[ファイトクラブ]観衆1,605人25周年記念ノア横浜武道館~吹き荒れるOZAWA旋風!

[週刊ファイト3月13日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

 横浜武道館は、プロレス団体にとって満員になりにくい鬼門の会場だ。各団体が苦戦を強いられる同地のビッグマッチにおいて、プロレスリング・ノアは9度目の開催で最多となる観衆1,605人をマークした。この人気を突き動かす原動力は、現GHCヘビー級王者のOZAWAに他ならない。前人未到のGHC二冠王者に輝くも、直後に取った返上というアクションや、客からもヤジが飛ぶほどの長時間に及ぶ団体批判は、いずれも正当性が伴うものだった。吹き荒れたノア横浜武道館という春の嵐を徹底解説する。


▼観衆1,605人25周年記念ノア横浜武道館~吹き荒れるOZAWA旋風!
 photo & text by 鈴木太郎
・プロレス団体”鬼門”の横浜武道館で観衆1,605人の快挙
・快挙達成もナショナル王座即返上のOZAWA正当性
・GHC二冠王座戦OZAWA勝利も存在感喰った征矢学
・OZAWAの奇抜さを超える存在感を提示した征矢学
・宮脇&AMAKUSA組勝利も苦さ残るJr.タッグリーグ優勝決定戦
・アクシデントもトゥリュー&レイシーに残されたリベンジ機会
・抽斗多彩なマサ北宮-丸藤正道”方舟伝承マッチ”
・ノア再入団後初ビッグマッチでKENTA堂々勝利
・情熱ラーテルズ撃破のTEAM 2000X気になるタッグ王座行方
・清宮海斗大ブーイングで翻弄した健在マサオワールド
・谷口周平&ブラックめんそーれ敗戦も盛り上がる会場
・アレハンドロ勝利で3・22GHC Jr挑戦に弾み


■ プロレスリング・ノア『プロレスリング・ノア25周年記念大会 ABEMA PRESENTS MEMORIAL VOYAGE 2025 IN YOKOHAMA ~NOAH JR. TAG LEAGUE 2025~』
日時:2025年03月02日(日) 15:00開始
会場:神奈川・横浜武道館
観衆:1,605人

 横浜武道館はプロレス団体にとって鬼門の会場だ。横浜スタジアムの最寄り駅・JR関内駅から徒歩5分以内で行ける立地にあり、2020年に横浜文化体育館が閉館して以降、斜向かいに建てられた最大3,000人のキャパシティを有する同会場は、今やプロレス団体や総合格闘技におけるビッグマッチ会場の1つとして定着しつつある。

 その一方で、「横浜武道館は動員が中々伸びない会場」という印象が筆者の中には色濃く残っている。筆者が思う「立地も設備も良いのに、どの団体が興行を打っても満員にならない」大規模プロレス会場は、首都圏だと大田区総合体育館、国立代々木競技場第2体育館、横浜武道館の3会場が該当する。いずれの会場も、施設内はトイレも含めて綺麗だし、リングから遠い座席でも試合は見やすい。最寄り駅から10分以上歩くようなアクセス面の不便もない上、プロレス興行も殆どが土・日・祝日の開催だ。だが、新日本プロレスやスターダムのような大手資本を有する団体でも、中々満員には程遠い。

 今回行われたプロレスリング・ノアの横浜武道館大会も、会場は満員にはならなかった。だが、観衆は1,605人をマークし、同会場で行われたノアの大会では、ジェイク・リーがGHCヘビー級王座を獲得した2023年3月の1,308人を大きく上回る結果となった。3月のビッグマッチと『N-1 VICTORY』開幕戦の8月上旬と、近年は年2回で固定開催されているノア横浜武道館大会だが、過去の観客動員を見ても、観衆1,000人の壁を突破することの難しさが窺える。

2021年3月7日:1,280人、11月13日:887人
2022年3月13日:905人、8月11日940人
2023年3月19日:1,308人、8月6日:804人
2024年3月17日:977人、8月4日:949人

 今大会では、2025年元日にプロレス界の話題を集めたGHCヘビー級王者・OZAWAが、GHCナショナル王者である征矢学とのダブルタイトルマッチに臨んだ一戦がメインに据えられた。当然、今のノアの勢いを加味すれば「横浜武道館での満員も夢ではない」と筆者は見ていたが、そうはならなかったところに、改めて鬼門を超える難しさを痛感させられたのである。

快挙達成もナショナル王座即返上のOZAWA正当性

 だが、横浜武道館のプロレス興行で唯一と思われる満員札止めをマークした、2023年5月4日の大日本プロレスの観衆1,828人に匹敵する動員を今大会で叩き出したことは間違いない。大会開始前のグッズ売店も、ノア再入団後初となるKENTAのサイン会が行われたこともあり活況を呈していた。

 2025年に入ってから一気に注目度が増し始めたプロレスリング・ノア。1月と2月に行われた後楽園ホール大会は、立見席含め全席完売を記録しており、確実に追い風が吹いている状況だろう。そのノアの中心地に現在立っているのがOZAWAだ。社会人プロレスを経て2022年9月にプロレスリング・ノアでデビューしたOZAWAは、2024年1月に海外遠征を果たし、同年10月に凱旋帰国。清宮海斗や拳王率いるユニット『ALL REBELLION』に加入した。
 帰国直後に決まっていた凱旋試合は自身の負傷欠場により白紙となったものの、2024年11月に突如清宮に反旗を翻す形で新興ヒールユニット『TEAM 2000X』に電撃加入。ヒールターンを果たすと、ユニットの元同僚にあたる清宮海斗の喫煙やキャバクラ通いを暴露するなど、プロレス界に大きな波紋を生んだ。

 翌2025年元日、日本武道館で行われた清宮海斗とのGHCヘビー級王座戦が凱旋帰国後初の試合となったが、この一戦にOZAWAは見事勝利を納める。キャリア2年4ヶ月でのGHCヘビー級王座戴冠は、同王座史上最短記録。『丸藤正道vs飯伏幸太』の試合が歴史に残るワーストバウトと名高い2024年1月2日の有明アリーナ大会における第1試合では、シングルマッチで後輩の大和田侑に敗れるなど、ノアでのデビュー以降国内で1勝も挙げられなかったという若手選手が、一気に方舟の最高峰へと上り詰めた。かつて見たことのないような独特な動きから圧倒的な存在感を示すOZAWAの試合内容に、客席からは大OZAWAコールが巻き起こり、対戦相手の清宮海斗には大ブーイングが飛ぶ異例の事態が生まれたほどである。

 その後もOZAWAは『TEAM 2000X』の中心人物として、ノアファン以外のプロレスファンからも大きな話題となり、元WWEスーパースター・TAJIRIからも絶賛されるなど、注目を集め続けている。まだ2025年が始まって3ヶ月も経っていないが、2010年の杉浦貴を最後に、2011年~2024年までの14年連続で新日本プロレス所属選手の定位置と化している『東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞』MVPを獲得するのではないかという声も聞こえるほどだ。

 そんなOZAWAは、ノアの春恒例となっている横浜武道館ビッグマッチでも、団体の歴史に新たな1ページを刻んだ。それは、GHCヘビー級王座とGHCナショナル王座のGHCシングル王座二冠である。

 ノアの歴史上、過去にGHCシングル王者同士のダブルタイトルマッチは2回行われているが、2020年の『潮崎豪vs.拳王』も、2021年の『中嶋勝彦vs.拳王』も60分フルタイムドローと決着がつかなかった。だが、OZAWAは今回の一戦で征矢に勝利し、遂にその歴史を塗り替える事に成功したのである。

 偉大なる快挙達成にもかかわらず、OZAWAは試合後にGHCナショナル王座のベルトをリング上に投げ捨てて放置。挑戦表明してきたマサ北宮に「今拾えばチャンピオンになれるぞ?」と挑発した。大会後、OZAWAは早々にSNS上でGHCナショナル王座返上を表明するという呆気ない幕切れではあったが、戦前より彼の考えは一貫していた。2025年2月11日の後楽園ホール大会で遠藤哲哉からGHCナショナル王座を奪取した征矢は、OZAWAの持つGHCヘビー級王座に挑戦表明したものの、OZAWAはナショナル王座に興味はなかったのである。今回のダブルタイトルマッチは、あくまでも征矢の挑戦に対する交換条件としてGHCナショナル王座を賭けるよう要求したからであり、それ以上でもそれ以下でもない。返上にも正当性が伴っているのだ。

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