数島大陸 インタビュー
『フライ級の王座を取り返すにはこの試合は大事だと思う。自分が1番楽しんで暴れてやろうと思っている。“キックボクサーは泣かないぜ”』
–体の仕上がりはいかがですか?
数島 めちゃめちゃ良いですよ。(前回の敗戦から)吹っ切れているのでめっちゃ気楽です。
–去年の12月にDEEP☆KICKで、後輩の選手のセコンドに付いていた時の表情を見たら、やはり落ち込んだ表情をされていましたね。
数島 結構落ち込んでいましたね。
–こっちから声をかけづらいような負のオーラが出ていました。そこから立ち直るのは大変ではなかったですか?
数島 すごい落ち込んだけど、逆にその時に同じジムの吉岡がベルトを獲ってくれて、そこで吹っ切れたというか本当に自分のことのように嬉しくて「このまま落ち込んでいても仕方ないわ」と思えたので、あの試合ですごい元気をもらいました。
–後輩の吉岡選手がチャンピオンになったおかげで、自分もパワーをもらったという感じですか?
数島 それが大きかったですね。
–後輩がこんなに頑張っているんだったら、落ち込んではいられないという感じでしょうか。
数島 そうですね。しかも同い年なんですよ。もう1人いる近藤大晟も同い年なんです。歴でいうと後輩になるんですけど、年齢は同級生なので、お互いに刺激し合って高めていってる感じがあるんですよ。やっぱり仲間の勝利を見ると「俺も負けてられへんな」っていうライバル心が出てきました。
–及川道場の今のキーワードは22歳トリオなんですね。
数島 22歳が3人いるのでそうなりますね笑。アマチュアですけど後輩はみんな10代ばかりなので、すごい刺激をもらっています。
–そうなると道場では22歳で年上の方になるんですか?
数島 そうです。なので今及川道場では選手の中だったら22歳が最年長です笑。
–じゃあ道場の中ではベテラン扱いになるんですね。
数島 初めたては1番下だったんですけど、気づいたら1番上になっていましたね。
–先ほど泰良選手の話を聞きましたが、7年前に及川道場に出稽古をしにいった時は、まだ数島選手が中学生の頃だったそうで、大人だから手加減をするつもりだったけど、十分強かったと話していました。
数島 それはお世辞で言っていると思います笑。
–けど7年前から強かったんじゃないですか?
数島 それは及川先生の指導が良かったんだと思います。その通りにやっていったら自ずと結果もついてきたという感じだと思います。
–今指導されている及川さんも、現役時代には負けても復活するっていうのを何度かやられていたと思うので、そのノウハウを持っていると思います。それを授けられたりはしましたか?
数島 及川先生も初防衛戦の時はKO負けをしているらしくて、そこからもう1回立ち上がってチャンピオンになったと言っていたから、「どこまで先生の後を追っているんだろう」と思っていました笑。だからそういう実体験の話も「そういう時はどんどん自分から攻めた方がいい」とか気持ちの持ちようとかも、先生が体験していることだからこそ的確なアドバイスをくれたので、自分の次の試合に関してはすごい良いコンディションとメンタルで挑めています。
–記者会見から日数が経ちましたが、松本天志選手のイメージに変化はありましたか?
数島 変わらずですね。フライ級の選手たちとの対戦は2回目に入ってきているので、いずれかまたやるだろうなと思っていたので、初めからのイメージは全然変わらないです。
–前回戦った時から数島選手も松本選手も進化をしていると思うのですが、松本選手はどういった部分が変わっていると思いますか?
数島 細かい所で言うと戦略とかが入ってくるんですけど、全体的にレベルが上がっていると思います。モチベーション的にもそうだし、最近の試合では倒すことが多いので技術面もそうだし。1年前に戦った時より全体のレベルが上がっていると思います。
–全体のレベルは向こうも上がっているけど、それを上回るレベルアップをしている最中ということでしょうか?
数島 自分もベルトを獲った後に何度か試合をして、それで前回負けたことによって得られるものってやっぱりすごく大きかったんですよね。勝って得るものより負けて得たものの方が、自分にとってはすごくプラスになる事が多いので、あの負けをプラスに使えているなと思っています。
–そうするともう“キックボクサーが泣く”ことはないですね。
数島 前の試合も泣いていないはずなんですけど、映像を見ると泣いているように見えたので、次からはもう泣くことはないです。
–では数島選手の決めゼリフも次の試合から復活できますね。
数島 最近はどっちやねんっていう声があると思うので、完全復活という事になりそうです。
–最後に決めゼリフと共に、熱い決意表明をお願いいたします。
数島 2025年、1発目の試合で松本選手という強い選手を当ててもらいました。また僕がフライ級の王座を取り返すにはこの試合は大事だと思うので、自分が1番楽しんで暴れてやろうと思っているので、皆さん応援をお願いいたします。“キックボクサーは泣かないぜ”。
泰良 拓也 インタビュー
『(スーパフェザー級は)パッとしない印象があった、掻き乱すだけじゃなくて自分がチャンピオンになる』
–RISEに出るのはいつ以来になりますか?
泰良 7年前の藤田大和戦以来になります。
–超久しぶりって感じですね。
泰良 久しぶりすぎて「初参戦おめでとう」みたいなDMが来たりするんですけど、元々RISEに出てるんですよ笑。
–元々RISEファイターだったけれど、他の団体でチャンピオンになって活躍していた事で、RISEに出ていたことを忘れられていたってことですね。
泰良 そうですね。だからずっとTwitterとかインスタのプロフィールのところに『RISEファイター』って書くくらいRISE愛があったんですけど、違う団体のチャンピオンになって、その肩書を書いたタイミングでRISEファイターを消したんですよね。チャンピオンになる前までは、『RISEフェザー級何位』って書いたりもしていたんですけど全て忘れられました。
–もう一度再構築するということになりますね。
泰良 RISEファイターとして、RISE愛もあってずっと試合に出たかったので頑張ります。
–今度の試合で、そのRISE愛を爆発させる自信はありますか?
泰良 7年ぶりだし、最後RISEで負けたのも後楽園ホールだったので、そこから強くなったということを見せられる自信があります。最後にRISEに出たのが2018年3月の大会だったんですけど、“2017年はルーキーズリーグ”っていうのに出ていたんですよ。それで年末にランカーに勝ってランキング入りして、1発目が藤田大和選手で負けてしまいました。ランカーになって1発目の試合でまだまだ全然弱かったんですけど、そこから7年間しっかりキャリアも積んだので、強い姿を見せられるんじゃないかなと思います。
–まさにその7年前となると、及川道場に出稽古に行った時には、元チャンピオンの数島大陸選手はまだ中学生くらいでしたか?
泰良 中学生だったんですよ。数島大陸くんも有井渚海くんも。その頃から2人ともめちゃくちゃ強かったです。
–そんなに強かったんですか?
泰良 及川さんに「この子ら中学生だから手加減してあげてね」って言われて、大人だし手加減してあげようと思ったらめちゃめちゃ強かったんですよね。
–7年前からその2人が上がってくる事は予感していたんですね。
泰良 強いなとは思っていました。
–今度はRISEのスーパーフェザー級戦線に乗り込むわけですが、今のスーパーフェザー級戦線を見てどうですか?
泰良 顔ぶれを見て、強い選手が集まっている割にはそんなに盛り上がっていないなっていう印象があります。1月大会の常陸飛雄馬vsエン・ペンジェーの試合は盛り上がっていたし、面白いなと思ったんですけどパッとしない印象があったので、掻き乱すだけじゃなくて自分がチャンピオンになりに来たので、そのための生贄になってもらおうかなと思っています。
–今回対戦する藤井選手の印象はいかがですか?
泰良 名前や試合も流れてきて見ていたので、名前はちょっと知っているかなっていう感じですね。何でもできるオールラウンダーって感じの印象です。
–(藤井は)ボクシング出身という部分は意識されますか?
泰良 特に意識はしていないですけど、僕もパンチが得意なので、パンチでも倒せるんじゃないかなと思っています。
–何ラウンドくらいに倒す機会が訪れそうですか?
泰良 1ラウンドくらいですかね。倒れると思いますよ。
–フィニッシュブローまで予告できますか?
泰良 流れになると思います笑。ただ、2年前の20周年のメモリアル大会で、先輩の麻原さんが左フックで倒して大会に花を添えているんですよね。だから同じ左フックで仕留めたらかっこいいなと思ってます。
–パウンドフォーパウンド繋がりでという事ですね。
泰良 左フックでKOのタスキを繋げれたらドラマやなと思います笑。
–今回の藤井戦を足掛かりに、今年はどこまで行きたいですか?
泰良 伊藤代表が会見で「年内にスパーフェザー級の王座を決めたい」と話していたので、元々は2年くらいで獲りに行けたらいいなとは思っていたのですが、ちょうどチャンピオンも空位になったので、まだ2月なので4試合はできると思うので、ランカー達をどんどん倒していって年末くらいにトーナメントの決勝がある前座くらいでタイトルマッチをやりたいです。あと天心がロッタンと世界タイトルマッチをした、その前座でフェザー級の日本タイトルマッチで森本“狂犬”義久vs工藤政英をやっていたんですけど、その図式で行けたらいいなと思っています。世界最強の61.5kgを決める前座で、60kgの日本一を決める試合ができるところまで狙っていきたいと思います。
–今回の1戦はパウンドフォーパウンドの武蔵さんとかTOMOさんは、どういう風に見ていますか?
泰良 先週も練習させてもらったんですけど、「自分の力を出せれば勝てる」と言われているので、自分の先輩達が戦ってきた選手とか自分はどういう人たちと過ごしてきたとか、そこは自信を持って言えるので、自信持ってリングに上がりたいと思っています。
–関西ではどの辺を拠点に活動しているんですか?
泰良 練習は和泉市にあるBEAST GYMという所で練習しているんですけど、3年くらい前に原口選手と戦ったロンペットという選手がそこのトレーナをしているんですけど、そこで見てもらっています。
–今回もロンペットさんがセコンドに付くんですね。
泰良 心強い味方です笑。
–今回の泰良さんの口調からしたら、ものすごくモチベーションの高さを感じますね。
泰良 今年は絶対にRISEのベルトを獲るって、スーパーフェザー級のベルトを獲るって決めて過ごしてきて、ちょうど1月23日くらいに話をもらって試合が決まって、「流れが来てるな」って思ったんですよね。3月は流石にエルドラドに出れないし、出れて4月ってなったら3試合しかできないなって思ったんですよ。だから2月に試合が決まったのは、流れが来ているなと思ったんですよね。
–RISEを離れてからの7年間は決して無駄ではなかったということを、今回証明することになりますか?
泰良 間違いないです。相手はボクサー出身で、RISEで最後に負けた藤田大和もボクサーなので、以前との違いを見せられたらなと思います。
–最後に泰良選手のRISE愛をぶちまけてください。
泰良 デビューする前から、ずっとRISEのベルトを獲りたいと目標にしてやってきました。途中は違う道も歩んだんですけど、RISEという舞台に戻ってきて、自分の中でRISEのベルトを獲るってうのは、獲らずに現役選手を終えるっていうのは考えられなかったので、絶対にRISEのベルトを獲ります。またそこから新しい自分をRISEで見せていけたらなと思っています。
「IBGメディア presents RISE186-RISE 22th Memorial event-」宮原華音×小林愛三インタビュー
原華音×小林愛三 対談インタビュー
小林愛三『(今回のテーマは)1ラウンド目からスター状態、勝つだけではなくとにかく内容を重視してどう勝つか』
–日本の女子キッボクシング界を牽引してきている小林愛三選手と今日実際に拳を交えてみていかがでしたか?
宮原 正直にいうと怖かったです!笑。怖いというか、軽くやってくれているのは伝わるのに、ローを当てられただけで足が飛んでいっちゃいそうになるんですよ。「うっ!」って何回かなりました笑。52kgの同じ階級で試合に出ましたけど、全然違うなと正直思っちゃいますね。
–それほど力強さが伝わったんですね。
宮原 そうですね。あとは私が攻撃をしている間に1発入れられているので、なぜか自分が攻撃しているのに当たってる事が多々ありました。
–宮原さんと実際に手を合わせてみて小林選手はいかがでしたか?
小林 最後まで目が強いというか、「あ、(修羅場を)くぐってきてやってきてるんだな」って勝手に思ってしまいました笑。やっぱり目から人の感じは出ると思うので、そこが力強かったですね。
–それは空手の試合をずっとやってきている経験もあるんですかね?
小林 そうだと思います。
宮原 めちゃくちゃ嬉しいですね。
–こうやってお二人がお話しすることは初めてですか?
宮原 RISE STUDIOに来ていただいた時に、私が個人的に好きなので担当の回じゃなかったのに生で聞きに行きました笑。
–普段はRISEの会場で会うくらいですか?
宮原 会場で会ったらご挨拶させていただくという感じです。
–宮原さんは今RISEでアンバサダーを務めていただいていますが、普段試合を見ている小林選手と話してみていかがですか?
宮原 SNSでもそうですけど、言葉遣いがすごく丁寧でお話しの仕方とかも柔らかいのに、やっぱり試合になるとキリッと変わりますよね。オープンフィンガーグローブマッチ(以下OFGM)をしていた時、めちゃめちゃびっくりして、戦い方もそうですけどトップ戦線をずっと走っている選手なんだなっていうのを感じました。だから話してみてギャップがすごいです。
–OFGMでの小林愛理奈選手との激闘はみんな印象に残っていると思います。
宮原 すごくカッコ良かったですし、これだけ頑張っている人たちがいるなら、私ももっと仕事とか頑張らなければなって素直に思いました。
小林 私は宮原さんのSNSを見ると、いろんな分野で活躍されていて、格闘技では1RKOという衝撃的な結果を出していて、そういう所で格闘家としても負けられないなっていう気持ちが強くなっていて、良い意味で刺激になっています。
–お話に出たOFGMでの小林愛理奈選手との試合以降、約9ヶ月ぶりの試合になりますが、この間の期間はどんな9ヶ月間でしたか?
小林 絶対に勝たなければいけない試合だったからこそ、52kgで今後どういう方向で挑んでいくかを考えた期間でした。あとは格闘技と自分自身に向き合ってきた期間だと思います。
–試合の後、顔が腫れたまますぐに合宿に向かっていましたよね。あれが結構衝撃的でしたけど、前を向いて次に向かっているんだなという印象も受けました。落ち込むというよりは「練習しなければ」という感覚だったんですか?
小林 そうですね。負けた瞬間はやってやるって、負けたら絶対にどんな状態でも行こうと決めていたので、「これからどうしていこうか」って考えるようにもなっていました。やっぱりキーポイントとなったのは、小林愛理奈選手とテッサ選手の試合で、それを見た時にさらに火が付いたというか。やっぱりもう一度あのベルトを手に入れたいという思いがあります。
–2人のタイトルマッチを見て、「テッサ選手とやり合えるのは私しかいない」という気持ちが出た?
小林 小林愛理奈選手とテッサ選手の試合もすごく盛り上がって、また違う盛り上がり方ですごく熱かったんですけど、やっぱりあそこを越えていきたいと思いました。この先の選手たちにとっても、自分がこのまま終わっていたら示しが付かないですし、稼げるようなトーナメントを開催してもらいたいからこそ、自分がベルトを巻き取って発言権を得てから、女子でもファイトマネーとトーナメントの賞金で稼げるような道を作れたら良いなと思っています。
–トーナメントというお話がありましたが、去年の年末は-65kgの世界トーナメントが開催されてすごく盛り上がった大会になりました。あれを見て選手としては悔しいという気持ちになりましたか?
小林 男子の選手でできている事は、女子の選手たちでも体現したいと思っています。女子選手ならではの表現の仕方もあると思いますし、刺さる層も男子選手とは違うと思うので、そういう方達に届けたいですね。
–今回はそんな中で、4年前にも1度対戦をして勝っているKOKOZ選手との対戦が決まりましたが、この試合が組まれた時の心境はいかがでしたか?
小林 YAYA選手とKOKOZ選手が戦って、勝った瞬間にKOKOZ選手とのオファーが来るって思っていました。再戦という形にはなっていますけど、成長具合だったりやってきている事も変わっているので、全く違う人と戦う感覚です。
–KOKOZ選手は現在もタイで練習していて、ムエタイスタイルの選手ですけど、そういう選手にはどういった対策をしていますか?
小林 NEXT LEVEL渋谷の男子選手はムエタイ上がりの方も多いので、男子選手に相手をしてもらったり、あとはやりたいことが大体同じスタイルなので、いかに自分がやりたいことを貫き通せるかっていうのが一つの山になるかなと思っています。
–会見の時も「選手としてやりたいことが似ている」という様な発言がありましたが、具体的にはどういった部分が似ているポイントになりますか?
小林 プレッシャーをかける時に強くて、逆にプレッシャーをかけられると相手の流れになりやすいという、長所と短所が似ているので、攻撃の仕方はお互い変わっているとは思うんですけど、そこの出し合いになってくるかなと思っています。
–その辺りどの様な練習をしていますか?
小林 相手の攻撃に対して対応はするけど、受け入れちゃうと一歩先に回られて後をつけられちゃうので、相手の流れになってしまわないような練習をしています。
–作戦が重要になってくる試合になりそうですね。
小林 はい。
–ここ最近の小林選手の試合はパンチが主体になっているような印象があります。以前はミドルキックを蹴って試合の展開を組み立てている様なイメージがあるのですが、それはRISEで戦ってきてRISE用のファイトスタイルに進化してきているのですか?
小林 自分がやりたいスタイルというのが、自然とRISEのスタイルになってきています。
–RISEのスタイルを突き詰めてきた結果が“今”の小林選手の戦い方なんですね。
小林 ポイントで勝つスタイルも魅せる部分が多くて面白いですけど、そうではなく圧をかけながら詰めていくっていう戦い方に自分の中では理想があって。ちゃんと効かせて倒すっていうことをやりたいです。
–神村エリカさんと一緒に練習をされていますけど、神村さんもすごく倒す選手だったので、そこに求めている理想があるんですか?
小林 神村エリカさんの“倒しにいく”っていう考え方と格闘技に対するマインドがすごく好きで、話を聞いていると自分のやりたい理想像とマッチするので、自分が足りない部分はどういう所だとか、どうしていったらそういうスタイルに一歩進めるのかを教えていただいています。
–前回の会見で「マリオのスター状態で戦う」という事を言っていましたが、その発言にはどの様なきっかけがあったんですか?
小林 ちょうど神村エリカさんにそういう風に言っていただいていて、だからこそスターの状態をいかに長く最初からできるかというのを、一緒にトレーニングしていく中で教えてもらっています。
–”スター状態”っていわゆるゾーンに入っている状態の事だと思うのですが、宮原さんは気持ちのスイッチの入り方とかゾーンに入った状態って空手などを通して経験された事はありますか?
宮原 私は小学生で空手をやっていた時に、道場と父の教えが“優勝以外は負け”っていう、「誰かに負けている時点で1回戦で当たるか2回戦で当たるかの違いだけだよ」って言われていたので、勝つことしか考えていなかったんですけど、自分が出せない技とかが綺麗に出せる“ゾーンに入っている時”がたまにあって、その状態の時って疲れなかったり、なぜか相手の動きが少しゆっくりに感じたりする時があったんですよね。それを今“スター状態”って言われたらすごく分かりやすかったし、「今スター状態になってるかもしれない」って感じられたら見ているファンも楽しみになるなと思いました。選手が戦っている時にどんな事を考えているかって、ファンからしたら分からないと思うので、今の話を聞きながらゾーンに入っている瞬間が楽しみだなと思いました。私に関して言うと、勝つことしか考えずに対策も取ったことがなかったので、自分が強くなればいいと思っていました。
–宮原さんは自分のスタイルを突き詰めて、自分らしい試合をしていくというところだけを考えていたわけですね。
宮原 ワンツーと前の回し蹴りの3つしかないスタイルでした笑。
–それも一つの考え方ですよね。
小林 どんな相手にも自分を貫くっていうのは、1番強い人の考え方ですよね。
宮原 考え方なのか、それしかできなかったのかは微妙なところですけどね。小林選手のお話を聞いていると、色んな事を考えて練習して、経験されているんだなと思いました。
–小林選手は競技をやっている上で、心身ともに充実しているなと感じる事はありますか?
小林 もちろんその日その日で自分の体調だったり感覚も違うんですけど。だからこそ今日できた事とできなかった事を次の日にどうするのかってしっかり向き合うと、一歩進化できているって感じられて楽しいんですよね。あとは神村エリカさんとのトレーニングの時に、最後はめちゃくちゃ追い込みをしていたんですけど、追い込み切った後の限界を超えた自分と出会えた時がすごく清々しくて。それに興奮してそういう風に感じている自分がドMだなって思いました笑。そういう所に喜びを感じられているというか、「今日も一歩越えたぜ」っていうのが自信になっています。
–どんどんプレッシャーを自分に課していってるんですね。
小林 前回は一息で行けなかったところを行けた時とかは、終わった後“よっしゃー!”って思いますね。
–今回復帰戦を迎えるにあたって、ご自身で決めているテーマはありますか?
小林 まさに『1ラウンド目からスター状態』っていうのが目標になっています。
–じゃあゴングが鳴った瞬間から行くって決めているんですね。
小林 行き方は色々考えているんですけど、スターのまま戦い抜くっていうのを第一に考えています。
–今回のKOKOZ戦をクリアしたら、「内容次第だけどタイトルマッチもあり得る」と伊藤代表も仰っていましたが、そこが1番の目標になりますか?
小林 客観的に見た試合を通しての目標としては、“勝つだけではなくてとにかく内容を重視してどう勝つか”っていうところがすごく見られる部分だと思うので、そこにこだわっていきたいからこそ、1ラウンド目からスター状態になれると自ずと結果も出てくるかなと思っています。
–今日話してみて、宮原さんから小林選手に聞いてみたい事はありますか?
宮原 トップ戦線を走り続けているじゃないですか。ずっと気を張り続けているのって難しい事だと思うんですけど、そのメンタル面はどうやって維持しているんですか?
小林 身近にいるサポートしてもらえる人とかに話を聞いてもらったり、あとは神村エリカさんのマインドとか、自分が「それそれ!」って思う感覚を持っている方とお話をするのがメンタルのリフレッシュになっていますね。あとは追い込み切った後の自分に会った時に整う感じがあったので、それが自分のやり方の一つとして軸になっています。
宮原 私は高校生の時にメンタルトレーニングの本を読んでいたんですよ。その本を読んでマインドコントロールするみたいに、「日本一になるためにはこれをしよう、あれをしよう」って決めたり日誌を書く部活だったので、それが今にも活きている部分があるんですけど、私は高校1年生の時にメンタルトレーニングで鍛えられたことがあるんですけど、それってやらないと知らないままじゃないですか。選手の皆さんは試合が決まらない時のモチベーションの保ち方とかをどうやって維持しているのかなと気になりました。
–小林選手はキャリアも重ねてきて、ジム内では引っ張っていく存在にもなってきていると思うのですが、その辺りについてはいかがですか?
小林 性格的に、引っ張るとかみんなをまとめるっていうのはできないタイプで、だからこそ結果を見せて自分がやっている事が強さに繋がるっていう事を見せたいと思っています。だからこそ女子で頻繁にトーナメントをさせてもらえるっていう状態が、今後の女子選手の活躍に繋がっていくと思うので、そういう土台作りを自分ができたら最高です。
–最後にファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
小林 こんにちは。いつも応援ありがとうございます。2月23日にスター状態の愛三をみんなに見てもらえたらと思います。ぜひ会場に来て応援をお願いいたします。
■宮原華音×登島優音 対談インタビュー
登島優音『ここで圧倒的に勝って、自分より上位の選手も倒して今年中にタイトルマッチまで行きたい』
–今日は取材という形で練習を見させていただいて、宮原さんには実際に登島選手とマススパーリングをしてもらいましたが体感してみていかがでしたか?
宮原 私は身長が170cmあるので、小柄な方が相手だと空手の時は距離感で対応することがあったんですけど、絶対に体格差はあるはずなのに入れない圧というか、速いし何もできなかったので全然違うなと思いました。
–登島選手はどうでしたか?
登島 ミドルか前蹴りをかすめた時に、めっちゃ宮原さんの腹筋を感じたんですよ。当たった時に「おっ!」って笑。あと不意のハイキックがタイミングが良くて驚きました。
–緊張感がある中でのマスでしたが、久々のマススパーリングはどうでしたか?
宮原 TARGET SHIBUYAには男性の選手しかいないので、雰囲気が違うというか女子選手ならではの圧というかテクニックを感じて、皆さんこれを普段ずっとやっているのかと思うと本当にすごいなと思いました。
–男性の中に混ざって練習をしていると、女性の選手が沢山いるような環境は全然違う印象ですか?
宮原 やっぱり男性の選手ってどうしても力が強いので、何割かの力でやってくれたり、スピードも遅くしてくれているんですけど、(登島選手は)速くて見えないし、気がついたら全部刺されている感じなので「ヤバい」って思いましたね。
–今日取材をするにあたって、登島選手と宮原さんの共通点を探していたら、元々ベースが空手という事と芸能関係のお仕事っていう事が共通点として出てきたので、そんな話題にも触れていきたいと思います。
登島&宮原 はい。
–登島選手は現在高校3年生でもうすぐ卒業ですか?
登島 3月で卒業になります。
–格闘家としての一面の他に、SNSやRISEのファンイベントなどでは歌っている姿を見た事があるのですが、宮原さんは見た事はありますか?
宮原 ファンイベントの時も見ていましたし、インスタの曲の方も聴いています。個人的にはファンとして、いつか自分の生歌で入場してくれないかなって、期待している部分もあります。
登島 嬉しいです。
–上手な歌声で心に響くものがありますよね。
宮原 そうなんですよ。歌詞一つ一つがジンっとくる歌い方ですよね。
–芸能活動っていう部分では登島選手はこういう風に活動していきたいなどのプランはあるんですか?
登島 いまSNSでの歌の発信も中途半端になってしまっているところがあるんですけど、やっぱり今はRISEのベルトを獲る事が1番の目標なので、それまでは格闘技1本でいきたいと思っています。もちろん歌もどんどんSNSで発信して、格闘技と歌のどちからでも知ってもらいたいなと考えています。
–宮原さんが試合に出た当時は、ラウンドガールと女優としての活動もしながら試合に出場されていましたが、本業をやりながら選手もやるという大変さは1番理解しているのではないでしょうか?
宮原 私はラウンドガールの中でどうやったら目立てるかを考えた時に、バックボーンである空手で皆さんと違う色を出そうと考えました。「もしこの中で試合に出れるとしたら私しかいない」って事で、すごく良い経験をさせていただきました。だからギャップという所で登島選手には失礼かもしれないですけど、可愛らしくて格闘技をやっているようには見えないから、色々な事ができるようになるとこれからが楽しみになりますね。
–宮原さんは伝統派空手で登島選手は極真空手をやっていたのですが、その違いはどの様な部分ですか。
宮原 極真空手の世界大会を見に行くと、同じ空手でも全然違うものって感じがしましたね。それをこんなに可愛いらしい子がやって、さらにプロでもやっていて。他の大会の時にアップしているのを他の選手たちが見ていて「あの蹴りやばいよね」って噂になってるんですよ笑。この見た目から出るパワーは本当にすごいですよ!
–前回の試合は台湾のワン・チンロン選手との試合でしたが、あの試合を振り返ってみていかがですか?
登島 リーチ差を結構感じたんですけど、そのリーチの長い選手の中に入ってどう攻撃するかという練習を、ジムの皆も付き合ってくれました。結果は入れたり入れなかったりでギリギリの試合だったんですけど、次の試合では圧倒的に成長した姿を見せたいなと思っています。
–次に対戦する夢空選手の試合映像はチェックしている思うのですが、どんな印象を持っていますか?
登島 1番は気が強い印象がありました。中に入っても上手いし組んだ中でも攻撃を出してくるから、そこは上手く空かして合わせたりとか色々考えています。
–夢空選手はRISE185の計量でもすごく気合が入っていて、FACE to FACEで勢いよく相手に向かって来ていましたが、あれをやられたらどうですか?
登島 逆にピースするかもしれないです笑。
–そこは自分の色を出すんですね笑。
宮原 見たいですね笑。
–試合の面で警戒してる部分はありますか?
登島 夢空選手はサウスポーで私はオーソドックスなので、外を取られると綺麗にストレートが伸びてくるので、そこを警戒しながら攻防を組み立てていきたいです。
–現時点で相手より勝っている部分はありますか?
登島 スピードと気持ちの部分も自分は鍛え上げてきているので、そこは勝っていると思います。
–今年初めての試合になりますが、今年1年はファイターとしてどんな1年にしていきたいですか?
登島 ここでしっかり圧倒的に勝って、自分より上位の選手も倒していって、今年中にタイトルマッチまで行きたいなと思っています。
–前回のRISE185で勝利したランキング1位の宮本芽依選手や王者の小林愛理奈選手などの強豪な選手がいる中で、トップ選手と現在の登島選手ではどのような差があると考えていますか?
登島 小林選手も宮本選手もパンチが上手というのが共通点で、自分もパンチを練習しているんですけど、自分にはまだフィジカルが足りないと思っています。なので、もっとフィジカルも鍛えていけたら2人にも通用するかなと考えています。
–現在3位まできていますが、その2人の背中は見えてきていますか?
登島 見えてきています。
–昨年は4試合されていますが、今年もそれくらいの試合数をやっていきたいですか?
登島 そうですね。どんどん経験を積んでやっていきたいです。
–いま戦いたい選手はいますか?
登島 やっぱり小林選手と宮本選手が上にいて、宮﨑若菜選手がドローで終わってしまっているので、リベンジして倒してから宮本選手にいきたいです。
–そこは飛び級ではなく、しっかり実績を積んでいきたいわけですね。
登島 一人一人に勝っていきたいです。
–宮原さんから登島選手へ聞いてみたい事はありますか?
宮原 山崎秀晃選手がセコンドに入っているのを見るんですけど、2人の出会いはどういう経緯か知りたいです。
登島 元からK-1の試合を見ていたんですけど、最初はお父さんと山崎選手の繋がりがあって、山崎選手の戦い方とかも好きだったので1回練習を見てもらったのがきっかけでした。教え方も上手くて、山崎選手のスタイルのように自分も倒せる選手になりたいというところが始まりで今も教えてもらっています。
–理想としては山崎選手の様に倒せる選手を目指していきたいわけですね。
登島 倒せる選手になりたいです。
–最後に2月23日のRISE186に向けて、ファンの皆さまにメッセージと意気込みをお願いします。
登島 前回の試合よりもさらに進化した姿を次戦で見せれるように頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。
■ IBGメディア presents RISE186 -RISE 22th Memorial event-
日時:2025年2月23日(日) 開場17:00/開始17:15予定
会場:東京・後楽園ホール
<第11試合 メインイベント フライ級(-51.5kg)3分3R延長1R>
数島大陸(及川道場/同級1位 第2代RISEフライ級王者)
vs.
松本天志(TARGET SHIBUYA/同級2位)
<第10試合 セミファイナル フライ級(-52kg)3分3R延長1R>
小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/同級1位 初代RISE QUEENフライ級王者)
vs.
KOKOZ(TRY HARD GYM/同級3位 初代スック・ワンキーントーン女子スーパーフライ級王者)
<第9試合 バンタム級(-55kg)3分3R延長1R>
松下武蔵(GOD SIDE GYM/同級8位)
vs.
オートー・ノーナクシン(ノーナクシンジム/元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級6位)
<第8試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R>
寺山遼冴(ARK FIGHT GYM/同級13位 第3代DEEP☆KICK-53kg王者)
vs.
礼司(楠誠会館/JAPAN CUP KICKバンタム級王者)
<第7試合 スーパーフェザー級(-60kg)3分3R延長1R>
藤井重綺(Team+1/同級6位 STRIKE NEXUS初代スーパーフェザー級王者)
vs.
泰良拓也(パウンドフォーパウンド/第4代HOOST CUPフェザー級王者 第5代HOOST CUPライト級王者)
<第6試合 スーパーライト級(-65kg)3分3R延長1R>
田中佑樹(フリー/同級11位)
vs.
森本現暉(猛者連精華支部華一門/同級13位 JAPAN CUP KICKウェルター級王者)
<第5試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R>
上村雄音(BK GYM/第6代DEEP☆KICK -53kg王者)
vs.
星拓海(IDEAL GYM/スックワンキントーン バンタム級王者)
<第4試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R>
白石舜(TEAM TEPPEN/同級13位)
vs.
SAIGO(TARGET SHIBUYA)
<第3試合 ミニフライ級(-49kg)3分3R延長1R>
登島優音(NEXT LEVEL渋谷/同級3位)
vs.
夢空(Croire/同級6位)
<第2試合 アトム級(-46kg)3分3R>
島田知佳[はるか](team VASILEUS)
vs.
岩永唯伽(OISHI GYM)
<第1試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R>
白鳥光希(正道会館KCIEL)
vs.
岩永勝亮[しょうすけ](OISHI GYM)
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