■RISE186中村拓己さんの見所コラム 「テーマは再起。RISEは諦めない・立ち上がる姿でファンを魅了する」
今から22年前の2003年2月23日、ゴールドジムサウス東京アネックスにて「R.I.S.E. 1st」が開催された。2月23日はRISEにとって旗揚げ記念日であり、2020年からは後楽園ホールでの旗揚げ記念日興行がスタートした。
最初の旗揚げ記念日興行では、現在MMAで活躍する“ブラックパンサー”ベイノアがRISEウェルター級王者として防衛戦を行い、2021年はのちにRISEスーパーフライ級で確固たる地位を築く大﨑一貴がメインイベントを務めた。
2022年のメインイベンターは現在RISEの解説やYouTudeでもお馴染みとなった一馬で、セミファイナルには第2代第2代RISE QUEENアトム級王者の宮﨑小雪が登場している。
20周年記念となった2023年は「RISE165」&「RISE166」として昼夜興行が行われ、出場4選手が全員高校生というRISE NEW WARRIORS フライ級(-51.5kg)トーナメントが開催され、松本天志が優勝を果たした。
そして昨年は出場26選手中16選手が25歳以下、5選手が10代という今後のRISEを担う選手たちが集まる大会となり、第2代RISEフライ級王者の数島大陸がタイのペッティンディーアカデミーから参戦するクンスックとの接戦を制して大会を締めた。
20周年以降はRISEの未来を感じさせる大会が続いていたが、今年の旗揚げ記念日興行のテーマは「再起」。RISE伊藤隆代表は常々「選手は負けたら終わりではなく諦めたら終わり」ということを口にしているが、今回は選手の諦めない姿勢を見せる大会にしたいと話す。
「今回、後楽園大会で初めてIBGメディアさんに冠スポンサーになっていただいて、色々と話をするなかで、選手が再起する姿は美しい、再起する姿を見たいというテーマをいただきました。我々は常々“負けたら終わりではなく諦めたら終わり”で大会を開催し、やる気がある選手にはどんどんハードルを作っていくという姿勢でやってきました。そこがお互い一致して、今大会は再起をテーマに試合を組みました」
そんな「再起」というテーマが凝縮されたカードがメインイベントの数島陸vs松本天志、セミファイナルの小林愛三vsKOKOZだ
数島と小林はまさに今回が再起戦。記念日興行出場は3年連続となる数島は、昨年11月のRISE183では那須川龍心に屈辱のKO負けを喫し、保持していたRISEフライ級のベルトを失った。試合前には龍心と激しい舌戦を繰り広げていただけに、すべてを失うような敗戦だったが、すぐに再起を決意。思い出の記念日興行で2025年の初陣を迎える。
一方の小林は昨年5月のRISE178で小林愛理奈とのOFGマッチで対戦。RISE女子の歴史に残るような大激闘となり、会場を大いに沸かせたものの、2Rにダウンを奪われて判定負けという結果に終わっている。数島と違い復帰までに約9カ月という時間を擁したが、過去に2度敗れているテッサ・デ・コムへのリベンジを掲げて巻き返しに燃えている。
数島と対戦する松本は3連勝中、小林と対戦するKOKOZは昨年1年間で5勝1敗と好成績を収めており、数島・小林とは異なる立場で試合を迎えるが、決してここまでの道のりは楽ではなかった。
松本はRISE NEW WARRIORS フライ級トーナメント優勝後にキャリア初の連敗を経験し、KOKOZも2022年~2023年は4連敗(不戦敗を含む)を味わうなど、どちらも苦しい時期を乗り越えて今の位置まで再浮上してきた。
また松本は昨年10月のRISE172では第2代RISEフライ級王座決定戦で数島に敗戦。KOKOZは2020年9月に小林に判定負けし、眼窩底骨折の怪我も負わされている。この相手にリベンジを果たしてこそ、真の再起と言える試合だ。
伊藤代表はメイン・セミの選手はもちろん他の選手たちにも「自分が主役だと思って戦ってほしい」と期待をかけている。
「今の若い選手は数年後に『ここまで強くなったんだ!』と思われるくらい成長するし、まさに数島と松本がそういう存在だと思います。2023年・2024年が素晴らしい内容のイベントだったので、それにも負けない未来が見える試合をして欲しいですね。当日の試合順はありますけど、これはあくまで試合の順番。いい試合をした選手が主役だと思うし、選手全員自分が主役だと思って戦ってほしいです」(伊藤代表)
2003年の旗揚げ興行で伊藤代表はチケットの発券からあらゆる業務に携わり、試合当日はジャッジやレフェリーも務めた。旗揚げ当初は他団体のバックアップもほぼない状態で、RISEのコンセプトに賛同したジムとアマチュアから育成した選手たちでマッチメイクを組んだ。
会場の規模や選手の知名度に関係なく、ファンの心に響く試合を見せる。何もないところから立ち上がり、日本から世界に届くイベントになったのがRISEという舞台だ。今年の記念日興行は22周年の原点回帰、そんな大会になりそうだ。
KOKOZインタビュー『ダウンを奪って勝つか、KOして勝つかっていうハッキリした勝ちにしたい』
–今タイにいらっしゃるんですね。
KOKOZ はい。先月の22日から行っています。
–それは今回の小林愛三戦のために行かれているんですか?
KOKOZ そうですね。
–気合い入ってますね。
KOKOZ はい。絶対に勝ちたいです。
–タイはどちらのジムに行かれているんですか?
KOKOZ 新しいジムなんですけど、元々チュアタナジムで教えてくれていた先生が新しく出したジムです。
–バンコクのどの辺りにある何というジムなんですか?
KOKOZ オンヌットというところにあるコントンムエタイというジムです。
–オンヌットといえばBTSも走っていますし、駅からも近くて交通の便が良いところですね。
KOKOZ 駅からジムまでは車で20分くらいなので、そんなに近くないですけど、いつもソンテウで移動しています。
–地元の民しか乗らないような、乗り合いバスみたいな乗り物ですよね。
KOKOZ 8バーツと安いので利用しています。
–日本円で30円くらいじゃないですか。
KOKOZ それくらいです。タダも同然ですね笑。バンコクでは練習と食べて寝る生活をしていて、お金がかからないような生活をしています。
–周りに日本人がいるような環境なんですか?
KOKOZ ジムにも日本の選手はいないので、日本人はあまり見ないですね。
–トレーナーの方とのコミュニケーションはどうやって取っているんですか?
KOKOZ 基本タイ語で喋っていて、分からないことは翻訳機がヘルプしてくれています。
–タイ語もかなり上達しているんじゃないですか?
KOKOZ どうですかね、わりと普通の会話は大丈夫です。
–KOKOZ選手はかなりタイで練習しているイメージがありますが、今回で何回目ですか?
KOKOZ あまりちゃんと数えていないですけど、10回は超えていると思います。
–1回行ったら1ヶ月や2ヶ月いるのは当たり前ですか?
KOKOZ そんなことはないですね。1ヶ月は居たいですけど、2週間の時もあるのでバラバラです。
–練習メニューとかはTRY HARD GYMにいる時とはちょっと違いますよね。
KOKOZ そうですね。朝練をやって夕方の3時から6時くらいまで練習をしてます。
–昼寝をするのはマストになりますか?
KOKOZ そうですね笑。
–タイにそれだけ行っていたら、タイ料理が口に合わないとかパクチーが食べられないとかは問題なさそうですね。
KOKOZ 全くないです。辛いものも大丈夫で、タイに来るようになってから食べられるようになりました。
–体が疲れてきたら、近くのタイマッサージ屋さんにも行って体をほぐしてもらう感じですか?
KOKOZ そうですね。めっちゃ安いので。
–ちなみに今は1時間でいくらくらいなんですか?
KOKOZ 1時間200バーツとかです。
–今付いているトレーナーの方と、小林愛三選手の対策をバッチリ練っている感じですか?
KOKOZ 完全に任せていて、相手の映像もずっと見てもらっていて、教えてもらっています。それでその先生を日本に連れて帰ってきてセコンドについてもらいます。
–その先生の名前は何て言うんですか?
KOKOZ レックっていうんですけど、選手名はコントンのジムです。
–その先生は日本にも来た事がある方なんですか?
KOKOZ 5年くらい佐賀県にあるFURUMURA-GYMでトレーナーをしていた事があるんですけど、その時も向こうに練習しに行かせてもらっていました。
–でしたら日本人の癖や傾向は掴んでいる先生なんですね。
KOKOZ 日本のキックボクシングをちゃんと理解しています。
–そのレック先生は小林選手の対策を練って、それをKOKOZさんに授けているって感じになりますか?
KOKOZ 全て落とし込んでくれています。
–5年前の試合とは全く違うものになりますか?
KOKOZ 別人になっています。
–5年前の小林戦を振り返ったり、試合を見返したりする事はありますか?
KOKOZ ありますけどめっちゃ嫌です笑。
–私も先日見返したんですけど、2ラウンドからが勝負の分岐点となっていて、小林選手の圧に下がってしまってペースを掴まれたという印象だったのですが、その反省点を活かす試合になりそうですね。
KOKOZ 前回の2ラウンド目の真ん中くらいで眼下底を折られて、もらったパンチは分かっているんですけど、そこから相手が何人もいる状態で試合をしていたので、雰囲気で戦っているような状態でした。そうならないようにすれば全然勝てると思います。
–眼下底を折られた記憶というのは鮮烈に残っているんですね。
KOKOZ 半年練習ができなかったんですよ。半年ってめっちゃ大きいじゃないですか。
–逆にそれだけの攻撃をくらっていたら、小林選手の事を楽観視することは一切ないですよね?
KOKOZ 元々好きな選手なので、楽観視とかはしていないですし、ずっと警戒しています。
–元々好きな選手だったというのは、KOKOZ選手と同様にムエタイベースの選手だからですか?
KOKOZ それもあるかもしれないですけど、KNOCK OUTに出ている時から見ていて、試合も面白いし「すごいな〜」って思っていた選手なので、それで好きです。
–今回の試合については、どんな試合展開になると予想していますか?
KOKOZ 自分的には、前の試合では勢いに飲まれて考える隙を与えてもらえなかったのが敗因の一つだと思うので、そこはとりあえず落ち着いて対処することを意識するのと、ダウンを奪って勝つかKOして勝つかっていうハッキリした勝ちにしたいと思います。
–今の言葉からかなり強い意志を感じたのですが、それだけこの試合は重要という事ですね。
KOKOZ リベンジというのもありますけど、純粋に強いと認めているからこそ勝ちたいって思っています。
–何ラウンドくらいに試合のクライマックスが訪れると思いますか?
KOKOZ 分からないですけど、こういうのは大体「2ラウンド」って言いますよね笑。
–奇しくも前回と同じということになりますかね?
KOKOZ そこで気を抜かないようにします。それをやってきた約4年半なので、前回からの成長ぶりを見せたいです。
–この4年半の期間が決して無駄ではなかった事をこの試合にぶつけることになりそうですね。
KOKOZ そこでの成長率は絶対に自分の方が成長していると思っているので、そこを見せつける時間だなと思っています。
–ちなみにもう体重の方は大丈夫ですか?
KOKOZ あと3kgもないくらいなので大丈夫です。
–前回の試合と感覚が短いような気もしますが、去年の6月にはもっと短い期間で試合もしているんですよね。
KOKOZ 2週間くらいの期間でやっています。
–しかもその6月は台湾からのタイでやっているじゃないですか。同じアジア圏とはいえ、若干の時差があったと思うのですがそこは問題ありませんでしたか?
KOKOZ あまり気にしないタイプなので全然大丈夫でした笑。
–今回に関してはインターバルが2ヶ月もあるというくらい余裕があったわけですね。
KOKOZ 全然短いとは思わなかったです。
–最後にこの試合を待ち侘びているファンの皆様に、タイから熱いメッセージをお願いいたします。
KOKOZ タイで死ぬほど練習しているので、成長ぶりを是非見ていただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いいたします。
■夢空[ゆら]インタビュー『年内にタイトルマッチが見える位置まで上り詰めたい』
–1月25日に試合をしたばかりなのに、2月23日も試合という、1ヶ月間隔での試合となりましたが大丈夫ですか?
夢空 前回の試合の感覚のまま練習できていたので、特に問題はないかなと思います。
–疲れは残っていませんか?
夢空 あまり休む暇なく追い込みに入ったので、そんなに疲れは感じていないですけど、今回の試合が終わった時に一気に疲れが来るかなと予想しています。でも今は元気です!
–ミニフライ級(-49kg)のリミットで、いま減量はどれくらいあるんですか?
夢空 ほぼ体重は落ちていて、あと1kgないくらいです。前回の試合からあまり期間が空いていなかったので、体重もあまり増えずに良い感じに練習して落とせています。
–1月の試合が終わってから、そんなに美味しいものも食べていないんですね。
夢空 試合が終わった日の夜に食べて、次の日から節制していました。
–今回の登島戦が終わったら、食べたいものは決まっていますか?
夢空 体に悪いものを食べたいです笑。
–それだけ今は体に良いものだけしか摂っていないという事ですね。
夢空 クリーンな食事をしていた方が、練習もめっちゃ動けるし調子も良いです。格闘家の選手はみんなそうだと思うんですけど、今は良い感じの食事をしています。
–夢空選手の名前についてなんですけど、この“夢空”[ゆら]という名前は漢字も含めて本名なんですか?
夢空 本名なんですよ。結構珍しい名前って言われるし、読めない人もいるんですけどちゃんと本名です。
–ご両親はどういった意味合いを込めてこの名前をつけてくれたのですか?
夢空 「大きな夢を持って、大空に羽ばたいてほしい」というのが由来になります。
–自分の名前は気に入っていますか?
夢空 ローマ字とかひらがなやカタカナも使いたくないレベルで、漢字の夢空[ゆら]っていう名前がめちゃくちゃ好きです。
–そもそもキックボクシングを始めたきっかけは何になるんですか?
夢空 最初にお兄ちゃんが空手をやっていて、無理やり私も空手を始めたんですけど、空手のルールが途中で変わってしまって面白くなくなったからキックボクシングに行きました。
–空手を始めたのは何歳で、キックに転向したのは何歳か覚えていますか?
夢空 小1から空手を始めて、中1でキックに転向しました。
–キックボクシングは自分にハマっていますか?
夢空 最初は顔面に攻撃ありというルールで苦戦したんですけど、今はもうキックの方が合っているなと思います。
–プロでも頑張ってみようと思ったきっかけを教えてください。
夢空 目立つのが好きだったし、自分が1番になりたいし目立ちたいという気持ちがあったので、プロって良いなって思いました。
–勝ち星を重ねて注目される位置まで来たと思いますが、今の心境はどうですか?
夢空 ランキングに入ると思っていなくて、勝った後にランキングに入ったと聞いて、凄く嬉しかったです。今回の試合はもっと大事な試合になるので、ここは落とせません。
–夢空選手は6位で、対戦相手の登島選手は3位になります。勝てばタイトルマッチが見える所までランキングが上がると思うのですが、そこについては重要視しますか?
夢空 それはもちろん、ここを勝たなければ上に行けないし、RISEに来て不戦勝も含むけど4戦目でこのカードを組んでもらえたので、年内にタイトルマッチが見える位置まで上り詰めたいです。
–夢空選手から見た登島優音選手はどのように見えていますか?
夢空 知名度もあるし、自分よりランキングが上の選手なので、そこは自分より上という風に見ています。
–キックボクサーとしての印象はいかがですか?
夢空 勢いよくパンチを打ってくる印象ですね。
–どういう風に対応していきますか?
夢空 パンチとか蹴りもそうですけど、しっかり見て冷静に戦っていれば大丈夫です。
–そうすると今回の試合のキーワードは『冷静』の2文字になりますか?
夢空 前回の試合でも冷静に戦うっていうのを自分の目標としていたんですけど、それがクリアできたので今回も冷静に戦っていれば全然問題ないです。
–夢空選手から見て、現チャンピオンの小林愛理奈選手は近い存在になってきていますか?それとも遠いままですか?
夢空 まだまだ遠いと思うし、倒せる技を持っていないので、そういう所でチャンピオンとの差があってレベルも違うなと思っています。
–今年はランキングを一つずつ上げていくと共に、実力も備えていきたいという1年になりますか?
夢空 ランキングが上がるのもそうですし、印象に残る試合をしたいです。今年はトップに行くチャンスなので頑張りたいです。
–もしかしたら今回の試合が10代としての最後の試合になるかもしれないじゃないですか。今年の5月に20歳を迎える心境はいかがですか?
夢空 確かに言われてみれば10代最後かもしれないですし、集大成とかそういう感じはないですけど、インパクトを残せる試合ができたら1番良いですね。
–リング上の夢空選手はピリピリした雰囲気を醸し出していますけど、今話していると普通の女の子に見えます。このギャップを自分ではどのように捉えていますか?
夢空 ジムでも周りの人からも言われるんですけど、普段はリング上の時みたいにムスッとしていなくて普通の感じなんです。だけど戦う相手とニコニコするのは好きじゃなくて、モードに入っているので一切笑いたくないんですよね。試合中とか試合前も。だから計量の時とか試合当日の時は完全にゾーンに入っています。
–では48時間くらいはゾーンに入っている状態なんですね。
夢空 そうですね。アドレナリンが出まくって全然笑わないです。普段は笑うんですけど、別に緊張しているとかではなくて、それが本来の自分なんです。
–ご家族の方は夢空選手に対する対応とかが大変になってくるんじゃないですか?
夢空 めちゃくちゃ集中しているので、話しかけづらいオーラは出ているかもしれないです。でも周りからは、たまに「怖い」って言われるんですけど、怖くて良いと思っていて。むしろ怖がられないと嫌なんです。
–最後に夢空選手の試合を楽しみにしているファンの皆様に熱いメッセージをお願いいたします。
夢空 2ヶ月連戦になるんですけど、かなり気合も入っていて調子も良いので、今回勝ってランキングトップに入って「ミニフライ級には夢空がいる」ってことを皆んなに覚えてもらいたいので絶対に勝ちます。応援よろしくお願いいたします。
藤井重綺インタビュー『(相手に)触らせたくないし、触られたくないので花岡竜選手みたいなイメージで相手を無力化する魅せる試合をやりたい』
–去年は色々な事があった1年でしたね。父親としてのデビュー戦を迎えたり、2年ぶりの敗戦があったり、チャンピオンになったりしましたが、2024年を振り返るといかがでしたか?
藤井 色々と経験できて楽しかったなという思い出はあるんですけど、RISEでは負けてしまって、その後に1回引退も考えたんですよ。でもやっぱりやってみようってなっている時に、大雅選手のベルトの返上があり、続けてみるもんだなと思いました。
–大雅選手の王座返上でモチベーションは上がりましたか?
藤井 その返上の話を聞いた日に、試合の話をもらったので、それはもちろん上がりましたね。モチベーションの上がり方として良いのか分からないですけど笑。
–オファーの出し方が絶妙ですね。
藤井 絶妙ですよね笑。タイミングが凄かったです。
–オファーは即決でしたか?
藤井 即決です。
–藤井選手がRISEで試合をするのは8ヶ月ぶりだと思うのですが、対戦相手の泰良選手は7年ぶりのRISE出場となります。
藤井 そんなに久々なんですね。僕7年前は飲み歩いてました笑。
–お互いに気持ちの入った試合をしたら、激しい試合になる事は間違いないですよね。
藤井 楽しもうという気持ちが僕の中で1番にあるので、自分の好きなように戦おうと思います。
–好きなようにやったら相手が倒れているイメージですか?
藤井 僕の場合は触らせたくない、触られたくないので、無力化したいです。花岡竜選手みたいなイメージですね。あんな感じの無力化する魅せる試合をやりたいです。
–いわゆる“打たせずに打つ”というスタイルですね。
藤井 まさにそれです。
–今はそのスタイルを磨いている感じですか?
藤井 元々持っていたボクシング時代の勘とかは、キックを入れることでぐちゃぐちゃになってしまったんですけど、今は全部ミックスしてかなり良くなって来ています。
–SNSには頻繁にあげていますけど、娘さんが生まれたことはモチベーションアップに繋がっていますか?
藤井 めっちゃ可愛いです。可愛くて仕方ないです。
–井の頭公園も散歩していましたね。
藤井 散歩してますよ。今日は練習風景を娘が見に来たんですよ。そしたら泣いちゃって、やっぱりあまり見せるものではないなと思いました。
–ということは家では練習していないんですね。
藤井 家の中ではしていないです。
–そこのオンとオフはきっちり分けているんですね。
藤井 家に帰ってきたら育児です。一緒にお風呂も入ってパパしてます。
–じゃあ計量の時から娘さんには「行ってくる、頑張ってくる」という感じのモードになりますね。
藤井 1歳なので、ちょっとずつ言葉が分かるようになってきて、出ていく時に「行ってきます」って言うと手を振ってくれるんですよ。それだけでも頑張れますね。
–会場には見に来てくれるんですか?
藤井 今回は来てくれます。
–それは背中を押される気分になりますね。
藤井 入場前に絶対見つけてやろうと思ってます。
–そっちのモチベーションも高そうですね。
藤井 RISEって倒したらマイクで話せる時間をもらえるじゃないですか。なのでそこで娘をリングに上げるチャンスを狙っています。
–その辺りの自己プロデュース力は抜かりないですね。
藤井 倒したらやらせてください笑。
–お話変わりますが、地元の出雲観光大使もやられているんですよね。
藤井 そうなんですよ。観光大使もやっています。
–観光大使ではどんな役割があるんですか?
藤井 イベントがある時に「来てくれませんか?」っていうお声がけしてもらう事が多いっていうのと、東京で出雲市民会をやる時に、登壇させてもらって自分の活動について話をしたりしています。特別週に1回何かがあるわけではないです。
–じゃあ東京在住の同郷の方々からの応援もあるって感じなんですね。
藤井 観光大使にならなかったら会わなかった人ともすごく会います。あと、僕の後に観光大使になったのが月亭方正さんなんですよ。落語関係で観光大使になったみたいなんですけど、僕の後になったので後輩です笑。
–遠い将来は地元でジムをやりたいという夢もあるんですよね。
藤井 それはやりたいです。
–だいぶ先の話になりそうですか?
藤井 1年2年の話ではないので、先になるとは思います。
–今29歳で今年の11月に30歳という節目を迎えるじゃないですか。この節目という部分は重要視されていますか?
藤井 していますし、肉体的に疲れが抜けないというのがちょっとずつ出てきているので歳を感じています。
–何かリカバリー方法で工夫されているんですか?
藤井 練習の強度を下げたりとか、コンディションが悪そうな時は、やる事をパッと決めて早めに切り上げたりしています。
–そうしながらも今回の泰良選手との試合のシミュレーションを組み立てている感じですね。
藤井 SNSでも言ったんですけど、試合が決まっている時の1ヶ月間の日常って特別じゃないですか。ピリピリもするし、ワクワクもするし。その1ヶ月間を楽しもうという意識でやってきました。
–同門の松下選手はバックアップしてくれていますか?
藤井 応援はしてくれます。あいつも1週間後に試合があるので、お互いに頑張っています。
–近い日程でお互いに試合があるのは良いですね。
藤井 2人で盛り上げながらやっています。
–この試合に勝ったとしたら、今年はどこまでいくのが目標になりますか?
藤井 年内にスーパーフェザー級のタイトルを決めるんですよね?そこまで突っ走ります。それこそ小野選手には負けてしまったので、細越選手はなんとなくしょうがないって思うんですけど、GUMP選手だけは認めていないので。だから61.5kgの世界トーナメントと並行していったらその辺りで決めていくじゃないですか。だからリザーブの2人がタイトルに絡んでくると言われているので、まずはそこに食い込めるようにしていきたいです。
–では3月29日に開幕される-61.5kgの世界トーナメントにも注視しているという状況ですね。
藤井 そうですね。そこは特に見ています。
–今年は忙しくなりそうですね。
藤井 娘と遊ぶ時間を削りながらになりそうです。
–そこだけは何とか死守して、練習と仕事に励んでください。
藤井 妻のサポートが無くなると格闘技ができなくなるので、頑張ります。
–奥さんにはかなりサポートしてもらっているんですね。
藤井 そうですね。家族で頑張っています。
–減量食も作っていただいているんですか?
藤井 減量食もそうですし、帰ったら家事も全部してくれています。僕が練習に行っている時間って好きなことしている時間じゃないですか。その時間は育児と家事と全部やってもらっているので、凄くありがたいです。
–最後に藤井選手の試合を待ち侘びているファンの方々に向けて、今回の1戦の決意表明をお願いします。
藤井 大森選手が色々と盛り上げてくれている中で、自分自身の格闘技という価値観を考え直すきっかけになりました。“全員で楽しみたい”と思うようになり、応援してくれている人も試合を見ている人も、その中で自分が1番楽しむつもりで試合をするので、是非一緒に楽しんでもらえたらと思います。
■松本天志インタビュー『どれだけ自分が成長しているかが本当に分かる試合』
–RISEの22周年メモリアル大会でのメインを任されることになりましたが、その気分はいかがですか?
松本 めちゃくちゃ嬉しいですね。チャンピオンとかが出るのかなと思っていたので、ここでチャンピオンではない僕がメインで出れるなんて本当に光栄なことですし、選んでもらったからにはその役目を果たさないといけないですね。
–ちなみに22年前はまだ生まれていないですよね?
松本 生まれていないですね。マイナス2歳です笑。
–RISEという存在を知ったのはいつ頃からですか?
松本 RISEの存在を知ったのは、僕が小学6年生くらいの時でしたね。
–誰がメインイベンターとして活躍していた時代でしたか?
松本 以前所属していたHAWK GYMの先輩が出た試合を見に行ったという感じだったので、キックボクシングに興味があるわけではなくて、メインが誰とか名前も知らなかったです。
–初めて踏み入れた後楽園ホールは、独特な空気感で何かすごいものを感じませんでしたか?
松本 最初に行った時に木村ミノル選手が観に来たりしていて、「すげー!」と思って写真を撮ってもらったりしたこともありました。
–その頃はまだ“一ファン”だったんですね。
松本 そうですね。僕がめっちゃ小さい時ですね。
–後楽園でメインを張るのは今回で何回目になりますか?
松本 メインは2回目です。
–試合順については、選手として意識する事はありますか?
松本 試合順はやっぱり意識しますね。後の方だったら嬉しいというか、大会関係者からも期待されているのかなと思うので、その期待に応えていきたいです。
–前回の麗也戦から2ヶ月という短いインターバルでの試合になりましたけど、その辺りについては全く問題ないですか?
松本 全く問題ないですね。去年は6月、8月と試合をして、本当は10月も試合をしたかったくらいなので、全然問題ないです。逆にこれくらいの方がいいです。
–2ヶ月に1回でも大丈夫という事は、試合をしても怪我が少ないという事ですね。
松本 いつも試合の次の日から普通に練習に行っているので、怪我は大丈夫ですね。
–麗也戦の後も翌日からTARGET SHIBUYAで練習を再開していましたよね。休もうって気持ちにはならないんですか?
松本 あんな試合をして休んでいる暇はないです。まだまだやらないといけないです。
–松本選手から見て、去年の最後にチャンピオンになった那須川龍心選手の成長ぶりは、どのようにご覧になっていますか?
松本 本当に衝撃を受けたので、すごくレベルが上がったなと思いました。
–もし自分と戦ったらというシミュレーションもしていますか?
松本 そうですね。今は去年の3月に戦った時とは違う展開になるかなと思うので、早く試合をしたいです。
–今回戦う数島選手とは再戦という形になりますが、前回の戦いと比べて自分はどんなところが成長したとアピールできますか?
松本 上京してからの変化というのを、見てくれている方には少しでも感じてもらえると思うので、そこが前回の試合とは違ってくるかなと思います。東京に来てから吸収する事が沢山あって、それで自分に合ったようなスタイルを自分で取り入れていっているので、今すごく良い感じに完成に近づいていて、そこがすごく楽しみです。
–前回の数島戦の敗因はどのように分析されますか?
松本 試合が決まってからタイトルマッチの試合とかを見たりするんですけど、「今だったらこうしているな」とか「ディフェンス面が疎かだったかな」と思うので、そこをしっかり修正していきたいです。あと、1ラウンド目から相手に合わせてしまっていたので、そこをもっとガンガン攻めて1ラウンドを取って、その流れを自分に持っていきたいなと思います。
–最近の数島選手の試合ぶりをどのように見ていますか?
松本 11月に試合をしていましたけど、1ラウンドで終わってしまったので、その前の試合となると結構前になりますよね。でも及川道場でずっとやっているから、そんなに変わりはないかなと思っているので、特に意識はしていないです。
–この試合を待ち侘びているファンの方々には、どんなところに注目してほしいですか?
松本 前回の自分と比べてほしいですね。数島選手と前回試合をした時が、石川県にいる時の最後の試合だったんですけど、その後の試合から上京してきて、今どんどん良くなってきているので、東京来てからの成長ぶりが一目瞭然で分かる試合になると思います。自分自身でも楽しみな気持ちでいっぱいです。
–自分自身で楽しみというのは、かなり仕上がりが良いという証拠にもなりますよね。
松本 それもありますし、どれだけ自分が成長しているかが本当に分かる試合だと思うので、それが本当に楽しみです。
–この1戦について、周囲の選手やジムの会長はどんな風に見ていますか?
松本 大樹さんは僕が負けるとか全く思っていないし、2人で練習したりめちゃくちゃ期待はしてくれていると思います。プロ練の後に僕が大樹さんに連絡したら、時間を割いてでもジムに来てくれて、2人で練習したりとか、この期間でやってきたので、そこを恩返しという意味でも結果で返したいです。
–大樹会長もその辺は熱いですね。
松本 めちゃくちゃ熱いですね。スケジュールが入っていても「確認するわ」と言って、時間を空けて来てくれるので感謝しています。
–YA-MAN選手や常陸選手など、ジムの選手からも声はかけられていますか?
松本 毎日練習しているので、沢山アドバイスをいただいています。「今日はこれが良かったよね」とか「これがあまり良くなかった」とか、毎日しっかり指導してくださるのでありがたいです。
–自身のSNSでは「下馬票を覆すぜ」と力強い言葉を残していましたが、書いたのは覚えていますか?
松本 そんな事言ってましたっけ笑。忘れてしまったんですけど、周囲の皆さんは絶対に数島大陸選手が勝つと思っているので、その期待を良い意味で裏切りたいですね。
–以前のインタビューで、松本選手の実家の方は石川県の災害の被害はないと話していましたが、能登半島ではまだ災害で苦しんでいる方がいらっしゃると思います。そういった方々に、自分の試合を通して励ましたいという気持ちはありますか?
松本 それはもちろんあります。僕の試合を見て少しでも勇気を与えたいので、ちょっとでも良いから「頑張ろう!」って思ってもらえたら嬉しいです。
–試合の直前ですから趣味のパン屋さん巡りはお預け状態ですよね?
松本 そうなんですけど、普通に減量も順調ですし、あまり食べないようにしています。爆食は試合が終わってからの楽しみなので、ほどほどにしています。
–今はほどほどだけど、試合が終わってからの数日間はチートデーになるという事ですね。
松本 ずっとチートデーをしちゃうと思います。
–試合に勝ったら「このパン屋に行ってこれを食べる」とかも決めているんですか?
松本 行きたいパン屋さんは決まっています。行った事がない所に行ってみたいので、早く試合が終わってほしいです。
–今回の試合を待ち侘びている、松本選手のファンとRISEファンの皆様に熱いメッセージをお願いいたします。
松本 今回は自分自身2度目のメインイベントになるのと、相手が格上の数島選手でリベンジマッチというのが大きい壁なので、周りの皆さんの期待を良い意味で裏切って、インパクトのある勝ち方をしたいと思います。応援よろしくお願いいたします。
■松下武蔵インタビュー『技の引き出し、スピード、いろんな点で注目してもらいたい』
‐‐10代最後の試合になりますね。
松下 はい、そうです。
‐‐10代、名残惜しさとかありますか?
松下 そこまでではないかな。もうちょっと10代で試合したかったなという気持ちはあります。
‐‐年内はあと何試合ぐらいやりたいですか?
松下 今回含めて6試合はやりたいですね。
‐‐今年は去年よりももっと試合がしたいという感じになりますね。
松下 そうですね。今年は2ヶ月に1回ぐらい戦いたいなと思っています。
‐‐年間6試合というとかなりハイペースになりますね。
松下 戦えるならいっぱい戦いたいですね。
‐‐今年、おみくじ引いたら大吉だったみたいなんで、願いは叶えられそうじゃないですか。
松下 ははは。SNS見てくれてますか!?久しぶりの大吉が出ました。多分人生2回目くらい。
‐‐2025年いけるんじゃないかと思いませんでした?
松下 いろいろと年始めからいいことがあるので。
‐‐その流れにあやかって今回もオートー・ノーナクシンを飲み込むって感じになりますね。
松下 今年はいい年になるんじゃないかなって思います。
‐‐今回の対戦相手のオートーはムエタイがベースの選手ですけど、対ムエタイって部分ではどうですか?
松下 そんなに苦手意識はないです。
‐‐なぜそう思える?
松下 僕なら問題ないです。
‐‐自信満々ですね。
松下 仕上がりもいい感じなんで、準備期間が長い分練習もいっぱいできてます。
‐‐準備期間はやっぱり長い方がいいですか?
松下 長すぎてもちょっと集中が続かないですけど、準備期間1ヶ月ぐらいが自分の中でベストです。
‐‐今回は長い準備期間の中でどんな試合を見せたいですか?
松下 10代最後の試合なので、上の世代の方だともっと試合してる人たちがいたと思うんですけど、やっぱりその人たちよりも頭一つ抜けてる10代だったなって思われるような試合をしたいです。
‐‐この試合に勝って、4月にきちんと20歳を迎えたいということになる?
松下 誕生日の日にRISEの後楽園大会があるんですよ。
‐‐それを願ってるってことですね。
松下 ゆっくりしたいという気持ちありますけど、誕生日で試合ってどうなんだろうと思って。そのペースでいけたら本当に2ヶ月1回ぐらいでできるのかなって自分の中の頭ではあるんですけど。
‐‐今、松下選手が戦ってるRISEバンタム級戦線ですけど、 やっぱり上を見たらそうそうたる面々じゃないですか。今、現時点でチャンピオンの大﨑孔稀選手の背中はかなりはっきりと見えてますか?
松下 見ていますね、ずっと。機会があれば、今年戦いたいです。
‐‐そのためにどんどんキャリアを積んで、白星を重ねてランキングを上げていくっていう期間ですね。
松下 そうですね。本当にそいう時期なのかなと思っています。
‐‐1位(鈴木真彦)、2位(加藤有吾)、3位(大森隆之介)の面々はどうですか?
松下 加藤選手には今年中にリベンジしたいですけど、自分の中ではすごい想いがあって、鈴木真彦選手のタイトルマッチを中学生の時に見ていて、その時に将来RISEに出たいって決めてたんです。RISEに出て、鈴木雅彦選手の階級でタイトルマッチをやりたいって。鈴木選手と戦って自分がベルトを取りたいっていう思いが凄くあったので、鈴木選手にはベルトを取り返してもらって、僕はそれを取りたいっていう気持ちが強いです。凄くリスペクトしていますし、大好きな選手なので。
‐‐チャンピオンに帰り咲いた鈴木選手からベルトを取って世代交代を果たしたいんですね。
松下 今の大崎選手からベルトを取るのもあんま変わんないって変わんない話なんですけど、なんか思い的には鈴木選手から取りたいっていうのがあります。昔から好きだったので。
‐‐1年以内にはありますかね、そのマッチメイクが。
松下 そこまで行きたいですね。勝ち続ければチャンスはあるのかなって思っています。
‐‐今回のこのオートー戦は、松下さんのファンの方々はどんなところに注目したらよろしいですか?
松下 そうですね、今はボクシングにも通っているんですけど、パンチのテクニックも上がってきているので、技の引き出し、スピード、いろんな点で注目してもらいたいです。
‐‐SNSに上げてるシャドーボクシングとかを見たら、ハンドスピードがかなり際立って早いなっていうふうな感想を持つんですけど、そこはかなり自信がある感じですか?
松下 別にこれと言って理由があって載せているわけではないんですけど、スピードはトップの選手たちにも全然負けないのかなって思います。
‐‐今回のオートー戦もハンドスピードで圧倒したいという気持ちはありますか?
松下 どんどんレベルアップしてる自分を見せていきたいです。
‐‐最後にファンの方々に熱いメッセージをお願いいたします。
松下 2025年は去年よりもレベルが上がった自分を見せられると思うので、ぜひ楽しみにしていて下さい。
対戦カード・大会概要
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