダ・カズチカとのIWGPヘビー級王座&IWGPインターコンチネンタル王座のダブルタイトルマッチに勝利した内藤哲也が、試合後に「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のキメ台詞を観客と共に大合唱しようとしたタイミングで、内藤を襲撃したのがKENTAであった。東京ドーム中の大ブーイングを一身に浴びたKENTAは、同年2月のビッグマッチで実現した内藤との試合まで、連日のようにSNSでファンを中心に激しい批判を浴び続けるも、KENTAはその批判をものともしなかった。


▼東京ドーム連日考!内藤哲也二冠もBad Ending是非-AEW関係修復序幕

[ファイトクラブ]東京ドーム連日考!内藤哲也二冠もBad Ending是非-AEW関係修復序幕

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。

ログイン