[Fightドキュメンタリー劇場58 ]小林邦昭を偲ぶ 全日へ転出1985年 NWAインターナショナルjr.王者

[ファイトクラブ]先行公開 [週刊ファイト9月19日号]収録

[Fightドキュメンタリー劇場58] 小林邦昭追悼
▼小林邦昭を偲ぶ 全日へ転出1985年 NWAインターナショナルjr.王者 
 by Favorite Cafe 管理人
・1985年、NWA・インタ・ジュニア選手権王者、小林邦昭
・絶好調、キッド、二代目タイガー、リーガルとの連戦
・「NWAジュニア・ヘビー級王座統一戦だ!」新日コブラへ呼びかけ
・長州、ジャパンプロ社長就任。団体の垣根をぶち破れるか
・小林邦昭、三沢タイガーにシングルでフォール勝ちの実績
・ジャパンプロレス時代、毎週のように小林を取り上げた本誌


 小林邦昭の訃報が届いた。小林邦昭は初代タイガーマスクのライバル「虎ハンター」として、人気を博しました。そして、初代タイガーマスクの突然の引退。翌1984年、小林邦昭は長州力と行動を共にし、ジャパン・プロレスに参戦。戦場を全日本プロレスのリングに移した。

 全日本プロレスのリングでは、ダイナマイト・キッドを撃破してNWA・インタ・ジュニア選手権を奪取。初防衛戦では、二代目タイガーマスク(三沢タイガー)の挑戦を受けた。デビューから快進撃を続けていた二代目タイガーから、初のスリーカウントを奪って勝利してV1。そして次の防衛戦では、スティーブ・リーガルを退けV2。
 さらにNWAジュニア・チャンピオンの防衛を続ける小林さんは、古巣の新日本プロレスのザ・コブラとジュニア・ヘビー級王座統一戦を呼びかける。
 小林さんの追悼の思いを込めて、当時の記事を振り返ってみたいと思う。

■ 週刊ファイト(1985年7月23日付け)より

「網打ち固めでリーガル捕獲」
 7月8日、長岡市厚生会館で行われたNWAインタ・ジュニア選手権戦。チャンピオン小林邦昭は「スタミナ不足」もあって、挑戦者S・リーガルに中盤、苦戦を強いられたが、後半、一瞬のスキをついて劣勢をはね返し、得意のフィッシャーマンズ・スープレックスでリーガルを撃破、V2にこぎつけた。

 「シリーズの出だしということもあるが、どうも気合いだけがカラ回りした感じだった」
 リーガルの挑戦を一蹴。NWA・インタ・ジュニア選手権V2をやってのけたとはいえ、試合後の小林邦は、表情も今ひとつパッとしなかった。前半、ローリング・ソバットとローキックを併用。これでもかこれでもかと、精力的にぶち込みながら、リーガルをなかなかピンチに追い込めない。

 いつもなら得意技のローリング・ソバットなど、二発もぶち込めば相手はたじろいでしまう。だが、その必殺打も「スタミナが不足していた」(小林邦)は今ひとつ。このため、打ち込む数も多くなり、逆に小林邦がフラフラ気味。これをリーガルが見逃すはずはなく、チャンス到来とばかり一気に反撃を開始した。体を一回転してぶち込んだ、リーガルのドロップキックは小林邦のアゴにヒット。横転したところへ、エルボードロップを二発。さらにブレーン・バスターとフロント・スープレックスで、たたみ込んだ。

 6月13日の古河大会で、試合功者ダイナマイト・キッドからインタ・ジュニア選手権を奪取した小林邦は、同21日の武道館大会(東京)では、楽勝ケースでタイガー・マスクの挑戦を退けた。
 その余勢で迎えたリーガルとのV2をかけた防衛戦。試合前、小林邦も「今日の相手に負けるようじゃぁ、ジュニアの“統一戦”もあったもんじゃないよ」と、はやばやとV2をほのめかしていた。
 だが、その「リーガルなんぞに」といった意気込みに「スタミナ不足」のため体が付いていかず、中盤戦などいつもの小林邦らしい小気味よい技の切れなど皆無。終始守勢一本ヤリで、リーガルに振り回された格好だった。

 それでも10分過ぎ、ローリング・ソバットでリーガルがたじろぐと一気に勝負をかけた。追い打ちのドロップキックで、場外に転がりでたリーガルにトペを敢行。
 エプロンからロープ越しのブレーンバスターに続き、とどめにぶちこんだフィッシャーマンズ・スープレックスが見事に決まり、方エビ固めで3カウントを奪った。

 だが「自分の思うように動けなかった」こともあってか「V2とはいっても、もうひとつスッキリせん」とうつむき、Vサインポーズの表情も硬かった。

 それでも同門対決となる8月2日、札幌での対保永戦の話になると「苦手な外人と違って、思い切りやれるから今日みたいなことにはならんだろう」と、ちょっぴり口もとを崩した。(週刊ファイト1985年7月23日付け より)

 「NWAジュニア・ヘビー級王座統一戦だ!」新日コブラへ呼びかけ 

■ 週刊ファイト(1985年7月9日付け)より

「ジュニア・へビー級王座統一戦やろう」
小林邦、コブラへ戦いのノロシ

 小林邦は「ジャパン・プロのリングでやろう」と言っているが、坂口は「8月1日の両国大会にやって来い」と一蹴した。こぶらはこの日、NWAジュニア・ヘビー級戦を行うが、挑戦者は未定。十中八九、クエッションマーク付きの挑戦者は越中とみられているが馬場が「きちんと筋を通して新日へ移るというのが筋だろう」と自説を曲げないため暗礁に乗り上げた矢先だった。

 小林邦の統一戦提案は、こうした新日プロ側のデッドロックを見越してのものでグッドタイミングと言えなくはない。6月27日をもって新日プロ、ジャパン・プロ間のトラブルは一切解消したことでもあり、このタイトル統一戦は実現の可能性大あり。おそらく小林邦が“刺客”として新日プロのリングに上がるだろう。コブラは8月1日で日本を離れるのだから、ジャパン・プロのスケジュールに合わせろというのはムリ。翌2日からジャパン・プロの「サマー・ドリーム・フェスティバル」が開幕するが、コブラが日本に居残ってジャパン・プロのシリーズに参加するとは思えない。既にニューヨークでのスケジュールが入っているからである。

 小林邦が口にした「NWAにジュニア・ヘビー級のタイトルが二つあるのはおかしい」は、それと知っていて言ったのであろう。
 小林邦が保持しているのはインタ・ジュニアで、全日プロがタイトルの中心に据えているインタ・タイトル(ヘビー級、タッグ、ジュニア・ヘビー級)の一つ。

 インタ・タイトルはNWAだけでなくWWFも本流とは別のもう一つのタイトル路線としており、NWAに二つのジュニア・へビー級タイトルがあるのは当然の話。
 もっともコブラは主流のレッキとしたNWA・J・ヘビー級王者であり、それが小林邦には気にくわないというところはあろう。

 馬場にしても「NWAの副会長でもあり・・・・・」といった発言をしている。コブラにNWAの主流タイトルを持たせておくのは・・・・・といったニュアンスの発言。大仁田のカムバック説もチラホラ出始めているし、全日プロには渕といったレスラーもいる。タイガーマスクはヘビー級に転向するから用なしとしても、ことNWAと名の付くタイトルは新日プロには要らんだろうとの考えは強い。WWF・J・ヘビー級というレッキとしたタイトルがあるからである。

 過去、こうした二団体にまたがる“統一戦”の話はいくつかあった。藤波がWWFインタ・ヘビー級の王者になったときも鶴田との対決がとりざたされたが、これは立ち消えとなった。今回も同じ結果で終わると見る向きは多い。

 だが、長州がジャパン・プロの社長に就任したことでもあり、猪木、馬場、大塚氏の三者会談はすでにそこまで来ている。長州にしても折れるところは折れないと話がまとまるはずはない、とわかっているから「新日プロのマットでいいんじゃないの」とポーンと決断してしまうのではないか。第一、こうした決断をしてくれないことには、長州への期待はすぐに消えてしまう。「社長になるまでは団体のワクにこだわっているからダメなんだよと言っておきながら、自分が社長になると団体に固執する」となってしまうからだ。スケジュールの問題もあろうし、対抗戦ムードも出てきた矢先なのだから、ここはジャパン・プロ側に太っ腹なところを見せてもらいたいと切望する。(週刊ファイト1985年7月9日付け より)


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