NXT女子覇者へ ロクサーヌ・ペレスにTNA王者ジョーダン・グレイス戦

■ WWE NXT
日時:5月28日(現地放送時間 日本WWEネットワーク木曜以降)
会場:米フロリダ州オーランド Capital Wrestling Center

 記者は先週、ViceTV制作の『Dark Side of The Ring:PRIDEの崩壊』ドキュメンタリー収録に呼ばれて第二のホームであるニューヨークに出張していた。その報告は次号に譲るが、マンハッタンの中心、タイムズスクエアの49丁目とBroadwayにあるビルの看板(Billboard)には、そのViceTV制作の『Dark Side of The Ring:WCWの崩壊』放送に合わせてハルク・ホーガンやジョン・シナの巨大な絵が出てきていた。「なるほど、これがViceTVか」という自身の納得と理解もあったのだが、やはりプロレスがいかに市民権を得ていて、日本とは余りにも社会における認知度に巨大な差があるかを思い知らされる。大物エンタテイナーの公演告知の看板などと並んで、普通にプロレスが街の中心地の目につく場所に出てくるという話である。

 その前提を踏まえた上で、現地火曜夜USAネットワークでやってる2時間番組NXTを、宿泊しているホテルで、あの4分間も続きクォーターごとに挿入される長いCM付きでフルに堪能できた。ニュースのCNNや、AEWやっているTBS-TNTなど、ケーブルのBasicチャンネルに入ってるので普通のホテルならどこでも見られる。あるいは末端の一般家庭も同じで、日本のように結構な数の割合が、「地上波しか見れない」状況とは大きく違う。そしてこれが、日本表記ゴールデンことPrime Timeに、毎日、毎晩どこかのチャンネルでプロレスが2時間堪能できるのだ。新日ワールドの深夜30分番組が、ひっそりとテレ朝に残ってはいるお寒い環境と、いかに根本的かつ決定的に違うことか。

 さて、この放送回に絞るならラッパーのセクシー・レッドと、ドゥエイン・ジョンソンの娘エヴァGMが新たに追加されたNXT北米女子王座ベルトのお披露目から。早速ミーチンが、テイタム・パクスリーを下すマッチメイクのトーナメント戦だった。
 ミーチンことミア・イムは、すでにメインルースターなんだが、今回からWWEは、より「女子プロレスの世界最高峰がnXt」というのを強調するようになっており、ベルト新設はその戦略の一貫である。まぁ確かにAEWの女子部門は弱いと言われて久しく、怪我がようやく癒えてまともに試合をした元サーシャ・バンクスのメルセデス・モネが、ハズレ皆無の鉄板予想でウィロー・ナイチンゲールからTBS女子王座をラスベガス開催5・26『Double or Nothing』にて奪取があろうが、NXTのほうが断然陣容の層の厚さが違うというアピールになろう。

 北米女子王座を巡っては、ケラニ・ジョーダンがウォレン・シンクレアを開脚式でフォールする。もちろんNXTにはチェイス大学のティア・ヘイルちゃんや、女子王座のロクサーヌ・ペレスもいるんだが、男子戦線にせよ、仕事人のアンギャロこと日本でもお馴染みカール・アンダーソン&ドク・ギャローズもがんばってます、と。

 ここであらためて全体像をおさらいするが、NXTはロゴを極彩色にしてNXT 2.0と名乗った時期もあったものの、実際は大きな変化だけでも創立時からしたら現在は4.0か5.0のチャプターであり、二軍養成リーグの側面も残すものの、アンギャロ他、NXT向きだとこっちに出ている選手が非常に多い。また、日本と同じくテレビの新シーズンごとの冒頭タイトル・セグメントのグラフィックなんかは、もう10回以上変わっている次第。そして5月からのシーズンが、THEN, NOW and FOREVERになっており、まさに「NXTこそが本来のWWE番組の象徴」という無言のアピールになっている。
 そりゃそうだ。いざ現地でCM入りのフル2時間で見ると、「ニューヨーク地区のCMはコレかぁ~」と、そこは西海岸版と大きく違うだけでなく、例えばフィラデルフィアで録画してみたら、またCMが違うのだが、お茶の間一般向きのRAWを、あの長い長いCM入りで3時間やられても、いくら「アメプロはフォローしてます」の専門媒体でも、あっちの大衆用エンタメ番組は、毎週きっちりレビューやる必要、必然がないとなるのは自明の帰結なのだ。

 では本誌がそう指摘したように、NXTとDynamiteの戦争だけは要チェックでいいのかなんだが、ちょっとこのところAEWの質が低下している。ましてトニー・カーン代表が場違いなフットボール業界の会合で、いきなりWWE批判をやり出して「頭がオカシイ!」と断罪されたこともあった。
 まぁ、AEWはあまりにも急激に成長。番組数が増えすぎて、親からのフットボール運営の仕事もしているトニー・カーンは、疲労のピークでややオカシクなっているとの観測も出る始末である。実際、冒頭ViceTVの『WCWの崩壊』ドキュメンタリーではないが、一時は栄華を極めたAEWがWCW崩壊と同じ道を辿ると占う評論家までいて、いくら「オカダ・カズチカも出てます」だろうが、本誌が取り上げて紹介すべきなのは新シーズンのNXT、特に女子マット世界制覇の覇権固めに、現TNAのノックアウト王者であるジョーダン・グレイスが、ベルトを肩にかけたままNXTに出てきた回だったので、これは重要という判断になろう。

 ジョーダン・グレイスは、すでに何度もWWEが採るかもと噂に出たのみならず、『ロイヤルランブル』にも出てきたじゃないかとか、なにも今回が初ではないのだが、やはり他の団体の現役王者であり、仮にそうであってもそういう肩書を番組上は一切言わなかったWWEが、TNA、TNAと実況で指摘しているのは、やはり画期的な変化には違いない。
ラスベガス開催の6・9『Battleground』では、ロクサーヌ・ペレスの女子王座挑戦である。

 あと、ラッシュ・レジェンドとトリック・ウィリアムスの実人生カップルに絡んで、AEWでくすぶっていたイーサン・ぺイジが襲撃。6分強のセグメント貰い、かき回してくれそうなのだった。


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